魔法少女ZOË   作:サーフ

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コロナ怖いですね…

感染したら降格させると上司に脅されました…

パワハラかな?


発動

 

  はやてが笑みを浮かべる中海の方からエネルギー反応を確認する。

 

「闇の書の反応、依然健在です」

 

「なんだって!」

 

「アレは危険や、近付いたらあかん」

 

 はやてが、飛翔した物体を指差す。

 

 黒い物体は依然として活動を続けており、巨大化していく。

 

 はやては手を広げ、静かに呟く。

 

「さぁ……おいで、私の騎士達」

 

 はやての言葉と共に、4つの魔法陣が現れ、光を放つ。

 

「我等、夜天の主の下に集いし騎士」

 

「主在る限り、我等の魂、尽きる事無し」

 

「この身に命在る限り、我等は御身の許に在り」 

 

「我等が主。夜天の王、八神はやての名の下に」

 

 ヴォルケンリッター全員が再び姿を現す。

 

「良かった……皆……無事やね!」

 

「はい!」

 

「ご無事で何よりです」

 

「あぁ。こうして皆揃う事が出来た」

 

 ヴォルケンリッターは全員、笑みを浮かべる。

 

「はやてちゃん」

 

「はやて」

 

 なのはとフェイトもはやてに駆け寄る。

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん、ごめんな。私の騎士達が迷惑かけてしもたみたいで……手加減するようには言うたんやけど……」

 

「まぁ……我等より……」

 

 シグナムがこちらに視線を向ける。

 

「何でしょうか?」

 

「いや、なんでもない」

 

「私達は平気だから。ね、なのは」

 

「あ、え、うん」

 

「そっか、ありがとな」

 

 その時、上空からクロノが接近する。

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。和んでいるところ申し訳ないが、時間が無いのでこちらの話を聞いてほしい」

 

 クロノは私達を一瞬見据えたが、すぐに視線を逸らす。

 

 

「聞いてくれ。あそこの黒い物体……闇の書の防衛プログラムが、後数分で暴走を始める。僕等は何らかの方法でそれを止める必要がある。停止させる方法は、現在二つ」

 

「その方法は?」

 

 なのはが首を傾げる。

 

 

「まず一つ目。極めて強力な氷結魔法で活動停止させる。そして二つ目、衛星軌道上で待機しているアースラの魔導砲……アルカンシェルで消滅させる。僕達が出した案はこの二つ。これ以外に他にいい手は無いか? 闇の書の主とその守護騎士の皆に訊きたい」

 

 シャマルが軽く手を上げる。

 

「えーと……最初のは多分難しいお思います。主のない防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから。それを凍結させても、コアが在る限り再生機能は止まりません」

 

「となると……アルカンシェルだが……簡単に説明すれば、発動地点を中心に約100キロ範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる魔導砲だ……つまり辺り一面が吹き飛ぶ」

 

「そんなの絶対ダメ!」

 

 なのはが、アルカンシェルの使用を否定する。

 

「僕も……艦長も使いたくないさ。でも、あれの暴走が本格的に始まったら被害はそれよりずっと大きくなる……時間もない」

 

 全員が手詰まりと言った感じで、俯く。

 

「発動範囲は100キロ前後ですか?」

 

「あぁ、そうだが」

 

 私の質問に対し、クロノが頷く。

 

「演算終了。防衛プログラムとその周辺にベクタートラップを展開します。それにより爆発の威力を封じ込めることは可能です」

 

「は?」

 

「え?」

 

 全員が唖然とした表情をする。

 

「我々には、ベクタートラップと呼ばれる空間圧縮技術があります」

 

「その、空間圧縮を利用し、爆発をベクタートラップ内に封じ込めます」

 

「そんな……事が可能なのか?」

 

「可能です」

 

「いや……しかし……」

 

「ご不満ですか?」

 

「まぁ……」

 

「地上で使うのは……怖いかな」

 

 なのはが小さく呟く。

 

「では、別のミッションプランを提示いたします」

 

 私が空中にホログラムを投影する。

 

「目標を軌道上で待機していたアースラ前方へ移送。その後、宇宙空間にて、アルカンシェルの攻撃により殲滅するプランを推奨します」

 

「だが、あんな巨大な物体をどうやって……」

 

「標的の重量分析が終了しました。我々だけで宇宙空間までの移送が十分に可能な重量であると判断できます」

 

「何を言っているの?」

 

 なのはとフェイトが理解できない様で、首を傾げる。

 

「アレだけの物体をどうやって運ぶつもりだ」

 

「こちらを使用します」

 

