イナズマイレブン アテナの楯 作:百合マスター
ついに妄想を押さえきれず書いてしまいました。
注意点としてタグにもある通り、原作改変した部分がありますので、原作リスペクト者はブラウザーバッグ推奨です。
拙い文章ですが、それでもよろしければどうぞ
千葉県、桜花市……そこは四季ごとの桜が咲いていることから、一年中桜を見ることが出来る観光地として知られている市である。
その桜花市にある中学……桜花学園中等部にはサッカー部があった。大昔は帝国学園や雷門中学と並ぶ程の強豪として知られていたが、現在では退部の危機に陥っていた。
「今年中にフットボールフロンティアで優勝しないと廃部!?」
本校舎から西にある旧校舎の一階にある小さな教室から、少女の叫び声が響き渡る。机をバン! と叩きながら、白い髪の毛を背中まで伸ばしポニーテールにしている少女……
彼女は今年から桜花学園中等部に入部して、部長兼チームのキャプテンを努めている彼女はサッカーが大好きだった。
それこそ暇さえあればサッカーボールを持って一人でボールを蹴っていたし、夢中になり過ぎて夜まで家に帰ってこず、両親に叱られたこともある。
そんな唯那にとってサッカーとは命と同等に大切なものであり、この学校に入学したのも、名門で強い選手がいて、楽しいサッカーが出来ると思ってのことだった。
そして、唯那に残酷な知らせをしたのは桜花学園中等部サッカー部が誕生した初期から監督を努めていて、唯那の叔母にも当たる女性……
常に浴衣を好んで着ており、いつもは柔らかな笑みを浮かべている彼女も今回ばかりは真剣な表情だった。
「何で……去年は少なくとも今年の存続は保証されてるって言ってたよね、桜花姉」
「私も今回の件に関しては不本意だったが……スポンサード制度があってはどうしようもないんだ」
桜花は苦虫を噛んだような表情で唯那にそう告げる。
「スポンサードって何なの?」
「サッカー部を存続するために会社と契約しないといけない制度のことだぜ、ユイ」
「瞬……」
唯那の疑問に答えたのは先程部室に入ってきた茶髪の少年……
「これを見ろ」
彼は一枚の紙を机に静かに置いた。
それは中学サッカーとスポンサードについて、と書かれた丁度、唯那が疑問に思っていたことスポンサードのことが書かれている紙だった。
「雷門中学が去年優勝した話は知ってるだろ?」
「うん、円堂さんのマジン・ザ・ハンドかっこよかったよね!」
「ああ、そうだな。……っと、話を戻すぞ」
唯那は一瞬自分の世界にトリップしそうになったのを瞬夜が止めると、彼は近くにあった古びた椅子に座り、先程の話の続きについて語り始めた。
「雷門中学の活躍は日本の少年サッカーに良い影響を与えた。そこで更に少年サッカーを発展させるために作られたのが、スポンサードだ。さっきも言ったが、サッカー部はスポンサーになってくれる会社を見つけないといけない。スポンサーを見つけた場合は多額の支援金により、選手の練習管理、施設の充実、練習試合の管理など、様々な恩恵が手に入る」
「うー、なかなか難しい話だけど、なんとなく分かった。つまりはサッカー部にスポンサーが無いとダメってこと?」
「そうだ。スポンサーの無いサッカー部は強制廃部となる」
「そんな……」
唯那はまるで頭をハンマーで殴られたような強い衝撃を感じながら、このままだとサッカーが出来なくなることに深い悲しみを覚えた。
彼女の悲しい表情と雰囲気で部室の空気が重たくなる中、くぁ……というアクビをする声が静かな部室に響き渡る。全員が視線を向けると、そこには部室に置いてあるベッドで横になっている白髪の少女……
最初から部室にいたのだが、起こしたら悪いということで放置されていた慧斗だったが、重たくなった空気の変化により、彼女は目を覚ました。
「……随分重たい空気だな、何かあったか?」
「慧斗、このままだとサッカー部が無くなっちゃうだって……」
唯那がそう告げると、慧斗は一瞬だけ目を見開くが、直ぐに鋭い目付きに戻り、唯那のことを嘲笑うように口を三日月に歪めた。
