三人の隊長が手のかかる部下に気苦労を重ねていた頃。
三人の隊長の話題に上がっていた沙亜は何をしていたかと言えば。
二時間程前、ビッグ・トレーの襲撃から撤退した沙亜の操るザク・アライヴは、合流地点である、襲撃地点から少し離れた原生林の只中にあった。
「ランドニー! あの一歩で仕留められたのに、何故撤退命令を出した!」
そこには第046独立部隊のギャロップやサムソン・トレーラー等が停止し、整備士達が各々の作業で右往左往している、まさに野戦整備基地の様相を呈していた。
そんな場所の一角に駐めたザク・アライヴから降りるや否や、沙亜は天幕の影で折り畳み式の椅子に座り作業の様子を眺めていたランドニーに詰め寄った。
「あぁ、実は、これには色々とふかーい、事情があってだな」
「ほぉ、どんな事情だ? 私の納得するようなものなのだろうな?」
「あー、それはだな」
「……そこから先は、小官がお話いたしましょう」
と、撤退命令を発令した理由を問い詰めていた沙亜のもとに、一人のNPCである男性軍人が近づいてきた。
金髪をオールバックにし、切れ長の目に逆三角形の輪郭をした顔は、まるで狐を彷彿とさせる。
その高身長も相まって、一見すると異性に好かれそうだが。その雰囲気は、何処か、不気味なものが垣間見えていた。
そんな男性軍人の軍服に取り付けられた階級章は、彼が大尉である事を示していた。
「貴官は?」
「失礼。自分は、地球方面軍司令部直轄のMS特殊小隊の小隊長を務める、ハウア大尉であります」
ハウアと名乗った大尉に対し、答礼と共に自身の官姓名を名乗り終えると、沙亜は早速ハウア大尉に、今回の撤退命令を発令するに至った事情とやらの説明を求めた。
「実は我々は、司令部よりとある特命を受けているのです」
「ほぉ、その特命とやらが、今回の撤退命令に関係あると?」
丁寧な物言いながらも、言葉の端々に感じられる、見下しているかのような彼の本性を感じつつ。
沙亜は話を続けた。
「はい。あちらをご覧ください」
「っ! あれは!?」
と、ハウア大尉が示した先に駐機していたのは、MS特殊小隊のものと思しき三機のモビルスーツ。
その内一機は、友軍のNPC部隊で見慣れた機種ではなく、新型であった。
グレーと緑の二色を基調とした塗装に、西洋甲冑を彷彿とさせる外見。
それはまさしく、決戦用モビルスーツ、ゲルググそのものであった。
「少佐殿なら、既にお耳にしている事でしょう。我が軍初のビーム兵器標準搭載モビルスーツにして、次期主力モビルスーツ、ゲルググです」
「も、もう量産されていたのか!?」
「ふふふ、ならばオデッサも安泰というものですが。生憎と、こちらは先行量産型。本格的な量産型の配備は、もう暫くかかると言われています」
外見はほぼ量産型と同じながらも、その用途は異なる、形式番号YMS-14、先行量産型ゲルググ。
この機種は、本格的な大量生産型であるMS-14A ゲルググに採用される新技術の検証・試験などの問題点の洗い出しを行う為に、先駆けて製造された機種である。
設定では二五機が製造され、その内一機は、アニメ本編でも登場した、シャア・アズナブルの乗機となった。
そして、残りに関しても、その殆どは名だたるエースパイロットに支給されている。
その様な貴重な一機を支給されているあたり、ハウア大尉も相応の腕前はあるのだろう。
「それで、少佐殿。今回、少佐殿にビッグ・トレーを撃破を留まってもらいたかったのは、あのゲルググの為なのです」
「ゲルググの為だと?」
「そう。ビッグ・トレーは、連邦軍にとって一つの象徴。その象徴であるビッグ・トレーを、自分のゲルググが撃破する。さすれば、連保軍将兵達は畏怖と共に、その名を刻み込む事でしょう! ジオンにゲルググ有り! と」
「確かに……。ゲルググのデビューとしてはかなりのインパクトだな」
「それだけではありません。ビッグ・トレーを撃破する事により、ゲルググの性能を連邦軍にあまねく知らしめ、そして、近々行われるであろう連邦軍の一大反攻作戦の出端を挫くのです! オデッサにはゲルググ有り! そう、まさに戦わずして勝つのです!!」
