「えーと……ツバン町の2ー4ー10は……」
快晴の空の下、ナビゲーターのキリコの案内の元、ザパン市にあるハンター試験会場へと三人と一体は来ていた。
船長からザパン市に向かうには一本杉を目指すとよいことを教えられて全員で赴くと、ドキドキ2択クイズや、ナビゲーターのキリコによる課題などが出されたが、全員無事に通過することが出来た。
ちなみにアトラは、クイズでは人間の認識として答えるべきか、虫の認識として答えるべきか考えている内に5秒経ったため、問題の主旨とは全く外れたことを思っていた。そして勢いよくキリコが家から飛び出す一部始終を目にしたが、そもそも見た瞬間から、擬態のプロフェッショナルでもあるアトラの視点では、家族が家族を拐っているという家庭内暴力でもあったかのような光景に見えていたため、見抜く以前の問題であった。
総じて、アトラにとって雇われ試験官の課題は課題として機能していなかったと言えよう。人間向けの試験で、あまり凝ったものを要求されると、価値観の違いが前面に出てくるのである。
閑話休題。
そこにあったのはただの定食屋。一見すると――いや、じっくり見ようとも完全に定食屋であった。
ここまで、ほとんどゴンに付き添う形で、特に何をするわけでもなく、ハンター試験を予選から本試験まで進んだ彼女だったが、ここに来てハンター協会の品性を少し疑い始める。
「ステーキ定食」
「焼き加減は?」
「弱火でじっくり」
「あいよ」
(偽装も兼ねているだろうから多くは言わないけど、せめてもう少しマシな外観は無かったのかしら? お洒落なバーとか)
ナビゲーターが本試験への合言葉を店主に告げる中、アトラはどこかズレたことを考えていた。
するとステーキ定食が置かれた机と椅子のあるエレベーター室に案内され、三人が先に入り、アトラが部屋に足を踏み入れた――瞬間、ガタンと音を立てて数cm部屋自体が沈み込むと共に、けたたましいサイレン音が鳴り響き渡る。
「なんだなんだ!?」
突然のことに声を上げるレオリオと、目を丸くするゴンとクラピカ。なんとなく察したアトラが、部屋から出ると、警報は止まる。
アトラは肩を竦めてからホワイトボードに文字を書いて店主に見せる。
《重量オーバーね。エレベーターでしょうこれ?》
「へ、へい……そうです……」
《階段はある? 乗れそうにないからそっちで行くわ》
「そこです……」
異様な事態に汗を流した店主が指を指すと、そこはトイレの脇にある用具入れだった。扉を開けてみると、中に掃除用具はなく、代わりにコンクリート作りの階段がある。
(まあ、これなら最悪、壁と天井に糸を張りながら降りるか、階段に生命力を通せば壊れないでしょう)
《三人はエレベーターで先に行ってて、流石に遅れると思うけどすぐに追い付くわ》
ホワイトボードにそう書いて三人に見せると、アトラはすぐに階段を使って地下を目指す。
ちなみに当然だが、キリコが飛んでゴンらを送った時、アトラは自分で空に糸を掛けて、どこかの蜘蛛男のような動きで飛行しており、かなり浮いていたりするが、当の本人はあまり気にした様子はなかった。
◆◇◆◇◆◇
(思ったより時間が掛かったわね……)
約10分後、アトラは階段を降り切って無数の人間がいる地下トンネルの空間にいた。何故か、少しだけ髪がほつれて見え、心労があったように思える。
精々、長くとも10階層程度降りるぐらいだろうと考えていたアトラは、階層にして100階分の階段を下るとは考えていなかったのである。
(ひ、人型での階段降りはちょっとハードだったわ……)
それは疲れたといった理由ではなく、あまり慣れない形態での階段昇降は転び掛けるという意味でハードだったのだ。何度もよろめいたり、脚を踏み外したりしながら到着したのである。
(ゴンはどこかし――)
『おいでませ、アトラ様!』
(ら……)
そうして、辺りを見回した瞬間、アトラは緑色の髪をしたアラクネことチィトカアと目があった。スーツを着込んでおり、片手には白に黒で数字が書かれたナンバープレートの入ったバスケットを持っている。
『あなた何をしているの……?』
『ハンター協会のお仕事ですよ! この私は敏腕会長秘書官ですから!』
