あそぼ。元リースXPです。祝ハンター試験突破。ここからアトラさんの行動範囲が広がります(絶望)
「ここが正門です。別名"黄泉への扉"と呼ばれております。入ったら最後、生きて戻れないとの理由からです」
《へー》
「おー」
パドキア共和国に入国し、ツアーバスでゾルディック家のあるククルーマウンテンの麓まで来たアトラとゴンたちは巨大な扉の前に立ち、ツアーガイドの話を聞きながらその大きさに声を上げる。
ハンター試験終了後、明らかにダメージの深かったゴンは3日も眠っていたため、先に他の合格者へのハンターライセンスの受け渡しと詳細の受講は終了していた。
そして、キルア=ゾルディックは兄のイルミに連れられる形でゾルディック家に戻っており、その際に本人は"大丈夫だ"とアトラらに話していたが、やはりというべきかその際の表情はあまり優れたものではなく、出ていく最後までゴンのことを気に掛けた様子だったため、キルアの友人の3人とゴンの保護者の1匹は遥々自宅まで向かうに至ったのだ。
また、パドキア共和国への入国の際、ゴンがヒソカへの借りを返すまでハンターライセンスを使用しないとのことであり、他の2人もそれに付き合ったため、入国が多少手間取ったという一幕があった。
ちなみにその際に戸籍などあるわけもないアトラは、ハンターライセンスを使わなければ密入国になるため、ハンターライセンスを使用している。"ならどうやってハンター試験受けに来たんだ?"というレオリオの問いに"大型タンカーにバナナと一緒に入ってきたのよ"とはアトラ談である。
《立派な扉ねぇ。私みたいな大きな生き物も通れるように造ってるのね》
「中に入るのは守衛室横にある小さな扉を使いますが」
《あぇ?》
ツアーガイドが扉の端に付いている小さな扉を指したことで、アトラは"そうだったのね……"と書きながら目を点にする。
「ここから先はゾルディックの私有地となっておりますので、見学できません」
「はぁ?」
《えー……》
「ここから先の樹海はもちろん、ククルーマウンテンも全てゾルディックの敷地ということです」
ツアーガイドによると、要するにこのツアーはこの扉の前まで来て帰るだけのツアーらしい。
そこそこの料金も払ったため、ツアーとしてぼったくりもいいところなのではないかとアトラが考えていると、ツアー客の中にいた2人組みの見るからに荒くれものな風貌の男が出て来て侵入を試みていた。
《うーん……。あの2人じゃあ、扉の向こうにいる犬っぽいのに殺られると思うんだけど?》
「扉の向こうにいる犬……?」
『――――――?』
「ルルハリルのことじゃないと思うよ?」
『――――…………』
すると呼ばれたと勘違いしたのか、ティンダロスの猟犬がツアー客に見えない場所の地面に頭だけにょきりと生える。そして、ゴンにたしなめられたルルハリルはひと鳴きすると直ぐにその場から消えた。
「ゴンは大物だな……」
「怖くないのかよ……?」
「なんで? 優しそうな目をしてるよ?」
ゴンはルルハリルについてそう語る。確かにアトラはルルハリルのことを"優しくてちょっと夢見がちな性格よ"等とゴンとその仲間たちに話していたが、如何せん見た目が凶悪過ぎることが大きな問題であろう。ルルハリル以上に本来は凶悪な筈のアトラに関しては、既に2人からすれば友人のようなものかつ、性格が割とお花畑であり、本来の姿が10mの巨大蜘蛛でも普段は人型の魔獣に擬態しているため、あまり怖がる要素がないので、表立っては怖がられていないのかもしれない。
そんな話をしていると、守衛室を襲って鍵を強奪して敷地内に2人の男が侵入し、地面に放られた守衛をゴンが助け起こし――その直後に侵入した2人の男の悲鳴が響き渡ったことで、全員は扉に目を向ける。
するとその扉から毛むくじゃらの黒紫色の腕が生え、骸骨と化した2人の男の死体が捨てられた。
《衣服を着けたまま、キレイに食べ切るだなんて器用ねぇ》
「いや、そこじゃねぇだろ!?」
《む……。私だって出来るわよ?》
「対抗心を燃やすのか……」
仲間たちとアトラがそんなやり取りをしていると、無惨な死体を見たツアーバスの人間は阿鼻叫喚になる。ツアーガイドにバスに戻るように促されたが、ゴンが断ったため、そのまま置いて行かれる。
3人と1匹は特に気にした様子もなく守衛――ゼブロから話を聞くのであった。
◆◇◆◇◆◇
「んぎぎ……! 全く開かねぇぞこの扉!?」
《はえー、"試しの門"ねぇ……》
試しにレオリオが黄泉への扉なるものを押してみるが、さっぱり開く様子がない。
