魔法少女ZOË   作:サーフ

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そろそろ、なのはファンに怒られそうで怖い


再戦

 

   ミッドチルダの奥深く。

 

 隠匿された秘密基地の一室で巨大なモニターの目の前に一人の男性がいた。

 

 紫色の髪に白衣を身に纏った男性はモニターに映し出される不鮮明な映像を瞬きせずに見つめていた。

 

 彼はジェイル・スカリエッティ。次元犯罪者であり、科学者である。

 

「ここでしたか、ドクター」

 

 一人の女性が白衣の男性のもとに歩み寄る。

 

「ウーノか。これを見てごらん」

 

 ウーノはスカリエッティに促されモニターに目を向ける。

 

「これは?」

 

「ガジェット・ドローンから送られてきた映像だ。実地試験として訓練中の魔導士と戦わせようとしたのだがね。ここからだ」

 

 スカリエッティがそういうと、次の瞬間。

 

 映像中のガジェット・ドローンが謎の青白い光に薙ぎ払われ消滅する。

 

 それと同時に映像が途切れる。

 

「これは? 一体?」

 

「私が作り上げたガジェット・ドローンが一瞬にして破壊される……素晴らしいではないか!」

 

「ドクター……」

 

「この映像が録画された時刻に強大なエネルギーを計測されている。そのエネルギーの波長に酷似しているのがこれだ」

 

 スカリエッティが端末を操作するとモニターに資料が映し出される。

 

「数年前、時空の歪みから回収した謎の鉱物だ。私はこれをメタトロンと名付けた」

 

「メタトロン?」

 

「この鉱物を調べていると、その名が浮かんだのだよ。いや……名乗られた……とでもいうべきか」

 

 スカリエッティは嬉々とした表情を浮かべる。

 

「収集できたメタトロンはサンプル程度の量しかないが、それだけでもジュエルシードやレリック、並みのロストロギアを遥かに凌駕するエネルギーを秘めている!」

 

 スカリエッティの興奮度が上昇する。

 

「そんな強大な力を持った存在が現れたかも知れないと考えるだけで!」

 

「ドクター……」

 

「人類は有史以来多くのエネルギーを得てきた。メタトロン程のエネルギーが導く未来! さぁ! これから忙しくなるぞ。まずは手始めに観測装置の準備をしなければ」

 

「そうですか」

 

 スカリエッティはまるでおもちゃを与えられた子供のようにモニターにくぎ付けとなる。

 

「ウーノ」

 

「はい」

 

 スカリエッティは振り返ることなく続ける。

 

「眠っているナンバーズだが、それに構っている余裕はなさそうだ」

 

「え?」

 

 ウーノは唖然とする。

 

 それもそのはずだ。

 

 ナンバーズはウーノにとって姉妹とも言える存在なのだから。

 

「ですが、もうじき目を──」

 

「聞こえなかったのか?」

 

 スカリエッティはゆっくりと振り返る。

 

「構っている余裕はないのだよ」

 

「しかし──」

 

「処分は任せる。私は忙しい」

 

 スカリエッティは一言告げると作業を開始した。

 

 目を覚まさない姉妹たちの処分を命じられたウーノは……

 

「わかり……ました」

 

 そう一言呟き、姉妹たちの処分作業に移行した。

 

 

 

  書類をまとめ終えたはやては椅子から立ち上がる。

 

「おまたせやね。さて、それじゃあ六課の中を案内しよか。部隊の皆にも紹介せなあかんからな」

 

「了解」

 

 私達ははやてに続き部隊長室を後にした。

 

 しばらく歩みを進めると私たちの前に先程の2人が駆け寄る。

 

「あの!」

 

「先程はすいませんでした!!」

 

 スバルとティアが頭を下げる。

 

「お気にせずに」

 

「2人がそう言っているんやから気にせんでええよ」

 

「フェイトさんから気にする事じゃないって言われたのですが……」

 

「それでも謝りたくて」

 

 2人は再び同時に頭を下げた。

 

「その、改めて自己紹介します。私、スバル・ナカジマと言います」

 

「ティアナ・ランスターです」

 

「「よろしくお願いします」」

 

「「よろしくお願いします」」

 

 私達が挨拶を返すとはやてが間に入る。

 

「ほかの皆はどこにおるん?」

 

「フェイトさんがロビーに集めています」

 

「そか。じゃあロビーに向かうで」

 

「了解」

 

 はやてに続き、私達はロビーに移動した。

 

「ここや」

 

 ロビーに通されると複数人がすでに待機している。

 

 その中にはフェイトとヴォルケンリッターの姿もあった。

 

「え? 時空漂流者って……え?」

 

「なんで2人がここに?」

 

「どうなってんだよ!」

 

「まぁまぁ、落ち着いて」

 

 立ち上がり混乱しているヴォルケンリッターをはやてが落ち着かせる。

 

「主? これは一体?」

 