人間には聴こえない言語で話すアトラとチィトカア。そのまま、笑顔でチィトカアはアトラに詰め寄ると、バスケットからナンバープレートを渡した。刻まれた番号は"406"番である。
『ではまた後ほど! 試験頑張ってください!』
それだけ言うとチィトカアは多脚をシャカシャカと動かして人混みの中へと消えていった。まさか、こんなところでも見掛けると思っていなかったため、何とも言えない表情で見送ってからアトラは別のことに意識を向ける。
(さて……と)
そして、チィトカアとの会話を終えたアトラはホワイトボードに文字を書き――10mほど離れた場所で、笑みを浮かべながら明確な殺意と、粘つくような黒紫色のオーラを飛ばし続けている奇術師風の男に対して、見えるようにホワイトボードを掲げた。
《何かしら? 待ち人を探しているから手短に頼むわね?》
それを見せたアトラは特に変わりなく、奇術師への嫌悪もまるでなければ、興味も全く抱いていないような様子であった。
◇◆◇◆◇◆
ヒソカ=モロウが彼女を初めて目にした時に抱いたのは、如何に見上げようとも決して頂上が見通せないほど巨大な巨木の根本に立ち、雄大さを見ているような感覚であった。
その上、ただの巨木ではなく、根本には洞があり、覗き込めば底がなく、一寸先も見通せない深淵が広がっているような情景がありありと浮かぶ。どちらにしても、それは到底、一個体の生き物に対して覚えていい感覚では決してない。
そして、人間と比べれば、山が丸々動いているような途方もないオーラ量。その上、一本の樹木が静かに聳えるような人間には到底至れない程、無機質で異様に動きのないそのオーラは、最早生物の範疇に収まるような次元のものではなかった。
(素晴らしい……♦ なんて素敵なんだ……♡)
それに対してヒソカは恋にも似たような激しい情愛と、隠すことのない殺意を覚える。それによって粘つくような濃い桃色と黒が織り混ざった黒紫色のオーラが溢れ出し、深過ぎる殺意と、狂おしいオーラに当てられた周りの受験者が顔を真っ青にしながらヒソカから引いたため、彼の周りに空間が出来上がった。
ひとまず、会場の雑務をしているチィトカアから無言でナンバープレートの受け渡しが行われる様子を眺め、チィトカアが去ると、すぐに彼女は何故かホワイトボードとボード用マーカーを取り出し、そこに書き込んだ上でヒソカに見せてきた。
《何かしら? 待ち人を探しているから手短に頼むわね?》
「これは失礼……♣ でも少し僕に付き合ってくれるかい?」
《……ちょっとだけなら》
彼女は何故か三点リーダーまでしっかりと書いて答える。そして、話すために彼女が壁際まで移動したため、ヒソカは彼女の目の前まで移動し、後ろの壁に片手を突いたまま口を開いた。
「君イイね……とっても魅力的だ♣ この後、僕と一戦どうだい? ああ、でも今すぐにでも殺りたいなぁ…… ♠」
ヒソカがそう言うと、彼女はしばらく固まった後、目を丸くしながら、少し顔を赤らめる。そして、ホワイトボードで顔を隠しつつ、文字を書いて、そのままボードを見せてきた。
《これってアレ? ナンパって奴でいいのかしら? やだそんな経験ほとんどないからそれだけで嬉しいわ》
「…………うん?」
ヒソカは目の前で何故か片手を頬に当てつつ嬉しげに破顔している彼女に疑問符を浮かべた。彼としては、オーラと殺意を込めて、実質上の宣戦布告を行っていたため、その反応にハテナを浮かべる。
そんな彼に対して、彼女はエルフのような長耳を赤く染めつつ、再びホワイトボードを見せてきた。
《まずはお友達からでお願いしますm(_ _)m》
ヒソカは何か違った結果になったと思いつつも、何かしらの関係性が持てたことには変わりないため、ひとまず向こうに覚えて貰えたのではないかと結論付けた。
◆◇◆◇◆◇
『えへへ……』
「なあ……お前の連れ、ずっとニコニコしたまま紙を眺めてるんだが大丈夫なのか?」
「うん、アトラはたまによく分からないことをするだけだから大丈夫。こういうときはそっとしておくといいんだ」
「いや、大丈夫なのかよそれ……?」
時は少し進んで、試験官に付いて行くという一次試験の後半。トンネルを抜けて、詐欺師の塒と呼ばれるヌメーレ湿原をゴンと途中で知り合った銀髪の少年のキルア、そして合流したアトラが走っていた。
