魔法少女ZOË   作:サーフ

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今回は日常回です。

まだ暴れるには早いです。



休息

   レリックを回収後、六課メンバーと共にヘリに乗り込み本部へと向かう。

 

 本部へと向かうヘリの内部では、新人達は先程の戦闘を思い起こしているのか、暗い表情をしていた。

 

 それを察してかなのはとフェイトは何も言わずにいる。

 

 しばらくヘリで移動し本部のヘリポートに着陸する。

 

 着陸したヘリにはやてが駆け寄ってくる。

 

 その背後にはアインスとその肩に乗ったリインの姿もあった。

 

「皆! お帰り! 大変やったね……」

 

「うん。なんとかね。エリオのケガも軽傷で済んでる」

 

「それは良かった……フェイトちゃん。レリックは?」

 

「ちゃんと回収できたよ」

 

 フェイトがレリックの収納されたジュラルミンケースをアインスに手渡す。

 

「任務完了やね。2人もありがとうな」

 

「いえ」

 

「お役に立てて光栄です」

 

「相変わらずやね。みんなもご苦労やね。詳しい報告は中に入ってから聞くで」

 

「了解」

 

「それと、なのはちゃん……話がある──」

 

「先にロビーに行ってる」

 

 はやての横を通り過ぎるとなのはがその場を後にした。

 

「はぁ……」

 

「大丈夫。後で私が──」

 

「もうええ……」

 

「……うん……」

 

「さぁ、皆。ロビーへ行こうか」

 

 はやてに促され私達はロビーへと移動した。

 

「さて……それじゃあ、報告お願いするわ」

 

「了解だよ」

 

 フェイトがはやてに報告を開始する。

 

「なるほどな。途中までは任務が順調に進んでおったよな」

 

「そう。でも急に敵の増援がやって来たんだ」

 

「少なくとも100機は超えておったわ……それに、その後のリニアレール……あれは一体なんやったんや?」

 

「調査班からの報告では無人機が何者かによりハッキングされ暴走状態に」

 

「暴走したリニアレールを突っ込んでまで回収を阻止しようとした……今回のレリックはそんなに重要な物だったんかや……」

 

「詳しく調べてないからまだわかりませんが、別段特別なものではないかと思われます」

 

 アインスの報告を聞きはやては首をかしげる。

 

「それなら一体何が目的なんや……」

 

「わからない……でも2人が居なければ結構危険だったよ」

 

 フェイトがこちらに視線を向け、スバル達新人が一礼する。

 

「でもさ、2人はさっきの作戦で質量兵器を使ったよね。その点はどうするの?」

 

 なのはが声を上げる。

 

「時空管理局の管理下での質量兵器使用は問題だよ」

 

「まぁ、その点については考えがあるで。アインス」

 

「はい」

 

 アインスが2枚のカードを私達に手渡す。

 

「簡単やけど、ストレージデバイスや。起動方法は──」

 

 受け取ったカードをスキャンし起動させる。

 

 起動した私のカードはサーベル状の簡素な武器へと変化した。

 

 構造が簡単な為、複製ができるだろう。

 

 デルフィはロット型だ。

 

「大丈夫みたいやな。これなら管理局のデバイスやし問題ないやろ」

 

「でも、今更デバイスを渡したって意味ないよね」

 

「まぁ、そうやね。せや。デバイスの譲渡に関する書類を書かなあかんな。アインス、今何時や?」

 

「現時刻ですか?」

 

 アインスが壁にかかった時計を見て時間を答える。

 

「うーん。ちょっと時間がずれてへんか? 私の時計と2時間はずれとるで」

 

 はやてが腕時計を確認する。

 

「しかし、時間は……」

 

 アインスは何か察したようにせき込む。

 

「そうですね。2時間程ずれてますね。あとで直しておきます」

 

「そうやろ。書類の時間は正確になぁ」

 

 はやてはそういうと書類を書き進める。

 

「さて……さっきの戦闘は1時間半前やったね」

 

 はやてが全員に視線を向ける。

 

「ちょっと待ってよ」

 

 なのはが声を上げる。

 

「どうしたんや?」

 

「そんなのがまかり通ると思ってるの?」

 

「通るも何も、なぁ?」

 

「そうだね。時間に間違いはないよ」

 

 フェイトが小さく笑う。

 

「フェイトちゃん?」

 

「まぁ、そういう事や。さて書類を作らなかんなぁ。それより保護対象である2人に危険な行為を行った方が問題やと思うんやが? その件も報告しよか?」

 

 はやてがわざとらしく書類にペンを走らせる。

 

「っ!」

 

 メンタルコンデションレベルが低下したなのはが踵を返し退室した。

 

「あらあら、ちょっとイジワルやったかな?」

 

「大丈夫だよ。なのはには後で私から言っておくから」

 

「感謝するで、フェイトちゃん」

 

 フェイトは笑みを浮かべるとその場を後にした。

 