「フェイトちゃん……また説明せんかったんか……」

 

「サプライズだからね」

 

「はぁ……」

 

 混乱しているヴォルケンリッターを目にしてほかのメンバーも連鎖的に混乱しているのか全員の視線がこちらに集まる。

 

「さて、皆は……なのはちゃん以外集まっとるな? 急な招集をかけたのはこの2人の次元漂流者を六課で保護することになったからや。2人とも自己紹介を」

 

「エイダです」

 

「デルフィです」

 

 簡単な自己紹介を済ませるとはやてが口を開く。

 

「まぁ、2人はあまり不必要な事はしゃべらないんや」

 

 はやては苦笑いを浮かべる。

 

 その時、フェイトが少年と少女の背後に移動した。

 

「さぁ、2人も挨拶して」

 

 フェイトに促され2人が立ち上がる。

 

「ライトニング3、エリオ・モンディアルです」

 

 エリオと名乗る少年が一礼する。

 

「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエです」

 

 続いてキャロと名乗る少女が一礼した。

 

「この2人もスバル達同様に六課のメンバーなの」

 

「そうなのです」

 

 2人の年齢は10代にもなっていないだろうか。

 

「あの、2人は部隊長とどういった関係なのでしょうか?」

 

 ティアナが口を開いた。

 

「この2人には結構前に世話になったんや。その時は短い間やったけど一緒に暮らしてたんや。まぁその事を本部にとやかく聞かれると面倒なことになるんやけどな」

 

「だから、2人の事はあまり外部には話さないようにね」

 

 フェイトがそういうと全員が困惑しつつ頷いた。

 

「さて、そろそろお開きやな」

 

 はやてがそういうと、全員が一礼しロビーを出て行った。

 

 

「2人もお疲れ様。部屋に案内するで」

 

「了解」

 

 私達は宛がわれた部屋へと移動した。

 

 

  翌日から六課での生活が始まった。

 

 調査目的である消失したメタトロンの捜索を行うべく周辺のスキャンを行うがメタトロンの反応は検知されない。

 

 郊外への調査が必要かもしれない。

 

 しかし現在私達は六課の保護下にあるためはやてに許可を取る必要があるだろう。

 

 私達ははやてが居る部隊長室へと移動した。

 

「失礼します」

 

「2人とも。どないしたん?」

 

 部隊長室の中でははやてとアインスが大量の書類が積まれた机を前にしていた。

 

「調査を行うために外出許可をいただきたいのですが」

 

「調査?」

 

「はい。消失したメタトロンの調査です」

 

「あぁ、それが目的やったな」

 

「その通りです」

 

「あー……それなんやが……」

 

 はやてはバツが悪そうに答える。

 

「2人の事に関してはまだ本部の承認が下りてないんや。せやからまだ2人を六課から外部へ出すことはできへんのや」

 

「そうですか」

 

「かんにんな」

 

「わかりました」

 

「それはそうと、2人は今暇なんか?」

 

「予定はありません」

 

「そうなんか……それなら、これ……手伝ってくれんか?」

 

 はやては山積みに置かれた書類を指さした。

 

「主……」

 

 アインスがはやてを横目にため息を吐く

 

「いや……だってなぁ……」

 

「了解です」

 

「失礼します」

 

 私達は書類の一部を手に取る。

 

「ほんま助かるわぁ」

 

「まったく……」

 

 はやてに促され私達は書類処理を開始した。

 

 

  十数分後。

 

「なぁ……アインス……」

 

「はい……」

 

「私等……今まで何やってたんやろな?」

 

 2人は茫然と私達が書類の処理を行っている様子を見ている。

 

「両手で別々の書類を……」

 

「適当にって……訳やないな」

 

 はやては一枚の書類に目を通し乾いた笑みを浮かべる。

 

「はやてちゃんの100倍以上速いのです……」

 

 リインも茫然としていた。

 

「終了しました」

 

 私達はまとめ終えた書類を机の上に置く。

 

「あ、ありがとうな。またお願いしてもええか?」

 

「構いません」

 

「主……まぁ、こんなに早く済むなら……」

 

 アインスは数回頷いていた。

 

「さて……予想より早く終わってもうたな……」

 

「そうですね」

 

「うーん……せや」

 

 はやては何か思いついたのか準備を始めた。

 

「今の時間やと、皆は訓練中やね」

 

「そうですね」

 

「見に行かへんか?」

 

 はやてはこちらに視線を向ける。

 

「どうせ予定はないんや。ええやろ?」

 

「構いません」

 

「決まりや。案内するで」

 

「私も行きます」

 

 アインスがはやてに同行する。

 

「はいはーい! リインも行くです!」

 

「ならみんなで行こか。多分シグナム達も居るはずや」

 

 私達は部隊長を後に、トレーニングルームへと移動した。

 

 

 しばらく歩みを進め六課敷地内にあるトレーニングルームに到着する。

 