ゼブロにこちらはキルアの友人であることを伝え、彼から話を聞いたところ、今いる守衛室の隣にある大門は正しくは"試しの門"という名である。大門に付いている小さな扉は、大門を壊そうとする者が多いために備えた侵入者用のものであり、侵入した者を猟犬の"ミケ"という生き物が殺す侵入者用のトラップになっている。
そして、試しの門は番号の通りに1~7の門があり、1の扉は片方2トンで、1つ増えることに重さが倍になる。そのため、開ける者の力に応じて、大きい扉が開く仕組みとなっており、この門には鍵がなく、この門から入れば侵入者用のトラップは発動しない。
そのため、ゼブロは守衛ではなく、ミケが殺した死体を掃除する役割としてここにいるのだ。
《んじゃあ、私が開きましょうか。おいで、ルルちゃん》
『――――――!』
「そ、それは一体……!」
《私の可愛いペット。ミケちゃんと同じね》
そんな話を聞いたアトラがトントンと脚で硬い音を響かせると、彼女の鋭角の足先を利用してティンダロスの猟犬――ルルハリルが出現し、スカートの中からゼブロの目の前に姿を現す。
日頃からミケに接し、遠目に人外染みた雰囲気を纏うゾルディックの面々を見たことのあるゼブロでなければ、泡を吹いて気絶しても可笑しくはない程、冒涜的にグロテスクで猟奇的な外見である。
ついさっき、クラピカとレオリオはルルハリルを目にしているが、今回の出現に最早あまり動じておらず、ゴン程ではないが、短期間で相当に慣れており、彼らもまた大物なのであろう。
「よろしくね、ルルハリル」
『■■■■……』
今はキルアに会うことに集中しており、少なくとも2体の存在が間違いなくこの試しの門を開けれるであろうことを理解しているゴンはルルハリルにそう言葉を掛ける。
イルミによって失った右前足を触手を束ねて代わりにしているルルハリルは、そんなゴンに何らかの言葉を返す。
そして、ルルハリルは立ち上がると、一対の触手の翼を持つ異形の人型の何かと化し、試しの門の前にいるレオリオの後ろに立った。
『………………』
「へ?――あっ、ああ……。退けばいいんだな? ヘイヘイ……ビクともしねぇぞ?」
無言の圧力を受けたレオリオは少し退いてルルハリルに場所を譲る。
そして、試しの門の目の前に立ったルルハリルは左腕を片方の扉にそっと添えた。
「あっ……片方だけだと倍の4トンの力が必要で――」
『■■――……』
ゼブロが忠告したところ、ルルハリルはわかっているとばかりに小さく咆哮し、それを終えてから力を加える。
すると1の扉がまるで部屋の戸のようにスッと開いて行き、ゼブロとゴンの仲間たちは目を見開く。
「おお! スゲー……! やっぱアトラのペットともなると――」
そこまでレオリオが言ったところで異常に気が付く。その軽々とした様子で、ルルハリルは2の扉、3の扉とそのまま開けていったのだ。すなわち、この時点でルルハリルは左腕で32トンの重量を押し開けたことになる。ちなみに蛇足だが、キルアはこの3の扉まで開けて帰って来たとのことだ。
「お、おい……。別にそんなにしなくとも……」
ルルハリルの隣にいるレオリオの声を余所に、彼女は少し力む様子を見せて、4の扉、5の扉、6の扉が開いて行く。5の扉辺りで腕のリーチが足りなくなったため、少し片側に寄りつつも尚も開くのを止める様子はない。
そして、更にルルハリルが腕に力を加えると、7の扉までかなりの勢いで開き切り、自動ドアのために戻らないように少し力を込めながら素手で押さえ付けて、彼女はアトラの方を見た。
「な、7の扉まで開いた……」
7の扉を片腕で――すなわち512トンの重量を押し開けてみせたことを、絶句した様子で目を見開いてその光景を眺めるゼブロ。
そんな彼の肩をアトラはそっと叩いてそちらの方を向かせると、笑顔のアトラが顎の下でホワイトボードを抱えている姿があった。
《通っていいかしら?》
「……………………どうぞ」
ゼブロはそう言う他無かった。
◆◇◆◇◆◇
《広いわねぇ》
ルルハリルを隣に連れているアトラを先頭にククルーマウンテンの樹海を進むゴンたち。最初は道なりに進んでいたが、途中でアトラがおもむろに脇道に進んだため、鬱蒼とした森を突き進んでいた。
「おい、大丈夫なのか……? 道なりに行った方がよかったんじゃねぇか?」
《試しの門なんて作る連中よ。舗装された道沿いに屋敷があるなんて、それこそ有り得ないでしょう。また、他人を試すような下らないトラップでもあるのが関の山よ》
「ふむ……まあ、確かにその線は濃厚だが、こうも迷いなく進んでいるとなると道を知っているのか?」