「さて、そういう訳や。基本今後の戦闘ではデバイスを使ってもらうけど、物理兵器の使用に関しては二人の判断に任せるわ」

 

「了解です」

 

「さて、仕事や。ほかの皆も戻ってええよ」

 

 スバル達新人が退室後、私達も部屋を出た。

 

 

 

  薄暗い研究室をモニターの光が照らす。

 

 その光に照らされながらスカリエッティは視線をそらさずにいる。

 

「ドクター」

 

「これもダメか……」

 

 スカリエッティは手元の端末を操作し先程まで見ていた映像データを削除する。

 

「光学カメラ、サーモカメラ、魔力を用いたカメラ、そのほかすべての記憶媒体を用いて撮影を行ったが……特定の場所に差し掛かるとデータが破損している……全滅だ」

 

 スカリエッティは頭を抱える。

 

「ドクター。先程こちらが届きました」

 

 ウーノは1つのビデオテープを差し出す。

 

「管理局が回収したガジェットの残骸から回収しました」

 

「そうか。アナログ式のカメラも搭載しておいたのを忘れていたよ」

 

「しかしなぜ管理局から?」

 

「私の知り合いは管理局にも大勢いるという事だよ。再生したまえ」

 

「はぁ……」

 

 ウーノがビデオテープを再生させる。

 

 モニターには画質の悪い映像が映し出される。

 

 ドクターは表情を変えることなくモニターから視線をそらさない。

 

「これはっ!」

 

 今までの映像データでは破損していた先の光景が映し出される。

 

「おぉ!」

 

 画質の荒い中に2人の少女が映し出される。

 

「この2人が……」

 

「見ろ!」

 

 スカリエッティは嬉々とした表情を浮かべモニターを注視する。

 

 モニターの中の少女は見知らぬ兵器を取り出すとそれらを駆使しガジェットを一方的に破壊していく。

 

「これは……」

 

「見ろ! 圧倒的ではないか! 素晴らしい! この2人は実に素晴らしい!」

 

 スカリエッティは再生を終えたビデオテープを巻き戻し再び再生する。

 

「この光、これはメタトロンの光と酷似している」

 

 映像を分析しスカリエッティは呟く。

 

「この2人はメタトロンの申し子なのかもしれない」

 

 乱雑なメモを取りながらビデオテープをコピーすると同時に再生する。

 

「すごい! 暴走状態のリニアレールを素手で受け止めたぞ!」

 

「エースオブエースの攻撃を防ぎきるなんて……」

 

「やはり素晴らしいな!」

 

 スカリエッティの興奮は最高潮に達する。

 

「ん? おや、これはこれは」

 

 スカリエッティはある特定の場所でテープを止める。

 

「いかがいたしました?」

 

「見ろ、エースオブエースの表情を」

 

 スカリエッティは端末を操作しなのはの表情を拡大する。

 

「この憎悪に満ちた表情。そしてその視線の先には」

 

「あの2人が居ますね……」

 

「そうだ! これは利用できるかもしれない」

 

 スカリエッティは再びテープを再生しながらゆがんだ笑みを浮かべる。

 

  リニアレール暴走事件から数日が経過した。

 

 

「あぁぁあ……終わらん……終わらんのやぁ……」

 

 

 はやてはデスクに突っ伏している。

 

「なんでや……なんでこんなに書類が多いんや……私は……そんなこと望んでなんか……」

 

「愚痴ってる暇があったら仕事を続けてください」

 

 アインスがコーヒーの入ったマグカップをはやての前に差し出す。

 

「うぅうぅう……どうして私ばっかりなんや! 他のメンバーは休暇なのに……」

 

「休暇ではなく出張任務ですよ」

 

「実際は休暇なのです」

 

 リインとはやてのため息が重なる。

 

「二人もごめんな。まだ書類が終わらんから単独での外出許可を出せんのや」

 

「お気遣いなく」

 

「ほんまごめんな……ところで……」

 

 はやてが頭を下げつつこちらに視線を向ける。

 

「二人は暇っていう事やろ?」

 

「予定はありません」

 

「それならぁ……」

 

「主」

 

 アインスがはやてを一瞥する。

 

「なんや? まだなんも言ってないで?」

 

「2人に仕事を手伝ってもらうおつもりでしょうに」

 

「イヤ……ナンノコトヤラ」

 

「バレバレなのです」

 

 アインスとリインが首を横に振りため息を吐く。

 

「なんや! 私だって楽したい! 休みたいし1日中寝てたいんや!」

 

「うら若き乙女の発言とは思えないのです」

 

「まぁ、2人が手伝えば仕事の効率は圧倒的に上がりますからね」

 

「な! な! そうやろ!」

 

「はぁ……まぁ、そういう事なのですが少しで良いので頼まれてくれますか? でないと主が発狂してしまう」

 

「了解です」

 

 私達は書類の処理に取り掛かった。

 

 

「早いな……」

 

「えぇ」

 

「もう終わりなのです……」

 

「お待たせいたしました」

 

