機動戦士ガンダム 俺の野望   作:ダルマ

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第二十話 全てを焼き尽くす業火

 時系列は、ホワイトベース隊が宇宙要塞ルナツーを出航する以前まで遡る。

 イベントの発生と共に、ホワイトベース隊の面々が新たなネームドとして出現した事は、地上の第046独立部隊にも直ぐに知る所となり。

 そして、戦略会議での全体としての方針を踏まえた上で、第046独立部隊として、今後の活動方針等を話し合っていた。

 

「という訳で、あの有名なホワイトベース隊がこの俺の野望にも出現した訳だが……」

 

「私個人としては一度手合わせしたい、と思ってはいるが。ジオンの勝利を考えれば、自制し、接触は可能な限り避けるのが賢明なのだろう」

 

「俺達プレイヤーは何度でも戦えるからね。原作と違い、ネームドと戦わなくても、実力のあるプレイヤーと戦って経験値を積まれれば、結局、原作通りの伝説部隊の出来上がりだし」

 

「ま、当分は触らぬ神に祟りなしって事で、万が一会敵しても、逃げられるのなら逃げるとしますか。……最も、ホワイトベース隊が地球に降りるのなら、先ずは北米だと思うから、こっち(オデッサ)には大分後で来るはずだし、心配するのはまだ先になると思うけどな!」

 

 それから暫くして、まさかホワイトベース隊の航路が大幅に変更する事になろうとは。

 この時はまだ、ランドニーはおろか、第046独立部隊の面々の誰もが想像もできず、暢気に構えていたのであった。

 

「ねぇねぇ、そのホワイトベース隊って、そんなに強いの?」

 

「いや、原作時系列的には、この頃はまだ素人集団も同然だな。だが、何れは連邦で最も恐れられる部隊にまで成長する。メノも、アムロ・レイと言う名前ぐらいは聞いた事があるだろう?」

 

「アムロ? ……あぁ、もしかしてあの天パの子? アムロ、いきまーす! て叫んでる」

 

「あぁ、そのアムロ擁する部隊が、ホワイトベース隊だ。つまり、主人公部隊だな」

 

「えぇ!? それってチョー強いじゃん!」

 

 特にガンダム作品について詳しくはないメノは、沙亜の解説に漸くホワイトベース隊の凄さを理解し、真剣な表情で対応を考えていたランドニー、ユーリアン、そして沙亜の三人の行動に納得するのであった。

 

「で、ホワイトベース隊への対応は決まったとして、俺達の今後の活動はどんな方針でいくんだ?」

 

 と、ホワイトベース隊の話に区切りがついた所で、シモンが部隊の活動方針について尋ねる。

 因みに、ロッシュは黙って話に耳を傾けている。

 

「そうだなぁ。ホワイトベース隊も出現して、連邦側も攻勢に転じる兆しが見られ始めた、なんて話も耳に入ってきてるし。戦いは、ますます厳しさを増していくだろう。……という訳で、ここらで、更なる戦力強化を図るか!」

 

「具体的には? またプレイヤーを増やすのか?」

 

「いや、今回は量より質。つまり、各々が搭乗するモビルスーツの強化を図りたいと思う!」

 

 ランドニーの口から語られた戦力強化の内容に、残りの面々の目が輝き始める。

 自身の操るモビルスーツが強化され強くなるのは、作品に精通しているしていないに関わらず、素直に喜ばしい事だからだ。

 

「それで、具体的な強化プランだが。……実はもう、改造の基本的な設計図は完成しているんだ」

 

「おいおい、いつの間にそんな設計図考えてたんだ?」

 

「ふふふ、全員の操縦の癖や得意不得意を分析して、毎日コツコツと考えてたのさ。なんせ、俺はコマンダーであると同時に名アーキテクトだからな」

 

 アーキテクトとは、俺の野望内において既存のモビルスーツの改造、及び完全新造のオリジナル機などを設計するプレイヤーの総称である。

 因みに、第046独立部隊内では、自身の乗機であるザク・アライヴを創り出した沙亜もアーキテクトに該当する。

 

「この名アーキテクトである俺が考えた設計図をもとに、各々のモビルスーツを強化してやる!! ……と、言いたい所だが」

 

「だが?」

 

「実は、色々と考えて詰め込んでたら、いつの間にか必要な費用の方も予想以上に膨れてしまって……」

 

「おいおい、予算と性能の兼ね合いを高水準に保ってこそ、名アーキテクトじゃないのか?」

 

 このシモンの指摘に、ランドニーは言い返す言葉もなかった。

 

「という訳で、今回は全員分の強化はできないので、誰か一人となります」

 

 誰か一人。

 その幸運な権利を手に入れるラッキーボーイ(ガール)は果たして誰になるのか。

 各々が各々の顔を見合わせる中、ランドニーの口から、その者の名が発表される。

 

「えー、今回、栄えある改造の権利を手に入れますのは──。"ユーリアン"となります!!」

 

「ふむ、妥当な判断だな」

 

「おめでとー!」

 

「おめでとう、ございます」

 

「ま、ユーリアンはこの部隊の最古参だし、納得だな」

 