《んー? ああ、わかるわよ。ほら、そろそろ――》
そうアトラが後ろの人間にも見易いように頭上に糸で書いて見せた直後、また別の舗装された道が姿を現したため、3人が目を丸くする。
「スゴいやアトラ!」
《 ( *`ω´*) ふんす! 》
「本当にスゴいな……。どうやってやったんだ?」
《企業ヒ・ミ・ツ》
実際には試しの門にいた時にククルーマウンテンの敷地内全てを一度、円で覆い尽くしてスキャンしたため、ゾルディック家の屋敷の位置や道路の場所を知っているだけである。
ちなみにハンター試験が終わった後で、アトラはこの世界では"念"と呼ばれている生命力の力が、無能力者には秘匿されていると言うことをネテロ会長から個人的に聞かされたため、そのように行動し始めた。既に色々と手遅れであろう。
『■■■……』
「どうしたのルルハリル?」
そんなやり取りをしていると、ルルハリルが片腕にオーラを張って"硬"をすると共に『
その常人には不可視の万物を溶かす念弾は――。
「おいでませアトラさ――あっぶねぇ!!!?」
その場所に瞬間的に現れた"メイド服"を着た神話のアラクネのような女性――チィトカアに丁度殺到し、彼女が全力で8本の脚を翻して回避行動を取るに至らせる。
《惜しい……》
『………………■ッ』
「惜しいじゃないですよアトラ!? 今、そこの駄犬が私を殺し掛けましたよ!? 舌打ちしてんじゃねーですよ!?」
ちょっとスカートの端が溶かされたチィトカアは、直ぐに自前の糸でスカートを作り直しつつアトラとルルハリルにそんなことを言う。
世界共通で相変わらずなチィトカアのテンションに、何とも言えない表情をしているゴンとレオリオだったが、クラピカは何かに思い当たったようで、目頭を押さえていた。
「なあ、アトラ……。ひとつだけ聞きたいのだが?」
《んー? なんでも聞いていいわよ》
「アトラの言うチィトカアの主というのはまさか……。ハンター協会の三ツ星ハンターのあのチィトカアだけではなく――約10万体のチィトカア全てのことを言っているのか?」
《そうだけど?》
"なんで今さらそんなことを聞くのかしら?"とでも言いたげに目を点にしつつ、首を傾けるアトラ。
しかし、その瞬間、クラピカとレオリオの中でアトラの格が更に引き上げられたことだろう。
一般に知られているチィトカアと言えば、精神及び記憶を共有し、特殊な共同意識を持つ生命体かつ個体数が約10万体と決められている魔獣だ。
役所や大型遊戯施設などで大いに働いており、特にチィトカアが役所で働いていると、1体で役場の事務作業が6割回せる上に記憶共有により、他の地域の生の情報を場合によってはインターネットよりも早く正確に引き出せると言うことで、先進国では引っ張りだこにされている。
また、全て美女なことに加え、その性質から人智を超えた頭脳と万能な能力、そして護衛としても並みの念能力者では束になっても敵わないほど極めて優秀なことから、世界の富豪の中ではその雇用数がそのままステータスにもなっていたりする。
ちなみにゴンはとっくの昔にアトラがチィトカアの主だということを全て知っているため、アトラと似たようなキョトン顔をしている。
《だってチィトカアは私が作ったんですものねー》
「ねー、お母さん!」
《それは普通に嫌》
「育児放棄!?」
「は……?」
「なに……?」
しかし、それ以上の本質的なことは一切一般人には知らされず――と言うよりもチィトカアのそれ以上の生態を暴こうとした一般人は、もれなく不可解な失踪を遂げていたり、不審死を遂げたり、何処からか湧いて来たチィトカアに人生の墓場に追いやられたりと奇々怪々な末路を辿っている。そのため、最早暗黙の了解としてチィトカアとは、"便利な隣人でそれ以上のことはない、イイね?"というグレーな認識なのであった。
その事を思い浮かべたレオリオとクラピカが声を漏らしていると、彼らの肩をトントンと同時に叩かれ、2人はそちらに目を向ける。
「どうも皆様!」
「こんにちはー!」
「ち、チィトカア!?」
「な、何人いるんだ!?」
「ゾルディック家には全部で9人いますよー!」
そこには"執事服"を纏ったチィトカアがおり、2人の肩を叩いた2体のチィトカアに加え、背後に更に6体のチィトカアが控えていた。
また、個体ごとのチィトカアの体型や顔は若干異なるが、全てが一様に屈託のない笑みを浮かべており、それが示し合わせたように揃っていることで、却って不気味さが増しているだろう。
「大丈夫ですよお二方。
「あなた方が今さら何を知ったところで何も気にしませんよ?
