ストライクウィッチーズ~約束の空~   作:カメクリオ

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第三十七輪 追跡!赤ズボン隊

ロンドンの病院のある一室。

ここではブリタニアでの激闘を終えた一人の軍人と一人の民間人が対面していた。

 

「おはようお姉ちゃん」

 

「おはようクリス。もうだいぶ元気になってきたんじゃないか?前に比べて顔色がよくなってる」

 

クリスティーナ・バルクホルンとゲルトルート・バルクホルン、二人の姉妹が互いの顔を見るなり挨拶を交わす。

二人が邂逅するのはガリア解放直前、実に数か月ぶり。

昨日から今日というこの日を楽しみにしていたバルクホルンは親愛なる妹に笑顔で近づくとベッドの横に置かれていた椅子に座る。

 

「今日はハルトマンさんと一緒じゃないの?」

 

「あいつはまだ夢の中だ。情けないにも程がある」

 

「ハルトマンさんらしくていいと思うよ。私はハルトマンさんのそういうところ好きだよ」

 

「…そ、そうなのか…だ、だがしかしあまりこういうのは軍人としては…」

 

自堕落など規律を重んじるバルクホルンからすればすぐさまきっぱりと否定したいところであるのだが規律よりも大事な妹にそう言われては返す言葉に困る。

これがシャーリーやソーマであったならいつものように反論がすらっと浮かんで返すところなのだが…クリスとなると話が変わって来る。

 

「ふふ、そういえば聞いたよ。ガリアからネウロイを追い出せたんだよね。おめでとう」

 

「ああ、しかしだからといってまだまだ戦いが終わってはいない。カールスラント…私たちの故郷を奴らの手から奪い返すまでは私の戦いは続く」

 

もちろんガリア奪還という仲間(ペリーヌ)の悲願を達成できたのは喜ばしく人類にとって大きな進展となった。

しかしバルクホルンやクリス、ミーナやハルトマンたちの祖国カールスラントは未だネウロイの占領下にある。

クリスにも言ったがバルクホルンの真の戦いはここからといえよう。

 

「無理はしないでね。平和も大事だけどお姉ちゃんが元気でいることの方が私は大事だから」

 

「ありがとうクリス。肝に銘じておく」

 

そう妹の善意に感謝してバルクホルンが何気なく視線を外すと開いた窓が目に留まった。

冷たい風が入ってくるだけでなんの変哲もない窓。だが今日に限っては何故か妙に気になる。

 

そして一つ気になりだすとさっきまで気に留めなかった他の物にも目がいく。

次にバルクホルンが目を付けたのはクリスのベッドの横にある棚の上に飾られている花瓶に刺している赤い花。

 

「この花…?」

 

「え?あ、それね…そう、この間病院の人がくれたんだ。お友達がお花屋さんやってるんだって」

 

クリスの説明を聞くバルクホルンだがまだまだ他にも気になるところが残っている。

今自分が座っている椅子。

病室に入って来た時からクリスのベッドの真横にあった。

自分以外にこの病室に入る者がいるとしたら看護師を始めとするここの関係者だが、病院の人間が患者と話す時に椅子に座るだろうか

 

「あ…お姉ちゃん?」

 

もしやと思い、バルクホルンは立ち上がって開いた窓に歩き出し、窓から外に顔を出す。

眼下には建物と草花が広がるだけで不自然に思えるような光景はなかった。

 

「…気のせいか」

 

「どうしたの?」

 

「いや、ちょっとな。妙な風の感じがしてな、気のせいだったようだ」

 

「そ、そうなんだ」

 

「変なところを見せてしまってすまない」

 

「ううん平気だよ。そうだ!ねぇソーマさんとはどうなの?」

 

「ソーマ?ああ、今はヴェネツィアにいるようだ」

 

何故ソーマの名前を知っているのかと疑問に思ったバルクホルンだがすぐに思い出す。

そういえば一度彼と来てその時に会っていたなと

 

「また会いたいなー。あの人すごく優しくて色々話し聞きたいな」

 

「ああ…そうだな」

 

「お姉ちゃん?」

 

