一応彼女が登場するコミカライズ作品を頼りに書いているんですがもしかしたら違和感を感じるかもしれません。
もし変だな、こんな感じのキャラじゃない。など思う方がいましたら遠慮なく言ってください。(むしろ私としてもそうしてくださると助かります)
第二十八輪 新天地へ
ベルギカ、サントロン基地。
第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズの活躍によりガリアが解放されてから数日後のこの基地に珍しい来客が訪れていた。
この基地内では比較的珍しいロマーニャ空軍の軍服を着た彼をサントロンに駐留する軍人やウィッチたちは奇異の眼差しで見た。
「ねぇもしかしてあれが例の?」
「思ってたより普通の人ね。結構私好みの顔かなーなんて」
「あいつあのマロニーの部下だったんだろ…大丈夫かよ」
「でもガリアの解放に貢献したっていうし…なんでここにいるんだろう。ここの所属になるのかなあの人」
廊下を歩く彼の耳にすれ違う人々の囁きが聞こえる。
彼は良くも悪くも特異な存在であるためにその顔と名を知られていて、つい最近も属していた部隊が挙げた功績も相まってますます軍の内外を問わず有名になった。
声を潜めているのをいいことに好き勝手に色々と言ってくれているが彼は視線を寄越さず、毅然とした態度で前を向いて歩く。
「入りたまえ」
ある部屋のドアを数回ノック。中から許可が降りたのを確認してドアを開ける。
執務室の椅子に座る黒髪の女性を前に彼は姿勢を正して敬礼をした。
「お初にお目にかかります。ロマーニャ空軍所属ソーマ・スペランツァ中尉であります」
「ご苦労、ひとまず座りたまえ。立ったままでは落ち着かんだろう」
女性将校の言葉に「失礼します」と返してソーマはソファに座る。その動作の終わりを見届けてガランドは彼の真正面に移動して、腰を落ち着かせる。
「君の話はよく聞いているよ。初めましてスペランツァ中尉、私はアドルフィーネ・ガランド、少将だ。よろしく」
「いえ、こちらこそ」
友好的かつ余裕に満ちた表情でガランドは手を差し出しソーマの手を握る。
「司令部から話は聞いているだろうが今日付けで私が君の直属の上司となる。所属としてはロマーニャ軍のままなのは変わらないが今後主な命令は私を通じてということになる…ここまでで何か異論はあるかい?」
「いえ、ありません」
「よろしい、なら続けよう。次は君の今の立場の確認だ。ウォーロックの開発に関わったマロニー大将が現在も司令部に身柄を拘束されているのは既に知っているな。その彼に対して君は今こうしてここにいる。何故だと思う」
「俺がウィザードだからですね」
授業で学生に問題の解答を求めるようなガランドの物言いにソーマは終始落ち着いた態度で返す。
「その通りだ。彼と違って君はただ一人の
ソーマも司令部の将官に事情聴取の際に同じことを言われた。軍人としての素質を問われる行動を判断材料に含めてもウィザードである君をマロニーと同じように対応にしておくには惜しいと
「とはいえ私は君のお目付け役になったのにはそれだけが理由ではないがね」
そう言いながらガランドは軍服のポケットから一枚の手紙を取り出す。
「手紙、ですか?」
「他にも後五枚程ある。差出人は君もよく知っている人物だ。誰からだと思う」
考える時間を与えられソーマは記憶の中にあるこれまで出会ってきた人物の顔を思い浮かべる。
ただでさえ少ない付き合いの中で将官クラスに手紙を出せる自分のよく知る人物となると最有力として挙がるのは
「ミーナ中佐ですか?」
「それとバルクホルン大尉、ハルトマン中尉もだ。彼女たちはかつての私の部下でね。今回の決定を知って君がここに来る数日前から私の元に手紙を送ってきたんだよ。いずれも君の人柄についてよく書かれていて大分参考にさせてもらった。
それにしてもミーナ中佐はともかくまさかバルクホルン大尉やハルトマン少尉にまでこうさせるとはね。特にハルトマン少尉は性格上このようなことをするとは思ってもみなかったから驚いたよ」
そうは言うもののガランドの声色からは驚きよりも嬉しさの方が勝って聞こえるような気がした。
「だからさっき私は白羽の矢が立ったという言い方をしたがそれは少し適切ではない。私の方からも是非とお願いしたんだ。彼女たちにこうまでさせる君という人物に興味が沸いてね」
「…そうでしたか。お気遣いありがとうございます」
「礼なら私よりミーナ中佐たちに言ってくれ。あ、しかし手紙のことは黙っていてくれよ。バルクホルン大尉の手紙には特に私が君にこの手紙の存在を明らかにする事態を想定していないような文面が記されていたからね。うっかり君が手紙について言及しようものなら君ではなく私が彼女に怒られてしまう」
(それ言っちゃまずいやつなんじゃ…?)
