イナズマイレブン アテナの楯 作:百合マスター
書き貯めが無くなり、少し時間がかかりました。やはり書き貯めは事前に20、30話は用意しないといけないのかな……。
更新する度に見てくださる人の数が増えて、ついニヤニヤしてしまいますね。
作者による完全妄想ですが、よろしくお願いいたします。
ではどうぞ。
利根川東泉側の自己紹介が終わり、学校という枠を越えてお互いに理解し合ったところで問題は次の議題に入ろうとしていた。
「三年生一人、二年生二人、一年生が七人か」
響木監督の言葉にふと気付いた。そういえば桜花姉が昨日の部室で試合にギリギリ出られると言っていたけど、メンバーは十人しかいない。つまりは一人不足している。
興奮し過ぎて、あの時は気付かなかったけど、桜花姉はもう一人のメンバーが誰なのか言っていなかった。どちらかの学校に属しているのか、桜花学園でも利根川東泉でも無いのか、誰なんだろう。
「……監督、うちの連合チーム一人足りませんよね。それはどうするんですか?」
先程より冷静さを取り戻した坂野上君が不思議そうな様子で響木監督に問い掛けた。私が気になっていたことなので、丁度良かった。
「それに答える前に、我々の連合チームに興味を持ってくれたスポンサーがいて、それを紹介しようと思う」
そうだ、それも気になってなんだ。そもそもメンバーが仮に集まってもスポンサーがいないとフットボールフロンティアには出られないのだから。
「木野、頼む」
「はい、監督。皆、ディスプレイに注目してね。これからスポンサーの紹介動画を流すから」
そう言って、木野さんはカタカタとパソコンを操作して動画が流れる。電気が消えて、フッと一瞬だけディスプレイも暗くなったと思えば、直ぐに落ち着いたBGMが流れ始めた。
無限に広がる宇宙の映像が映り、流星が地球に降り注ぐ様子をカメラが追いかけると、湖のほとりで水色のドレスを着て華麗に踊る少女の姿が映る。
流星と少女の踊りが重なり、まるで女神のようなイメージが浮かび上がる。そんな少女が両手を広げると、二つの惑星をイメージさせる球体が浮かび上がり、彼女の手に落ちる。
左は利根川東泉で、右は桜花学園のチームロゴがあった。そして少女が両手を高々と天に向けて上げると、その二つが重なる。
そして球体が日食のように白と黒になり、新しく浮かび上がったのは……月と少女のシルエットだった。
『最高級のドレスを創造するアテナクレッセントは利根川東泉中学と桜花学園を応援致します』
ソプラノボイスの美しい少女の声がそう告ると、映像の少女がどんどん近付いてきた。まるでこちらに飛び出てきそうな勢いでいると……バリバリ! という壁が突き破られる音と共に本当にディスプレイから少女が飛び出してきた。
「皆様、ごきげんよう」
まるでドッキリ番組みたいな登場の仕方をした少女はドレスのスカートを捲し上げて、私達に一礼をした。あまりにもインパクトが強いから、周りは固まっている。
「紹介しよう。彼女は桜花学園の生徒であり、アテナクレッセントの社長令嬢でもあり、11人目のメンバーの天乃川アテナだ」
「よろしくお願い致しますわ、皆様。桜花学園二年生、ポジションはメインがDFで、他にもGK以外なら一通りこなせますので、皆様のお力になれればと思います」
響木監督の言葉には驚きだし、アテナさんがスポンサーさんの令嬢なのも驚きだし、その人が11目のメンバーなのも驚きだし……もう頭が混乱しまくりだ。
それにアテナさんくらいの有名人な美少女なら、桜花学園にいたら、必ず気付くはずなのに噂すら聞いたこと無い。
私は加奈多に視線を送ってみるが、彼女は首を横に振った。かなり人脈の広い彼女でも分からないとなると、転入生? でも、転入生がいることすら聞いたこと無い。
「メンバーも揃ったことだし、各ポジションとフォーメーションを確認するぞ」
とりあえず今は響木監督の話に集中しよう。
確か桜花学園と利根川東泉を合わせると。
FW
大月慧斗
要瑞保
下町駆
MF
立花唯那
立花加奈多
六豹条
狸ヶ原ぽん子
DF
雪崎瞬夜
天乃川アテナ
坂野上昇
GK
円堂守