 私達はベクタートラップ内に隠匿していたオービタルフレームを開放する。

 

「なんだ……これは?」

 

「ロボット??」

 

「え?」

 

 全員が唖然とする。

 

「こちらは、オービタルフレームと呼ばれる機動兵器です。オービタルフレームを使用すれば、目標を大気圏まで移送できます」

 

「確かに……コレならできるかもしれないが……闇の書の防衛プログラムだって大人しくはしていないだろう」

 

「攻撃により、対象の動きを抑制します」

 

「君達の言うことだ……嘘ではないだろう……わかった……君達に任せよう」

 

 クロノは何処か納得入っていない様だが、頷いた。

 

「それでは、作戦行動に移行します」

 

 私達はオービタルフレームに乗り込み、神経接続を行った。

 

「オービタルフレームジェフティ」

 

「オービタルフレームアヌビス」

 

「「起動」」

 

 2対のオービタルフレームが輝きを放ち、起動する。

 

「高エネルギー反応!! これは……あの時の……」

 

 クロノが驚愕し数歩後退る。

 

「これより攻撃行動に移行します」

 

「危険ですので離れて居てください」

 

「了解や」

 

 全員が退避する。

 

「退避確認」

 

「作戦開始」

 

 ジェフティとアヌビスが高速で闇の書の防衛プログラムに接近する。

 

 防衛プログラムから多数の砲撃などが発生する。

 

「シールド展開」

 

 周辺に発生する被害を抑える為シールドにより全ての砲撃を受け止める。

 

 攻めりくる触腕をブレードで切り払う。

 

「攻撃開始」

 

 アヌビスがウアスロッドを構え、ゼロシフトで防衛プログラムの側へと移動する。

 

「瞬間移動!」

 

「アレだけの巨大な機体を……どうやって……」

 

「もはや……訳が分からん……」

 

 安全圏に退避した面々が口を開く。

 

 アヌビスがウアスロッドを振り下ろすと、防衛プログラムの一部が吹き飛ぶ。

 

 防衛プログラムは声にならない悲鳴を上げ悶え苦しむ。

 

「一撃で……防衛プログラムを……」

 

「私達あんなのを相手してたの?」

 

「敵じゃなくて良かったと……痛感しますね」

 

「だが、防衛プログラムも再生を始めている……」

 

 防衛プログラムが欠損部の修復を開始する。

 

 しかし、それなりのエネルギーは使用している様だ。

 

「継続的なダメージにより活動停止に追い込むことが可能だと思われます」

 

「了解」

 

 ジェフティはサブウェポンのハルバードを装備する。

 

 防衛プログラムの周辺に魔法陣が展開されエネルギーが充填される。

 

「データ確認。スターライトブレイカーです」

 

「問題ありません。ハルバード照射」

 

 マルチウェポンデバイスからハルバードが防衛プログラムに向け照射される。

 

 それと同時にスターライトブレイカーが発射される。

 

 ハルバードとスターライトブレイカーが衝突する。

 

 ハルバードはスターライトブレイカーを容易く貫くと、そのまま防衛プログラムを貫通する。

 

 貫通によりコアを損傷したのか、活動が停止した。

 

「なんという……威力なんだ……」

 

「防衛プログラムの動きが止まった……」

 

 私達はオービタルフレームで活動停止した防衛プログラムに接近する。

 

「「ウィスプ起動」」

 

「「拘束します」」

 

 全てのウィスプを使用し防衛プログラムを拘束する。

 

 私はアースラへ通信を繋ぐ。

 

『これより防衛プログラムを貴艦前方へと飛ばします』

 

『え?』

 

『アルカンシェルの発射準備は?』

 

『いつでも行けるわ』

 

『了解。移送します』

 

 ジェフティとアヌビスは防衛プログラムの背後にベクタートラップを展開する。

 

 2機のオービタルフレームのベクタートラップにより防衛プログラムの背後の空間が圧縮される

 

「「ベクタートラップ開放」」

 

 同時にベクタートラップを開放し、ゼロシフトの要領で防衛プログラムを吹き飛ばす。

 

 オービタルフレームのように計算された弾道ではない為防衛プログラム自体には大規模な衝撃が発生し、ダメージを与える。

 

 数秒後には大気圏を抜け、防衛プログラムがアースラ前方へと移動した。

 

『間もなく前方へ到達します』

 

『確認したわ。アルカンシェル発射!』

 

 アースラよりアルカンシェルが発射され、防衛プログラムに直撃する。

 

 その直後大規模な爆発が宇宙空間で発生する。

 

