戦姫絶唱シンフォギアBR   作:十露盤

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おはようございます。
こんにちはでしょうか? こんばんはかもしれませんね。

シンフォギアBR、2話です。
お楽しみください。


Act2:ヌクモリリターン

「新たなアウフヴァッヘン波形、ロストしました」

「翼、状況は?」

 

赤い上着を着た筋骨隆々の大男、風鳴弦十郎は現場に通信を繋いでいた。

 

『……これは……!』

 

転送されてくる映像には、惨憺たる情景が映し出されている。

 

本来ならば、“のどかな田舎町”といった所だろうか。しかし、その雰囲気は既に損なわれている。

 

映像に映し出されたその町には、生きている人の姿がない。

刀傷を負い、死している者だけだ。

 

『……一体、誰が……ッ!』

「現場の状況は分かった。翼、帰投してくれ」

『……了解しました。本部へ戻ります』

 

町に降りしきる雨は、未だ止まない。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

「……ここ、どこだろ」

 

私はあの町から離れ、いつしか夢見た都会……みたいな所へ来た。

あの時から降り続いていた雨は止んでいて、肌寒さは無くなっている。

 

「……疲れたな……人の声も、あれから、聞いてない……」

 

闇に落ちる意識。

 

それでも、離すものかと握り締めたのは、あの赤いペンダントだった。

 

 

「……お、大丈夫か!?」

 

遠くなる聴覚で、男の声を聞きながら。

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

「参ったな……路地裏で倒れてる女の子なんて、昨今の小説でもあんまり見ないぞ」

 

俺は倒れる黒髪の少女に駆け寄ると、先ずは手に触れてみる。

 

「……って、冷たっ!? それに、服が濡れてて重い……」

 

片手で携帯を取り出すと、彼は職場へ電話を掛ける。

 

『もすもす終日(ひねもす)? あ、どーもどーも、カフェ・シエスタです! ってなんだよ~、(あらた)じゃねぇか』

惣一(そういち)さん、路地裏で女の子が倒れてるんですよ、どうします?」

『“どうします?”じゃないだろ……そもそも俺に掛ける電話じゃない』

「だとしても、ですよ。放っておけない」

『……分かった分かった。俺の負けだ。ナナミをそっちに寄越す。場所は?』

「店の近くですよ。商店街の裏通り」

『OK、分かった。ナナミー!』

 

プツッ

 

ツー、ツー、ツー……

 

「……とりあえず上着、掛けてあげよう。ナナミが来るまでにもっと冷えたら大変だ」

 

着ていたコートの上を少女に掛け、新は同僚を待つことにした。

 

────────────────

 

「……?」

 

私の意識が戻る。

体を見ると布団に包まれていて、先程までより暖かい。

服もどうやら着替えさせられているようだ。

 

「……なんで、体操服?」

「それ、私のだから」

「……!?」

 

横から唐突に聞こえてきた声で、部屋に何人か人がいることに気づく。

 

『……良かった……』

『何か持ってきた方がいいよね……うどん、とか』

『眠いけど、彼女のためだし仕方ないか……』

 

「……えっと、貴方達は?」

「ここの従業員。カフェ・シエスタのね」

 

カフェ・シエスタ。

聞き覚えがないが、おそらくこの街の喫茶店なのだろう。

 

「にしても、どうしてあんな所に?」

「……親がいなくなって、行くあてもなかったからここまで歩いてた」

「歩いてた!?」

 

『それならあんなに濡れてたのも分かる。ここ最近は雨続きだったし……』

 

耳を通して、発していない言葉が聞こえる。

昔からの体質だ。本来聞こえちゃいけないはずの声が、私の耳に入ってくる。

思えば、このせいであの町だと『サトリ』とか呼ばれてたんだっけ。

 

「……とりあえず、暫くここにいていいよ。引き取り手が見つかるまで……だけど」

「……え、いいんですか?」

「勿論勿論! 袖すりあうも一蓮托生って言うでしょ?」

「それ、『袖すりあうも他生の縁』だから」

「そっちかー……!」

「こっち以外無いから」

 

ガヤガヤとなる4人に、私は少し劣等感を覚える。

 

「私も、こんな体質じゃなければな……」

「ん?」

「いえ、別に」

 

囁き声に気づいたようだが、誤魔化しておいた。

 

「だったら自己紹介しよっか! 私は月峯ナナミ! この店の隠れた看板娘!よろしく!」

「『隠れた』って自分で言わない方がいいでしょ……前川ミソラね、よろしく」

「俺は尾山新(おやまあらた)。マスターの惣一さんを除けば俺が唯一の男手かな……えっと、よろしく」

「新はキミを見つけてくれたんだよ~」

「ちょ、おい、ナナミ!」

「ホントの事じゃーん!」

 

そう言って頬のつねり合いをする2人を見て、私は……自然に、笑みが零れていた。

 

「あ、初めて笑った」

「うーん、とってもキュート! これは名前を聞くしかない!」

 

聞かれたならば答えねばなるまい。

 

「……櫛原唱子(くしはらしょうこ)

「ショーコちゃんか! よろしくね!」

「……カフェ・シエスタにようこそ」

 

笑いかけてくる3人を見て、私にいつからか欠けていたピースが嵌ったような気がした。




ショーコの体質は、もしかしたらどこかで聞いたことや見たことがあるかもしれません。
私は知り合いに、『コードギアスのマオ』に似ている、と評されました。
調べると本当にその通りなんですね。偶然とは怖いものです。
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