戦姫絶唱シンフォギアBR   作:十露盤

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皆様、シンシンシンフォギア。

前置きは不要でしょうから、始めてしまいましょう。
お楽しみください。


Act7:真実

「ただいま」

「おう、おかえり。新、唱子ちゃんが部屋に色々運んでくれたから行ってやんな」

「分かった」

 

月浦村から戻った俺は、シエスタの裏手にある居住スペースにある、俺の部屋に戻る。

 

「……ん?」

 

本来、この時間にこの部屋に居ないはずなのだが、彼女はそこにいた。

 

「……唱子?」

「……私の事、全部知ってたんですか」

「……ここに唱子が来てからだけどな」

 

荷物を机に置き、唱子に向き直る。

 

「最初にその事件を知ったのは、菊次さん……たまに店に来るだろ? あの人が話してるのを聞いたんだ」

「……いつ?」

「唱子が店の手伝いを始める前。村の資料に書いてあった制服と、唱子の制服が同じだった」

 

机の引き出しから取り出されるホチキス止めの紙。

確かに、唱子の着ていた制服と同じ、月浦第一中学の物だった。

 

「……それでな、その中に気になる記述があった」

「……まさか」

「そう。唱子……お前の体質だ」

 

ラップトップに転送したデータを表示する。

唱子の目は、少し開かれた。

 

「……想い神(オモイガミ)?」

「ああ。月浦村の伝承に残っていた……想いを受ける者の事だ」

「……巫山戯てるんですか?」

「巫山戯てない! ……これは、お前の親父さんが遺してた資料なんだ」

「……お父さんが?」

「ああ」

 

唱子が少し俯く。そして顔を上げて、新の方に向き直る。

 

「……新さんは、私が……あの村の人達を殺したの、どう思いますか?」

「……っ」

 

新の息が詰まる。

しかし、唱子の体質を考えれば、隠せるはずも無い。

 

「……正直、どんな理由があっても、人を殺すのは間違ってる。そう思ってるのは、分かるだろ?」

「………………………はい」

「でも、俺は信じたくない」

「……え?」

 

おもむろに立ち上がり、唱子に近づく。

 

「ちょっと、新さん!?」

「……人を殺した? 特殊な体質? そんなの唱子には何の関係もないだろ!」

「……えっ……?」

 

新は、唱子の背中に腕を回し、抱き寄せる。

唱子の顔は紅潮し、動きは止まってしまう。

 

「……約束する。唱子、お前がどんな存在だっていい………」

「……」

「……守らせてくれないか? お前と違って無力な俺に、櫛原唱子という1人の人間を」

 

新が唱子に問いかけると、唱子は俯きながら答える。

 

「……良いですよ」

「……本当か?」

「なら、1つ頼まれてください……」

「……おう」

「……私を、貴方の物にしてくれるなら……守られます。それに……」

 

唱子も新の腰に手を回し、唱子からも抱き締める。

 

「……受け入れてくれたの、新さんが初めてですから」

 

紅潮した顔で笑みを作り、新に笑いかけた。

 

────────────────

 

「菊次さん」

「……おう、緒川の」

「頼んでいた物、調べはつきましたか?」

 

緒川慎次は、菊次と呼ばれる人物に接触していた。

 

「……ああ。あの嬢ちゃんで間違いない……彼奴が、“月浦村惨殺事件”の、犯人だ」

「しかし、相変わらず早いですね。流石……風鳴家お抱えの諜報部隊……『韋駄天』の、隊長です」

「言うようになったな、ボウズ……お前も似たようなモンだろが」

「はは、僕も貴方に追いつくんですよ」

「……へっ、若くて良いな、お前さんは」

 

菊次は懐から煙草を1本取り出すと、ライターで火をつける。

 

「では、僕はそろそろ」

「おう。弦十郎の野郎に宜しくな」

 

煙を吐き出しながら、菊次は夜空に浮かぶ月を見る。

 

「……『呪詛』を感じるな……櫛原唱子も、これを受けた被害者のひとりって訳だ……なぁ?」

 

携帯用灰皿に灰を落とし、そのまま火を消すと、緒川とは反対の方向へ歩みを進める。

 

「さて、お前はどうやって動く? ……尾山、新」

 

────────────────

 

「ありがとうございました」

「またお越しくださいね。お待ちしております」

 

唱子とナナミが昼時のレジの応対を終えると、一旦店は休みに入る。

 

「……んでさ、ショーコちゃん」

「はい、何ですか?」

「昨日、新の部屋で何してたの〜?」

「えっ!?」

 

唱子はスカートを翻しながらナナミの方を向くと、距離を詰めて問い詰める。

 

「なんで、なんで知ってるんですか!? どこまで聞いたんですか!?」

「そりゃあ、新が男らしい事を言うところからよ。しっかし、ショーコちゃんも青春してるね〜……」

 

ナナミは唱子の耳元に寄り、聞いてもいない事を喋っていく。

 

「新は優良物件だよ? まだまだ高校生だけど、責任感は強いし、何より……あんなこと言われたんでしょ? 応えなくちゃ」

「……でも、私、分からなくて」

「いいのよ、分からなくて。人の恋なんて、分からないことだらけよ?」

「……恋……?」

「だって、ショーコちゃん……気づいてないかもしれないけど、新の事を話す時、最初からどこか……ね」

 

唱子は、その言葉に耳を傾け続ける。

自らに刻み込むように。

 

「……ま、決めるのはショーコちゃんよ。伝えるのか、封じるのか……貴女にしか決められない感情だからね」

「……はい」

「よーし! 休憩終わってからの準備と、お昼ご飯にしよーう!」

「あっ、今行きます!」

 

日常は、確かにそこに溶けていた。




そういえば、今回の執筆期間中に、見よう見ようと思っていた、リリカルなのはを見たんですよ。
食指が伸びず、これまでは見ていなかったんですがね。

……取り敢えず、私が好きなのはシャマルです。

関係ありませんね。次回もお楽しみに。

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