今回、沙亜のビッグ・トレー撃破に待ったを掛けたのは、ゲルググの鮮烈なデビューと同時に。
それをもって連邦側に対して精神的圧力をかける、所謂軍事心理戦の一環としてビッグ・トレーを利用する為、だとの事。
「ご理解、頂けましたか?」
「あ、あぁ……」
「おや、そう言う割には少々ご不満が残っておられるようですな? よいですか、これは今後の戦局を左右する重要な任なのです。少佐殿は、既にあの"型落ち"のザクで相当な戦績を立てていらっしゃる。であれば、ビッグ・トレーの一隻や二隻、こちらに快くお譲りしてくださるものと思っておりましたが、まさか、大局よりも目先のスコアを優先するお方だったとは、少々幻滅しましたな」
「……」
ハウア大尉の余計な一言に、沙亜は内心腸が煮えくり返っていたものの、何とか表に出さずに堪える。
「大尉! ビッグ・トレーの所在が判明しました!」
「おぉ、そうか、ご苦労。……では、ハート中佐、それに阿頭那武婁少佐殿、此度のご協力、感謝いたします。では、小官はこれで失礼いたします」
刹那、ハウア大尉の部下が彼にビッグ・トレーの所在を伝えると、ハウア大尉は早速出撃準備に取り掛かる。
「ペドロ少尉! リスボー少尉! ドムの出撃準備はよいか!?」
「は! いつでも!」
「出撃可能です」
「では、出撃する!」
そして、共にだるまの様な顔つきと体型をした、僚機であるドムの二人のパイロットに出撃準備の状況を尋ねる返事を聞くと。
部下からヘルメットを受け取り、ハウア大尉は自慢の愛機である先行量産型ゲルググへと乗り込む。
「ふん。専用機だか何だか知らんが、もはやザクなど時代遅れの旧式よ。これからは、このゲルググこそが、戦場の主役となり、そして、自分こそが、新たなるエースとして名を刻むのだ!」
コクピットの中、シートに体を固定したハウア大尉は、機体を起動させながら、遠慮のない本音を呟く。
そして、モノアイに光が灯った先行量産型ゲルググは、直ぐ近くに駐めていた扁平な形状の上部に乗った。
それは、元々は要撃爆撃機として開発されたものの、後に、ザクやグフ等のモビルスーツの長距離移動などを補助する輸送システムとして転用された航空機。ド・ダイYS。
同機の攻撃能力を廃し、代わりにエンジンの大型化及び輸送能力の向上や航続距離の延長を図った形状の再設計等を行った後期型。ド・ダイII。
そんなド・ダイIIの上部に先行量産型ゲルググが乗ったことを確認すると、ド・ダイIIのジェットノズルが音を立て、周囲にダウンウォッシュを巻き起こしながら、徐々に機体は垂直上昇を開始。
程なく、原生林の中から上空まで上昇を果たすと、ビッグ・トレーのいる方へと飛び去って行く。
そして、ド・ダイIIの後を追う様に、二機のドムも熱核ジェットエンジンに火を入れると、砂煙と落ち葉を巻き上げ、同じ方向へと走り去っていった。
MS特殊小隊が去ったのを確認すると、沙亜は語気を強めて、再びランドニーに詰め寄った。
「ランドニー! あれでいいのか!?」
「って言ってもなぁ。元々、ビッグ・トレーは予期せぬ遭遇戦で、ミッションとは関係ないしなぁ」
そう、元々第046独立部隊は、ビッグ・トレーとの戦闘を当初から想定していたものではなかった。
元々、第046独立部隊はエマージェンシー・オブ・オデッサに向けて機種転換を行ったシモンとロッシュの慣熟訓練を兼ねて、戦闘系ミッションに出撃していた。
その帰路の最中、ビッグ・トレーを発見。
ミッションでの戦闘後という事もあり、当初はスルーしようと考えていたが。
比較的機体状況に余裕のあった事や、本人のやる気など、沙亜の意見を汲み取り、沙亜単独で出撃を許可したのだが、その結果は、先刻の通りである。
「確かに、ミッションにも関係ないし、大局を鑑みれば黙って見過ごすのが賢明だろう。だが、私はあのような下劣な男が、ゲルググを駆る事が我慢ならん! そして、そんな奴がゲルググを代表するパイロットとして認識されてしまう事もだ!」
「ま、まぁ、腕がよければ多少性格に難があっても大目に見るのは仕方ないさ」
