部屋にあった旭日旗触ったら変なのが出て来た   作:はち   .

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世界を救った唯一のマスター

 カルデアには既にサーヴァントは居ない。いや、正確には2人居る。

 1人は我らが所長代行としてカルデアに査問会が来るまで取り仕切っているダ・ヴィンチことレオナルド・ダ・ヴィンチ。

 カルデアの最初期からいたイタリアの大天才、レオナルド・ダ・ヴィンチその人だが、まぁ、変人だ。男にも関わらず何故かかの有名なモナ・リザのモデルとなった女性として現界した。偶によく何か企んでいた。

 次につい先日勝手に召喚された、と言っては何だが私達のグランドオーダーを英霊の座から見ており興奮と感動の余り勝手に出て来てしまった第7のエクストラクラス、フェイカーだ。

 此方は査問会には隠匿するとの事だ。理由は簡単。説明するより黙ってた方が(ダ・ヴィンチが)面倒くさくないのだとか。

 

「さて、予定では今日の午後に査察団が来る。

 君達は審問を受けるが、まぁ、尋問は中々に腹が立つだろう。

 だが、そこをグッと堪えてくれ。魔術師とは皆一様に性根の腐った連中なのだから。

 君は、世界で唯一この世界を救ったマスターなのだよ?周りの戯言には気を止めないで」

 

 そして、出迎えるに当たりダ・ヴィンチから有り難いお言葉を頂いた。

 世界を救った唯一のマスター……そうか。

 

「分かった。

 気を付けるね」

「うんうん。

 フェイカー君も耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでくれ給え」

 

 ダ・ヴィンチの言葉にフェイカーは姿を表す。格好は日本兵から日本軍の将校みたいな格好になっていた。

 

「わかったが、畏れ多くも天皇陛下の勅言をその様に軽々しく扱わないで頂きたい。

 我々は確かに藤丸立香を守る為に現れたが我々は大元帥閣下たる玉体に仕え護身衛を生業にして来た者共の集まり、悪気は無いのだろうが、我々の中の一部は余り良く思っていない。

 気を付けて欲しい」

「あ、あぁ、分かった。

 以後気をつけるよ」

 

 あのダ・ヴィンチが少し緊張していた。

 フェイカーから発せられる剣呑な雰囲気はその場を凍り付かせるには十分な物なのだ。一軍のトップ、いや、それこそ神代からの直系を持つ天皇家は血脈を重んじる魔術師界では最早伝説級なのかもしれない。

 フェイカーから聞いた話では近衛師団は魔術の素養のある者しか入れなかったとかなんとか。

 脈々と神代から天皇家を護ってきた者達の出す殺気とは一体どれほどのものなのだろうか?

 最も、そんな物を向けられたくはないが。

 そんな事を考えていたらアナウンスが鳴り、査察団の到着を知らせた。フェイカーは姿を消し、私達は彼等を出迎える。

 新所長の名前はゴルドルフ・ムジーク。時計塔での活躍はほほ無く、平凡らしい。血だけは長い。そういう意味では名門なのだろう。

 

「此処がカルデアか!」

 

 第一印象は喧しいデブだ。

 金髪のちびデブ。28と言うのが信じられない。よくある序盤で主人公に殺される悪代官みたいな奴だった。

 そして、あろう事か私達をいきなり拘束しようとしたのだ。が、ダ・ヴィンチが既の所でその拘束を阻止した。

 まぁ、阻止したのだが、結果私達は軟禁されてしまったのだ。

 

「御身のご命令あらば、我々があの朝敵共を制圧してきますが」

 

 私の目の前に白襷をして頭に日の丸の鉢巻をしたフェイカー達が銃剣を付けた小銃や古めかしいサブマシンガンや機関銃を握っていた。

 

「いや、そういう物騒な事は……」

「カルデアで2.26事件は止めようよ」

「フェイカーさん!気持ちは分かりますが落ち着きましょう!」

「静かにしろ!」

 

 ドンと扉を殴られ、フェイカーの一人が扉を凄まじい力で蹴り返した。

 扉の向こうからうぉ!?と声が聞こえるとフェイカーはスッと姿を消してしまう。それと同時に銃を構えた新所長が連れて来た兵士達が入って来た。

 

「今のは誰だ!」

 

 私はサッとダ・ヴィンチを見ると、マシュもそして一緒に捕まったカルデアの職員、ムニエルもダ・ヴィンチを見た。

 

「貴様かキャスター!」

「うぇ、あ!?

 ま、待ってくれよ!私は!」

「黙れ!暴れるなら我々も容赦はせんぞ!