どうにも歯切れが悪く聞こえる返しにクリスが首を傾げる。

 

「ソーマさんと喧嘩でもしたの?」

 

(困ったな。どう説明するべきか)

 

裏切り、背信行為、一口に言えばソーマの取った行動はそうなる。

だがバルクホルンとしてはそう簡単な言葉で片付けたくなかった。

 

「喧嘩とかじゃないんだ…考え方の違いや互いの事情から衝突してしまってな…」

 

それにクリスは民間人であり、自分の身内であり、ソーマに好意的な感情を持っている。

だからこそバルクホルンは慎重に言葉を選びながら話を続ける。

 

「ソーマさんとはその後それっきり話してないの?」

 

「戦いが終わった後何かとごたついてな。そのごたごたが終わっても色々あってゆっくりと落ち着いて話すような時間は取れなかったんだ」

 

「じゃあ…お姉ちゃんソーマさんのこと嫌いになっちゃった?」

 

不安がるクリスのその問いかけにバルクホルンは首を横に振って否定する。

 

「いいや、嫌いにはなってない。今回の件で尊敬するところも発見できたしどちらかといえば…前よりはいい印象を持ったよ…ただいざ会った時どう言葉を切り出して何を言ったらいいものかと考えれば考える程答えが出なくてな」

 

「なんだか難しいんだね」

 

「すまない。こんな話を聞いてもつまらないだろうに」

 

「ううん、そんなことないよ」

 

「何か飲み物を買ってこようか。何がいい?」

 

「じゃあ、えっと、オレンジジュース」

 

「わかった。すぐ戻って来る」

 

そう言うとバルクホルンは立ち上がって一旦病室を後にする。

 

「お姉ちゃん、出て行きましたよー」

 

「…本当か?」

 

ドアが閉まり足音が遠くなっていくのを確認してベッドの下へクリスがひそひそ声をかけると、そこから裏返ったような甲高い声と共に小さくなったソーマが出てくる。

白い上下に青いシャツを着た彼は元の身長に戻り軽く一回背伸びをして、ドアの方を一瞥してからクリスへと向き直る。

 

「ごめんな。クリスちゃん、こんなお姉ちゃんに嘘つくような真似させちゃって」

 

「綺麗な花を持ってきてくれたお礼です。もう少しでバレちゃうかとひやひやしましたけど」

 

実はソーマがこの病室にいたのはバルクホルンが来る前。

朝早く花屋で花を買いヴェネツィアを出てクリスに会いにきた。

前回にはできなかったお互いの細かい話をしていたのだがしばらくして近付いてくる足音に気付いた。

 

クリスからバルクホルンが来る予定になっていると聞くとソーマはクリスに自分の存在を隠すようお願いし、スモールで縮小化して、さっきまでベッドの下に隠れていたというわけだ。

 

「勘鋭いからな。バルクホルン大尉は。バイクで来なくて正解だったな」

 

今回ソーマは交通手段として空路、ハリケーンスタイルを選んだ。

もしも前回と同じようにバイクを病院の付近に止めていたらバルクホルンはそこから自分の存在に気付いて病院内を探し出していただろう。

 

「ソーマさん、間違ってたらごめんなさい。お姉ちゃんと会うの避けてたのってさっきお姉ちゃんが言ってたことと関係があるんですよね」

 

その時ソーマの表情が一変した。クリスにとって姉の仲間で優しいお兄さんの顔が途端に崩れ、影の作った顔になった。

その変化に驚きを隠せないクリスであったが黙って彼の話に耳を傾ける。

 

「俺が悪いんだ。自分勝手な都合でバルクホルン大尉だけじゃなく他の皆のことを傷つけて…」

 

言葉を口にするにつれてソーマの声に力がなくなっていく。

 

「ソーマさん。私はソーマさんやお姉ちゃんたちの間で何があったかわかりません。でも嫌いになったわけじゃないんですよね。お姉ちゃんやハルトマンさんたちのこと」

 

「まさか。嫌いになる理由なんて俺にはないよ」

 

「だったら大丈夫です。ハルトマンさんたちも一度間違えたからって気にしないと思いますし、まだ会ってそんなに経ってない私でもソーマさんが優しくて温かい人だっていうのはわかります。きっと必ず仲直りできますよ」

