ストライクウィッチーズ~約束の空~   作:カメクリオ

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周りがバタバタしていたのもあって更新が遅くなった上にいつも以上に文章に自信がありません。
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第十輪 未知の怪異

八月十六日、宮藤とサーニャの誕生日当日。サーニャの部屋。

宮藤たちはここで今日もまた睡眠を取ることになっている。夜間哨戒を引き続き行うよう命じられたからだ。

しかし

 

「気になって寝れないな」

 

日没まで寝ようと三人一つのベッドで横になっているとエイラが天井に視線を注ぎながら、ポツリとそんなことを呟いた。

 

「そうですよね…結局昨日も現れませんでしたし」

 

「あ?何の話してんだ?」

 

「えっ?サーニャちゃんが見たネウロイの話じゃないんですか?」

 

想定とは違う返事が返ってきたことに宮藤は体を起こして問う。数日前サーニャが戦闘して以来姿を現さないネウロイ、自分たちが夜間哨戒を行う最大の理由、てっきりそれについての発言だと思っていたのだがどうやら違うらしい。

 

「全然違う。そっちじゃない」

 

「じゃあエイラは気になってることってなんなの?」

 

宮藤に重ねてサーニャも問いつめる。そんな二人の疑念の言葉と眼差しを受けるエイラは胡坐をかくとこう告げた。

 

「昨日のバルクホルン大尉やソーマたち、変じゃなかったか?」

 

「別に普通だったと思うけど…芳佳ちゃんは?」

 

「確かにちょっといつもと違った様子だったように感じたけどそんなに気になる程じゃ」

 

「いや、あれは絶対絶対怪しい。遠くからでも聞こえるくらい騒いでたのに私たちを見るなり皆急に静かになったし、バルクホルン大尉はなんか突然ドレス着てたし、いつもは澄ました顔して生意気なツンツン眼鏡はすごい狼狽えてたし、いつもと様子が違いすぎる!きっと何か私たちに隠していることがあるに違いないんだ」

 

きっぱり断言するエイラ。彼女の言動に宮藤もサーニャも昨日のバルクホルンたちの様子を記憶の中から起こす。

そう言われてみれば確かに皆平常時とは違うところはあった。中でも普段は動じないエイラ曰くツンツン眼鏡ことペリーヌがあんなにも焦った顔をしているのは初めて見た。

エイラの言うこともあながち気のせいとは言えないかもしれない。そう思い始めた二人であったが、ここで一つ大きな疑問に衝突する。

 

「エイラさんの言う通りだとして皆が私たちに何を秘密にしてるんです?」

 

「それは…わからない、けど…けど、絶対何かある!間違いなく皆して何か企んでるんダナ」

 

「企んでるって、そんな大げさな…」

 

自分の感覚を信じて疑わず意固地になってしまったエイラに宮藤とサーニャは困った顔でお互いを見合った。

 

 

 

その数時間後…食堂では誕生日会の準備を進めているソーマたちは複数の作業をそれぞれ分担して行っていた。

 

「おいハルトマン。そうじゃないぞ、ここはなぁ」

 

「えーいいじゃんこれぐらい、形は合ってるんだしちょっとぐらいズレたってー」

 

「よくない!宮藤とサーニャにとって大事な日なんだぞ。今日に限ってはいい加減は許さんぞ。さぁ、もう一度やり直すんだ」

 

「ペリーヌ、そうじゃないぞ。ここは山ではなく谷折りにするんだ」

 

「あっ、申し訳ありません坂本少佐。先ほども教えていただいたのに」

 

「なに、そう謝ることではない。初めてやることというのは最初は誰でも間違って当然なものだ。間違えながらでもゆっくりでもいいから自分のペースで覚えていけばいい。時間もまだあることだしな」

 

扶桑で広まっているという折り紙なる物で食堂を飾るためバルクホルンたち四人は紙と格闘していた。

ハルトマンの手がけた花の折り紙の出来にバルクホルンは納得せず作り直すよう求め、慣れぬ作業に苦戦するペリーヌを坂本が付きっきりで指導していた。

そしてもう一方、ソーマとリーネはというと

 

「これで後は焼くだけだな」

 

「こっちも終わりました」

 

「うん、よくできてる。リーネの飲み込みがいいおかげで思ったより早くケーキができた」

 

「ソーマさんの教え方がわかりやすいからですよ」

 

作ったケーキを見て言ったソーマにリーネは照れくさそうにしながらそう返す。

 

「ほぅ、社交辞令にしても嬉しいことを言ってくれるじゃないかビショップ軍曹」

 

「いえしゃ、社交辞令なんてそんなつもりじゃ!」

 

「ははは、わかってるよ」

 

そう笑顔で言うソーマ。その言葉と表情でからかわれたのだと気付いたリーネは安堵と困惑を同時に浮かべる。

そしてケーキ作りに一段落つけたソーマとリーネは畳んだエプロンを椅子にかけて、折り紙を折っている様子バルクホルンたちに近づく。

 

「こっちは終わったけどどうだ?」

 

「最初は手こずったがかなりの数が仕上がってきた。後もういくつか作れば充分だろう。出来の悪いのも混ざっているが、まぁ今回は仕方ない」

 