こうして確認してみると、奇跡的にバランスが取れてるね。強いて言うなら、瞬夜と坂野上君の二人がリベロだから、フォーメーションが超攻撃型になってしまい、守備が円堂さん任せになりそうで、そこだけが唯一怖いところかな。
「まぁ、いざとなれば私とユイでフォローしてあげれば問題無いよ」
「確かにそうだけど、加奈多もどちらかといえばストライカーの傾向が強いMFじゃないかな?」
「あ、あはは……ソウダッタカナ」
加奈多は目を泳がせながら、木野さんに寄り掛かって誤魔化すように口笛を吹いている。カヒューカヒュー、とあまり上手く吹けてないけどね。
「最後にキャプテンについてだが……
これについては納得しかない。このメンバーでキャプテンと言ったら、円堂さんしかいないし、むしろ円堂さんがキャプテンやらないなんて、違和感しかない。
円堂さんのキャプテン就任を喜び、私たち全員で惜しみ無い拍手を送る。当人はなんだか照れ臭そうにしている。
「ということで、ミーティングは以上だ。残りの時間は交流も兼ねて、5対5のサッカーバトルを行う」
「「やった!!」」
私と円堂さんは同時に喜びの声をあげる。またもや気が合ってしまい、お互いに顔を合わせて苦笑いした。
三人称side
桜花学園側の監督である立花桜花は浴衣の裾を上げて、汚れないようにしながら駆け足で、部室から出ていった大月慧斗を探していた。
桜花にとって、長年の付き合いである彼女の行動は読めていたので、あまり動揺はしていないが、それでも心配の念は強かった。
(慧斗……?)
そうして校舎裏に行くと、暗がりの中で座り込んでいる慧斗を発見した。声をかけようとしたが、何やら様子がおかしく、目が虚ろだった。
「慧斗、こんなところにいたのか」
「……」
桜花が声をかけても、彼女は決して反応することなく、ボーッと一点を見つめていた。桜花は慧斗の隣に座り込み、彼女を見つめて言葉を待った。
「オレ、は」
そうして待つこと数分、ようやく口を開いた彼女は震えていた。どうしようもなく何かを恐れるように桜花の目を見ていた。
「オレは……間違っているのか?」
「……」
「ずっと一人でやるのが当たり前だった。だって、周りにどんなに言葉を交わしても答えてくれなかったから。だからオレ一人が頑張ればチームは勝てる、みんな喜んでくれると、思った」
それは慧斗の心からの本音だった。
彼女がずっとここまで孤高にやってきたのは、チームに対するトラウマと不信感。それでもサッカーを愛する気持ちと勝ちたいという渇望、そして何よりチームのためを思ってのことだった。
それを今日初めて坂野上の怒りの反応を見て、彼女は内心で大きく動揺していた。今まで慧斗のやり方は肯定こそされなかったが、ずっと受け入れられていた。
それが彼女のやりたいことなら、と唯那たちもフォローしながらも付いてきてくれた。
「……そうだな、お前は間違っていないが、
「え?」
「お前は孤高でありながら、孤高じゃない。一人で戦っていながら、
桜花は一見して矛盾したような言葉を繰り返す中、慧斗はその言葉が自然と頭の中に入っていた。確かにしっくり来ると。
(オレはずっと正しいと思ってやってきた。そして一人で戦っていると思っていた。だが、一人じゃない? 何故だ。一人なのに一人じゃない?)
「悩めよ若者。時間はいくらでもある。これからの人生の中で答えを見つければいい。頼れる仲間もいるのだから」
「っ! ……そうだな、分かった」
慧斗は立ち上がりグラウンドの方へ歩いていった。その背中には迷いがありながらも、もう下は向いていなかった。
「ふふ、……ゴホッゴホッ」
桜花は彼女の背中を見届けながら、校舎裏のこもった空気に咳き込むのだった。
ついにミーティングが終わりサッカーバトルをすることになった。あ、慧斗も戻ってきたんだ、良かったぁ。
謎の少女アテナさんや利根川東泉の人たちがどんなサッカーをするのか、とても楽しみ!!
次回 イナズマイレブンアテナの楯
『虚空の女神』
イナズマイレブンアテナの楯、今日の格言。
『悩めよ若者。時間はいくらでもある。これからの人生の中で答えを見つければいい。頼れる仲間もいるのだから』
以上。