部屋にあった旭日旗触ったら変なのが出て来た   作:はち   .

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脱出遭遇

 12月31日。

 今年が終る。激動の1年が終る。そう思うと実に感慨深い。

 

「ダ・ヴィンチちゃん、遅いですね……」

 

 そして、ダ・ヴィンチが尋問に連れて行かれてはや4日曜経った。最後に会ったのはあのいけ好かないコヤンスカヤを言い負かした日だ。

 あの日にAチームの話をちょっと聞いただけである。まぁ、ちょっと聞いただけであるが私よりも遥かにすごい人達なのは理解出来た。

 

「ダ・ヴィンチちゃんは私よりも色んな事知ってるし重要な位に居たからね〜」

 

 あの尋問を思い出し、あれをもう4日も受けているダ・ヴィンチはやはり凄い奴なのだと感心していると来訪者がやって来た。

 来訪者は死んだ魚の目をした神父、言峰綺礼とか言った神父だ。

 内容はもうすぐお別れだからダ・ヴィンチ達と仲良く最後の晩餐をしろとの事だ。

 

「ダ・ヴィンチだけに最後の晩餐ですか?」

 

 死んだ魚の目をしている癖に中々に捻ったことを言うではないかと感心していると嘆息された。

 

「ところでダ・ヴィンチちゃんは何をしているのですか?」

「彼女はAチームの解凍をしている。

 彼女は良くやってくれているよ、流石は大天才だ」

 

 確かにを

 

「名残惜しいが、そろそろお別れだ」

 

 神父がそう告げるとアナウンスが入っていたコフィンの解凍が終わったから神父は管制室へ来いというものだ。

 つまり、Aチームの皆々様方とお会いできるのである。

 うむ、何と言って良いのか。取り敢えず、私が地球を救ったと言っておこう。

 

「立香君、君はどう思う?」

「何がですか?」

「何が?随分と悠長なのだな。

 前人未到の偉業を凡人に何もかも奪われるというのも事実にだよ」

 

 神父が訳のわからん回答をすると同時に突如銃声が響いた。

 異常事態が起こったのは言うまでもない。

 

「銃声!何が起こったんですか!?」

 

 マシュが咄嗟に私の前に出た。

 

「何、簡単なことだ。猟兵の襲撃さ。

 彼等は動くものに反応する。暫く此処に籠もっていると良い」

 

 神父はそう言うと部屋から出ていき、あろう事か扉をロックしやがった。

 死んだ魚の目をした野郎はやはり信用出来ない!!

 てか、彼奴も共犯なのか。

 

「御身は我等の後ろに。マシュ嬢とムニエル殿も奥に下がれ」

 

 神父が消えると同時にフェイカー達が現れてテキパキとどこにあったのか土嚢と機関銃で銃座を構築してしまった。

 

「宝具を展開します」

 

 将校のフェイカーが私の前にやって来るとそう告げた。

 

《宝具:大本営令発令》

 

 フェイカーが宣言する様に告げるとフェイカーを中心に光の円陣が構築されていく。

 

「いきなり宝具!?」

 

 ムニエルの言葉を無視してフェイカーは私に敬礼する。私もそれに答える。

 

「西暦2017年12月31日1648時を持って大本営は設置されました。

 また、大元帥不在の為に臨時任官として陸海軍合議の結果藤丸立香を大元帥代理として任官。非常事態及び存在していない故に帝国議会の承認は不要と判断、また同時に統帥権の一部権限を行使可能と言う事で決議しました。

 ご命令を、大元帥代理(マイ・マスター)

 

 その場のフェイカー達が直立に不動する。

 

「取り敢えず、この場の死守!

