それは、エマージェンシー・オブ・オデッサの開始が一週間後に迫った金曜日の事。
その日、第046独立部隊の面々は、現実世界で各々の生活に勤しんでいた。
「あ~、終わった」
ランドニーこと来飛も、大学生らしく学業である大学の授業を終え、待ちに待った昼休憩を食堂で堪能すべく、凝り固まった体をほぐしながら食堂に向かっていた。
「ん? あれは……」
すると、その途中、彼は前方を歩く見慣れた後ろ姿をの二人を見つけた。
それは紛れもなく、ユーリアンこと優と、沙亜こと沙愛の二人であった。
「おー、お?」
そこで、声をかけて食堂に一緒に行こうとした来飛だったが。
二人は来飛が声をかける前に、廊下の角を曲がり、姿が見えなくなる。
「んだよ」
なので、来飛は二人を追いかけるべく、足早に廊下を進むと、二人が曲がった角を同じく曲がる。
すると、二人の後ろ姿はまたも角を曲がり、一瞬の内に来飛の視界から消えた。
「おいおい、どこ行くんだよ」
追いかけるのならば走った方が確実なのだが、何故か、来飛は一定の距離を保ち二人の尾行を続ける。
やがて、二人は大学構内でも人通りの少ない場所に足を進めた。
「あれ? あの先って確か……。は!? あの先は! 間違いない。あの先は構内でも有名な告白スポット!? ……という事は、ま、まさか!?」
一気に興奮の度合いを増した来飛は、さらに二人の尾行を続ける。
そしてやって来たのは、大学構内の一角にある、人通りの殆どない校舎裏すぐ近くの場所。
そこにぽつんと設置されたベンチに腰を下ろす優と沙愛の二人。
そんな二人に気付かれない様、ヤーパン忍法正統継承者ばりの隠れ蓑の術で、二人の座るベンチに最接近する来飛。
「あ、あのね……、安館くん」
「うん、何?」
(ふぉぉぉっ! こ、この雰囲気は、間違いなく
頬を赤らめ、何かを伝えようとする雰囲気を醸し出す沙愛と、それを優しく聞く姿勢の優。
そして、そんな二人のベンチの近くの木の幹に扮して、事態の推移を見守る来飛。
「そ、その……、ね」
「うん」
「も、もし、よ、よかった、ら」
「うん」
「さ、三時限目が、終わったら、ね。……つ、つ」
(ま、まさか! 言っちゃうのか!?)
「つ……、付き合って下さい! "お買い物に"」
刹那、来飛は沙愛の口から飛び出した言葉が期待外れだったので、カモフラージュ用の布からあわや、ずっこけて姿を晒してしまう所であった。
(な、何だよ。あんなに雰囲気醸し出しといて、ただの買い物の付き添いのお願いかよ……、はぁ)
「うん、いいよ」
「ほ、本当!」
「それじゃ、待ち合わせは……」
こうして、肩を落としている来飛を他所に、嬉しさを滲みだす沙愛と優の二人は待ち合わせの時間等を決めると、程なくその場を後にした。
「はぁ……。こんな場所まで来て言う事かね」
そして、二人が去った後、隠れ蓑の術を解いた来飛は、ため息をつきながら独り言ちた。
「……ん? いや、待てよ!?」
だが、何かに気が付くと、その目つきを険しいものへと変化させる。
「健全な男女が二人きりで買い物、これってもうデートじゃねぇか!? は! そうか!? 告白をすっ飛ばして買い物と称した事実上のデートを行う事により、恋人関係の既成事実化を図るつもりなんじゃ……。さ、流石は難読彗星の沙亜、とんだ切れ者よ……」
そして、絶対に勘違いと思われる推測を垂れ流す来飛。
「そうとなれば! このデート! 最後まで見届けねば!!」
自身の勝手な妄想で盛り上がった来飛は、面白さも相まって、二人の買い物まで尾行する事を決意するのであった。
そして、三時限目が終わり、この日の授業が終了し。
帰宅する者、クラブやサークル活動に励む者等々。
各々が授業後の自由時間を満喫し始める中。