「ここは結構すごいんやで、様々な環境を想定した訓練ができるんや」

 

「市街戦、森林戦、海上戦そのほか様々なシチュエーションでのシミュレーションができるようになっています」

 

「あとちょっと細工するだけで、AMF下での戦闘も再現できるんや。これで対AMF戦も可能やな」

 

「AMFとは?」

 

「あぁ、主にガジェット・ドローンに搭載されておってな。Anti Magilink-Fieldの略称や。魔力結合、魔力効果発生を無効化したりするんや」

 

「とても厄介なのです」

 

「以前戦闘を行ったドローンに搭載されていた機能ですね」

 

「せやな」

 

 ドローンに残骸はすでに解析済みな為、AMFの機構は把握済みだ。

 

 流用も可能だろう。

 

「さて、到着や」

 

 トレーニングルームでは、スバル達がトレーニングを行っている様だ。

 

「今回のトレーニングメニューはシグナム考案のものですね」

 

「こりゃきつそうやな」

 

 私体がトレーニングエリアに到着するとシグナムがホワイトボードに戦術を記載しているところだった。

 

「つまり、近接戦闘においては──主ですか」

 

 扉を開けるとシグナムがこちらに気付き、訓練生が敬礼を行う。

 

「皆楽に。ちょっと見学にな」

 

「そうでしたか。2人も来ていたのか」

 

「はい」

 

「そうか……そうか」

 

 シグナムは少し考えを巡らせる。

 

「主、今日のトレーニングメニューを変更してもよろしいですか?」

 

「かまわんよ」

 

「ありがとうございます」

 

 シグナムがこちらに接近する。

 

「久しぶりにお前達と戦ってみたいと思ってな。少し付き合え」

 

「戦闘訓練ですか?」

 

「あぁそうだ。私達の戦いを皆に見せる。これが今回のトレーニングだ」

 

「はぁ……相変わらずやな」

 

 はやてとリイン、アインスは同時に溜息を吐いた。

 

「了解です。どちらがお相手いたしますか?」

 

「そうだな。前回の借りもあるから、エイダ頼めるか?」

 

「了解です」

 

「さて、全員見学ルームへ移動や」

 

「え?」

 

 訓練生は唖然としながらはやての指示に従う。

 

「ここは火の海になるかもしれん。二人とも暴れすぎたらあかんで」

 

「善処します」

 

 全員が見学ルームへ移動したのを確認後、シグナムがレヴァンティンを手に取る。

 

「さぁ! 行くぞ!」

 

 シグナムが大勢を低くしながら急接近するとレヴァンティンを横に凪ぐ。

 

 私は高速の斬撃をシールドで防ぐと、右腕をブレードに変化させ下から上に切り上げる。

 

「ふん!」

 

 シグナムはあえてレヴァンティンの刀身で私の振り上げる斬撃を受け止めると勢いを利用し宙に舞い上がる。

 

 その跳躍は天井にまで到達すると、天井に両足を付け足に力を籠める。

 

「くらえ!」

 

 天井を蹴った勢いを利用しながらレヴァンティンの刀身に魔力を籠めたシグナムが超高速で私の直上に急降下する。

 

「デコイリリース」

 

 私はその場でデコイを発生させ体を後方に飛び退く。

 

 その刹那、デコイがレヴァンティンの直撃を受け消滅する。

 

 シグナムの着地点では土煙が上がり、抉れた地面の上でシグナムは楽しそうにレヴァンティンを構えていた。

 

「よくぞ避けたな! だがこれではどうだ!」

 

 シグナムはその場で居合の様にレヴァンティンを腰に構え高速で接近する。

 

「紫電一閃!!」

 

 魔力を利用した高速移動によりレヴァンティンが私の眼前に迫る。

 

 私はブレードでレヴァンティンを受け止める。

 

 その直後、衝撃波が発生し周辺の機材がショートする。

 

「あぁああ! 中止や中止!」

 

 はやての声がスピーカー越しに木霊する。

 

「もう! 暴れすぎたらあかんって言ったやないか!!」

 

「申し訳ありません」

 

「主、申し訳ございません! つい……」

 

「はぁ……また始末書や……」

 

 はやては見学ルームで力なく項垂れていた。

 

「怒られてしまったな」

 

「そうですね」

 

「どうだった?」

 

「戦術はお見事です。ですが以前よりも魔力量が低下したように思えます」

 

「あぁ、その事か。実はリミッターが掛けられていてな」

 

「そうなのですか」

 

「あぁ、部隊が過剰な力を持たないようにする為の処置だ」

 

「過剰な戦力を持つ部隊は反逆の恐れがあると見なされる可能性もあります」

 

「まぁ、そういった思想を持っている奴もいないとは限らんさ。さて、戻るか」

 

「了解」

 

 私達は半壊したトレーニングルームを後にした。




まぁ、今回は平和な回ですね。

なのはが居ないと平和になるイメージ…
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