ちなみに途中でアトラの苦手な階段があったが、階段ではなく、側面の丸く湾曲した壁を走り続けることで解決していた。
そして、これまでの数時間の間、何故かずっと手元の紙を眺めており、ニマニマと笑みを浮かべたままであり、正直キルアとしては不気味に思える程であった。
『あら……?』
すると突然、アトラはキョロキョロと辺りを見回し、ゴンと目が合う。それにゴンは待っていたとばかりに"お帰り!"と声を掛け、少し間を開けた後、アトラはホワイトボードをゴンらへと見せる。
《あれ? トンネルだったわよね? ここはどこ? 隣の子は誰かしら?》
「何も覚えてねーのかよ!? 随分前に自己紹介しただろうが!?」
「アトラはひとつのことに集中すると中々戻って来ないんだ」
目を点にしてハテナを浮かべているアトラにツッコミを入れるキルア。そして、キルアにとっては二度目の自己紹介をアトラと交わした後、彼女になぜ紙を見ていたのか質問すると、彼女は聞いて欲しかったと言わんばかりに笑みを強めて、ホワイトボードとマーカーを取り出した。
《私、生まれて初――》
そこまで書いた瞬間、アトラは"初"という文字を素早く消して、そのまま文字を書き足したが、ボードを見せられている二人は特にツッコミを入れることはなかった。
《――本当に久し振りにナンパされたのよ。だからなんだか嬉しくなっちゃった》
「へー、そうなんだ。受けたの?」
《いいえ、私は尻軽じゃないわよ。まずはお友達からね》
そう言ってチラリと二人に見せてきた、これまでずっと見ていた紙には、ホームコードとメールアドレスが記載されていた。
《試験が終わったら携帯買わなきゃ》
(それはナンパを受けたって言うんじゃねーか……?)
(アトラに新しい友達ができたならよかったなぁ)
その後、しばらく三人で他愛もない会話をした後、混乱に乗じてヒソカが無差別に殺すという事と、レオリオの野太い悲鳴を聞き取ったことで、ゴンが一目散にそちらへと向かい、それに付き添う形でアトラも行ったため、キルアだけがその場に残された。
◆◇◆◇◆◇
ヒソカは試験官ごっこを始め、その場にいた受験者を粗方殺したところで、彼自身の言う"青い果実"であった三名の受験者は合格にした後、ポツリと呟いた。
「待たせたかい?」
《別に。ゴンとそのお友達に手を出すようなら私も手を出していたわ》
アトラはホワイトボードではなく、宙に糸で文字を浮かべる。
ゴンとクラピカと気絶したレオリオの目の前に、ヒソカと同様に突如として現れたように、二人には見えた。それだけで二人の目にはアトラは同格以上に映ったことだろう。
アトラは気絶したレオリオに目をやると、少しだけ微笑ましいものを見るような顔を向けた後、自身の念能力を発動した。
("
念じながら自身の口に手を添えて、吐息を吐き掛けるように口から糸を吐き出すと、それは即座に編み込まれて形を取り、灰色の糸で出来た2mほどの羊毛フェルトの作品のような蜘蛛が現れた。
1秒ほどで作られ、妙に凝った造形のそれは、ヒソカに殴られて気絶し、地面に伏せているレオリオを背中に乗せると、そのまま走って行き、途中で止まると手芸らしいつぶらな瞳で、ゴンとクラピカを眺めた。
《二人ともアレに付いて行って先に二次試験会場に向かって。私は少しヒソカに話があるわ》
二人は少しだけ躊躇する素振りを見せたが、アトラのあまりにも自然体で堂々とした佇まいから、その場を彼女に任せて去っていった。
(あの蜘蛛は念獣ではなさそうだ……♦ とすると糸を媒介にした操作系の念能力か♧)
ヒソカは発生速度、大きさ、込められたオーラなど極めて高水準だと考え、更に製作の簡易さから相当数を同時に出現させられるのではないかと考える。また、発生機序に編み込みも行っていたこと、レオリオが丁度乗るサイズを形成していたところから、サイズの大小選択も自由に出来るのではないかと予測を立てた。
《もったいないわね》
するとヒソカが殺した受験者たちを眺めながら、アトラはそんな文字を浮かべつつ一体の死体を持ち――。
異常に口と喉を膨張させながら頭から丸呑みにした。
