ストライクウィッチーズ~約束の空~   作:カメクリオ

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UA一万越えありがとうございます!
ここまで続けてこれたのは読んでくださる皆さまのおかげです。
今後も変わらず安定しない上に遅いであろう投稿頻度の作品ですが、よろしくお願いします。

とりあえずの直近の目標としては来月までにはガリア解放後のオリジナルストーリーに突入できたらなと思っております。


第二十五輪 集う空、繋げる風

赤い光は地面を抉り、先にある木々をなぎ倒していく。

海上から地上まで伸びたその光が消えた時、宮藤の目には焼け焦げた大地と根本から折れ火が消えずに燃えている木が映る。

 

さっきまであった緑があっという間に焦土と化した。

 

凄惨な破壊の跡に息を飲む宮藤。そんな彼女に狙いを変更したウォーロックからのビームが打ち込まれる。

 

「ううっ!ソーマさん!聞こえますかソーマさん!」

 

その動きに気付いた宮藤はシールドで防御。ウォーロックの攻めを防ぎ切りながらインカムで呼びかける。

 

「ソーマさんお願いです、返事をしてください!ソーマさん!」

 

『…くっ…ぁ』

 

「声がする。ソーマさん?大丈夫なんですか!?」

 

か細くも確かに聞こえてきた声に宮藤は再度呼びかける。

どうにか無事であって欲しいと願いを込めた宮藤に返事が帰ってきた。

 

『なんとかな…無事なんて、もんじゃないが…っぐっ!』

 

ソーマの状態はボロボロだった。

ビームを食らう直前辛うじてディフェンドでの防御が間に合ったものの、ダメージは大きく変身が解けた体には数多の出血と火傷。

しかもビームによって倒れた木が運悪くウィザードライバーの上に覆い被さってしまい、変身どころか身動きもできずにいた。

 

「急いでソーマさんのとこにいかないといけないのにこれじゃいけない!」

 

そんなソーマの状況を宮藤は正確に把握していないが深刻な状態であるのは声だけでもわかる。

しかしウォーロックに邪魔をされて助けに向かえない。

 

「こんの、どけええぇ!」

 

もどかしさと焦りに追い詰められながらもビームを防ぎ切った手で銃弾を放つ宮藤。

ウォーロックは前方に炎を帯びた魔法陣で銃弾を受け止め、二体に分身してビームを速射する。

 

 

 

もどかしさと焦りを感じているのはソーマも同じだった。

一刻も早く宮藤の加勢に戻らなればならないと、腕に力を込めるが木はピクリとも動かない。

 

「宮藤、くそっ!なんでこんな時にこうなるんだよ…!動け…動いてくれよ!」

 

魔力はまだ残っているが変身しようにも、魔法を使おうにも、指輪を認証するためのドライバーの上に木が乗っかっていてそれもできない。

ウィザードとしてできることがなければ、ソーマとしてもできることはなかった。

 

「散々迷惑かけて肝心な時にこれかよ!俺は…!」

 

唯一できるのはこの状況と自分自身に怒りをぶつけることくらいだった。

 

 

ウォーロックは緑色に装甲を変え、先ほどまでは装甲で受けていた宮藤の銃弾を機動でかわして、瞬時に背後に回る。

かろうじて目で追っていた宮藤が振り返って銃口を向ける。

しかしその時にはウォーロックはもう発射体勢に入っており、赤い光が宮藤の瞳を照らす。

 

(そんなっ!)

 

息を飲む宮藤。

ところがウォーロックはビームの光を消すや否や上昇する。その僅か数秒後にそこを弾丸が駆け抜けた。

弾丸のやって来た方向に敵の反応を感知しビームを放とうとするウォーロックであったが、今度はロケット弾が炸裂。

被弾したウォーロックは損傷部から電流を流して、宮藤から距離を取る。

 

「今のって…」

 

「芳佳ちゃーん!」

 

「リーネちゃん!皆!」

 

もしやと思い、声に振り向けばそこには仲間たちの姿があった。

リーネ、サーニャ、エイラ、ペリーヌ、シャーリーとルッキーニ、そして坂本…さっきの攻撃は最初の弾がリーネ、ロケット弾はエイラの補助を得たサーニャによるものだろう。

 

「よかった。間に合って」

 

「宮藤さん。貴方はソーマさんのところに。ここは私たちが引き受けますわ」

 

「わかりました。でも気を付けてください、あのウォーロックは」

 