「やったか?」

 

 クロノが空を見上げ呟く。

 

 

「まだです、防衛プログラム依然健在」

 

「え?」

 

『きゃあ!!』

 

 リンディの悲鳴が通信に入る。

 

『母さん!』

 

『防衛プログラムが……アースラを……』

 

『え?』

 

『アースラが防衛プログラムに汚染されたわ……』

 

『そんな……』

 

『アースラを自爆させる』

 

『提督……』

 

『それしかあるまい……クルーは全員退避!』

 

『提督!』

 

『自爆までには猶予がある。その間に脱出はできるはずだ』

 

『待ってください!』

 

『え?』

 

 リンディの唖然とした声が響く。

 

『自爆装置が……反応しない……』

 

『恐らく、防衛プログラムにより自爆システムが無効化されたものと思われます』

 

『そんな……』

 

『艦長! 提督! 急いでください!』

 

『エイミィ……』

 

 その瞬間、アースラからの通信が途切れる。

 

「母さん! エイミィ! どうなっているんだ!」

 

「アースラ完全に防衛プログラムの制御下になりました」

 

「そんな……」

 

 クロノが膝を付く。

 

 数分後、ノイズ混じりの通信が入る。

 

『ろ……の……クロノ!』

 

『エイミィ! 無事か?』

 

『何とかね。全員無事よ』

 

「よかった……」

 

 なのはが安堵の表情を見せる。

 

 リンディが通信に入る。

 

『でも状況は最悪よ。アースラを乗っ取った防衛プログラムは地球に向け移動しているわ』

 

『え?』

 

『ルートの予測だと……皆の上空に落下するわ!』

 

「なんだと!」

 

『アルカンシェルの反応……まさか!』

 

「アルカンシェル発射後、地球へ落下するものと推定されます」

 

「なんだって!」

 

「推定被害は、地球規模に相当します」

 

「そんな……」

 

「恐らく防衛プログラムがこちらを殲滅対象と判断したのでしょう」

 

『と、とにかく全員退避して!』

 

「退避って……一体どうやって!」

 

「それに、逃げたら地球が……」

 

「対象のスキャン完了」

 

「殲滅行動を開始します」

 

「え?」

 

「アースラを防衛プログラム諸共破壊します」

 

「だが、アースラと防衛プログラムを同時になんて……そんなの不可能だ!」

 

「それに、アースラはアルカンシェルだって……」

 

「問題ありません」

 

 私達は、アースラをロックする。

 

「これより、アースラの破壊に移行します」

 

「了解。ベクターキャノンモード」

 

「オーバーメガドライバーモード」

 

「「移行」」

 

 ジェフティがベクターキャノンモードに移行するように、アヌビスも同型の砲身を担ぐ。

 

「何あれ……」

 

「エネルギーが測定不能……だと」

 

「あんなもの……大丈夫なの?」

 

「大丈夫や。あの二人ならきっと」

 

 安全圏に対した全員が唖然として居る。

 

「「エネルギーライン、全段直結」」

 

 砲身にエネルギーラインを直結させる。

 

 それにより、ジェフティの全身と砲身自体にも青白いエネルギーラインが走り出す。

 

 アヌビスは赤黒いエネルギーラインが走る。

 

 エネルギーラインの直結により、砲身の前面に6個のアンプが浮遊する。

 

「「ランディングギア、アイゼン、ロック」」

 

 衝撃に備え、脚部を固定する為に、赤い色のアイゼンを地面に打ち込む。

 

「「チャンバー内、正常加圧中」」

 

 エネルギーがチャンバー内に集約される。

 

 砲身の上部に陽炎が発生する。

 

 それに伴い、アンプにもエネルギーが供給され始め、緩やかに回転を開始する。

 

 エネルギー供給ラインが上昇を開始する。

 

「「ライフリング回転開始」」

 

 エネルギーの供給が終了後、アンプが高速で回転し、ライフリングを形成する。

 

 回転速度も上昇し、安定期に入る。

 

「「撃てます」」

 

「「発射」」

 

 ジェフティとアヌビスから2対の破壊の濁流が発生する。

 

『アルカンシェル発射確認!』

 

 アースラからアルカンシェルが地上に向け放たれる。

 

 2対のオービタルフレームから放たれた暴力の濁流は、雲を突き抜け、アルカンシェルと衝突する。

 

 その直後、アルカンシェルは直ぐに飲み込まれアースラと防衛プログラムを消し去った。

 

 その後には何も残らず、空は雲が晴れている。




やはり、ベクターキャノンはすべてを解決させる。

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