一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

93 / 112
エンタープライズへようこそ

 

 

 

 

「あのナターシャさん、この船は何処に向かっているんですか? 」

 

うーんうーん唸るイーリスさんを横目にナターシャさんへ疑問を投げかけてみる

 

 

「私達の母艦よ、この回収船には簡易治療が出来る設備はあるけれど、できても応急処置が限界なのよ、だいぶ強めに海面へ落ちたし念の為に母艦で検査を受けて貰うわ。万が一君に何かあったら最悪私のクビ1つでは済まないのよ」

 

 

ナターシャさんは俺の質問に答え肩をすくめて言う、その様子を見てなんか大袈裟な気がしたので

 

 

「模擬戦して少し怪我したぐらいで大袈裟なんじゃ? 」

 

 

「はぁ、君は自分の希少性、重要性を理解していないのね? 」

 

 

俺の言葉を聞いたナターシャさんは溜息を吐いて呆れた様子で言い

 

 

「八月一日君、君はね? この世界で現段階で確認されている、たった2人しかいないIS男性適合者なのよ? 分かる? 約70億人中2人よ、日本政府を初めとした各陣営が相互監視と情報共有を徹底していて、君がIS学園に入学していなければ君は今頃どこかの薄暗い部屋でモルモットだったかも知れないぐらいなの、理解できたかしら? 」

 

 

とナターシャさんは俺を説得する様な口調で説明してくれる、そう言えば最初に会った役人も似た事を言っていた様な気がする

 

ナターシャさんの表情を見る限り、俺を脅かそうと話を盛ってる様には見えないから、きっと事実、有り得る話なんだろう

 

 

「分かってもらえた様で嬉しいわ、まぁ脅しておいてアレだけれど絶対にモルモットなんかにしないし、させないわ。織斑千冬と篠ノ之束のお気に入りにツバ付けようとしたり危害を加えようとする命知らずの輩も居ないでしょうしね? 」

 

「は、はぁ・・・」

 

 

とナターシャさんは言って笑い、俺は曖昧な相鎚をうち首を軽く傾げる

 

 

織斑先生については、一夏さんと交際を認めて貰ったから、まぁ理解は出来るけど、篠ノ之博士については全く納得出来ない

 

 

そもそも俺は篠ノ之博士と2回ぐらいしか顔を合わせた事がない筈、それなのに気に入られているのか? 俺は

 

 

ん〜アレか? 一夏さんと篠ノ之博士が幼馴染でめちゃくちゃ仲良いから、一夏さんと付き合ってる俺も仲良し認定された的な奴・・・まさか、ね?

 

 

「着いたわね、この(ふね)が私達の母艦、IS空母艦エンタープライズ級1番艦エンタープライズよ」

 

 

ナターシャさんの言葉に顔を上げると、ネットとかで見る航空母艦より2回りぐらい小さい艦が見え、搬入口に回収船で乗り上げる様に入り理屈はよく分からないがエンタープライズの中へ回収船が格納される

 

 

「では行きましょうか、八月一日君」

 

「あ、はい」

 

相変わらずイーリスさんを放置してナターシャさんに連れられ俺は回収船から降りてエンタープライズ内を歩く

 

当たり前だが、様々な人が忙しそうに作業をしていたり通路を歩いていたりしていてキョロキョロしていると

 

 

「珍しいのは分かるのだけれど、一応 君が見ては不味い物もあるからあまりキョロキョロしないでついて来てね? 」

 

「わかりました」

 

軽くナターシャさんに注意をされてしまったので返事をしてナターシャさんの背中だけ見て彼女の後に続く

 

 

それから暫く歩くとナターシャさんは目的地に着いた様で扉を開けて部屋に入ったので続いて入ると、そこは医務室だった。まぁ当たり前か、検査するって言ってたし

 

「ドクター、来たわよ」

 

「待ってたよ、また派手に暴れた様だね? 」

 

はっはっはっと軽い調子で笑うドクターと呼ばれたナイスミドルな男性が俺の方を向き

 

「ようこそエンタープライズへ八月一日君、なに固くなる必要はないさ。念の為の簡単な検査だけだからね」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「それじゃドクター、後はお願いね? 先にシャワーを浴びさせて貰うわ」

 

 

とナターシャさんは返事を聞く前に退室して行き、ドクターは慣れているのか特に気にした様子も無く座っていた椅子から立ち上がり

 

 

「さ、そこに寝て楽にして」

 

「はい」

 

 

ドクターは慣れた様子で処置台?を指差し、壁に設けられたロッカーみたいな場所から機材を引っ張り出したので返事をして台に横になるとドクターは機材を使い検査を始める

 

 

「八月一日君、何処か痛い場所はあるかな? 」

 

「いえ、特には」

 

なんか機材で何度も俺をスキャンしながらドクターが質問して来たので答えると

 

「気分が悪いとかもないかな? 」

 

「はい、無いです」

 

再びドクターの質問に答えると、ドクターは機材を戻し

 

 

「軽く打ち身してる場所はあるけど、内臓も骨も脳も異常は無い様だから大丈夫そうだね。今診断書作るから座って待っててくれるかな? 」

 

「分かりました」

 

ひとまず異常が無くて良かった、と思いつつ誰向けの診断書なんだろう? と考える、学校向けかな? 多分そうだ学校行事、授業中の診察だった訳だし?

 

「はい、お待たせ。これを担任の先生に提出してね? もし体調に変化があったら直ぐに報告する様に、たまにあるんだ時間置いたら異常が出る場合がさ」

 

 

とドクターは優しい顔をして怖い事を口走る

 

 

うん、そうならない事を祈ろう、マジで

 

 






お待たせしました


ドクターの名前は特に決めてません、どうせもう出てこないだろうしw


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。