大学の校門前で待ち合わせた優と沙愛の二人は、そのまま肩を並べて、店が多く立ち並び買い物するのに最適な、最寄り駅周辺目指して歩き始めた。
「ふふふ、さぁ、尾行開始よ」
「お、おう」
そんな二人の後を尾行せんと、距離を取り後をつけ始める二つの影。
片方は来飛、そして、もう片方は芽一であった。
何故、芽一が尾行に参加しているのかと言えば。
昼休憩の際、来飛がうっかり二人の買い物について口を滑らせてしまったからである。
そして、親友としてその買い物の行方を見届ける義務がある、という事で、芽一も尾行に参加する運びとなったのだ。
「所で草原さん」
「ん? 何? どうしたの?」
「わざわざ揃って尾行しなくてもいいんじゃないかと思ったんだけど……」
「何言ってるの愛川君! 二人なら、周囲に怪しまれず色々な所を尾行出来て都合がいいじゃない! 映画館でも、ショッピングセンターでも、有名デートスポットでも、ホテルでも!」
「いや~、流石に初回からホテルは……、無いんじゃないかな」
「兎に角! 色々と都合がいいから、二人で尾行しましょう!」
「あ、はい」
そんな二人に尾行されているとは露知らず。
優と沙愛の二人は、やがていつも使用している大学の最寄り駅周辺へと到着した。
「さて、記念すべき最初の一軒目、何処を選ぶ?」
「沙愛、先ずは無難に洋服や雑貨よ……」
少し離れた電柱の影から二人の様子を見つめる来飛と芽一。
そんな二人に見られているとは気づいていない優と沙愛の二人は、暫く立ち止まって店の選定を行うと。
程なくして、選定を終えたのか、再び歩き始めた。
そして、暫く歩いた二人は、とある店に足を踏み入れるのであった。
「こ、ここは……」
「沙愛……」
二人が店に入ったのを確認し、尾行していた来飛と芽一も、店の前に駆け寄り。
そして、二人が入った店を確認した。
そこは、業務用の厨房機器を取り扱う専門店であった。
「え、えっと、草原さん……。これは、あり? なんですかね?」
「え、いや。何これ……ふざけてるの……?」
洋服でも雑貨でも、まして下着や化粧品でもなく、まさかの業務用の厨房機器。
このチョイスに、来飛と芽一の二人は唖然とする他なかった。
「ど、どうする、俺達も店の中に入るか?」
「うーん」
程なくして、正気に戻った二人は、店内に入ろうかどうか頭を悩ませる。
「あ、マズイ!?」
すると、来飛は何かに気が付き、慌てて芽一の手を取り近くの物陰に身を隠す。
刹那、店から、優と沙愛の二人が出てきた。
「やっぱり、幾ら大好きでも、ちょっと違うんじゃないかな?」
「うん、そうだね」
肩を並べ歩いていく優と沙愛の二人が十分に離れた所で、物陰から出てくる来飛と芽一の二人。
「ふー、危なかった」
「そうね」
「っと、やべ! 早く追いかけないと見失っちまう!?」
何とか優と沙愛の二人に気付かれずに安心していたのも束の間、二人の尾行を再開すべく、二人は慌てて優と沙愛の二人の後を追いかける。
そして、優と沙愛の二人はその後、お洒落な雑貨店へと足を踏み入れた。
「おぉ、今度は無難だな」
「そうね。さ、あたし達も入りましょう」
二人に続くように、来飛と芽一の二人も店内に足を踏み入れ。
店内で商品を物色している優と沙愛の二人に気付かれないように、二人の近くで二人の様子を窺う。
「やっぱり、こっちの方が、いいかな? どう、思う?」
「うーん、こっちよりも、こっちの方が……」
「ほぉほぉ、なかなか良い雰囲気」
「うんうん」
相談しながら物色を続ける優と沙愛の二人の様子を、聞き耳を立て、グラスの反射で確認する来飛と芽一の二人。
それから暫くして、購入する商品を決めた優と沙愛の二人は、揃ってレジへと向かい、お会計を済ませると店を後にした。
