あらすじにも書いたと思いますが、書き終わっていたものを再構成する形であげていくので、毎日投稿するゾ。
1番初めに書きましたが、だいぶ久しぶりの投稿なので至らない点が多いと思いますが、そこはどうか御容赦を。
八幡視点
「腹減った......」
夜中の1時。
普通の生活をしている人なら寝ている時間。寝てはいなくとも寝ようとしている人が多いであろうそんな時間帯。そんな時間帯に俺こと比企谷八幡は外出しようと、コンビニに行こうとしていた。
なぜかって?腹が減ったからに決まっているだろう。
そんな決まりなどないだろうと俺でもつっこむところだが、こちとらかれこれ12時間以上何も食っていないのだ。これでも夕方から今さっきまで寝ていた自分の責任であることは十分理解しているつもりだ。こんな生活ができるのは夏休みだけだな。
大学生になって2年目を迎えて気づいたら夏休みになっていた。こういう昼夜逆転の生活ができるのって長期休暇の強みだよな。
ビバ、夏休み。
とりあえず、住んでいるマンションから徒歩2分のところにあるコンビニに向かうことに。
それにしても、夜中なのに夏真っ盛りのためかそこそこ暑い。この暑さが嫌だから夜に行動してるまであるのに、なんて考えてるうちにコンビニの明かりが見えてきた。
コンビニの明るさって昼間とかならいいけど夜に見るとすごい眩しいよね。目が眩むというか。寝る前にコンビニに行ったらダメだと思わせるぐらいには眩しいと思う。この時間に何度も来たことあるくせに、あまりの眩しさに目を細めていると、目の前にある自動ドアから人が出ていた。
その人はどうやら女性のようであり、姿格好がジャージにメガネである。そして今まで呑んでいたのか少し酒臭い。ジャージにメガネってことは部屋着だろうからここら辺に住んでおり、酒がなくなり買いに来たって感じかな?そんなことを考えながら彼女の横を通り抜けてコンビニに入ろうとしたけど、なんかめっちゃ見られている。俺のことを見てたぶんだが驚いてる感じがする。口元を押さえてるようだしな。そんなに見られると流石に気になり、女性の方を見てみると目が慣れてきたのか顔がよく見えた。
「比企谷くん......」
「へぇ?」
あまりの衝撃にポカンとしてしまった。
陽乃さんと会うこと自体久しぶりのことであり、予期せぬ出来事だったので二の句を継げられなかった。どうやら陽乃さんも俺と同じ様子で、さっきから俺のことをガン見して黙ってしまった。
「なんでっ......」
何でこんなところに、と話そうとしたところで右手を掴まれて、そのまま陽乃さんが走り出した。俺が見た感じ正しく全力疾走である。いい大人の女性が夜中のコンビニの前で、冴えない男の手を握って全力疾走。他人事なら笑ってみていられる状況だけど、これが当事者だと笑えない。
てか、なんで俺の手をそんなに全力で握っているんですか。そしてなぜそのまま走り出したんだ。色々と言いたいことがあったが、なんとなく言える雰囲気ではないし、それよりも俺も必然的に走らなくちゃいけないからぶっちゃけ喋れない。
そのまま走ること数十秒。
思ったより早く立ち止まったなとか、このまま警察に直行して捕まるのかもとか、いろんなことを考えていて気付くのが遅れたが、陽乃さんと俺の目の前にはコンビニの真向かいにある大きなマンションのドア。
俺が驚きのリアクションをとるよりも早く、オートロックを解除した陽乃さんは俺の手を離すことなく、エレベーターに一直線である。
えっと......、これってこの後どうなるの?