「ネウロイのコアが使われてるんでしょ?それぐらいどうってことないって」

 

「それだけじゃないんです。ソーマさんの、ウィザードの魔法も使えるんです。それも魔法の切り替えも早くて」

 

「なんだって!?」

 

宮藤からもたらされた情報に皆が彼女の方を見、次いでウォーロックに視線を移す。

すると損傷部は治っており、装甲も緑から黄に変わっていた。

 

「宮藤、簡単にでいい。今のウォーロックについて教えろ」

 

「あのウォーロックの装甲ですが、色によってソーマさんと同じように魔法の属性を変えてきます。緑なら風、青なら水です。それと他にも私が見たことのない光を出す魔法を使ってました。後ソーマさんが言うにはウォーロックに攻撃を通すには青色で液体になって攻撃を回避した後、そのタイミングだって」

 

「つまり指輪を付け替える隙のなくなったソーマとネウロイを同時に相手してるようなものって考えればいいわけか」

 

総括するシャーリーの言葉を聞きながら坂本は頭の中で情報を整理する。

ウィザードの上位互換の性能を保持した人類の科学によって造られたネウロイ、元から簡単にはいかないと覚悟していたが益々その懸念が補強されたようだ。

 

「宮藤お前はソーマを回復させてこい。この化物を仕留めるにはあいつの力も、501全員の力が必要だ」

 

「はい!」

 

宮藤を地上に向かわせて、坂本と他のウィッチたちはウォーロックとの交戦に突入する。

 

 

リーネたちが宮藤の危機を救い、周囲に集う様子はソーマも地上から見ていた。

そして安堵した。

 

「よかった。リーネとサーニャたちも全員来てくれたか」

 

合流させるために向かわせていたプラモンスターたちを彼女たちが信じてくれるかどうか心配だったが、それはどうやら杞憂に済んだようだ。

ほっと一息つく彼の元に空から三人の少女が降り立った。

 

「遅くなってごめんね、お待たせソーマ!」

 

「よく持ちこたえてくれたわね。ソーマさん」

 

「ハルトマン、ミーナ中佐…」

 

陽気な笑顔のハルトマンと真剣な面持ちでありながらも安心させるような微笑みを向けるミーナ。二人の顔を映していたソーマの瞳は残る最後の一人に移る。

その彼女はというと

 

「どおりゃああ!」

 

言葉をかけるよりも真っ先にソーマに覆い被さっていた木を持ち上げ、近くに投げ捨てる。

窮屈さと重さから解放されたソーマに無言で手を差し出した。

 

「バルクホルン…大尉」

 

戸惑いを隠せないまま手を取り立ち上がり、複雑そうな表情でバルクホルンの顔を見つめるソーマ。

自分がした仕打ちに対して当然怒りを感じているはずだ。

彼女からどんな言葉が飛び出すかソーマは緊張した。

 

「あれを止めてからだ」

 

「えっ?」

 

「ミーナから話は聞いた。お前も言いたいこともあるだろうし、私からお前に言いたいこともある。だが今はあれを片付けるのが先決だ。あれを止めた後に洗いざらい全部きっちり話してもらう」

 

そう言ってソーマから手を離すバルクホルン。虚を突かれたソーマが目を反らすとハルトマンやミーナが小気味いい笑みを注いでいた。

 

「どうした、まだ踏ん張れるだろ?それとももう限界か?」

 

「いいや、これでも諦めの悪さには自信があるんだ。まだまだやれるさ」

 

「ソーマさん、すぐ回復します!」

 

バルクホルンの言葉にソーマが応じたところに宮藤が上空から降りてくる。

着地と同時にソーマに近付いたき、治癒魔法をかけて傷を癒していく。

たちまちのうちに苦しみが徐々に和らいでいくのを感じながらソーマは上空で繰り広げられている戦いを見上げた。

 

シャーリーがビームを打ちながら動き回る緑のウォーロックを上回る速さで進路を遮り銃撃を浴びせ、リーネが赤色のウォーロックの高威力ビームをかわしてライフル射撃で装甲を破損させる。

 

連携してウォーロックにダメージを与え追い詰めているが、ネウロイ化によって得た再生能力がタイムの魔法で速度が速まっている上にバインドやコピーの魔法での攪乱で接近もできずにいる。

決定的な一打を与えられず手を焼いているようだった。

 

「もう大丈夫だ」

 

「えっ、でもまだ傷がちっとも-」

 