「はっ、なんだそんなことか。どちらにせよ部員がオレ、雪崎、唯那、それからマネージャーの加奈多しかいない以上、もうどうしようもないだろ」
「そんなことって、慧斗は悲しくないの? だってこのままじゃ……」
「何もしないで、この状況が好転するとでも?」
「っ!」
「もう戦いは始まってるんだ。嘆いてる暇があるなら、行動することだ」
慧斗の言葉に唯那はふと我に帰った。先程から唯那は焦りから自分を見失っていることに気が付いた。ただ立ち止まっているだけでは、どうしようもないことに、ようやく気付いたのだった。
(そうだ……元々サッカー部の現状は最悪だったんだ。このまま廃部はもちろん、フットボールフロンティアに出場さえ出来ない)
考えろ、必死になって唯那は頭を働かせた。そんな彼女の姿に瞬夜と監督の桜花も顔を合わせて、微笑ましく見ながら、共に考え始めた。
慧斗は目が覚めて真剣になった唯那の顔を一瞥すると、立ち上がって部室から出ていった。それと入れ替わりに桜色の髪の毛をしてジャージ姿の少女……
ちなみに加奈多は桜花の娘であり、彼女の場合は他の三人とは違い、サッカー部の事情は知っていたが、やはり彼女もまたサッカーが好きだったので、入部したのである。
そんな彼女は不思議そうな表情をしながら、部室に入ってきた。おそらく予想外に重たい空気に驚いてしまったのだろう。
「……お母さん、もしかして廃部のこと話した?」
加奈多はこそこそと桜花に囁きかけると、彼女は頷いてここまでのことを話した。そうして加奈多も重たい表情……になるわけでもなかった。
「あれ、みんなに話さなかったの? 近隣学校の利根川東泉との連合チームが決定したって」
「おま、馬鹿それ言うな……サプライズのつもりだったのに」
加奈多の言葉により、どっと空気が軽くなっていくのを全員が実感した。あの目が据わっていた唯那でさえも、瞳にハイライトを取り戻して、希望を抱いたようなものになっている。
「桜花姉……どういうこと?」
「ふぅ……バレたら仕方ない。喜べ、利根川東泉と連合チームを組んだ。相手の部員は6名、こちらは4名。ギリギリだが試合が出来る」
「じゃフットボールフロンティアにも……」
「まぁ、ベンチ入りメンバーも必死になってくるだろうが、概ね問題は無いな」
「や、やった!!」
桜花の言葉に唯那は安堵と喜びで近くにいた瞬夜に抱きつきながら、感情を爆発させた。それを見た瞬夜たちも喜んだ。
「まぁ、という訳で明日は利根川東泉との合同練習だ。場所は利根川東泉中学にお邪魔させて貰う予定だ」
「フットボールフロンティアに出場出来ることも嬉しいけど、利根川東泉の人たちがどんなサッカーするのかたのしみだね!」
唯那はまだ見ぬ利根川イレブンに心を踊らせながら、想像を膨らませて自分の世界にダイブしていた。その間に瞬夜はふと思い立ったように加奈多に声をかけた。
「そういえば加奈多、大月を見掛けなかったか?」
瞬夜としてはクールながらもサッカーに対して誰よりも真剣で情熱的になっている慧斗にいち早く朗報を知らせてあげようと考えていた。
「慧斗クン? 彼女なら利根川東泉の実力を確かめに行くとか言って、駅の方に出掛けたよ?」
「は?」
加奈多から返ってきた予想外の言葉に、瞬夜は思わず目を見開く。そして慧斗が先程言っていた……もう戦いは始まってるんだ……という言葉からして、彼の思案に辿り着いた。
「あいつのことだ、いきなり喧嘩を吹っ掛けて問題を起こしかねん。さっさと止めに行くぞ!」
「……それで私と利根川の人たちがぁ」
「ユイ! お前もいつまでも妄想してないで、行くぞ!」
こうして波乱万丈な彼らのサッカーストーリーが始まるのであった。
利根川東泉中学校との連合チームが決まって、これでフットボールフロンティアに出られると思った矢先、うちのエースストライカーが相手の学校に乗り込んだ。
あれ、あの人って……。
そこには衝撃の人物が待ち受けていた。
次回、イナズマイレブンアテナの楯
『いざ、利根川東泉!』
イナズマイレブンアテナの楯、今日の格言
『もう戦いは始まってるんだ。嘆いてる暇があるなら、行動することだ』
以上。