小さな角   作:エゥエゥ

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 この作品はでは、零細ファミリアが三人以下、小規模が十一人以下、中規模が十二人以上、大規模が三十人以上で大手が五十人以上のファミリアです。


オラリオ三日目 朝の時間

 「皆は今日、なにか予定はあるのか?」

 

 それはエイリルとメアリーが朝の食事を片付けている時の言葉でした。その発言をしたのはミアハ・ファミリアの主神であるミアハです。

 その発言の意図を誰も探ることはせず、素直に今日の予定を皆が話し始めました。

 

 「俺は何時ものようにダンジョンに行ってみるつもり」

 

 ミアハ・ファミリアの初期からいるヒューマンのライト・ファンリルが最初に言いました。それに続くように皆が言葉を続けます。

 ミアハ・ファミリアの現在の団員は十三人。今は四人ほどがダンジョンに潜っており本拠の青の薬舗にいませんが、誰もが主神であるミアハを慕っています。

 

 「私は散歩に出かけようと思います」

 

 ヒューマンのジェイドが「俺もダンジョンに行く」と言った後にエイリルは言いました。本当は昨日の予定だったのですが、メアリーとついつい長く潜ってしまいオラリオを散歩する事が出来なかったので今日の予定になりました。

 

 「マジ? オラリオを散歩するのかだったら案内しようか?」

 

 そのの言葉に猫人(キャットピープル)のジョン・スミルが反応しました。彼は同室で、なおかつ新人であるエイリルと少しでも仲良くなりたいと思っていました。屋根裏部屋はエイリルが来るまで女子三人男子一人だったというのも、仲良くなりたい理由の一つです。

 

 「私もついて行っていい?」

 「私も! 私もついて行く!」

 

 ヒューマンののコトネ・ハバキリが言って、双子の妹のオトネ・ハバキリが続いて言いました。二人もジョンと同じでエイリルと仲良くなりたいと思っていました。

 ジョンは出来れば男二人でぶらぶらと歩きまわりたかったのですが、ここは少しでも多く交流を増やした方がエイリルの為になると思って本人に聞きました。

 

 「もちろんいいですよ、案内をお願いします。なんなら同室同士という事でメリーも行きませんか?」

 

 他三人より一足先に仲良くなったメアリーを愛称で呼びながら聞きました。メアリーは一瞬の隙間もなく「分かった~。私も暇だしね」と答えます。

 

 「ふむ、そうかそうか。アトリーナとナァーザは何か予定はあるか?」

 

 そこまで聞いてミアハが残った二人、アトリーナ・キャンベルとナァーザ・エリスイスに聞きました。二人は何も予定は無いと答え、それを聞いたミアハが言います。

 

 「では今日一日、私を手伝ってはくれないか? オラリオの外に用事があって、二人がいてくれたらどれほど心強い事か」

 

 ミアハは囁くように良い声で言って、二人は了承しました。二人だってオラリオの外がダンジョンほどではないにしろ危険だという事は分かっているのです。猛獣の犇めく森林の自らの主神を一人で行かせる訳はありません。

 

 それからエイリルが簡単に身支度を整えたころに、ナァーザがミアハの薬師としての仕事を手伝った際に作ったポーションをエイリルに渡しました。

 

 「それは私が作ったポーション。少しだけアレンジを加えたの、効果が予想通りなら疲労にも効く筈だから一応持っていって使ってみて」

 

 それは試作のポーションのテストの頼み事でした。まだ新人のエイリルとのコミュニケーションの取り方に勝手がつかないせいか、その言葉はどこか一方的で不愛想なものに感じましたがエイリルはそんな事を気にせずお礼を言いました。

 

 「ありがとうございます、ナァーザさん」

 「出来ればの話だから、使わずに持ち帰って近いうちにダンジョンで使ってみても大丈夫よ。それくらいは日持ちするはずだから。それじゃ、私は他の人にも渡してくるわね」

 

 そう言ってナァーザは他の人にも渡すために行ってしまいました。手の中には細長い瓶に入ったポーションが一つ。本当はもう少し話してみたかったのですが、今日はお互い予定があって時間がありません。エイリルはポーションの感想を次の会話の懸け橋にしようと心に決めました。

 

 

 

 五人は本拠の青の薬舗から足を進め、まずはオラリオの中心と言うべき五十階建ての摩天楼『バベル』を目指しました。

 千年前に神々が降り立った際に建て直したという塔の中にはオラリオで名高い名店の数々が在るという話はエイリルも知っていましたが、実際に足を運ぶのは初めてのことです。

 

 「まずは俺達が足蹴もなく通っているバベルに行くのは王道だよな。あそこの真下にダンジョンが在るから凄く冒険者向けの店が多いしよお!」

 「通っているのは店じゃなくてダンジョンだけどね。まあ、今のうちに行ってみるのはありだと私も思うけど」

 「じゃあ『ヘファイストス・ファミリア』の店舗? あそこはとんでもなく高いけど、見るだけならタダだしね」

 

 ジョンがまず初めに言ってコトネとオトネが続いて言いました。

 『ヘファイストス・ファミリア』とは鍛冶系のファミリアで、その中でも一・二を争う大手ファミリアです。その店舗で売られる武器や防具は全てが煌びやかで、それでいて優れている物ばかりなのが特徴の一つでオラリオの外に出回っていた『Hφαιστοs』の刻印を押された武具を見た事のあるエイリルは見たいみたいと素直に思いました。

 

 「じゃあ、お昼ご飯は豊饒の女主人でいい?」

 

 まずは行くべきところを決めたので、今のうちに昼食に置いて決めておいた方がいいと思ったメアリーが会話の終わりを見計らって言葉を繋げました。

 メアリーの意見に否定するものはおらず、何ら問題なく五人は今日の予定を詰めていきました。

 

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