「それじゃ、ラッキーボーイだぜぃ、なユーリアン、前へどうぞ」

 

「え? あ、はい……」

 

 何故か表彰式の様に、全員の前に立たされると、ランドニーのエアマイクを向けられ、当選の喜びを言い表して欲しいとお願いされる。

 

「え、えっと、今回、乗機を改造していただける事になり、とても光栄に思います」

 

 少々困惑しつつも、ユーリアンは喜びの感想を述べると。

 他の面々から、溢れんばかりの拍手が送られるのであった。

 

「えー、今回選ばれなかった皆も気を落とす事はないように。ゴールドが貯まれば、順次、改造や機種転換を行っていくつもりなので、よろしく」

 

 こうしてその後、更なる戦力強化の為にも頑張りましょうとの活動方針を確認すると、ランドニー、ユーリアン、そして沙亜の三人以外は自由行動となり。

 残りの三人は、早速ユーリアンのグフカスタムを改造すべく、オープン格納庫へと足を運んだ。

 

 なお、沙亜が同行したのは、ランドニーが同じアーキテクトとして、今回の改造プランに対する助言等を沙亜から貰う為であった。

 

 

 

 

 

 そして、翌日。

 皆のよりも一足先にログインしたユーリアンは、自身の個人格納庫へと足を運んだ。

 ハンガーに固定された、宇宙(そら)での戦いで使用した高機動型ザクIIR-1A型と肩を並べている、黒いグフカスタム。

 しかし、その外見は、昨日まで見慣れた外見とは異なるものへと変化を遂げていた。

 

 その、新たな力を付与された黒いグフカスタムの姿を眺めながら、ユーリアンは、昨日のランドニーの改造に際しての説明を思い返していた。

 

「いいか、今回の改造コンセプトは、ズバリ、お前の得意な戦闘スタイルである高速機動戦闘に対応すべく、俊敏性等を中心に、サポート等もこなす為に、あらゆる状況に対応できる汎用性も同時に高めている事だ」

 

「具体的には?」

 

「先ず改造に伴う重量増加による機動性の低下を防ぐとともに、瞬発力等を強化し、全体としての機動性を高める為に、脚部に高機動型ザクIIよろしくスラスターを追加。更にバックパックも純正の物から大型の物に換装してるから、推力、そして推進剤の容量も今までよりパワーアップしている」

 

「成程」

 

「で、内部的にはこれらの追加分を支障なく稼働させる為にジェネレーターも出力の高いものに換装。更には、お前の反応速度に機体がついていけるよう、可動速度を高める為に駆動部なんかも手を加えてる。それから、骨となる装甲等にもな。速さが足りてても、骨が負荷に耐え切れずポッキリいっちまったら、意味ないからな」

 

「随分と大がかりだね」

 

「いや~、実を言うと、本当はマグネットコーティングとかムーバブルフレームとかも導入したかったんだが。……ムーバブルフレームはまだ完成してないし、マグネットコーティングを導入したら費用の方が──。それに、それらを導入した場合の修理費を算出してみたら、まだ普及前の割高なのでとんでもない額になったので……。という訳で、両技術の導入は泣く泣く諦めました」

 

 当初の計画通りに各種技術が導入され、改造が施されていたのなら、それはもうグフカスタムの皮を被った別物になっていただろう。

 ランドニーの欲張りな本音を聞いて、ユーリアンはそう思わずにはいられなかった。

 

「それで、お待ちかねの武装面だが。まずメイン火器のガトリング・シールドに装備している七五ミリガトリング砲を二連装にして攻撃力強化、当然砲身の追加と同時に弾倉も追加するから安心しろ。それで、シールドに収納しているヒート・サーベルの他に、換装したバックパックに更に二本、ヒート・サーベルを装備するので合計三本。更に更に、脚部に三連装ミサイルポッドを追加し、ヒート・ロッドの強度と射程もマシマシにしておいたぞ。あ、因みに右腕はノーマル同様ハンズフリーだから、お好きな携帯火器を携帯可能だ! ……あ、因みに七五ミリガトリング砲を二連装するせいで機体バランスが崩れて少々扱いずらいとは思うが、お前の腕なら大丈夫だと信じてるぞ!」

 

「す、凄いね……」

 

「確かに、ここまで本格的な改造を施すとなると、魔法のカード(ご利用は計画的に)でもなければ全員分を一気に施す事はできないな」

 

 目を輝かせ要点を説明するランドニーを他所に、残りの二人は、ランドニーの熱の入りように苦笑いを浮かべるのであった。

 

「さて、最後に、これが一番重要な事だが」

 

「?」

 

「折角ここまで改造を施すのに、グフカスタムのままって言うのも面白みがないだろうって事で! 新しい名前を考えてきたぞ!」

 

「その名も、"グフ・インフェルノ"」

 

 新たなる愛機、グフ・インフェルノの名を聞いた所で昨日の事を思い返す事を止めると。

 ユーリアンは、再びグフ・インフェルノを見上げ。

 

「これからも、よろしくな」

 

 グフ・インフェルノに語り掛けるのであった。

 

 

 

