「・・・あの・・・戩華。」
「何だ。」
「・・・軍師って、軍師ですわよね?」
「その他に何がある?」
「私は栗花落のもとで働きたいのですわ。・・・貴方のもとが嫌というわけではないのですが。」
「・・・戩華、君が瑠璃を気に入ったのはわかるけどさ。」
―――わかるの?!
とでも問いたげな瑠璃の視線を見なかったことにすると、栗花落はため息を吐いた。
「いきなり入ってきたコに軍師なんて任せてみなよ。昨日の今日だよ?本当に話がわかる奴ならともかく、軍が乱れる。」
栗花落の言葉は、現状を言い表していた。
瑠璃にとって侮辱のような言葉であっても、瑠璃はそれを当たり前のように受け取る。
「栗花落の言う通りですわよ、戩華。私がある程度功績を立ててからでないと乱れて、・・・収拾がつかなくなりますわ。それがわからぬほど莫迦でもないでしょう。」
「ああ。」
「・・・何だ、試しただけか。紛らわしいことしないでよ、戩華。」
栗花落が再度溜息を吐く。
戩華は栗花落から視線を外すと、瑠璃を見た。
「・・・だが、お前が栗花落と同等の実力を持つのは同じ。」
「私は影で手伝うだけでいいです。私がしたいのは、この腐敗しきった国を建て直すこと。建て直すというより、一度完全に破壊して一から作り直すというべきでしょうか?私、そういう考え方、結構好きですの。私が縹家を飛び出したのも一度すべてを壊したかったからですし?」
それを聞いていた戩華が、突如として笑いだした。
「何ですの・・・戩華。」
「いや。・・・お前は、面白い奴だと思ってな。」
「面白いですか?縹家ではつまらないと言われていましたが。」
「そうだとしたら、縹家は見る目がないな。」
「まあ、随分な言いようですのね。・・・それで、戩華。」
「何だ。」
「私、これから何をすればよろしいんですの?何も指示されていませんが。」
「・・・そうだな、しばらくは栗花落の下についておけ。黒狼の補佐を誰にするか迷っていたところだったが、ちょうど良かった。」
「それは・・・隠れて、補佐をしろということでしょうか?」
「補佐というより、補佐の“ようなもの”というのが正しいか。」
「わかりました。栗花落の補佐、務めあげて見せますわ。」
「頼もしいね、瑠璃。」
「伊達に“無能”でありながら縹家で洗脳されないでいたわけじゃありませんわよ?頼りにしてね、栗花落。」
「そうさせてもらうよ。頼もしくて可愛い補佐を連れてきてくれた櫂喩殿にお礼を言わなければならないね。」
その言葉に、瑠璃はピキッと固まった。
戩華王に気に入られてみました。