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俺は陽乃さんの部屋だと思われる場所に連れてこられた。
陽乃さんの部屋だと思われるなんて変な言い回しなのは、俺の思っていた部屋とはかけ離れたものであり驚いてしまったからだ。付け足すなら、家主である陽乃さんは俺を連れてきたことにこの部屋に着いてから気付いて、そのことに関していろいろと思うことがあったのか絶賛布団の中に篭城中であり、ここまでの説明が全くないからだ。
それにしても女性の部屋というものに初めて入ったが、なんていうか物が散乱している。
さっきまで呑んでいたのかカラの缶ビールやら酎ハイの缶がテーブルの上に置かれており、かろうじてスーツがハンガーに掛けられているだけで他の衣類は無作為に置かれている、いや、置かれているというか脱ぎ捨てたって感じだ。
女性の部屋は綺麗であるべき、なんてそんな時代錯誤なことは思ってないが、あの陽乃さんの部屋がこんな惨状なのかと失礼ながら思ってしまった。
それに今もそうだし会った時もそうだったが、ジャージにメガネっていうのも俺の中の陽乃さんのイメージとはかけ離れたものだ。
「驚いたでしょ」
いつの間にか復活した陽乃さんが、すべてを諦めたような、諦観した
顔で俺を見ていた。
「そうですね」
「失望させちゃったよね」
なぜか申し訳なさそうな顔をしている。確かに驚きはしたが、驚いただけで誰も失望なんてしていない。
「そんなことないです。むしろ、なんていうか安心しました。陽乃さんも人間なんだなって」
「何言ってるの。私は元からあなたと同じ人間だよ」
そう言うと、陽乃さんは笑顔を浮かべた。
俺の記憶違いじゃなければ、陽乃さんは今年から社会人のはずで、それでこの部屋の状態なのだとすれば何らおかしくない。
陽乃さんのことだからきっと良いところで働いており、仕事も俺の想像するよりも大変なのだろう。仕事関係に忙殺されて家事までなかなか手が回らなかったのだろう。
「比企谷くん、ありがとう。そしてごめんね、こんな部屋に連れてきちゃって」
陽乃さんによると、知り合い(今回の場合は俺)にジャージ&メガネの気を抜いた姿を初めて見られてしまい気が動転し、気づかないうちに俺の手を握ってここまで連れて来てしまったらしい。
陽乃さんはもう気にしてないのか、コンビニで買ってきたらしいビールを呑みながら教えてくれた。むしろ、アルコールを摂取しなければやってられないのかもしれない。
その後も陽乃さんはいろんなことを話し、そしてビールを煽り続ける。今は実家から離れて建築とは全く関係のない仕事をしていることや、実家の方は雪ノ下(妹の方)が継いでくれることになったことなど、本当にいろんなことを話してくれた。
こうなってくると、とことん付き合ったほうがいいと思い、特に口を挟まず俺は聞き役に徹した。
「そういえば比企谷くんって大学生だよね」
「そうっすね、数分歩いた先にあるマンションで1人暮らししながら大学に通ってます」
どれぐらい話を聞いていたのかわからなくなってきた頃、陽乃さんが何かを思いついたように聞いてきた。かなり酔ってきているのか、顔が赤く目がとろんとしている。
それにしてもなんだろうな、このなんとも言えない不安感は。不安感というか危機感。
「それならさ、ここで働いてよ。私の代わりに主夫業をやって欲しいな」
陽乃さんはアルコールによって赤くなった顔で、俺を見つめながらとんでもないことを言ってきた。
「それ、なに言ってるかわかってますか?」
いや本当になに言ってるんだこの人は。主婦業?あ、俺は男だから主夫業かな?それはどっちでもいい事なんだが、本当に意味やそれによって起こる色々なことを考えて言ってるのか?絶対考えてないわ。酔っ払いだし。
「わかってるよ」
俺の言葉にあっけらかんと答える陽乃さん。言い切るのはいい事かもしれんが、なぜにドヤ顔なのかそれが分からない。
「だって、比企谷くんって専業主夫を目指してるんでしょ。1人暮らしなら家事だってお手の物だろうし。それに、この部屋の状態や私のこの格好のことをすでに知ってしまってる貴重な人材だ。この条件で雇わないわけないよ。それにちゃんとお給料だって払うよ。ここは社会の荒波に揉まれて傷付いたお姉さんを助けると思って、ね」
すげぇ早口で捲し立ててきた。
酔っているせいでなのか少し舌っ足らずだったけど、言っていることはなんとなくわかった。
「わかりましたよ。やりますよやります」