 その後、ユーリアンがいつものように第046独立部隊用のロビーへと足を運ぶと。

 既に他の面々が集まっていた。

 

「さて、今回は昨日改造したユーリアンのグフ・インフェルノの性能確認も兼ねて、適当な戦闘系ミッションから……」

 

「あの、その前にいいかな」

 

「ん? どうしたユーリアン?」

 

 そして、今日の予定を発表していた時であった。

 不意に、ユーリアンが手を上げ、発言を求める。

 

「実は、昨日の改造の事をメイに伝えたら、是非実際に見てみたいって連絡が来て」

 

「なにぃ!? メイちゃんからだと!」

 

「今丁度オデッサにいるみたいなんだけど……」

 

「よし、予定変更! 早速会いに行こう!!」

 

 食い気味にランドニーが予定の変更を告げると、一同はMS特務遊撃隊と会うべく、オデッサ基地内に繰り出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 オデッサ基地内に繰り出した一行は、ユーリアンの案内のもと、待ち合わせ場所でMS特務遊撃隊と合流すると。

 その足で、グフ・インフェルノのお披露目をすべく、格納庫群へと向かった。

 

 そしてその後、一行の姿は、オデッサ基地内の一角に設けられた演習場にあった。

 

「いや~、歴戦のダグラス司令が指揮を務める、MS特務遊撃隊・レッドチームの皆さんと、まさかこうして模擬戦をさせていただく事になろうとは。……激戦地を転戦し、輝かしい戦果を挙げてきたレッドチームのお手並み、しかと拝見させていただきますよ」

 

「ははは、こちらこそ。軍内部でも有名な難読彗星の沙亜擁する第046独立部隊の活躍は、私の耳にも入ってきておるよ。沙亜少佐のみならず、他のパイロット達も凄腕揃いと評判なその実力、しかと拝見させてもらおう」

 

 演習場の様子を観覧する為の観覧室で、観覧用の巨大モニターを前に、お互いの腹の探り合いのような称賛合戦を繰り広げるランドニーとダグラス・ローデン大佐。

 そんな二人の様子を、他の面々は後ろから距離を置いて静観していた。

 

 さて、ではここで、何故第046独立部隊とMS特務遊撃隊とが演習場で模擬戦を行うに至ったのか。

 その経緯を、簡単に説明しよう。

 

 事の始まりは、MS特務遊撃隊にグフ・インフェルノをお披露目した時であった。

 エンジニアであるメイが真っ先に目を輝かせ、ハンガーに固定しているグフ・インフェルノを隅々まで観察した後、設計者であるランドニーを質問攻めにした。

 そんな様子を眺めていたダグラス大佐が、不意に零した一言が切っ掛けとなった。

 

「この改造グフは、最近受領した陸戦高機動型ザクとどちらが優れているのだろうな?」

 

 この一言を耳にしたメイが、なら実際に戦って見極めればいい、序にグフ・インフェルノが戦っている姿を生で見てみたい、との話の流れになり。

 ランドニーもそんなメイの話に乗って、その後話はとんとん拍子に進み、現在に至るのであった。

 

「ルク中尉! 頑張ってね!」

 

「ありがとう」

 

「おいメイ。お前、どっちの味方なんだよ?」

 

「あ、ついでにジェイクも頑張ってね」

 

「俺はついでかよ!」

 

 市街地を想定した演習場、その所定の位置に佇むグフ・インフェルノとレッドチームの三機のモビルスーツ。

 隊長のケンが操る陸戦高機動型ザクに、ガースキーとジェイクの操る陸戦型ザクIIである。

 今回の模擬戦、グフ・インフェルノの性能確認も兼ねている為、一対三という数的には第046独立部隊に不利な内容となっていた。

 

 そんな模擬戦の開始の時をコクピット内で待つパイロット達に、観覧室にいる残りの面々から励ましの通信が入る。

 

 通信機のマイクを手に通信を送るメイの姿を、沙亜が離れた場所からじっと見つめていた。

 

「ねぇ、沙亜」

 

「ん? 何だ?」

 

「あのレッドチームって人達も、ホワイトベース隊みたいな主人公なの? ランドニー君があんなにかしこまってるけど?」

 

「まぁ、主人公と言えばそうだが。所謂外伝作品の主人公だからな。強さは、ホワイトベース隊程ではない……」

 

「ふーん。──所でさ、沙亜」

 

「何だ? まだ何か質問があるのか?」

 

「さっきからあの子の事見てるけど、もしかして沙亜、あの子にやきもち妬いてる?」

 

 そんな沙亜の様子を見たメノは、質問がてら、真意を問いただすのであった。

 

「何を言っている、あの子はネームドとはいえNPCだ、ゲームのキャラクターに私が嫉妬など……」

 

「でもさ、さっきから口をきゅっと結んでるよね」

 

「!!」

 

「ふふ、やきもち妬くと口をきゅっと結ぶ癖は変わらないんだ、可愛いなぁ沙愛は」

 

「わ、私は……、別に」

 

 頬を赤らめた沙亜は、メノに対してそっぽを向き。

 一方のメノは、沙愛の背中を軽く指で突くのであった。

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