部屋にあった旭日旗触ったら変なのが出て来た   作:はち   .

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救出激闘

 声の主はあのいけ好かな小デブ、ゴルドルフ・ムジークだ。

 

「ああ糞!痛い!いたぁい!止めろ!止めてくれぇぃ!

 クソ!今まで何も良い事はなかった!

 やっと、やっと!ようやく!ようやくここで!此処で成功できると思ったのに!

 どこまで行っても私の人生はどん詰まりなのかっ!

 チクショウ、チクショウっ!

 死にたくない!私はまだ死にたくない!だって!だってそうだろうっ!」

 

 悲痛な叫びだった。彼は誰に対して言っているわけでもない。只々、恐怖と痛みに駆られて口走ってるのだろう。

 

 

「私はまだ、一度も、一度もっ!!

 一度も他人に認められていないんだ!

 まだ誰にも!誰にも愛されていないんだよ!」

 

 そんな事を言われたら、そんな事を言われた!

 助けるしか無いだろう!その言葉は私にとって重すぎる!

 

「フェイカーに命令する!

 ゴルドルフ・ムジークを何が何でも救え!決して殺すな!決してだ!」

「ちょっ!?」

「全兵士に命令するッ!

 現刻を持って我軍は防衛戦を放棄し、ゴルドルフ・ムジーク氏の救出を行う!

 これは大本営命令第一号であるっ!陣頭指揮はマスターが直々に執る!」

 

 フェイカーの命令に合わせて影からサイドカー付きのバイクが飛び出て来た。

 フェイカーがドライバーを交代し、サイドカーに乗るよう告げる。私はサイドカーに飛び乗ると其処にマシュも飛び乗った。

 

「私もッ!私もお願いします!」

「おぉっと!なら私も行こう!

 良いだろフェイカー?」

 

 ダ・ヴィンチもそれに続いて前に出た。

 

「良かろう!

 二人共に来給え!」

 

 フェイカーがアクセルを絞ると彼方此方の影がサイドカーが飛び出して発進していく。

 私達のサイドカーも発進すると、後方からも一台のサイドカーが追走する。其処にはダ・ヴィンチが乗っているのだが、そのサイドカーにはカルデアの紋章と私の令呪のマークが描かれた旗が立っていた。

 

「即席ながら作ってみました」

「凄い!」

「そうですね!」

 

 私の前に座って機関銃を構えていたマシュと共に感嘆の声を上げた。

 私達はカルデアの廊下を凄まじい勢いで走っていく。道中、フェイカー達が残るオプリチニキ達を撃ち倒したり通路を塞ぐのを抑えていた。

 私達の前を走るサイドカー達も機関銃で飛び出て来るオプリチニキ達を薙ぎ倒していた。

 

「ありがとう、マシュ」

「いえ、私の方こそ何のお役立ても出来ず……」

「なに言ってんさ。マシュはこの一年頑張ってくれたじゃないか。

 マシュはもう無茶しなくて良いんだ」

「……はい」

 

 マシュを後ろから確りと抱きしめてやる。

 暫く走ると先導のバイクが止まっていた。見ればゴルドルフがオプリチニキに追い詰められている。

 バイクから飛び降りたフェイカーが腰の軍刀を抜くとオプリチニキ達の背後から一振りで袈裟斬りにした。

 残りのオプリチニキ達も脇から飛び出て来たフェイカーが銃剣で刺殺し、止めを刺す。

 

「なっ!?貴様等は何者だ!?」

「彼等はフェイカーだよ、ゴルドルフ・ムジーク」

「貴様はキャスター!」

 

 私達もダ・ヴィンチに続いてゴルドルフの元に向かうとゴルドルフは肩から血を流していたが無事そうだ。

 

「貴様等!?