そんな二人を見失わない様、来飛と芽一の二人も、少し間を置き、追いかける様に店を後にする。
店の外に出ると、既に空は夕焼け色に染まりつつあった。
「ん? おー?」
仕事帰りや学校終わりのサラリーマンや学生などで混雑の度合いを深めてきた中。
優と沙愛の二人を人込みの中で見失うまいと尾行を続けた来飛と芽一の二人は、やがて優と沙愛の二人がとある店に足を運ぶのを確認した。
そこは、全国チェーンのカフェチェーン店であった。
どうやら、そこで休憩をとるようだ。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二名です」
「二名様ですね。では、お席にご案内いたします」
来飛と芽一の二人も店内へと足を運び、仕事帰りのアフターファイブで賑わう店内から、先に入店した優と沙愛の二人を探す。
すると、窓際のテーブル席に二人の姿を発見した。
しかし、残念ながら、来飛と芽一の二人が案内されたのは、二人のいるテーブル席から少し離れた中央のテーブル席であった。
「こちら、メニューでございます。ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」
案内された席に着席すると、メニューを見ずにとりあえず珈琲を頼もうとする来飛。
一方、芽一は、メニューを見て何かに気付いたのか、視線をくぎ付けにしていた。
「あれ? 草原さん?」
「こ、このお店だったの、忘れてた」
真剣な眼差しでメニューを見続ける芽一は、メニューを見る事に没頭して来飛の言葉が耳に入っていない。
その様子に気付いた来飛は、一体何がそこまで彼女を引き付けるのかと。
来飛はその原因を確かめるべく、再びメニューを手に取ると、その中身を確認していく。
「あ、この店だったのか」
そして、程なくして来飛はその原因を突き止めた。
それは、以前来飛自身が告げていたコラボ企画。
俺の野望に登場したキャラクター料理を実際に提供する企画の案内であった。
俺の野望内で登場した味や形を現実世界で忠実に再現し提供する、との謳い文句が光る特設ページを一通り見終わると。
来飛は、未だ悩んでいる芽一に一声かけると、先に珈琲を注文すべく近くにいた店員を呼んだ。
「すいませーん」
「はーい。ご注文はおきま……、げ!?」
「珈琲をひと……ず!?」
そして、来飛は、注文を取りにやって来た店員の顔を見て、固まった。
何故なら──。
「し、シモン!? な、何してるんだ、お前」
「おいおい、それはこっちのセリフだって……。というか、この服見れば分かるだろ。バイトだよ、バイト。俺ここでバイトしてるの」
制服を着ていた店員の顔は、見間違える筈もない、シモンその人だったからだ。
この予期せぬ邂逅に、お互い少々気まずい雰囲気を醸し出す二人。
「所で、一緒にいるこの子って……。って!? メノ!? な、まさかお前ら……」
「ば、勘違いするな!?」
今だメニュー選びに没頭している芽一を他所に。
シモンの誤解を解くと共に、何故自分達がこの店にいるのかを説明する来飛。
「あー、成程な」
来飛の説明を聞き、実際に窓際のテーブル席にいる優と沙愛の二人の姿を確認したシモンは、そこで漸く状況を理解するのであった。
「でもさ、幾ら友達や知り合いだからって、他人のデート尾行するか? 普通」
「ま、まぁ、今回だけだから……」
「決めた!!」
幾ら親しい仲とはいえ礼儀を忘れてはならない、とシモンが説いていると。
どうやら注文するメニューが決まったらしく、芽一が声を挙げてメニューから視線を外した。
「て? あれ!? シモン君? うそ、え!?」
そして、そこで漸く、芽一はこの店でシモンがアルバイトしている事に気が付くのであった。
「あ、そうだ。そろそろ注文の方よろしいですか、お客様?」