少将という立場にしては厳格なイメージでもないし、むしろ一風変わった印象を受ける。
しかしハルトマンの上司を務めていて今も手紙を送る仲というのなら納得だ。
彼女に素直に言うことを聞かせられる人物となればこのくらい変わっていなければ務まらないだろうから。
「それで君の今後についてだが司令部から通達が来ている。君の次の配属先はヴェネツィアだ」
「!…ヴェネツィアですか」
「ヴェネツィアには最近結成されたばかりの統合戦闘航空団があるんだ。名前は第504統合戦闘航空団、アルダーウィッチーズ。君には501で得た経験を元に力になってもらいたいとのことだ」
「お言葉ですが俺にできることなんてそんなにないと思いますが」
「マロニーの作った魔法使いメイジ、だったかな。軍では押収した研究資料を元にベルトの更なる量産を軌道に乗せ、各軍に配備しようとしている。今後の戦場において主要な編成となるウィッチとメイジの共闘の円滑化、という意味での辞令だと思うよ。それと後は試運転かな」
「試運転…」
「そう、君と私のね」
試運転、この場合ガランドがソーマを上手く活用できるかどうかという意味だろう。
功績を挙げられるのであれば上々。
もし大した活躍も出せず不利益な行動を取るようならマロニーと同じ末路を辿り、その責任の所在はガランドとロマーニャ軍で留まる。
「まぁ要はしばらくヴェネツィアで心機一転、気持ち新たに頑張って欲しいという訳さ。私からはこれで以上だ」
「了解しました。その旨、しかと承りました」
「うん。今日はここで身体を休めて後日ヴェネツィアの指定された場所に向かってくれ。そこから基地までは迎えの者が来てくれる手筈になっている」
「わかりました」
言い渡された命を承諾しソーマは出入口へと向かう。
「あの、ガランド少将」
「ん?」
その言葉に視線を切っていたガランドが顔を向けると扉の前でソーマが首だけを向けて見ていた。
「もし足枷になるようでしたらいつでも切り離してくれて構いません」
「そうしなくてすむように頑張ってくれたまえ。期待している」
「そうできるように頑張ります」
ガランドは笑みを浮かべて言い放つ。
「おっと、私からも一つ言い忘れていた」
淀みなくかけられた言葉に頷いて完全に退出しようとしていたソーマを今度はガランドが呼び止め、視線を向けさせる。
「これから長い付き合いになる。何かあれば気兼ねなく相談してくれたまえ」
その言葉に「わかりました」と笑顔で頷いてソーマは扉を閉める。小さくなっていく足音を扉越しに聞きながらガランドはソファに深く腰を預けた。
「聞いていた通りの律儀な青年だな」
それが初めての対面を終えての感想だった。
事前にミーナたちの手紙から人となりを聞いてはいたが実際に会って、言動の節々を注視して一つわかったことがある。
彼は根っからの善人気質の人間だと。少なくとも自分だけの利益のために裏切りを働くような野心は持ち合わせていないだろう。ミーナたちからの証言も相まってそれは確信を持てる。
「しかし彼にとっての課題はここから。どう変わっていくのかな彼は」
新しい場所で何を得て、新しい出会いがどんな変化をもたらすのか。
次にソーマと出会うのが楽しみに思えるガランドであった。
★
何処かの国の、何処かの街の暗がりに三つの人影があった。
人影から少し離れた通りには左右から人の往来が絶えることなく続いていて、人影からもその動きは見えていた。
しかし人影にとってはそんなものに関心はなかった。
「ブリタニアの巣が落とされたそうね」
「なんか新しく出てきた妙な奴でてきたよな。なんつったってけな確か…」
「ウィザード、か?」
「そうそう、そいつだそいつ。ウィザード、だったか…あいつ、俺がやっていいよな?」
「単に暴れたいだけだろう貴様は」
「それの何が悪いんだよ。なぁいいだろ?」
「駄目だと言っても聞かないでしょう貴方は。まぁ、面白そうだしいいかもね。でもやるなら徹底的にやるのねウロボロス」
「ま、見とけや。あんな奴なんざ俺にかかれば一捻りさ」
一つの影が離れ、明かりに照らされた街の人混みの中に紛れ去っていく。
「止めなくていいのか。あいつ、見境なく暴れるぞ」
「口で言って素直に聞くような奴だと思う?それに別に私たちの存在が明らかになったところでどうということはないわ。でしょう?ヘラ」
「確かに、お前の言う通りだな。人間に知られたところで奴らにはどうすることもできない。ウィッチだろうがウィザードだろうが所詮はただの人間。私たちの脅威とはなりえない」
というわけで今回から新章!5月4日ということで第504統合戦闘航空団アルダーウィッチーズ編になります!
そして前書きでも述べたようにガランドの描写に不安になりながら書いた回です…階級でさえもあってるか不安である。
ユナフロの方でも近々赤ズボン隊が出てきそう?な、感じでしたので個人的にはすごくタイムリーでした。
おかげでセーラー服定ちゃんを手に入れられなかった悲しみが吹き飛びました。
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