戦姫絶唱シンフォギアBR   作:十露盤

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皆様お久しぶりです。恋文です。
更新が空いてしまい、申し訳ないです。

それではお楽しみください。


Act10:日常に神は溶け込んで

「新さん、いますか?」

 

唱子が新の部屋のドアをノックする。

数秒置いて、部屋に入るよう促された。

 

「唱子、どうしたんだ? 突然」

「ええと……私の買い物に付き合ってください」

「良いけど……ナナミじゃなくて、俺なのか?」

「新さんが良いんです。ほら、ついてきてくださいってば」

「あっ、ちょっ、唱子! せめて着替えさせてくれ!」

 

未だ寝間着のままの新を引っ張って進もうとする唱子を、引き止めるように新も堪える。

 

今日はカフェ・シエスタも定休日。

暫しの安息は、此処に。

 

────────────────

 

大規模ショッピングモール“イネス”。

ナナミ曰く、『とんでもない複合型モール』であり、実際に病院やらゲームセンター、公民館すらあるショッピングモールだ。

 

「何を買いに来たんだ?」

「ええと、そろそろ冷えてくるのでコートと、私の日用品と……まあ、後はお店で使う道具の買い出しですね」

「分かった。じゃあ行くか」

「はい!」

 

入口から入って直ぐに、唱子の目当ての店はあった。

 

「“クライム”……?」

「洋服屋さんです。ここで上着を揃えちゃいましょうか。新さん、コートが無いって言ってたじゃないですか」

「あー、覚えててくれたのか! 俺も忘れてたからな……」

「忘れないでくださいよ? これからは寒くなるんですから」

「そうだな……」

「あ、新さんはこれとか似合いそうですよ!」

「これか……おっ、安いな……」

「私のも……選んでほしいです」

「これだな……」

 

暫くコート選びは続き、唱子と新は一番気に入った物を購入した。

 

────────────────

 

そして、その光景を外側から見る者が1人。

 

「……『韋駄天』弐から通達。壱より引き続き、想い神(オモイガミ)の観測を開始します」

 

ここ数日、特務部隊『韋駄天』は、特異災害対策機動部二課にすら任務を秘匿し、櫛原唱子の“観測”を始めていた。

 

「対象のバイタル、安定。観測を続行します」

 

通信を切断し、唱子に向き直る。

 

「……あんな一人の小娘に、神の力が宿ってるのかねぇ……?」

 

タブレット端末を待機状態へ戻し、彼のジャケットに着けられたバッジを見る。

 

「ま、俺は韋駄天。小娘にも、隣の奴にも捉えられないさ」

 

────────────────

 

「唱子、これとかどうだ? 似合いそうだけど」

「……スカート、短いんですけど」

「あ……唱子って、もしかして苦手だったか? ミニスカート」

「ナナミさんにも言われましたよ、それ。なんというか……無防備の象徴みたいで……」

「そうか……なら、これは戻して……」

 

新が棚に戻そうと、スカートを手に取る。

 

「ま、待ってください……」

「唱子?」

「……新さんが着て欲しいって言うなら……着ない事は無いですけど……」

「……いいのか?」

「でも! 新さんと一緒に出掛ける時だけです! それ以外では絶対着ません!」

「わ、分かった分かった……」

「あ! 新さん今喜んだ! 私が着てもいいって言ったら喜んだ!」

「喜んでない! 喜んでなんてないぞ!」

「嘘! 絶対嘘です! 私の目は誤魔化せませんよ!」

 

そのやり取りを目撃され、彼ら彼女らの“声”が聞こえたのか、唱子の顔が目に見えて赤く染まっていく。

 

「……新さんのせいですよ」

「それはさすがに理不尽だろ!?」

 

────────────────

 

「はー、なんか疲れましたよ」

「唱子、お前なあ……」

「新さんが変なこと言うからです」

「……悪かったよ」

「新さん……じゃあ、あそこ行きませんか?」

 

唱子が指すのは、クレープ屋のワゴン。

街でも美味しいと評判のクレープは、偶にシエスタでも話題に上っている。

 

「じゃあ、食べに行くか」

「ですね……」

 

ワゴンの列は幸運にもあまり長くはなく、直ぐに新と唱子の順が回ってきた。

 

「おっ、お二人さんは何にする?」

「私は……このチョコレートのを」

「俺はこっちのバナナのかな」

「バナナとチョコレートな、OK。お熱いお二人にちょっとだけ具材はサービスしてやるよ!」

 

数分で二つのクレープが完成し、手渡される。

 

「熱いから気をつけろよ」

「ありがとうございます。いただきます」

 

静かにクレープを頬張る唱子と、自分のクレープを齧りながら唱子を眺める新。

その“声”に気付いたのか、唱子が新に視線を向ける。

 

「どうしたんですか?」

「いや、唱子……クレープ、ひとくち分けてくれないか?」

「……良いですけど……ひとくちですよ、ひとくち」

 

目を逸らしながらも、唱子は新の口にクレープを運ぶ。

 

「ん、こっちも美味いな……俺もこれにすればよかった」

「あ、新さんのも分けてください、ひとくち」

「良いぞ、ほら」

「はむっ……」

 

ゆっくりと咀嚼する唱子。

そして、それを見る新。

 

「どうなんだ……?」

「……お、美味しい……です……」

「唱子?」

「美味しいです!」

「そうか……やっぱり話題になるだけあるよな……」

「………あっ」

「どうしたんだ、唱子」

 

先程の洋服屋での一幕よりも、赤く赤く染まっていく唱子の顔。

 

「唱子!?」

「……こ、これ……関節キス、ってやつですかね」

「……言われてみれば」

「うーっ……」

「でも、唱子とは前にキスしたよな? なら大丈夫なんじゃ……」

「それと、これとは……話が、別なんですっ!」

 

赤い顔を隠すように、唱子は顔に手を当てていた。

 

その様子すらも、誰かに観測されている事に気付かず。




そういえば、シンフォギアXDにてアマルガムの調と切歌が実装されましたね……

調は来なかったです、はい。

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