「それに、あの男は私のザク・アライヴを型落ちなどと呼んだ! 確かに、最近のモビルスーツの性能向上で、ザクが一線級から退きつつあるのは認めるが、だからと言って、ゲルググが生まれたのも先代であるザクの存在があってこそだ! それを敬意を払わず旧式と吐き捨てるのは、許せん!」
「まぁ、それはごもっとも……」
と、ランドニーは顎に手を当て、何かを考え始める。
そして、程なく、考えがまとまったのか、再び口を開いた。
「しかしまぁ、折角の獲物を横取りされて、それを黙って引いてちゃ、男が廃るってもんだ!」
「私は女だが」
「……、と、兎に角! 任務とはいえあれだけ大口叩いたんだ。本当にビッグ・トレーを撃破できるのかどうか、"この目で直接"確かめてやろうじゃないか」
そして、不敵な笑みを浮かべたランドニーに対し、彼の意図を汲み取った沙亜も、不敵な笑みを浮かべた。
「よーし、そうと決まれば急いで出撃の準備だ!」
刹那、折り畳み式の椅子かた立ち上がると、ランドニーは出撃すべく準備を急がせた。
MS特殊小隊の後を追いかける為に。
そして時系列は現在へと戻る。
ちょっとした騒動はあったものの、無事に顔合わせを終え各々の隊の配置を確認し終えた三隊は、任務を遂行すべく、準備に取り掛かっていた。
「にしてもまさか、デカブツのお守りをガキと一緒にする事になるとはな」
「ますます退屈だ」
「おいおいボマー、リッパー。そう腐るな」
「そういやフィクサー。お前さん、リッパーと痴話喧嘩してた嬢ちゃんを随分気にかけてたが? 一体どういう風の吹き回しだ?」
「あらやだ。もしかしてフィクサーって、ロリコン?」
「えぇー、そうだったんですか! 隊長!?」
「馬鹿! ちげぇよ! 俺はただ、子供が好きなだけだ!」
「世間では、それをロリコンと言うんじゃないのか?」
「リッパー……、お前なぁ……」
スレイヴ・レイス隊の面々も、各々の配置付くべく、準備を進めていた。
その最中、スレイヴ・レイス隊の面々はいつものようにお喋りに興じていた。
その話題は、フィクサーのロリコン疑惑である。
最も、フィクサーはリル准尉に異性として惹かれている訳ではなかった。
彼は、リル准尉に同じ年頃の、十八歳になる自身の息子の姿を重ねていたのである。
彼は十八年前まで、当時サイド3に駐留する連邦軍部隊に勤務していた。
その時、現地で知り合ったエルナと言う女性との間に子供をもうけるまでの関係となったのだが、その後、地球の部隊に転属となり、その際、エルナと子供とは離れ離れとなり、そのままジオン公国との戦争が勃発。
戦争勃発後、エルナと当時幼かった息子の安否をあらゆる手段を使って確認しようとしたのだが、それが、皮肉にも彼にスパイの嫌疑をかける事となる。
自分自身の息子なのに、今どこで何をしてるのかすら分からない。
だからこそ、フィクサーは、せめて同じ年頃のリル准尉等を気にかける事で、それが、酷い父親となったフィクサー自身にとって、息子に対する贖罪になると信じていたのだ。
「お前ら、俺をからかうのはいいが、そろそろお仕事の時間だぞ!」
刹那、気持ちを切り替えるかのように、部下に喝を入れると、フィクサーは自身の操るモビルスーツを配置に付かせるべく移動を開始した。
濃淡グレーを基調とした塗装が施されたのは、陸戦型ガンダムをベースとした強化改修試作機。
センサーや光学カメラ、それに通信機器を最新鋭のものに換装、それに伴い頭部形状が変更した他。
バックパックも出力の高いものに変更し、肩部にウェブラル・アーマーを装備するなど、試作装備も取り入れられている。
本来は別部隊に配備される予定だったものを、ダイバーお得意の書類偽造によりスレイヴ・レイス隊へと配備され、今やフィクサーの乗機となったその機体の名は。
形式番号RX-79[G]SW、スレイヴ・レイス。
隷属する亡霊、その名の通り、グレイヴの奴隷である同名部隊を由来とした名前が付けられていた。
「へいへーい」
「ふん……」
そんなスレイヴ・レイスの後に続くのは、同じく部隊カラーである濃淡グレー系統に塗装された、かつて砂漠の妖精として名を馳せ、今や亡霊の妖精と化した、リッパー操るガンダム・ピクシー。
