恋文です。
年末年始は更新できず申し訳ないです。
それではお楽しみください。
「……」
気がつけば、私は昏い所へ居た。
「……」
手は動かせないし、視界は昏くて見えない。
耳は塞がれていないが、何も音が聞こえない。
「……あっ」
近づく足音。扉の音からして、恐らく私は、牢か何かに繋がれているのだろう。
「……これより、櫛原唱子くんの聴取を始める」
「お願いします」
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「そこで、何を……ッ!」
天羽奏が見たのは、肉片になったナニカと、頬を血と涙に濡らした……数日前に訪れた喫茶店で、ウェイトレスを務めていた少女の姿があった。
彼女を抱き締める男も、同じ喫茶店で働いていた人物だと見受けられる。
「どういう、ことだよ……オイッ!」
「貴女は……じゃない! 唱子はどうして襲われたんですか!? 唱子の使ってたアレは何ですか!? どうして唱子は────菊次さんを殺さなきゃならなかったんですか!?」
菊次、という名には聞き覚えがあった。
ツヴァイウィングのマネージャー、緒川が話していた人物だ。
「なんで菊次の名前を……まさか、ソイツが……それが菊次だってのか!?」
奏の目には二人の人物と肉片しか映っておらず、それが菊次だと信じ難い。
『奏、その二人を拘束しろ。少女の方は特に厳重にだ』
「ああ、分かったよ……」
力無く答える気力しか、その時の天羽奏には残されていなかった。
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「菊次を殺したのは……君なのか?」
「ええ、はい。新さんが死んでしまう寸前だったので、つい殺しちゃいました」
至極当然という風に、淡々と
「なら、質問を変えよう……月浦村の惨劇も君が引き起こしたのか?」
「ああ、そうですよ? あの時は私のお父さんを家ごと焼き殺されてたんですよね」
「……まさか、あの半分焼失していたあの家か」
「その家です。まあ、私がどうしてやったかはだいたい検討がついてると思うので言いませんが」
唱子の語りはなおも続く。
「最初の一人は四肢を切り落としました。二人目は妊娠していたので、お腹から子供を取り上げてあげて、その後心臓を刺しました。三人目は首を斬りました。四人目は磔にしました」
「……もういい」
「五人目は剣で串刺しにしました。六人目は──────」
「もういいと言っているッ!」
「あはは、オーバーですね。
心底おかしいと思うように、唱子は続ける。
「それに私、思うんですよ。
「……まさか、君が……」
「ご明察。私こそ月浦の血を引く、
確かに、あの村の中で唯一の行方不明者として言われた唱子は、菊次の調査で
「……最後だ。そのギアは……どこで手に入れた?」
「お父さんからの贈り物ですよ。まあ、こんな力があるなんて知りませんでしたが」
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結局、あのペンダント────シンフォギアは回収され、私の拘束は解かれぬまま、一週間の時が過ぎた、らしい。
「度々すまない。君の処分が決まった」
「何処ですか? 牢獄? それとも絞首台ですかね?」
そう問いかけた直後、拘束と視界が開放される。
「……なんのつもりですか」
「その方面のお偉方の意見としては、“証拠不十分”だ。そもそも俺たちが扱ってる物を、おいそれと明るみに出すわけにもいかない。それが、政府の出した決断だ」
そう言って、大男はペンダントを投げ渡してくる。
よくよく見なくても筋骨隆々で、かつての村民とは違って自分の事を色眼鏡で見ない目だ。
心の声も、自分の事を心から信用している。
「その代わりと言ってはなんだが、君を二課────特異災害対策機動部二課に所属させる事が条件、だそうだ」
「……」
「どうする?」
「……分かりました。その条件を呑みましょう」
「そうと決まれば、これから俺たちは仲間って訳だ。俺は風鳴弦十郎。一応、二課の司令をやってる」
「櫛原唱子。カフェ・シエスタの従業員です」
私たちは握手を交わす。
どうにかこうにか、私の安寧は保たれたようだ。
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蝋燭の立ち並ぶ和室。
それに照らされる一人の老爺が、直属の部下の報告を聞いていた。
「“韋駄天”の菊次が殺られた、か?」
「はい。恐らくは……櫛原唱子のシンフォギアに依るものかと」
「竜滅の魔剣が人の血を吸うたか……」
「彼女に眠る“神”を、目覚めさせる事より遠ざかってしまいましたが……」
「好い。好い状況だ……血に穢れた想いの神を、暴走させるのも悪くはなかろう」
老爺は口の端を引き裂くように笑みを作ると、立ち上がる。
その所作は力強く、動きだけでは老体だと判断出来ないであろう。
「護国の為、防人の務めを果たす為にあの力は、何れ儂が手に入れる」
そう叫んだ直後、立ち並んでいた蝋燭の火が全て同時に消え去った。
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「唱子!」
「……新さん」
基地の外へ出される前に、同じく拘束されていたという新さんと合流する。
「……あー……その」
「……幻滅しましたか? 血塗れの私の姿は」
「違う。違うんだ唱子……ありがとな」
「え……?」
急に抱き締められ、私の顔も上気していくのが分かる。
「結果はどうあれ、俺が唱子に助けられたのはホントだよ。何度でも言うさ……ありがとな」
「……っ、そっ、そういうの……なんでこんな所で言うんですか……」
「ははっ、悪かったよ……でも、今言っておきたくてな」
「もー……」
唱子は唇を尖らせながらも、新の事を抱き締め返す。
「……私の方こそ、あの時抱き締めてくれて、ありがとうございます」
「あの時は、それくらいしか出来なかったからな。唱子も──────っ?」
新の唇は唱子の唇によって半ば強引に塞がれ、三秒程ではあったものの、新を戸惑わせるには十分だった。
「……」
「唱子……今のは」
「気に、しないでください。したかった、だけですから」
そう。したかっただけ──────
「唱子、大丈夫か? 顔が赤いぞ?」
「うるさいです。気にしないでと言ったじゃないですか」
「気にするって、唱子が赤くなってるんだからさ」
「叩きますよ」
「怖えよ! しかももう叩いてるし!」
ただ────
次回もお楽しみに。