 デミサーヴァントの小娘にミソッカスの立香!?」

 

 ゴルドルフが私を見て失礼な事を言ってのけた。次の瞬間、フェイカーが手にした刀をゴルドルフの首元に充てがっていた。

 

「貴様の命を救ったのはそのミソッカスだ。

 無礼者め。他者を見下すしか能が無いから誰にも愛されず認められないのだ。

 我がマスターに言う事があるだろう?」

 

 フェイカーが刀を思いっ切り首に食い込ませるとゴルドルフがヒィと声を上げる。

 

「あ、ありがとう御座いました立香さん!」

「それで良い。

 では、さっさと帰ろう」

 

 フェイカーが指を鳴らすとバイクが消えて向きを変えて現れる。

 

「どうぞマスター」

「あ、ありがとう」

 

 こうして来た道を帰るのだが暫く走ると前方のバイクが吹き飛んだ。私達はその場で急停止して影から次々とフェイカー達が飛び出て来る。

 釣瓶撃ちというのはまさにこの事だろう。

 機関銃を設置し凄まじい勢いで撃ち出す。果ては大砲まで転がして来てドガンドガンやり出した時には何が居るのかと思ったが次の瞬間には凄まじい勢いで氷柱が地面から突き出てきた。

 

「敵のサーヴァントです。

 お下がりください」

 

 フェイカーが私とマシュ、ゴルドルフを後ろに連れて行く。それに変わるように廊下の影から戦車が出て来た。

 

「戦車!?」

「小さいですが確かに戦車です!」

「やってしまえ!!」

「あれは九七式軽装甲車だね」

 

 戦車がドガンドガンと砲を撃つ。お返しとばかりに氷柱が地面を這うが戦車を破壊するには至らず姿勢を僅かに崩した。

 それを見たフェイカーは頷いた。

 

「行けるな!

 ハ号!」

 

 フェイカーの指示に更に一回りほどデカイ戦車が出て来た。

 その戦車達は数度の氷柱でひっくり返りはしないが完全に擱坐した戦車を後ろから押し退けるように前に出る。それに合わせて周囲で氷柱に吹き飛ばされたり氷漬けにされたフェイカー達が消え去り変わる様に影からフェイカー達が飛び出て来た。

 流れる様に戦闘が動く。此処まで小規模なのに激流が押し寄せては去っていくような戦闘だ。

 

「凄い勢いがあるね……

 あっと言う間に押し返したよ」

 

 フェイカーが用意した装甲車に乗り込みながらダ・ヴィンチが呆れたように告げた。

 装甲車に乗り込むとフェイカー達が機関銃を持って周りに乗る。

 そして、力押ししていく戦車の後に続いていく。

 暫く進むとT字路に突き当たると逆方向からもフェイカーの攻撃部隊がやって来る。敵は残る道に逃げるしか無く、我々はアッという間にそのT字路を通過した。

 その際、戦車と戦車の隙間から凄まじい形相でコチラを睨むコヤンスカヤと不愉快そうに顔を顰める見知らぬ少女が見えた。

 

「止まれ!

 今!コヤンスカヤ君が居たのだ!」

 

 ゴルドルフは知らないらしい。

 

「あの牝狐はオプリチニキを連れて来た張本人だ。

 貴様もあの時点までは共犯の疑いがあったが、実際に襲われている所から疑いは一応晴れた」

 

 ゴルドルフの言葉にフェイカーが告げると何ぃ!?と面白い程に驚いてい。

 直後、ドガンと凄まじい爆発音。見ると戦車がやられているではないか!

 

「戦車が!?」

「ロケットランチャーには勝てまいよ」

 

 そして氷の氷柱が戦車の残骸やフェイカー達を吹き飛ばしてコヤンスカヤと謎のサーヴァントが追ってくる。

 コヤンスカヤはオプリチニキを盾にフェイカー達の放つ銃弾を防ぎ、謎のサーヴァントも氷の盾を使って肉薄してきた。

 

「やれやれ、あまり出したくは無かったが贅沢も言ってられまい……」

 

 フェイカーは忌々しそうに告げると軍刀をカチャリと自身の前に捧げる。

 

《宝具:機密第202359番電発信》

 

 フェイカーがその宝具を発令するとどこからとも無くバリバリと音が聞こえる。

 

「何の音!?」

「伏せて!」

 

