1
―――縹家。
大巫女・瑠花の娘である瑠璃姫は、室にいた。
まだ10歳でありながらも、彼女はじゅうぶんに美しい。紺瑠璃の瞳と輝く漆黒の髪。しかし、彼女の容姿は他の縹家の者と比べれば異色であった。瑠花が自分の娘だというから瑠花の出産を目にした者がいなくても瑠璃は娘だと思われてきたが・・・。
瑠璃は部屋の窓から、空を見上げた。母や祖先たちが守ってきたこの地の、見慣れた空。でも―――それは、閉じ込められているようにも思えて。
何かを決心したように頷くと、瑠璃は部屋を出て扉を閉めた。
「お母様。」
瑠璃が声をかけると、瑠花は片眉をあげた。それ以外に何も反応しないが、瑠璃はそんなことは気にしない。いつものことだ。
「・・・賭けを、いたししましょう。」
その言葉で、瑠花はようやく顔をあげた。瑠璃に視線を向ける。それは先を促す合図。
「私が勝ったら、縹家から私を勘当してください。」
「―――そなたが負けたら。」
口を開いた瑠花に満足げに笑むと、瑠璃は嫣然と微笑んだ。
「私はこれから貴女の意に従いましょう。」
齢10歳にして、人生を分かつ賭けに出た瑠璃。
さすがは自分の娘と、瑠花は口の端を持ちあげた。
「良い。して、内容は。」
「・・・いずれ羽羽は、
「・・・なるほど・・・。良い、受ける。」
「しっかり言質は取りましたからね。そのような約束しなかった、などと言わないでくださいませ?」
「瑠璃!」
「英姫姉様。」
姉とも慕う英姫に声をかけられて、瑠璃は振り向いてふわりと笑みを浮かべた。
「英姫姉様、母様と賭けをしてきました。」
「瑠花様と?!瑠璃・・・何を賭けたの。」
「羽羽が、いつ縹家を出るか。私が勝ったらこの家から勘当してもらいます。」
「・・・瑠璃っ!」
声を荒げた英姫に、瑠璃は微笑んでみせた。
「大丈夫ですよ、英姫姉様。下手なことはしません。」
英姫はそれでもなお心配そうに見てくる。瑠璃は思わず苦笑した。
「瑠璃、いくら貴女だからといって・・・縹家を出たらどうするつもりなの?」
「縹の名は使いませんよ。大丈夫、どうにかします。」
英姫は眉を寄せた。
確かに、瑠璃は縹家を出ても自分でどうにかできるだろう。異能はないが、歌や楽、画と碧宝に値するほどの芸才を持つ瑠璃のことだ。それでも・・・妹のように可愛がってきた彼女のことは、やはり心配で。
「・・・瑠璃、心配はさせてね。」
英姫の言葉に、瑠璃は一瞬だけ顔を歪めた。
プロローグ。
捏造過多です。原作描写がないのをいいことに捏造しまくっております。