バルクホルンが目を向けた先には先の部分が曲がった花が複数。ハルトマンの手元に集中していることから彼女が製作したものだろう。

それらにバルクホルンは僅かに受け入れにくそうな顔をする。

 

「ただいまー!戻ってきたよー!」

 

とそこに買い出しに出ていたシャーリーとルッキーニが帰ってきた。食料品の入った袋を机に置く二人にソーマは問いかける。

 

「お疲れさん。で、どうだった?」

 

「にっひひ~大丈夫、まだ三人とも寝てるよ!」

 

にかっと笑ってルッキーニが答える。

 

「だけどそろそろ」

 

「起きてくる時間だよな。わかってる、もうほとんど終わってるようなものだし、もうちょっとしたら一旦切り上げて片付けよう。後のことは全部宮藤たちが出てからだな」

 

「じゃあ片付け終わったら、私起こしに行ってくるね!」

 

 

 

満月と星の光しか照らすもののない空を芳佳たちは三人で飛んでいた。

 

 

「ねぇ、聞いて。今日は私の誕生日なんだ」

 

と、その時ふと宮藤がそんなことを言った。そんな話は初耳だと言わんばかりの意を込めた目を向けてエイラは訊ねた。

 

「なんで黙ってたんだよ」

 

「今日はお父さんの命日でもあるから。言い出し辛くて」

 

「バッカだなぁ、こういう時は楽しいことを優先してもいいんだぞ」

 

「そういうもの、かな?」

 

「そういうもんだって」

 

周りに気を遣って言わない。

なんとも宮藤らしい理由だとエイラは少しだけ呆れを含めて彼女へそう言った。

 

「宮藤さん…耳を澄まして」

 

サーニャの声に宮藤が彼女の方を振り向くと、魔導針が光り輝いていた。どこからともなく音が聞こえてくる。

 

「あれ、何か聞こえてきた…」

 

「ラジオの音だよ」

 

無音だった空に音楽が加わり少し、楽しい気持ちが込みあがる宮藤。そんな彼女の言葉にエイラはやや面白くなさそうな淡泊な調子で返した。

 

「夜になると空が静まるから、ずっと遠くの山や地平線の向こうからの電波も聞こえるようになるの」

 

「へぇ、こんなことできるなんてすごい」

 

サーニャの能力に宮藤は率直な感想を言葉にし、明るい笑顔を作る。それにつられてか同じく笑うサーニャをエイラは少し焼もちを焼きながらも説明する。

 

「言っとくけどなぁ、その辺のラジオじゃないぞ。もっとずーっと遠くの、地球の裏側くらいの遠くから聞こえてるんだぞ!」

 

さも我がことのように語るエイラ。もし今の彼女を第三者が見たらどこかなにかしらに対して対抗心を燃やしているような印象を受けるかもしれない。

 

「地球の裏側から?想像もつかないや」

 

「二人だけの秘密じゃなかったのかよー」

 

「ふふ、ごめんね。でも今日は特別」

 

「しょうがないなー」

 

二人のやり取りの意味がわからず訊ねようとする宮藤。そんな彼女へサーニャが口を開く。

 

「あのね、私もー」

 

『~♪』

 

何かを伝えようとしたそんな時、何か異質な音が聞こえサーニャは言おうとした言葉を抑えて周りを見た。

彼女だけでなくエイラと宮藤もまた驚愕の色に顔を染めまま、その場に佇む。

 

「なんだこの音…」

 

「これ、歌だよ」

 

聞こえてくる音、それは紛れもなく歌であった。しかも三人が三人とも聞いたことのある歌

 

「どうして…」

 

その事実にたまらず呟く者がいた。

そう、聞こえてくる歌は彼女にとって非常に馴染みのあるもの。彼女自身が愛し、口ずさんでいた歌だ。

 

「二人とも避難して!敵が狙ってるのは―」

 

動揺から一転、魔導針でネウロイから何かを感じ取ったサーニャは二人に叫ぶと離れるように上昇する。

すると雲の中からそのサーニャ目掛けて赤い光が一直線に伸び、回避を試みた彼女のストライカー左脚を直撃した。

 

「サーニャ!」

 

「サーニャちゃん!」

 

エイラと宮藤が名を呼びながら落ちてくるサーニャを受け止める。ストライカーは損傷したもののサーニャ自身に負傷はなく、それにホッとしたエイラはビームが飛んできた方角に目を走らせる。

 

「ビーム…ネウロイか!」

 

キッと鋭い目つきで睨みつけるエイラ。

するとそれに呼応するかのように雲海が青白い光が数回灯り、その中から攻撃者が飛び出るように姿を現した。

 

「なんだよ…これ」

 

「ネウロイじゃ、ない…?蛇?」

 

ネウロイだと思っていた…だが違っていた。

蒼く光り輝く鱗に覆われた爬虫類を思わせる身体、月光に煌めく牙が上下に並んだ顎と爪…その姿はまるでドラゴン。神々と並び称される逸話を持つその生物に酷似した特徴が相対する存在にはあった。

 

今まで対峙したことのない姿形をした相手を前に誰もが揃って茫然と見上げる中、サーニャの頭に声が響く。

 

『モットキカセロ』

 

「え…?」

 

『オマエノウタ、モットキカセロ』

 

得体の知れない相手からかけられた言葉にサーニャの背筋に悪寒が走った。

 

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