酔っている人の戯言だろうと思い、それにこういう時は無理に言い合うのではなく認めた方が早いとも思い、適当に了承することにした。陽乃さんが酔っている時の記憶なくなるタイプの人だといいな。それだとラクだが、もし記憶がちゃんと残るタイプだと面倒臭いな。
「ありがとう、比企谷くん」
ただ、陽乃さんは本気なのか俺の右手を握って笑顔である。いかにもいい下僕ができたみたいな、そんな感じだ。このような素の陽乃さんが笑っているのが見られるだけでいいような気もするが。本当にいい笑顔だな。
そのようなことを言ってみると、
「比企谷くん、あんまりそういうことを言わない方がいいよ」
なんて窘められた。
その後、陽乃さんはビールを呑むペース早いのかそれとも元から呑んでいたからか、すぐに寝てしまった。
テーブルに突っ伏す形で寝てしまった陽乃さんを起こすのも忍びないと思い、とりあえず目についたタオルケットを掛けておいた。寝ている姿を見たなんて知ったら怒られるだろうなとも思ったが、この場合は向こうから連れてきて一方的に喋って寝てしまったのでしょうがないだろう。
それに、なぜか俺の右手を握りしめたまま寝てしまった陽乃さんが悪いのだ。
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陽乃視点
頭が痛い。頭が割れるような痛みとは、このことだと思うほどに頭が痛い。瞬時に二日酔いという単語が頭に浮かんで、次いで呑みすぎてしまったと反省する。
とりあえず目を開けようとしたその時、自身の寝ている場所や姿勢の違和感に気づいた。
「また机に突っ伏したまま寝ちゃったか」
また、やってしまった。次の日が休日だと油断して呑みすぎてしまうのは、私の悪い癖だとまた反省。反省したところで困るのは私だけなのだから別にいいだろうと思ってしまうけど。それでもこれほどの二日酔いになるまで呑むことなど今までなかったので今日はいつもより割り増しで反省している。
いつもだとこのまま小1時間ベッドで寝直して、その後に会社関係の人と会うのが常だった。だけど、それも先週末のが最後でやっと一区切りついた。半年もかかってしまったが、一から新しく人脈を作ろうと思ったらこのぐらいかかるだろうと割り切った。
今日から休日は昼過ぎまでゆっくり寝れる。そんないかにも自堕落的で、まるで夏休みの学生のようなどうしようもないことを考えてしまう。1度考えてしまったことはすぐに実行するに限ると考え、そして座って寝てしまったために凝り固まった身体をほぐすためにも立ち上がろうとした。立ち上がろうとしたが、立ち上がれなかった。右手が何かを掴んでいる、というか、誰かの手と私の手が固く繋がっている。
これが手から上がないなら、それこそホラーだ。だけどそこにはちゃんと人がいて、男の人がいて、私が大学生の頃に関わりのあった男の子で、比企谷くんすこし大人っぽくなったな。
「って、ひきがっ……」
おっと、あぶない。危うく叫ぶところだった。
え、叫びかけてるって?大丈夫、ちゃんと左手を口に当ててすぐに黙ったから。
なんで黙ったのかって?こんな可愛い顔で寝ているのに起こすなんて勿体ない……じゃなくて、申し訳ないじゃない。
「えーと、スマホは、……あったあった」
左手でのスマホの操作は少し苦労をしたが無事に比企谷くん寝顔を撮ることに成功した。
しかし、ここでまた眠気が襲ってきた。少し興奮し過ぎたせいか頭がとても痛い。そしてとても眠くて瞼が異常に重いく感じる。
比企谷くんがここにいる理由も私が飲み過ぎた理由もなんとなく思い出してきた。思い出してきたし、そしてこのまま普通なら恥ずかしさやその他の色々な感情で死ぬほど後悔するところだろう。だけれど、それはこの後に起きる私に譲るとしよう。
幸いにも、比企谷くんを起こすことなくベッドにたどり着くことが出来た。と言っても、ソファベッドがすぐそこに置いてあって、ただそこに登っただけなのだが。本当のところ手を離したほうがお互いのためにいいと思うけど、なんとなくこのままの方がいいと思ってしまったのだ。改めて私と繋がっている手を確かめるようにして比企谷くんを見た。
「おやすみ」
久しぶりに他人の温もりを感じながら寝ることができて、私は起きてからのことをすこし楽しみに感じていた。
おまけ
「寝たかな…」
「完全に起きるタイミングを間違えたな」
「まさか、寝顔を撮ってくるなんて…」
「それに、『うふふ…、可愛いなー』って、そんな陽乃さんの方が可愛いですよなんて言えないしな」
「それにしても流石に手を離すと思ったんだけどなぁ。繋いだままの方がいいか」
同時に起きていた二人