そして、先行量産型ジムと呼ばれる、連邦軍の対モビルスーツ戦想定モビルスーツの開発過渡期に開発された機体をベースに、陸軍が陸戦型ガンダムと生産ラインを共有させ誕生した機体。
その為、ジムの名が付いているものの、RGM-79 ジムとは少々異なる機体。
形式番号RGM-79[G]、陸戦型ジム。
同機のバックパックを陸戦型ガンダムのものに換装し、ウェポン・コンテナを装備した、専用チューンナップを施した、ボマー操る陸戦型ジム。
そんな三機は、事前に決められた通り、各々の配置についていく。
ボマー専用陸戦型ジムは、ザク・アライヴとの遭遇戦の際に破壊され、今や使用不能となった三連装砲塔の上に陣取り、装備した手持ち式の六連ミサイルランチャーによる火力支援を行う。
その他、デルタチームから、携帯式の長距離支援火器である一八〇ミリキャノンを装備した、陸戦型ジムを操るラドリー少尉。
SRT-ユニット1より、中・近距離での支援火器として砲身の短いロケットランチャーを装備した、陸戦型ジムを操るデニス曹長と。
三隊から、それぞれ射撃が得意なメンバーが、各三連装砲塔上に陣取り、喪失したビッグ・トレーの火力を補う配置を取る。
そして、残りの面々が、三方を警戒する様に配置につき、不測の事態に備える、というものであった。
「さーてと、それじゃ。後方の整備基地までの護衛を始めるとしますか」
因みに、今回の護衛任務に際して、全体を取りまとめる臨時の指揮官には、階級と年功序列の観点からフィクサーが任命された。
こうして、更に後方の整備基地までビッグ・トレーを護衛する任務が始まろうとした矢先。
不意に、彼らのコクピットに、後方整備基地が仕掛けた警戒用のセンサーが反応したとの情報が飛び込んでくる。
「ったく、何てタイミングだよ」
刹那、後方整備基地に物々しいサイレンが響き始める。
「カークランド中尉、どうしますか?」
「地上を高速移動する反応が二つ、おそらくドムとか言うモビルスーツと。それから空にも反応が一つ、おそらくドムの支援用爆撃機か何かだろう。となると、迂闊にビッグ・トレーを移動させるより、ここで敵を迎撃した方がよさそうだな」
情報をもとに、ビッグ・トレーを退避させるよりも、接近する敵の迎撃を選択するフィクサー。
方針が決まると、フィクサーは矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「火力支援の三人はその場で後方から支援を、ヒーリィ中尉とアラン少尉の隊は、地上のドムを頼む。……、リッパー、俺達は空の奴を片付けるぞ」
「了解だ」
そして、フィクサーの指示に従い、各々が行動を開始し、オペレーターの誘導に従って前進を始める。
「大尉! 連邦のモビルスーツが出てきます!?」
「それは好都合。ペドロ少尉、リスボー少尉。お前たちは迎撃に出てきた連邦の
一方、MS特殊小隊も、目標であるビッグ・トレーを撃破すべく、行動を開始する。
「ははは! 遅いわ!」
「この、チョロチョロと! 当たりなさいよ!」
「リル! 闇雲に撃ってちゃ駄目だ! よく狙わないと!」
「くそ! 早くて狙いが定められねぇ!」
「デルタ・スリー! 合図で火力を集中させて、奴の足を止めるぞ!」
「り、了解!」
後方整備基地の近くに広がる原生林群の中、アラン少尉とリル准尉、それにヒーリィ中尉とロフマン曹長の四人は。
それぞれ二対一で、ドムを相手に死闘を演じていた。
そんな彼らの上空を、先行量産型ゲルググを乗せたド・ダイIIが悠々と飛んでいく。
「間もなくだ、間もなくジオン十字勲章が自分の手に……、む!?」
「おっと、そう簡単に接近させる訳にはいかないんでね!」
「こいつを喰らえ!」
「おまけだ、こいつも受け取れ!」
「っち、小癪な!」
原生林群を抜け、後方整備基地に近づいたド・ダイIIではあったが、ビッグ・トレーの艦上に陣取った火力支援の三人の機体から放たれる弾幕を前に。
回避に専念する事になり、ビームライフルの狙いをうまく定められない先行量産型ゲルググ。
「よし、今度こそ……む?」
「見た事のない奴、噂の新型か!? 面白そうだ!!」
一度弾幕の射程外に退避し、再度狙いを定めるべく突撃するド・ダイIIと先行量産型ゲルググ。
