「・・・何、しようかしら。」
瑠璃は一人、歩いていた。
そもそも、ここがどこかすらわからない。誰かに聞こうにも、人がいない。どうしてこんなところに縹家の入り口があるんだろう・・・。それに、英姫姉様はどうして私をここに飛ばしたんだろう・・・。
疑問が頭をよぎるが、すべて振り払う。とりあえず人を探そう。幸い、縹家で武術をたしなんでいたため体力はある。
―――と。
視界を何かがかすめた。
「・・・って何だ、猿じゃない・・・。人がいなけりゃ意味ないのに・・・。」
っていうか、さっきから階段が続いている此処、いったい何なのかしら。
隠し階段もあるし奇妙な仕掛けもあるし。
この先に人いるのかしら?
さっきから猿しか出てこないし。
まあ、食料は色々あるから確保できそうだけど・・・。
悶々と考えて階段を一段飛ばしで駆けあがっていると、いつのまにか頂上にたどりついていたらしい。
「・・・なんっにもない・・・。」
っていうか。
ここ、何?暗闇迷路?
しかも絶対奇妙な仕掛けあるよね?本当に何なの此処?
縹家の書物の中にこんな場所があるなんて書いていなかったし。
まさか異世界?!
・・・そんなわけ、ないか。
にしてもすっごい頭脳戦・・・。
武術やっていて良かった・・・。天つ才持っていて良かった・・・。
どちらか一つが欠けていれば、間違いなく瑠璃は途方に暮れていた。
―――そう思った瞬間、ふっとある光景が見えた。
自分と同じくらいの少女が、立っている姿。
すぐに消えたそれに、瑠璃はため息を吐く。
「・・・疲れているのかしら・・・?幻覚?」
―――結局、瑠璃は迷路を踏破するのに一日まるまる費やしてしまった。
でも、その後に民家が見えてきたからよしとする!うん。
まあ、この時間じゃ尋ねていっても迷惑か・・・そう考えていると。
「―――貴女は?」
同い年くらいの少女に問いかけれて、面喰った。
―――誰?
というかさっきまで誰もいなかったはずなのにどっから出てきたの、この子?
混乱する瑠璃に、少女はクスリと微笑んだ。
「名を、教えてください。」
優しい、優しい笑みを浮かべて。
その笑みに見覚えがある気がして、瑠璃は内心首を傾げながら微笑んだ。
「―――瑠璃、です。」
「瑠璃さん、ですね。どうやってここに来たのです?」
「・・・どう、って・・・。そこの、奇妙な仕掛けと迷路を解いてですけれど。」
「・・・貴女に解かれるなんて。・・・紅家の姫ではありませんよね?」
「・・・ええ、そうですけれど。」
紅家の血なんて入っているはずもない。
なぜ、紅家の名が出てくるのだろうか?
彼女の正体も完全にご都合主義となります。
瑠璃は無駄に(?)知識と体力と運はありますが世間知らずの箱入り娘です。