「今はこれでいい。全部終わったらまた頼む」

 

「わかりました。後できっちりと診させて頂きますね」

 

『ドライバーオン、プリーズ!』

 

疲労と負傷のせいで苦しい顔をしながらも宮藤に感謝を告げ、頷くとウィザードライバーを再起動し、ハリケーンウィザードリングを翳す。

 

「変身!」

 

『ハリケーン、プリーズ!フーフー、フーフーフー!』

 

これまで以上に気合のこもった声でウィザードは変身を遂げる。

 

「いくわよ」

 

ミーナの合図で彼ら五人は共に空へ飛翔。その接近に気付いた坂本たちはウォーロックのビームを避けつつ、ミーナたちと合流する。

 

「これで501が全員揃ったな」

 

地上にいた面々とウォーロックと戦っていた面々が集い、一まとめになる。

坂本の言葉が示すように離れていたストライクウィッチーズを構成するメンバーが一堂に会したのだ。

 

多くの者がその言葉に頷き、喜びを顔に出す一方でウィザードは申し訳なさそうに口を開く。

 

「皆、今更何を言っても言い訳にしかならないけど…本当にごめん」

 

その言葉に一斉に視線が集まるのを肌で感じた。

どんな言葉を突き付けられるのかと、不安に苛まれながら待っていると

 

「もーさっきトゥルーデが言ってたでしょ。そういうのは後にしよって。それにもう誰も責めたりしないって」

 

「事情があるにしてもせめて説明の一つはして欲しかったですけどね。まぁ、いつまでも過ぎたことを引きずる性分ではありませんし今回は多めに見てさしあげますわ」

 

真っ先に口火を切ったハルトマンがいつもと変わらぬ調子で、少し呆れを含みながらも顔に笑みを浮かべてペリーヌがそう返してきた。

想像していたのと正反対の答えに戸惑っているウィザードにシャーリーが声をかけた。

 

「そういうことだ。もう皆気にしてないってよ。ほら、顔見てみろよ」

 

シャーリーに言われて見渡していると確かに三人以外にも自分に不快感を露わにしている者は一人としていなかった。

むしろ皆柔らかい表情で迎え入れてくれている。

 

「…ありがとう」

 

仲間たちの優しさに心を刺激されたその時ホルダーの指輪の一つが眩い光を放った。

 

「ねぇ、指輪が光ってるよ!?」

 

「使えなかった指輪…なんで今これが」

 

ルッキーニに指摘されてウィザードがホルダーから光る指輪を手に取ると、それはマロニーから渡され使おうとしても使用できなかった指輪の内の一つだった。

 

そして光を放ったのは指輪だけには留まらず

 

「ペリーヌも!体!光ってるよ!」

 

「はぁ?こんな時に何を仰って-うひゃあ!?なんですのこれは!?」

 

「おい!ハルトマン、お前もだぞ!」

 

「嘘、わわっ!ほんとだ!なんで!?」

 

「私もかよ…どういう現象だこれ…」

 

ペリーヌに続いてハルトマンとシャーリーまでもが緑の光を纏いだした。

そして三人を輝かせていた光はそれぞれの体の前で球体状になると引き寄せられるかのようにソーマの前に飛ぶ。

自身の胸の前で浮かんでいるそれをソーマが恐る恐る掴み開いて見るとシャーリーたちの体の光は消え、掌には三つの指輪が誕生していた。

 

指輪の表面にはハルトマンとペリーヌとシャーリー、それぞれのシンボルマークが描かれている。

 

「指輪が増えた…?それも三つも…よくわかんないけど今が使い時ってわけか。よし、だったら」

 

現象の原因は定かではないが指輪が共鳴したのは理由があるはずだと信じて、基地では認証されず使えなかった指輪をかざしてみる。

 

『プリーズ!』

 

 

 

 

「ここは、またあの時の…」

 

またあの空間に俺はいた。

前回と同様に全てが黒一色、自分の手足が見えているのがおかしなくらいに真っ暗な世界だ。

夢の世界かとも思ったが、妙に意識がはっきりしていることからおそらくここは現実から時間と空間が切り離された特別な世界。いわゆる俺の中の精神世界のような場所なのだろう。

きっとあの指輪を使ったせいだ。

 

『さぁ、選べ。選択の時だ』

 

そんなことを思っているとまたあの不思議な声がした。前回無理矢理この世界から追い出された時に聞いたのと同じ身の毛がよだつような雄叫びを上げてから

 