だが、その前に。
突如地上から、同じ高度まで天高く飛んだ灰色の妖精が立ちはだかった。
「くっ!」
咄嗟の反応で、灰色の妖精ことレイス仕様のガンダム・ピクシーが逆手に持ったビーム・ダガーの一閃を回避する先行量産型ゲルググ。
だが、回避したお陰で、ド・ダイIIから地上へと下ろされてしまう。
「まさかヒーリィ中尉の予測が的中するとはな!」
「っち! まだいたのか!?」
無事に着地を果たした先行量産型ゲルググ目掛け、火線が飛来する。
その発射元は、装備した一〇〇ミリマシンガンを発砲しながら接近するスレイヴ・レイスであった。
「小癪な!」
「っと! あれがジオンのビームライフルか!? こりゃ、確かに厄介な相手だな!」
シールドで一〇〇ミリ弾を防ぎつつ、お返しにスレイヴ・レイス目掛けて、ビームライフルから放たれる一筋の光。
警報音が鳴ると同時に、咄嗟にその光を躱したスレイヴ・レイスのコクピットで、フィクサーはその威力に驚嘆した。
だが、その威力を目の当たりにして、臆する彼ではなかった。
「だが、やる時ゃやるのが、俺の性分なんでね!」
「ほぉ、このゲルググに挑むか? いいでしょう! ビッグ・トレーだけでは物足りないと感じていた所です! 貴様ら連邦の
「俺を忘れるなよ!!」
「もう一体のガンダムタイプ!? まぁいい、まとめて屠ってくれましょう!!」
各々が砲火を交え始める中。
そんな戦闘の様子を、警戒用のセンサーの範囲外から眺めている部隊の姿があった。
その名を、第046独立部隊。
「あの部隊章に部隊カラー……、それにピクシーにハンサム顔は……。まさしく、スレイヴ・レイス隊。しかも、あっちの陸戦型ジムの肩や小型シールドに描かれてる部隊章は、デルタチーム。……げ! あっちの陸戦型ジムはSRT-ユニット1かよ!? な、何なんだよこのオールスターは……」
ギャロップの艦橋で、戦闘の様子をモニター越しに眺めていたランドニーは、MS特殊小隊が対峙している連邦軍部隊の正体を見抜くや、驚嘆の声を挙げた。
まさか、一年戦争を題材としたガンダムゲームの連邦側主人公達と遭遇する事になるとは、微塵も想定していなかったからだ。
「ねぇ、シモン君。あの敵って、そんなに有名なの?」
「いや、俺、ゲームの方の登場人物とかは詳しくないから分かんねぇから何とも……」
「メノ、彼らは以前模擬戦を行ったレッドチームと同じく、所謂外伝作品の主人公だ。だから知名度に差異はあるが、それでも、ネームドである事に変わりはない、だからこそ」
「油断は大敵、ですね」
「そういう事だ」
「あ、所でさ。あの灰色の機体って、以前あたし達がオークションに出品したのと似てるけど、もしかして同じのだったりして?」
「まさか、そんな事は、ない。……、と思うが」
乗機のコクピット内で、同じく戦闘の様子を見ていた他の面々も、各々の感想などを漏らす。
「所で、ランドニー。俺達はいつまで静観してるつもり?」
「んー、そうだな」
ユーリアンの質問に、ランドニーは言葉を詰まらせた。
何故なら、いつこの戦闘に介入するのか、そのタイミングを図りかねていたからだ。
「ぬ!? このドムが!?」
「もらった!」
「何!?」
「そこだ!」
と、その間にも、ペドロ少尉とリスボー少尉操るドムが、各々凶弾に倒れ。
「こ、こいつ! 何だ、この速さは!?」
「新型と言ってもこの程度か、とんだ肩透かしだ!」
「ひ! く、くるなぁ!!」
「切り刻んでやるよ!!」
光の弾幕を掻い潜り、先行量産型ゲルググの懐に飛び込んだレイス仕様のガンダム・ピクシーは、その両腕を振るい、装備したビーム・ダガーの光の刃で、文字通り先行量産型ゲルググを切り刻んでいく。
程なく、無残に切り刻まれ、先行量産型ゲルググは鉄塊と化した。
「よし! 全機突入! ユーリアン、沙亜、ロッシュは突撃! メノとシモンは三人の援護だ! ……ギャロップも発進準備!」
刹那、ランドニーから出撃の合図が飛び、五体の鋼鉄の巨人が動き出す。
いつもご愛読いただき、本当にありがとうございます。
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