「それよりこの場の
「友達としてキルア様にお会いに来た……と言うことは既にハンター試験でのやり取りから、こちらも理解しておりますので、執事の屋敷の方で少々お待ち下さい」
「恐らく旦那様はキルア様を外に連れ出すことを渋らないとは思いますが、家族が旅立つのですもの。身内として、それなりに別れの時間は必要と存じます」
「あっ、ちょっと皆さん? 私のセリフは……?」
「お、おう……」
「チィトカアという種が、こうも幾人もいるのは初めてみるが……興味深いものだな……」
「そっかぁ……。キルアの家族だものね」
《あら、連れてってくれるってルルちゃん。手間が省けたわね》
『■■■――』
控えていた6体のチィトカアがそれぞれ話の内容をぶつ切りにして話す。その様はかなり異様であり、意識と記憶が繋がっている生物ならではと言えるだろう。
チィトカアらが話した内容を聞いたアトラはホワイトボードにマーカーペンを走らせる。
《じゃあ、私とルルちゃんはチィトカアに着いていけばいいのね?》
「はい、その通り! あっ、私のことはゾルディック家で唯一のメイドをしているチィトカアなので、"メイド長"とお呼びください!」
「自称メイドですけどね」
「無断でメイド服を着ているだけで、普通に執事ですよ」
「初代ゾルディック家当主の頃から仕えてるだけで年長者気取りのパワハラです」
「ふぁっきゅー!」
「はい、そこ余計なこと言わない!」
更にチィトカアが並ぶとミニコントも始まるらしい。実にかしましく喧しい生き物である。まあ、仮に全個体が自分自身ならば右手と左手でジャンケンをし続けるような虚しい行為の筈なため、一応各個体に差や個があるのであろう。
「という訳で、アトラ様はこちらにー! 他の方々は――後30秒で迎えの者が来ますので、その場でお待ち下さい!」
《じゃあ、また後でね? ゴン、クラピー、レオリオ》
「うん、またねアトラ!」
「おう!」
「いや、だからクラピーは……行ってしまったか」
こちらに言いたいことだけ言い終えたチィトカアらは、跳ぶようにその場から姿を消す。こちらに挨拶をしたアトラもまたルルハリルを連れて消えてしまった。
そして、メイド服を着たチィトカアの言葉から丁度30秒後。近くの背の高い草むらがガサリと動き、3人は身構える。
「くそっ……! 母さんたち……! なんで客人の場所を大まかにしか伝えずに迎えに来いとだけ言うのよ!? そもそもキルア様のお友達を樹海で迎えるとか正気!? どんだけククルーマウンテンが広いと思って――――あっ」
すると3人は草むらから出て来た者――長い黒髪に黒い瞳をし、チィトカアと同じ半人半蜘蛛の女性と目があった。上半身に執事服を纏い、下半身の一部が隠れるようにスカートを履くという8体のチィトカアと全く同じ服装をしている。
よく見ると焦燥した様子のチィトカアの頭には、掻き分けて来たのか葉っぱが1枚刺さっている。また、完全に3人と居合わせるのが予想外だったのか、口をあんぐりと開けていた。
「チィトカア……だよな?」
「ゾルディック家には10人いたということか?」
「えっ、チィトカアとは全然違うよ! 毛並みとか」
「………………こほん。あなた方がキルア様のお友達の方々ですね? お話はチィトカアから窺っております。私はゾルディック家、キルア様付きの執事の"シキミ"と申す者です。つきましては、執事の屋敷の方にご案内させていただきます」
黒髪のチィトカア――シキミはいずまいを正してから恭しく頭を下げる。その動作と張り詰めた雰囲気は非常に丁寧で折り目正しいものであり、チィトカアを思わせたが、頭に刺さっている葉っぱに気づいていないようなため、何とも言えない時間が過ぎた。