 

「クリスちゃん…」

 

なんて優しいいい子なのだろうと感心する。その一方で同時にそんな子に気を遣わせてしまっている自分に嫌気が刺す。

しかしそんな考えを読まれるわけにはいかない。

全力で表情から心の内を悟られぬよう努めてソーマはクリスを見つめる。

 

「ありがとう。頑張ってみるよ」

 

「じゃあ約束しませんか?」

 

「約束?」

 

「もしも今度また来てくれる時はお姉ちゃんと一緒に来てください。もちろんハルトマンさんや他の皆さんと一緒でも構いませんから」

 

「わかった。それも頑張ってみるよ」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

「そろそろお姉ちゃんも戻って来るだろうし俺は行くよ。またね」

 

「はい。お元気で。次に会える日を楽しみにしてますね」

 

窓に近づいたソーマは再びスモールの魔法で小さくなり、召喚したガルーダの翼に乗っかって窓から飛び去っていく。

奇しくもバルクホルンがジュースを手に戻って来たのはその僅か一分弱のことであった。

 

「待たせたなクリス…どうした?何かいいことでもあったのか?やけに嬉しそうだが」

 

「なんでもなーいよ。うふふ」

 

「うん…?」

 

滅多にないくらいに上機嫌な笑顔を浮かべるクリスにバルクホルンは首を傾げた。

少し目を離したうちに何があったのか、そんな疑問が頭に浮かんだ。

 

 

 

 

 

竹井から食料やら日常品の買い出しを頼まれた赤ズボン隊の三人はヴェネツィアの街中を袋を片手に歩いていた。

 

「竹井も人使い荒いわよね。こっちは怪我から復帰したばかりなのよ?なのにこんなに買い出しを頼んで」

 

「って言ってるけど、ソーマが助けに行ったときには自分で治してたって聞いたよ。お風呂でも怪我ないの確認したし」

 

「まだ心は傷付いてたのよ。だまらっしゃい」

 

不満を垂れ流すフェルと冷ややかに指摘するマルチナ。

横で交わされるやり取りにルチアナは苦笑をもって応える。

 

「でもまぁ久々にこんな時間が過ごせるのは素直に嬉しいわね」

 

「そうですね。三人でお出かけなんて最近なかったですから」

 

アルダーウィッチーズ結成から今日まで何かと忙しい日の連続でほとんど基地の中での生活になっていた彼女たちにとって街に繰り出すなどいつ以来だろうか。

それだけでも嬉しいがフェルは最近悩みを解決してから初めてのルチアナやマルチナとゆったりと過ごせる時間とあって喜びは一塩だ。

 

「それもそうだけど。私はさっきから気になってることがあるんだよね。そんなに布生地買ってどうするのルチアナ?」

 

マルチナはルチアナが持っている紙袋の中身を指して言う。

紙袋の中には色とりどりの布生地が入っている。

 

「この間の戦闘でフェル隊長の服がダメになってしまいましたから作ってみようかと。発注をかけるとなるとお金かかっちゃいますし、こっちでできるならやっちゃった方がいいじゃないですか」

 

「それはありがたいんだけどもね…にしたって多いし、余計な色紛れてない?」

 

布生地についてはフェルも気にはなっていた。

というのもだ…赤ズボン隊を象徴する黒と赤の他にもや緑、白といった赤ズボン隊の制服には含まれてない色の布生地まで買っているのだ。

それも結構な量の。

 

「これはソーマさんの分ですよ。ソーマさんの服も手直しするってこの前約束したんです」

 

「あー…あいつのねぇ」

 

そういえばソーマの軍服の色は白を基調としていた。そういうことならば納得がいく…白が入っていることに関しては。だが他の色が入っているわけとはこれ如何に…その理由をフェルとマルチナは奇しくも示し合わせたように同じタイミングで察した。

 

「へえー。なるほどなるほど」

 

「あーそういうこと。そういうこと」

 

「な、なんですか?どうしたんですか二人?」

 

揃って意味深に笑う二人にルチアナは困惑の色を浮かべる。

 