芽一に自身の事を説明し終えたシモンは、本来の自身の仕事に戻るべく、二人の注文を伺う。
「俺、珈琲一つ」
「おい、そこはもっと単価の高いの注文しろよ」
「うわ、それが店員の言うことかぁ!?」
「あたしはね、この"アッグガイクロワッサンセット"を一つ!」
「はーい、了解」
こうして、ちょっとしたおふざけを挟みつつ、注文を取り終えたシモンは、キッチンに注文を伝えるべくその場を後にした。
そして、注文した品が運ばれてくるのを待つ間、再び、可能な限り優と沙愛の二人の様子を観察し続ける来飛と芽一の二人。
すると、優と沙愛の二人が座るテーブルに、二人の注文した品が運び込まれてきた。
そして、各々の目の前に注文した品が置かれた直後。
「ええぃ!連邦軍のモビルスーツは化け物か!」
「はい、ありがとうございます」
優が突如、シャア・アズナブルが作中に発した台詞をそこそこの声量で発した。
そして、それを聞いていた店員は、オーケーサインを出すと、一旦キッチンとホールの間にあるデシャップと呼ばれる場所に向かい。
程なくして、二人の座るテーブル席に何かをもって戻ってきた。
「では、こちら。チャレンジ企画を成功されました特典の、ゼリーでございます」
テーブルに置かれたそれは、容器に盛られたザクIIをイメージしたゼリーであった。
「ほーい、お待たせしました。ご注文の品です」
と、その時。
シモンが、来飛と芽一の二人が注文した品をもって、再び二人の席に現れた。
「なぁ、シモン」
「ん? 何だ?」
そこで、来飛はシモンに先ほどの優と店員のやり取りについて彼に尋ねた。
「あぁ、それな。チャレンジ企画だよ。コラボ企画の実施期間中にやってるやつで、コラボ企画のメニューを頼んだ人なら誰でも挑戦できる。"元気よく"、ガンダムシリーズの作中に出てくる有名な台詞を言えば、プレゼントとしてザクIIゼリーをプレゼントしてるんだ。あぁ、一日数量限定だが、確かまだ残ってたから、チャレンジするなら今だぞ」
「ねぇ、それって、コラボ企画のメニューを頼んだ人がやらなきゃ駄目なの? あたし、有名な台詞って言われてもピンとこないんだけど」
「いや、別に注文した本人じゃなくても、お連れ様でも大丈夫」
「じゃ草原さんの為に、ここは俺が一肌脱ぎますか」
「ふふふ、言っておくが、ジャッジするのは俺だからな。あまりに有名どころなのや、恥ずかしがった演技などは問答無用で失敗とさせてもらうからな」
「あ、おい、そこは仲間のよしみで大甘でもいいだろ!」
「駄目だ。仲間のよしみだからこそ、厳しくジャッジさせてもらう」
「はぁ……、分かったよ。……それじゃ、丁度椅子もある事だし」
こうして、シモンの厳しいジャッジ宣言に文句を言いながらも、準備を進める来飛。
「見てろよ、シモン。俺にだって出来るという事を!」
そして、来飛は自身の座る椅子の肘掛けを持つと、ガタガタと椅子を小刻みに揺らし始めた。
「少佐ぁーっ!! シャア少佐ぁーーっ!! 助けてください、げ、減速できませんっ!! シャア少佐、助けてくださいぃぃっ!!」
そして披露したのは、機動戦士ガンダムの第五話、『大気圏突入』の作中において、戦線の離脱に失敗し、地球の重力に引きずり込まれザクIIと共に燃え尽きたパイロット、クラウンの断末魔の台詞であった。
パイロットシートと共に、大気との摩擦熱に焼かれるザクIIのコクピット内の様子を表現した椅子の揺れ。
そして、鬼気迫る来飛の演技。
数多あるガンダム作品に登場する台詞の中で、まさかのクラウンをチョイスし、それを人目もはばからず熱演する。
そんな来飛のメンタルとそのセンスに、もはやシモンは脱帽するしかなかった。
「……、ふ、どうだ?」