 マシュとムニエルさんはフェイカーから離れないで!」

「私も戦えます!マスター!」

 

 マシュがシールドを出そうとするのでそれを止める。

 

「今度は私が護る番。

 冬木からマシュはずっと私の前に立って私を守ってきた。貴女はナビゲートしただけっていうけど、そのナビゲートにどれだけ助けられたか……

 あの時も、ソロモンでも、貴女は文字通り身を挺して護ってくれたでしょ?だから、今度は私が貴女を護る番なの。

 お願い、私にもカッコつけさせて?」

 

 マシュの目をジッと見詰める。マシュは暫く私の目を見ていたが折れてくれた。

 

「分かりました。

 マシュ・キリエライト、今は先輩のサポートに回ります」

「ありがとう。

 でも、マシュが万全になったらバリバリ使うからそのつもりでね!」

「はい!」

「仲睦まじく見つめ合ってるところ悪いが!この後どうするのか考えてるかい!?」

 

 日本軍のヘルメットをしっかり被ったムニエルが私達を泣きそうな顔で見ている。外の銃声はどんどん小さくなり代わりに悲鳴が大きくなっている。

 そして、遂に扉が何か強い衝撃を加えられたのか大きく拉げた。

 

「来たようだな。

 射撃用意!」

 

 将校姿のフェイカーが指示を出すと周りの兵士姿のフェイカー達は手慣れた様子で手元の銃器たちを操作する。

 

「我々が御身とマシュ嬢、ムニエル殿を護ります。

 ご安心を」

 

 将校姿のフェイカーが私を見ると同時に扉が破られる。

 見ると黒尽くめにペスト医師の仮面を被った男が現れた。

 

「この魔力濃度……」

「サーヴァント……じゃないよね?」

 

 私とマシュがその正体を見極めようとしたがそれよりも早くフェイカーの射撃が開始された。

 

「撃て!」

 

 入り口に立っていた3体の敵は全身に銃弾を浴びるとそのまま後ろに倒れる。

 

「第一小隊は通路を制圧しろ!」

 

 そしてフェイカーが叫ぶと部屋の影という影から日本兵のフェイカー達が駆け出て来て廊下に展開していく。廊下では凄まじい銃撃戦が展開されているのか耳が痛くなる程の騒音に目頭がピリピリ痺れる硝煙が漂ってくる。

 機関銃を持ったフェイカーが出て来ると廊下の左右に別れて援護射撃を開始した。

 

「第二分隊!第一分隊の突撃支援射撃を受けて前進する!着け剣!」

 

 何処からか声が聞こえるとカチャカチャと音がした。

 

「吉田班!」

「一番じゅんびよぉぉし!!」

「ニ番じゅんびよぉしっ!」

「三番よぉぉしっ!」

 

 そんな叫び声が7番まで続くと今度は阪口班という班が声を上げた。

 二班の準備が整うと別のフェイカーが突然ラッパを吹く。

 

「突撃ィイイィ!!」

 

 そして、ゾルッと影から兵士達が飛び出て行く。

 裂帛の意志を声に出し突撃していくその姿に思わず後を追いそうになり、マシュとフェイカーに抑えられた。

 

「御身はまだ此方に」

「先輩、気持ちは分かりますがは抑えてください」

「ご、ゴメン、なんか釣られた」

 

 何でだろう?

 

「我々のスキル、喇叭ノ音です」

 

 なるほど。

 

「第二分隊阪口班!廊下北側到達!防御陣構築中!」

「同じく吉田班も南側到達!防御陣構築中!」

「第一中隊はこの階の確保!

 第二中隊以下は順次前進して各要点を確保せよ!」

 

 モノの5分と経たずにフェイカーは一帯を支配してしまった。

 

「敵は存外脆い。

 軟弱にも程がありますな。魔術的な事を齧ったものであればこの程度なら安安と倒せましょう。そうでないなら厳しいが」

 

 フェイカーは入口近くで倒れていた新所長の連れて来た兵士の死体を検分しながら告げた。脇に転がっている銃はフェイカー達の物よりも数十年も新しいがそれでも英霊的な存在に対しては豆鉄砲にすら劣る様だ。

 

「何方へ向かいますか?」

「ダ・ヴィンチちゃんの工房!