するとシキミはキョロキョロと回りを見渡して、誰もいないことを確認してからゴンたちに再び顔を向ける。
「……うし、堅苦しいのはここまで。誰もいないから普通に話すわね?」
「は? ああ……」
シキミの急な口調と雰囲気の変化にクラピカは戸惑う。見た目がどう見てもチィトカアなだけに明らかに彼女らとは違う普通の女性を思わせた。
レオリオも疑問に感じている素振りを見せており、それらを見たシキミは何処か悪戯っぽく笑みを浮かべる。その表情を見たゴンは無意識に何故か同じように笑うアトラの姿を重ねて思い浮かべる。
「ふふっ、こんな身体だから驚くでしょう? 私の身体はほとんどチィトカアだけど、精神や心の方は人間だと思うわ。母さんたちがアトラ様って呼んでいるあなた達のお仲間を本邸に連れて行ったひとりが、私の産みの母よ」
「ってことはハーフか」
「そっ、私はチィトカアと人間の
そう言って相変わらず、頭に葉っぱを貼り付けながらカラカラと笑ってみせるシキミ。その笑みと口調や雰囲気と何処か抜けた様子を感じたゴンたちは全員が思ったことであろう。
"アトラにそっくり"だと。
3人はそんな確信を胸に仕舞いつつ、シキミに連れられて執事の屋敷に向かうのであった。
メイド長
ゾルディック家に仕えており、メイド長を自称している執事のチィトカア。雪のような色白の肌、白み掛かった銀髪、やや青い灰色の瞳をした女性。暗黒大陸から人間の世界に移住した最初のチィトカアのひとり。初代ゾルディックの時代からゾルディック家に仕えており、当時は暗殺者として初代ゾルディックと肩を並べて活躍していた。
今では表立って暗殺業することはほぼなく、ゾルディック家の者をそれとなく弄りながら、身の回りの世話をしつつ隠居に近い生活を送っている。
ちなみに最初にこの世界に移住したチィトカアは、ハンター協会会長秘書のチィトカアと、ゾルディック家のメイド長のこのチィトカアを含めて、たった"11体"のみである。
シキミ
極めて長い黒髪に黒い瞳をしたチィトカアと人間の混血種の女性。キルア付きの執事をしており、執事としての能力だけでなく戦闘能力もそれなりに高い。
肉体的にはほぼチィトカアだが、チィトカアの記憶や意識の共有能力を持たないため、個としては完全に人間と言える。性格はチィトカアの母ともいえ、自身からすると祖母に当たるアトラに似ており、優しく温厚で悪戯好き。要するに下半身が蜘蛛なだけの気のいいお姉さん。
チィトカアの混血種
人型の生物の子をチィトカアが孕んだ場合に産まれる不出来な存在。チィトカアが10万体ならばチィトカアの混血種はその何倍~何十倍も世界に存在すると言われており、それらのこともチィトカアだと誤認している者も多い。実際にはチィトカアの意識と記憶の共有能力を一切持たないため、厳密にはチィトカアですらない。
下半身が完全に蜘蛛の姿が遺伝するか、父親の種族の姿かの2パターンしか何故かせず、血が薄まる毎に蜘蛛の姿で出生する確率は下がる。また、下半身が蜘蛛の姿が遺伝した場合、女児しか産まれず、外見は一定の年齢から歳を取らないが、寿命は外的要因を加えなければ交配した種族と同じ程度となる。
生まれた子をチィトカアらは出産者などあまり関係なく挙って自身の子供と扱うため、生まれつき母親が沢山いる妙な家庭環境で育つことが多い。そのため、チィトカアの混血種が旅行に行くと、旅行先で初めて会う母親に出会うという頭痛が痛くなりそうな現象もまれによくある。