「この薬を食後に3回、朝昼晩と飲んでください。そうすれば数日で元に戻るでしょう。」
ああ、情けない、恥ずかしい、穴があったら入りたい。
「そう落ち込まずに‼︎その姿になった錆兎さんもかっこいいですよ。」
「…ハァ」
グッと拳を握り励ましてくれるしのぶには悪いがその笑顔はいつもより輝いていてこの状況を楽しんでいるように見え溜息が出る。
項垂れ視界に入った自身の体は全体的に骨張っていて大きく、その変わりようにもう一度大きな溜息を吐いた。
まんま原作の錆兎が成長した姿じゃないか。
経緯は単純。斬った鬼の血鬼術で性別が男になった。
どんな血鬼術だよ‼︎鬼消えても続く術とか凄いけどその内容で台無しだわ‼︎
私がどんな気持ちで蝶屋敷まで来たと思う⁉︎背が高くなり着れなくなった隊服で体を隠し近くにあった藤の家紋の家で着替えさせてもらってから慣れない視点でえっちらおっちら来たんだぞ‼︎
公然猥褻で捕まるかと思った‼︎あと藤の家紋の家の人達‼︎着物ありがとう‼︎今度何かお礼に持って行きます‼︎
「うーん、でもまあ任務はとりあえずやめたほうがいいでしょうね。任務中に何かあっては命取りになりますから」
「だな。お館様には情けないがもう伝えて返事をもらっている。これを期に数日休むように、と」
「でしたらここにいてはどうですか?ここなら何かあってもすぐ対応できますし皆も喜ぶでしょう」
「いや、前半は正論だが後半はダメだろう。この姿であったら混乱してしまう」
そして何より私が羞恥で死ねる
「しのぶー?皆を集めて来たけど何かあったの?…あら?」
ファ⁉︎
なんでカナエ達がここに⁉︎
え?鴉を飛ばして呼んだ?し、しのぶおまっ、やっぱり楽しんでるなこの状況を‼︎こら‼︎ニヨニヨするな‼︎あああもう‼︎
「え、さ、錆兎さん…?ですが?」
「でもいつもの錆兎さんより大きくてまるで男の人みたいです」
「錆兎さんの親戚の方…とかですか?」
ほらぁ‼︎なほ、きよ、すみが混乱してるじゃん‼︎
カナエ、カナヲ、アオイも固まってるしさぁ‼︎
もう逃げ場ないじゃんか‼︎
「なほ、きよ、すみ、私は錆兎で間違いないよ。えーっと、鬼の血鬼術でこうなってるだけで数日で元に戻るから…混乱させて悪いな。」
羞恥心で逃げたい衝動を抑えつつ3人の目線に合わせて屈みそう言えば暫くぽけっとしたあと3人はリンゴみたいに顔を真っ赤にしてカナエの後ろに隠れた。
え、なに、その動き。ショックがすごいんだが…
「ふふっ中身だけじゃなく外見まで男前になった錆兎に照れちゃったのね。でも数日で戻っちゃうのはなんだか勿体無いわねぇ」
「いや、これ一応鬼の術だからね?体にいいものでもないし不便だし」
「いいじゃないですか、この数日じっくり楽しみましょうよ姉さん」
あ、しのぶついに言っちゃった、楽しいって。
初小話はもしも錆兎が鬼の血鬼術で男になったら、でまずは超屋敷のメンバーとご対面です。
しのぶは終始面白がり、カナエとカナヲはニコニコ、なほ、きよ、すみは照れてます。
全く喋らなかったアオイも顔真っ赤にして固まっています。
錆兎男バージョンは179㎝で髪の長さも短くなっています。
他の人達とも対面させたいですね。