 彼処なら安全な筈だしダ・ヴィンチちゃんなら彼処に逃げ込む筈!」

 

 廊下に出ればフェイカー達が警備兵の死体を脇に退けていた。死体の胸元には大きく袈裟斬された跡や短い矢が突き刺さっていた。

 

「敵はクロスボウと手斧を扱う様です。銃器の類は無い模様。

 また、一般人にとっては脅威としか成らないですが、我々にとっては便衣兵以下の存在です」

 

 フェイカーの報告を聞いても敵の正体が分からない。

 

「それと、敵兵が戦闘中に皇帝の栄光に逆らう者めと言っていましたね」

「誰か!」

 

 通路奥にいたフェイカーが小銃を構えて叫ぶ。

 

「おっと、撃たないでくれたまえ、君達。

 私はシャーロック・ホームズ。ただの探偵さ」

 

 やぁ、と曲がり角から顔を出したのはルーラーのホームズだった。

 

「ホームズ!?」

「マスターの知り合いで?」

「知り合いも何もよくダ・ヴィンチちゃんのお手伝いしてたのよ!

 何で此処に!?」

「なぁに、やる事があって残ってただけさ。

 それよりも先ずは今をどうするかが問題だ」

 

 ホームズは私達の前まで歩いて来ると私達を見回した。

 

「怪我はないかい?」

「はい。フェイカーが守ってくれたので」

「それは重畳だ。

 状況は極めてシンプル。全てのゲートは封鎖され、敵の魔の手は迫っている。ゴルドルフ・ムジーク氏が連れて来た私兵が抑えているがそれもじきに敵側の勝利で終わるだろう。

 我々は逃げねばならぬ」

 

 ホームズがいつもの様に勿体振った台詞回しで告げる。痺れを切らすのはムニエルだ。

 

「俺達は今、ダ・ヴィンチ女史の工房に逃げようとしていたんだ!アンタがいてくれれば百人力だ!」

「それはナンセンスな選択肢だね。

 逃げるのは地下、格納庫にシェルターとして機能するコンテナが用意してある」

 

 そこに向かおう、そうホームズが告げた。

 

「そうですね!」

「よし!すぐ行こう!」

 

 私もマシュやムニエルに続いてホームズの意見に従おうとしたが、突然フェイカーが小銃で我々の行く手を塞いだ。

 

「ホームズ殿。貴公を疑う訳ではないが、そこはマスターが向かっても安全な場所なのか?」

「君の話は聞いているよ、フェイカー殿。

 少なくとも、此処でこうしているよりは安全だろう。地上に逃げ場ない。敵の和は未知数だし今も尚増えている。

 故に私の名誉に掛けて保証するよ」

 

 ホームズの言葉にフェイカーは小銃を退けることで示した。

 

「そうだ、立香ちゃんに一つだけ頼みたい事があるんだ」

「頼み事です?」

「ああ、ダ・ヴィンチの工房に行き彼女を救出して欲しいんだ」

「それはマスターが危険を犯してまで行う必要があるのか?」

 

 ホームズの言葉にフェイカーが割って入ってきた。

 フェイカーは心配性だな。

 

「勿論だよフェイカー。

 ダ・ヴィンチちゃんは私達の仲間。カルデアの仲間なんだから助けに行かない道理は無いよ」

「了解。

 マシュ嬢、君はデミサーヴァントとの事。ならば我々の武器も使えるだろう。

 護衛を付け武器を貸与する。ホームズ殿と共に先に地下格納庫の制圧と安全化を頼む」

 

 フェイカーがマシュにサブマシンガンとその弾倉を幾つか渡す。

 

「第6小隊はホームズ殿達の護衛に回れ。

 格納庫に辿り着いたあとは陣地構築しろ」

「第6少隊了解!」

 

 こうして私達は二手に分かれる事にした。

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