その瞬間、アトラの体内で死体は途方もない圧力で押し潰され、肉と骨が粉砕される異音が響き、結果として自身と同等の大きさの生物を食しながら全く外見上の変化はない。数秒で人間ひとりを食べきったアトラは、目を点にしながら唇に片手の人差し指を当てつつ、空に文字を書いた。
《全部食べていい?》
「……ご自由に♤」
見た目からオーラまで人間ではないことは明白だったが、それでも人から外れ過ぎた食事行動と価値観に少し驚きつつも、興味深そうにヒソカはアトラの食事風景を眺めていた。
《ごちそうさま》
全ての死体をペロリと平らげたアトラの食事は一分足らずで終了し、どこで覚えたのか手を合わせていた。妙に行儀がよく微妙に外れたマナーの守り方をしている様子が伺える。
そして、彼女は少しだけ地面に残った血濡れのトランプを眺めてから、ようやくヒソカに向き合うと、小さく肩を竦めてから空に文字を書いた。
《あなた、私と戦いたかったのかしら?》
「――! ああ、その通りだよ♣ 受けてくれるかい?」
それに対してアトラは、これまでとは打って変わり、見飽きたビデオを見るようなつまらなそうな表情へと変わる。そして、溜め息を吐くように肩を上下させた後、文字を浮かべる。
《それは私と一対一で命のやり取り、純粋な勝負をして欲しいということ?》
「そうだね♥ 是非とも♦」
《ふーん……あなたは死を望んでいるの?》
それに対するアトラの回答は酷くぶっきらぼうで簡素なものだった。
「強いて言えば、僕は自分が最強だと証明したいんだ♠」
《それなら、尚更私は今のあなたと戦いたくはないわね》
アトラは更に文字を浮かべる。
《あなたが欲しいものはただ勝つことでしょう? 残念だけど、それなら今のあなたが私から単純な勝利を得ることは決してないわ。だから、せめて私に勝てるようになってから前に立ちなさいな。それまで私はずっと待つわ》
「ククッ……そこまで言われると流石に傷つくなぁ♣」
つまりアトラはこう言いたいのだ。"お前では絶対に私に勝つことは不可能だから出直せ"と。ヒソカは戦いを拒否されることは数多あったが、真っ正面から弱い者とは戦いたくないと言われることは初めての経験であった。しかし、確かに彼女にはそれを言えてしまえるだけのオーラ量を持つため、一切嫌みなどではないことも窺える。
それと同時にアトラの態度にも合点が行く。そもそも彼女は自身が強大過ぎるため、ヒソカを含めたおよそ人間全てを前提として敵になるという可能すら一切考慮していないのだ。
《弱肉強食の掟ならば喰い殺しましょう。遊びなら付き合いましょう。しかし、勝負となれば話は別だわ》
そして、何よりヒソカが驚いたことは、想像よりも遥かにアトラク=ナクアという怪物は武人であり、聡明であったということだろう。
《私は常に勝ち、誰にも負けず、尚且つ私の前に誰も負ける者はなく、全てが勝利する。それこそが常勝、本当の勝利。そうしてきたから今の私がいるのよ》
勝負においては自分が勝った上で、相手は負け、しかし相手にとっては得るものがある戦いしかしない。そのため、一方的な勝利は勝利とはいえない。暗黒大陸の覇者たるアトラにとって、勝負とはそのように優しくも、神聖ですらあるものなのだろう。
《あなたのような力の求め方では、決して本当の勝利を得ることはできないわ》
「言ってくれるね……♢ なら遊んでもらうことにするよ♣」
そう言ってヒソカは、彼女と会話中に胴体に貼り付けていたガムとゴムの性質を持つ『
そして、アトラと自身の手首に繋がる『伸縮自在の愛』は急激に縮んで弦のように張った直後――。
「――――!?」
一切、体を動かしておらず、練すらしていない自然体のままのアトラを1mmすら引くことが出来ず、逆にヒソカが自身の念能力によって彼女に向かう形となった。
彼は預かり知らぬところであるが、アトラク=ナクアという巨大生物の重量は無論、"トン"単位であり、見た目が人型だからと言って、念能力で姿を擬態しただけのため、一切それに変化はない。初めから、彼の念能力が直接的に通じるような相手ではなかったのだ。
また、少しでも彼女が戦闘体勢を取っていればヒソカもこのような事態を想定し、即座に『伸縮自在の愛』を切れただろう。しかし、結果的に切るタイミングが僅かに遅れ、それはあまりにも身体・精神共に致命的な隙を生む。
「な――」