「んー?いやなんでも。いいんじゃないの?私は口出ししないわよ。あんたの自由だし」

 

「え?フェル隊長?」

 

「そうそう、お似合いだと思うよ。二人。うん、見てて安心するよ」

 

「マルチナ?」

 

突然どうしたのだろうと二人の変化に思うルチアナであったが、その意味を徐々に理解し始めると赤面する。

 

「違いますよ!?私とソーマさんはそういうんじゃないです!」

 

「そういうのってどんなよ?」

 

「その、二人が思ってるような関係じゃ…関係じゃ…」

 

否定しようとするルチアナだが声に張りがなくなり、顔の真っ赤具合が増す。

先日ソーマの部屋で寝てしまったことが記憶に蘇ったからだ。

無論彼とはそういう関係ではない。けれどそのことを言った時二人がどう捉えるかといったら十中八九そういう関係と囃し立てるだろう。

 

「あらあら?私たちはソーマの名前なんて出してないわよ。自覚あるくらい仲良しなのねー」

 

「やめてくださいよ…ソーマさんに悪いですし」

 

「あ、ソーマ?」

 

「えっ!!?」

 

思い浮かべていた人物の名を聞いてルチアナの心拍数が跳ね上がり声が裏返る。

だがフェルはそんな彼女の反応に見向きもせず、マルチナの視線の向いている方向を見る。

そこには確かに私服姿で白い花束を持って歩くソーマの姿があった。

 

「あれソーマじゃない?だよね?」

 

「花なんて持ってどこに行こうってのかしら。休暇で朝からいないのは知ってたけど」

 

フェルたちはソーマの手にしている花に注目する。

 

「誰かにあげるやつかな?恋人とか?」

 

「恋人ねぇ。確かヴェネツィアの出身って言ってたっけ?だったらありえるんじゃないの」

 

それぞれ憶測を呟くフェルとマルチナ。

マルチナの口にした『恋人』というワードにフェルはニヤニヤっと綻んでルチアナを振り替える。

 

「こりゃまずいんじゃないのー?ルチアナ」

 

「だからそんなんじゃありませんって!」

 

「でも本当にどこいくんだろ」

 

確かにルチアナもそれは気になる。基地での生活ぶりは間近で見てよく知っているがプライベートの姿は知らないし想像もしたことがない。

その上花束なんて物を持っているとなると、本人には失礼だが気にならないと言えば嘘になる。

 

「…尾行するわよ」

 

「び、尾行!?何を言い出すんですか!」

 

街中を歩くソーマを見ながら唐突にそんなことを言いだしたフェルにルチアナは当惑の声を上げる。

 

「だって気になるじゃない。あっちは気付いてないし、この機を活かさなきゃもったいないわよ」

 

「だよね!わかってるねフェル隊長!」

 

仕舞いにはマルチナまで乗っかってしまう始末。

 

「ほらほら、もたもたしてると見失っちゃうわ。いくわよ」

 

「おっけー」

 

「ああ!二人共…」

 

呼びかけも虚しくフェルとマルチナは意気揚々と動き出す。

暴走列車の如くな二人の勢いは凄まじい。

出遅れてその場に立ち尽くすルチアナ。

どうするべきか迷った挙句、暴走列車を止めるためのブレーキが必要だろうとルチアナは流れに身を任せることに決めた…自分がその役目を果たせる可能性は低いだろうと思いながらであるが

 

かくしてソーマの背後を取る形で追跡を始めた三人。

一定の距離を保ちながら動きを観察しているとソーマは人通りの多い道から外れて狭い路地へと向かう。

 

「この先って何があるっけ?」

 

「修道院じゃなかったかな確か」

 

近くの道路沿いに設置された案内表示をルチアナが見てみる。すると

 

「そうですね。マルチナの言ったとおり修道院って書いてありますね」

 

「じゃああの花って…そういう」

 

 

 

結論から言ってフェルの予想は的中していた。

修道院の裏の霊園、広がる緑と墓。その内の一つの前にソーマは持参した花を手向けていた。

 

「やっぱり…」

 