『その指輪を使えばお前は更なる力を手にする。今よりも遥かに万能にして強大な力を。だが指輪を使うということは俺の力の一端を引き出し、解き放つということ。お前自身を苦しめることになるぞ。それでも力を求めるか?』

 

声の主がそう語りかけてくる。言葉の内容に反して声のトーンからは気遣いのような感情は感じられない。相変わらず俺を値踏み…試しているような感じだ。

選択の結果、俺がどうなろうと奴には問題も興味もないのだろう。

 

「この指輪が俺を強くするんだな」

 

『その通りだ。ただしさっきも言ったが-』

 

「だったらつべこべ言わずに力を貸してくれ」

 

被せるように決断を伝える。言葉を遮られて気分を害したのか、あるいは思いも寄らぬ返答の早さだったからなのか声が一度ピタリと止んだ。

俺は気にせず言葉を続ける。

 

「お前が信用できる奴なのかはわからない。でも今仲間たちを助けるための力が必要なんだ、それをくれるって言うなら頼む、お前の力を俺にくれ」

 

『頼む、この俺に頼む、とはな…はっはっは、面白い物言いをする。いいだろう、ならば使いなしてみせろ俺の力を!』

 

愉快そうに笑う声はそう言うと、再び雄叫びを上げた。

その時俺ははっきりと見た。

逞しい爪と翼を備えた竜-ドラゴンが自分に向かって飛び込んでくるのを。

 

そしてかつて体験したことのない大きな力の奔流が体の中に入ってくるのを感じた。

 

 

 

 

『ハリケーン、リンクス!ビュービュー、ビュービュービュー!』

 

指輪を翳した途端、軽快な音声が鳴り響く。ウィザードの身体を飲み込むように竜巻が生じ、雷と風のエネルギーを帯びた緑色の竜が胸から飛び出す。

 

「うわあ!危なっ!」

 

「なになに、今度は何!?」

 

「なんという魔力だ。何が起きてる!」

 

突然沸いて出てきてウィザードの周りを旋回する竜のエネルギーに巻き込まれまいと近くにいたルッキーニたちは距離を取り、放出する雷の光に坂本は目を手で隠しながらウィザードを見つめる。

 

緑の竜がウィザードハリケーンスタイルに背中から突進すると、その背後にはウィザードの魔法陣とそれを中心として三角形状にハルトマン・シャーリー・ペリーヌのパーソナルマークが浮かび上がる。

 

そして風が音を立てて、魔法陣と共に消えた時ウィザードの姿は変わっていた。

 

「ソーマさんが変わった?色は一緒だけど、ちょっと違う」

 

宮藤の呟きは正しく、今回のウィザードの変化は今まで見てきた変化と違って色は変わっていない。直前のハリケーンスタイルと同じ緑色だ。

しかし見た目には多少の変化があった。

顔部分は新たに左右に突き出るように二本の角が生え、胸には何かの生物の顔を象ったようなデザインができている。

 

ウィザード・ハリケーンリンクスの誕生だ。

 

「今までにないくらい力がこみ上げてくる。それだけじゃない、この安らぐような温かさ…俺の中にペリーヌやシャーリー、ハルトマンの力が入ってるのか」

 

左手の指輪-ハリケーンリンクスウィザードリングを見つめるウィザード。

自身の内側から感じる強くて温かみのある力。元々指輪そのものに宿っていた物と自分の中にいると思われる竜の影響もあるが、温かさはそれ以外の力から感じる。

ペリーヌ、ハルトマン、シャーリー…指輪が反応した三人の魔力も今の自分は有している。

 

「これなら…!」

 

胸に眠る力、その強さを解き放ったウィザードは意気込んでウォーロックを見据える。

 

「各員に改めて告げます。作戦目標はウォーロックの破壊。皆気を引き締めて」

 

「「了解!」」

 

ミーナの令にウィッチとウィザードが気持ちを一つに応じる。

 

「さあ、特別幕だ。ウィザードとウィッチの共演を見せてやる」

 

「いきましょう!皆さん、これで終わりにします!」

 

 




この作品を考えた時からやりたかったハリケーンリンクス登場がやっと書けました。
名前と使う魔法が違うだけでほとんど原作ウィザードのハリケーンドラゴンと同じです。戦闘に関しては次回たっぷり披露する予定でいます。

次回はいよいよウォーロックとの決着!

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