ヒソカは『伸縮自在の愛』が切れて尚、全く同じ勢いで己の首を中心に引き寄せられたのである。
それは
(冗談だろ……? ククッ……こんなのタイミング以前に人間に認識できるわけがないじゃないか……♢)
せめてもの抵抗に手にオーラを纏わせた手刀で、極細の糸を断ち切ろうと腕を振り――。
自身が糸を通り過ぎさせた場所から先の腕が、離れていくのが見えた。振るった自身の腕が、まるで糸の強度に勝てず、異常に鋭利な切り口で切断されたのである。
(その上、切れ味までとんでもないな……♣ ということは――)
今、首に掛かっている糸も当然、同じ切れ味を持つ。つまりは本当に彼女は如何なるタイミングでも、即座にヒソカを殺すことが出来たのだ。
(彼女……それだけ馬鹿げたオーラで、技量を極めたタイプの念能力者なのか……♡)
勝負になろう筈もないという意味を彼は痛感する。だから彼女は遊びなら付き合うと言ったのだ。元より、彼女が本気で殺そうとすれば、人間に対しての戦いなど始まる前の小細工だけで決着がついてしまうのだから。ジャブで殺せる者に遊び以外出来よう筈もないだろう。
(ああ……嘘だろ……こんな……こんなことになるなんて――)
そして、ヒソカは抵抗も出来ずにアトラの目の前まで引き寄せられ、彼女の小さく引き絞られた拳が放たれる光景をスローモーションのように酷く遅く感じる。
『狂気も行き過ぎればギャグになるってことね。お分かり?』
(君に恋をしてしまいそうだ……♥)
ヒソカがアトラの拳を顔面に喰らって意識を失う直前、最後の言葉は視覚ではなく、やや低めの女性の声が脳裏に直接響いた。
◇◆◇◆◇◆
「あっ、アトラお帰り!」
「げっ、やっぱり来て――ヒソカ!?」
「はぁ――!?」
「冗談だろ……ヒソカが赤子のように……」
《ただいま、みんな。あ、コレ私の新しいお友達ね》
その後、アトラは気絶したヒソカを肩に担いで二次試験会場にしっかりと現れたのだが、その表情は真っ正面から拳を受けて酷い打撲傷になっていたにも関わらず、これ以上ないほどに恍惚とした顔に歪んでいたという。
ちなみに切断された腕はその場でアトラが縫合したため、ヒソカの損傷は顔面の打撲のみであった。
※虫の求愛行動は雌に自分の強さをアピールすることが非常に多いです。加えて、別にこの小説ではヒソカルートではありません。後、アトラさんの勝負への姿勢は、私が子供の頃にやったゲームで影響を受けたとあるキャラを投影しております。そこそこ古いので多分、今の子はあまり知らないでしょうなぁ……。
Q:人間形態のアトラさんの見た目について(感想欄から)
A:好きに想像して大丈夫ですが、分かりやすく例えると。異世界食堂のクロを大きくした感じや、fateのセミラミスにもう少し身長を足した感じがベースに人外っぽさを加えたようなものだと思ってください。アトラク=ナクアの初音姉様をより人外っぽくした感じでもいいですね(懐かしい)。
Q:なんでアトラさんはナンパされた経験がないの?
A:暗黒大陸的に例えるとキメラアントの王を無能力者の女性がナンパするような難易度の相手。
Q:山みたいなオーラって念能力者から見るとヤバ過ぎない?
A:念能力者がオーラを見ると、ゴンくんがサイコガンダムと並んで歩いているみたいに見えます(ギャグの領域)
Q:アトラさん強過ぎない……?
A:暗黒大陸最上級、要するにHUNTER×HUNTERの星で上から数えた方が遥かに早い念能力者が、念すら一部しか使えない者たちの住みかに、とりあえず数千年ぐらい観光に来てるだけだからね。仕方ないね。
Q:どうしたらアトラさんを倒せるの?
A:ゴジラに木刀で挑んで勝てるなら誰も苦労しません。素直に化け物には化け物をぶつけましょう。
アトラク=ナクア その3
・念能力
操作系念能力。自身の糸を手芸のように小さくまとめ、人間の手乗りサイズから、自身を遥かに超えるサイズまで大小様々な糸で出来た蜘蛛のぬいぐるみを作製する。また、ぬいぐるみから一定範囲の円を行うことも可能なため、一切防御を緩めずに円をしつつ戦うような芸当も出来る。同時出現数及び操作数は不明。それらは当然、自前の糸なので『
基本的にアトラク=ナクアという怪物は、純粋な操作系念能力である『