当然とも言える光景を物陰から見てフェルが呟く。

好奇心でここまでついてきた自らの非礼を悔みながらも誰のお墓であるのか考えてしまう。

 

「来るわ!隠れて!」

 

踵を返すソーマを見て小声で警告を発し、マルチナとルチアナは素早く物陰に引っ込むように身を隠す。

ほとんど目の前を通り過ぎて元の道へと歩いて行くソーマ。

 

「マルチナはここにいて。ソーマが花をあげてたのが誰のお墓なのか見てくる」

 

「うん」

 

「ちょっとフェル隊長!」

 

花を目印にしてソーマのいた墓の前まで辿り着くとフェルは墓石に刻まれた名前を読み上げる。

 

「キアーラ・アベッリ、カルロ・アベッリ…二人とも1931年の同じ日に亡くなってる」

 

墓に眠る二つの名前の持ち主はソーマにとってどういう関係なのか。それが真っ先にフェルの頭に浮かび上がった疑問だった。

家族か親戚か友人か、または友人の友人か…こればかりは本人に聞いて確かめてみるしかなさそうだ。

 

 

墓地を後にしてからもフェルたちは追跡を続けた。マルチナがずっと視界に留めてくれていたおかげでソーマを見失ずにすんだ。

彼は宝石店の前にいた。その店のちょうど対向側に位置する建物の影に隠れながらフェルたちは動向を見守る。

 

「ずーっとあの店の前にいるけど何の店?」

 

「遠くてよく見えなくてわかりずらいですけどアクセサリーのお店じゃないですかね。ガラスケースがあります」

 

服飾の志しているだけあってルチアナは遠目ながらも正解を言い当てる。

この距離でよくわかるものだと驚嘆しつつフェルの意識はあくまでもソーマに夢中になる。

 

「あ、またどこかいくよ」

 

マルチナが声を上げた。

店の前から一歩たりとも脚を動かさずにいた彼が突然動いたのだ。

 

今度彼が赴いたのは宝石店から数分ほど離れた場所にあった噴水広場。

腰を曲げて噴水に片手を入れたソーマはその手をコネクトで魔法陣に突っ込んだ。

 

「魔法陣?」

 

「なんで?」

 

(あ、もしかしてこれ…)

 

彼のアクションの真意がわからずフェルとマルチナが疑問の声を上げる中でルチアナだけが唯一その答えとこれから訪れる光景を察した。

 

「ひゃ!ああああ!!?」

 

「うわあああああ!!?」

 

そしてその予想を裏切らない状況が目前で起こった。

フェルの後ろに現れた魔法陣から手が伸び、首筋に水滴を垂らしたのだ。

絶叫を上げ、両手を激しく揺らしながら身を屈めるフェル。そして隣で唐突に大音量の悲鳴を聞かされたマルチナも大声を出して、フェルから距離を取るように離れる。

 

「えっ!なに?なに!?どうしたの!?」

 

「つめ、つめたぁ!!」

 

「まさか休日にこんなところで会うとはな。奇遇だな」

 

近付いてきた男の声。

その声にフェルとマルチナが振り向くと視線の先には想像通りソーマがいた。

 

「そ、そうねぇ。奇遇ね」

 

「うん、うん。すごい偶然だよね。ほんとほんと」

 

何とか誤魔化しを測ろうとする二人だがソーマの表情を見てすぐに悟った。

完全にばれていると

 

「本当に偶然?」

 

「…ごめん」

 

「…ごめんなさい」

 

諦めてフェルとマルチナは謝罪を口にした。

 

「ったく、まぁ別にいいけどな」

 

ソーマが軽く呆れの鼻息を鳴らすとそれに連動したかのようにマルチナの胃袋が可愛らしい音を立てる。

 

「あ…」

 

「いい時間だしどっかその辺の喫茶店でご飯食べるか?今のお詫びってわけじゃないが俺が奢るよ」

 

マルチナの腹の音に小さく笑うとソーマは提案を投げかけた。




今回ちょっと書いてて文章に自信がなかったのでもし誤字や読みづらい箇所がありましたらご報告お願いします。

久々にお姉ちゃん書けたの嬉しい。
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