 私達は完成した書類をまとめる。

 

「助かったわぁ」

 

「これで少しは休めますね」

 

「どこか行きたいのです!」

 

「せやなぁ、買い物でも行くか」

 

「行くのです!」

 

「私も行きます」

 

「そっか、2人はどうや?」

 

「外出許可は出ていないのでは?」

 

「まぁ……息抜きも大切やし、周辺の案内っていう任務(・・)や」

 

「そう言う事でしたら」

 

 はやては欠伸をし立ち上がる。

 

「さて、行こか」

 

「主、せめて着替えてからに」

 

「おぉ、せやな」

 

 アインスとリインは同時に溜息をついた。

 

 

 十数分後。

 

 着替えを済ませたはやてがリインを肩に乗せながらアインスと共に玄関ホールへやってきた。

 

「お待たせやね」

 

「どちらへ行きますか?」

 

「うーん、とにかく買い物やな。その後食事でも行こか」

 

「わーいです!」

 

「車を回しますね」

 

 数分後アインスが車に乗って迎えに来た。

 

 私達はその車に乗り待ちの中心地にある複合商業施設へと移動した。

 

「さて、到着や」

 

 複合商業施設の外壁には管理局の応募ポスターなどが張られており、広告塔としてなのはが起用されていた。

 

「今じゃなのはちゃんは管理局の顔や」

 

「エースオブエースなんて言われていますからね」

 

「有名人なのです!」

 

「さて、買い物や買い物」

 

 私達ははやてに付いて行き、洋服や生活用品、菓子類などの嗜好品を買い込んだ。

 

「さて、少しご飯でも食べて帰ろか」

 

「賛成なのです!」

 

「了解」

 

 私達は施設内のレストランに入店する。

 

 注文を済ませ食事を摂る。

 

「結構いけるな」

 

「おいしいのです!」

 

「いい感じやね」

 

「そう言えば、気になっていた事があるのですが」

 

 リインがテーブルの上に敷いた紙ナプキンの上に座りながらこちらに顔を向ける。

 

「なんでしょう?」

 

「シグナムとの模擬戦を見ていて少しは信じられたのですが、それでも2人がやったって言う事が信じられないのです」

 

「やった事とは?」

 

「アースラを撃墜とか……そう言う、とにかく色々と信じられないような事なのです」

 

「あぁ、あれな」

 

「あれですね」

 

「全て事実です」

 

「信じられないのです……」

 

「だから言うたやないか」

 

「ぅー一体どんなことをやってきたのですか……」

 

「あ、それは私も気になる」

 

「私も気になりますね」

 

 3人がこちらに視線を向ける。

 

「では、お話しできる範囲で」

 

 私達は過去に起こった出来事を話す。

 

「なんやその超絶進んだテクノロジーは……」

 

「火星に移住って……それもすごい話ですね」

 

「すごい次元やなぁ……他にはないんか?」

 

「でしたら──」

 

 私達は魔法界で起こった話をする。

「なんや……すごい世界やな……」

 

「人物の問題性はあれとして魔法技術は興味ありますね」

 

「せやね。まぁ食事はしたいとは思わんけな……特に動くお菓子なんか」

 

「それにしても、危険な魔法もあるのです……」

 

「当たれば即死で防ぐ方法ないって……おかしいやろ……」

 

「だから禁止なのでしょう」

 

「魔法自体は興味深いんやけどなぁ……」

 

 はやては食後のコーヒーを口にすると欠伸をする。

 

「そう言えば、2人には管理局でどんなことをやってきたか話してなかったな」

 

 はやてがコーヒーのお代わりを注文する。

 

「2人が帰った後。色々と大変やったんやで」

 

「そうでしたか」

 

「そや。管理局に入ってからは猛勉強して……大変やったで……」

 

「頑張りましたね」

 

「せやで……これも家族を守る為や」

 

「はやてちゃん頑張り屋さんなのです」

 

 リインは飛び上がるとはやての頭をその小さな手で撫でる。

 

「家族を守る為、新しい家として機動六課を作ったようなもんや」

 

「まぁ、そのせいで他の部隊からは色々妬まれてますからね」

 

「それはしゃーない……若輩者が部隊長や。他の奴らからすれば気に食わないんやろ」

 

 はやては届いたコーヒーに砂糖を数個入れる。

 

「それでも私はやめるわけにはいかないんや」

 

「それが、身内だけで部隊を固めた理由ですか?」

 

「相変わらず2人は手厳しいなぁ……まぁ身内だけと言われればその通りや……それがあまり良い事ではないとは分かっとるんやが……」

 

「裏切りや反乱などのリスクを考慮すれば身内だけで部隊を固めるのは問題ありません」

 

「まぁ……そやな……さて……と。そろそろ戻ろか」

 

「そうですね」

 

 私達は会計を済ませレストランを出ると、車に乗り込み複合商業施設を後にした。

 




少し露骨ですが、今作ではなのはにはこれくらい
やってもらいます。
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