程なくして、熱演を終えた来飛は、シモンに自慢げな表情を浮かべながら結果を尋ねた。
「今、持ってくるから、少し待っとけ」
その結果は、成功であった。
こうしてシモンがデシャップへとゼリーを取りに席を離れると。
刹那、店内中から割れんばかりの拍手が沸き起こった。
どうやら、来飛の熱演に、店内にいた他のお客さん達は、謎の感動を覚えたようだ。
「いや、どうもどうも」
拍手を受けて、今頃になって小っ恥ずかしくなった来飛。
若干頬を赤らめ、軽く会釈しながら拍手に応えていた来飛であったが、直後、彼は先ほどの熱演が墓穴を掘った事に気付かされる。
「来飛、何してるの?」
「芽一ちゃんも……」
「あ……」
そう、優と沙愛の二人に、自分達の事を気付かれてしまったのだ。
「本当にすまん」
「ごめんね」
その後、優と沙愛の二人が座っていた席に移動した来飛と芽一の二人は、尾行していた事を正直に白状し、二人に謝った。
「で、デートだなんて、わ、私……、そんな気は……、う~、でも本当は少し……」
「俺は、佐久良さんのお兄さんの誕生日プレゼントを買うのに同性の意見が欲しいからって言われたから、買い物に付き合ってたんだ」
どうやら、沙愛が優を買い物に誘ったのはデートが目的ではなく、兄のプレゼントを買う際の参考意見が聞きたくて優を誘ったようだ。
そして、そのお陰もあって、先ほどのお洒落な雑貨店で丁度いいプレゼントを買えたとの事。
最も、沙愛本人としては、少しもデートを意識していない訳ではない様だ。
「なーんだ。そうだったのか」
「あ、という事は、最初に業務用の厨房機器を取り扱う店に入ったのもプレゼントの……、え、でも」
「あぁ、実は……」
買い物に誘った真の目的が分かった来飛であったが、それなら尚の事、最初に訪れた業務用の厨房機器を取り扱う専門店の存在が異質に感じられる。
その事を口にすると、優の口から、あの専門店を訪れた衝撃の理由が告げられる。
「シンクの稲妻が佐久良さんのお兄さんっ!?」
「来飛、声が大きい」
「いや、だって、あのジオン側堂々ランキング一位のジャック・雷電が佐久良さんのお兄さんだなんて!? え、だって、この間の授与式の時なんて、そんな素振り全然見られなかったけど」
「俺の野望内では、兄の方から、なるべく赤の他人で接してほしい……、と言われてるので」
それは、戦績ランキングにおいて現在もジオン側で堂々の一位に君臨するプレイヤー、シンクの稲妻ことジャック・雷電と沙愛が、実は兄妹の関係であったという衝撃の事実。
まさかの繋がりに来飛は驚愕せずにはいられなかったが。
同時に彼がシンクを愛し過ぎている事を思い出し、あの専門店を訪れた事を納得するのであった。
「そういえば沙愛、お兄さんいたんだよね。何だ、お兄さんも俺の野望をプレイしてたんだ」
「うん」
「ま、まかさ佐久良さんのお兄さんがシンクの稲妻だったとは……。は! そうだ! ここは是非、佐久良さん助言でジャック・雷電を我が軍団に!」
「兄の階級は、今、"大佐"、ですけど……」
「あ~、じゃ、またの機会という事で」
来飛は、この伝手を何とか生かしてジャック・雷電を第046独立部隊に加入させられないかと画策したが。
ジャック・雷電の現在の階級を聞いて、あっさり諦めるのであった。
「そうだ、来飛」
「ん? 何だよ?」
「勝手に勘違いしてたとはいえ、尾行してたのは事実だから。反省の証として、ここのお会計、よろしくね」
「……え?」
そして、来飛は優の提案により、他の三人分の勘定まで支払う事になるのであった。
「なぁ、シモン、何とかまけて……」
「自業自得だろ」
お会計の際、担当したシモンに仲間のよしみでと値引き交渉を試みるも、一蹴されたのはここだけの話。
いつもご愛読いただき、本当にありがとうございます。