 大人しくしてろ!」

 

 兵士達は私達を睨み付けると出て行った。

 ダ・ヴィンチは私をキッと睨みつけるので私は思わず視線を反らした。

 

「わ、悪かったと思っています、はい」

「フェイカー!止めてくれたまえよ!私はお淑やかな淑女で通っているのだから!」

 

 それはない、と断言したいが歴戦のカルデアマスターたる私はそんか事をおくびにも出さないのであった。

 そんな感じでウダウダしていると唐突に呼ばれ尋問が始まった。質問の内容は人理修復は本当に行われたのか?また、そこに至るにあたり犯罪は無かったのか?また他のマスター達の事まで聞かれた。

 情けない事に魔術的な事は一切分からなかったし違反とかなんとか言っている場合じゃなかった。故に沈黙か資料にあるとおりですのどちらかしか取れなかったのだ。

 そんな訳で向こうの不評を大いに買い同じ質問を何度もされた。

 

「まったく……魔術師は人の粗を探すのが好きなのか、それとも鳥頭なのか」

「少なくとも兵隊の質は悪く無い」

 

 フェイカーが姿を表さず告げた。彼は尋問の際にも私に付き従ってくれていたのだ。姿が見えずとも近くに居ると分かっているだけでこれ程心強いものは無い。

 

「質は兎も角、記憶力は無いよ」

 

 私の言葉に違いないとフェイカーが嘲笑う。

 

「お疲れ様仔猫ちゃん」

 

 廊下を歩いていると新所長の秘書がやって来た。

 なんて名前だったかな?

 

「コンニャクホンニャクさん……でしたっけ?」

「コヤンスカヤです。

 貴女も大変「フォウ!!」

 

 そこにやって来たフォウがコヤンスカヤに飛び掛かる。しかし、フォウは不自然に空中で減速するので私はそれを捕まえる。

 

「御身がその魔獣をお捕まえ下さい」

 

 耳打ちされたので、多分フェイカーが止めてくれたのだ。

 

「あらあら、私の肌に傷をつけたらその前足を圧し折ってやろうと思いましたのに」

 

 物騒な女だ。

 

「それより、お話しませんか?」

「貴女と話すぐらいならエリちゃんとネロ皇帝のリサイタル聞いてた方が百倍マシです」

「失礼なクソガキね。

 まぁ、良いわ。勝手に話すので」

 

 勝手に話すらしい。

 

「貴女、Aチームの人達を知っていて?」

「もちろん。

 ベトナムで鳴らした俺達特攻部隊は、濡れ衣を着せられ当局に逮捕されたが刑務所を脱出し地下に潜った。

 しかし、地下でくすぶってる様な俺達じゃない。

 筋さえ通れば金次第で何でもやってのける命知らず。

 不可能を可能にし、巨大な悪を粉砕する、

 俺達、特攻野郎Aチーム!」

「貴女、もしかしなくても私を馬鹿にしてますわよね?」

「此方と6時間近く知らない事をアレコレ聞かれてイライラしてるんですよ。

 1年間も寝てた寝坊助さんは知らないでしょうが」

 

 ニッと笑うと向こうもニッと笑う。

 

「にしても、薄情な方ですね。

 彼らのチャンスを奪ったにも関わらず名前や素性も知らないとは」

「ええ、生憎と少ない人員、明日無くなるかもしれない世界の為に全力で奔走していた物でね。

 何もできずに御ねんねしているエリート様まで気を配る事ができなかったんですよ。

 電池切れのスマフォですよ」

 

 あの頃の私達にとってコールドスリープしている他のマスター達は電池切れのスマフォと一緒なのだ。

 

「なんですか、それ?」

「私にとってのAチームですよ。

 必要な時に求められている事が出来ないのであれば電池切れのスマフォ、貴方達傭兵に分かりやすく言えば弾切れの銃ですよ。

 チャンスを奪われた?大いに結構!彼処でチャンスを掴めない者がグランドオーダーを達成出来る訳が無い!

 私は世界を救った唯一のマスターだぞぉ?」

 

 私の言葉にコヤンスカヤはギッと睨み付けると去っていく。

 

「フォウ!ザマフォウ!!」

 

 腕の中のフォウが私をペロペロと舐めてきたので私もフォウの顔をワシワシと撫でてあげる。

 

「良く申された!我々も胸の空く気持ちでした!

 世界を救ったマスターたる御身は堂々としていれば良いのです!」

 

 現れたフェイカー達が万歳三唱を上げ始めたので慌てて止めさせて独房に戻る事にした。

 取り敢えず、何とかなるかな?

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