 マシュが私に覆いかぶさると同時にカルデアの外壁に何かがぶち当たり爆発する。そして、それに続いて爆発が連続して起こった。熱気と騒音は心臓が縮み上がるかと思うほどだ。

 

「カミカゼ、本来の読みはシンプウなのですよ、我等のマスター」

 

 フェイカーが私とマシュを立たせると、敵の方を見た。其処にはコヤンスカヤと謎のサーヴァントに僅かばかりのオプリチニキ達しか残っていなかった。外壁にはポッカリと穴があき、コヤンスカヤと謎のサーヴァントは酷く顔を引きつらせていた。

 

「降伏しろ」

 

 フェイカー達がコヤンスカヤや謎のサーヴァントを飛び囲むように動く。しかし、謎のサーヴァントはフェイカー達を一撃で凍らせてしまった。

 

「矢張り強い者だな魔術師と言うものは。

 我等は天皇家を護る存在。近衛が近代魔術師に対抗する為の技を備えていても極少数。

 大多数が一般人ではやはり対抗力で負けてしまう。

 だがしかし!マスターがそうあれかしと望むなら!我等も斯く或るべしと応えよう!

 ここで敵の御首を取れば我等の完勝!そうで無くともマスターとその仲間を逃せば我等の勝ち!

 征くぞ!」

 

 フェイカーの一言で背中に箱を背負ったフェイカーが飛び出して謎のサーヴァントに突撃していく。アレは何か?と尋ねる前に箱を背負ったフェイカーの腹に氷の氷柱が突き刺さる。

 しかし、箱を背負ったフェイカーは止まらない。

 

「ッチ」

 

 隣にいたコヤンスカヤが魔銃と思しきライフルで箱を背負ったフェイカーの頭部を撃ち抜く。直後、箱を背負ったフェイカーは爆発した。

 

「なっ!?」

「宝具:機密第202359番電は特攻兵器の使用を許可する宝具。大本営が解組するまで有効となる。

 我等が本気、恐れ慄け」

 

 フェイカーを見るがフェイカーは動じた様子がない。

 続々と復帰する特攻兵器を担いだフェイカー達が突撃していくが謎のサーヴァントが指揮するオプリチニキ達によりその一歩手前で敢え無く阻まれる。

 やはり、フェイカーだけでは決定打にかけるのだ。

 

「海が近いか閉所ならば他にもやりようがあったのですが、先程の様な対城宝具を何度も使うとカルデアが無くなってしまいます」

「それはいかんぞ!?

 カルデアスに傷を一切付けるな!」

 

 フェイカーの言葉を聞いたゴルドルフが叫ぶ。

 

「どうやらそちらの全力は私達には効かないようですね!」

 

 フェイカーが攻めあぐねていると判断したのかコヤンスカヤが威勢を取り戻して叫ぶ。

 フェイカーはそれを無視しつ攻撃を止めない。

 

「貴方達汎人類史のサーヴァントが私達異聞帯のサーヴァントに勝てるわけ無いじゃないですか!

 貴女方とは生き伸びた年数も環境も全てがハードモードな我々とは違うのよ!」

「ほう」

 

 コヤンスカヤの言葉にフェイカーが反応した。

 

「然らば。然らば!我等と貴様等!

 何方が熾烈な生存競争を生き抜いたか特と見極めようではないか!!

 宝具展開!」

 

 フェイカーはそう宣言する。するとカルデアが消え去り南国のような暑さになった。

 そして、何処かの島と思われる場所に出る。

 

《スキル:膽兵ノ戦闘心得!》

《スキル:敢闘ノ誓!》

 

 フェイカーが叫ぶと全員が応ッ!と叫んだ。何が起こるのか?誰にも分からない。

 

「マスター、此処は我々が抑えるのでどうぞマシュ嬢、ダ・ヴィンチ女史、そこの小デブを連れて退避します」

 

 我々だけ固有結界から抜け出ると格納庫に向かった。

 中でどんな戦いが繰り広げられているのか不明だ。しかし、フェイカーが良いというのだから良いのだ。サーヴァントを信じるのもマスターの仕事だ。

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