魔法少女ZOË   作:サーフ

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最近リアルが忙しすぎて書いている時間が…


始動

  ホテル・アグスタ襲撃事件の数日後。

 

 事態も収束し、はやてはアインスから報告書を受け取ると顔を顰める。

 

「負傷者は0。物品被害額些少。建造物損壊軽微。被害は最小限に抑えられたと思います」

 

「だとしても完璧に出来た訳やない。上層部はそこに付け入るかもしれんなぁ」

 

「考えすぎでは?」

 

「せやろか?」

 

 アインスが入れた紅茶にリインが角砂糖を2個入れ、それをはやてが口に含む。

 

「はぁ……そういえば、なのはちゃんの方はどうしたんや? 今日は休暇やったっけ?」

 

「えぇ。休暇申請はされています」

 

「そっか。なのはちゃんが休暇とは珍しいな」

 

「えぇ。主もたまには休んではどうですか?」

 

「休めるなら休みたいわ」

 

「そうですね」

 

 はやては溜息を一つこぼすと作業を再開した。

 

 

 鬱そうと木々が生い茂り、光もまともに届かない森をなのはが一人歩く。

 

 まるで、何かに導かれるように。

 

 その手には1枚の紙切れが握りしめられていた。

 

 

『マスターこれ以上は危険だと思われます』

 

「……」

 

 レイジングハートの警告を無視し森の奥へと歩みを進める。

 

 しばらく歩みを進めるとなのはをガジェットが包囲する。

 

「手荒い歓迎だね」

 

 なのはが口を開くと森の奥からスカリエッティとウーノが姿を現す。

 

「気を悪くしたのならば謝ろう」

 

「別に」

 

「そうか」

 

 スカリエッティは笑みを浮かべなのはがそれを見据える。

 

「さて。一人で来たという事はこちらに協力するという事でいいのかな?」

 

「その前にいくつか質問があるの」

 

「どうぞ」

 

「まずは一つ目。管理局のうちどれだけの規模が貴方の後ろにいるの?」

 

「あえて軍部と表現しよう。既に管理局内で主に戦闘を行っている軍部はこちらの手の内にある」

 

「それだけの戦力があるなら、私を勧誘する意味は?」

 

「エースオブエースが加わるとなればそれだけで士気は高まる。それと同時にエースオブエースを失えば管理局は大きな痛手だろう」

 

「だから私を?」

 

「そうさ。君には新たな管理局の象徴となって欲しいのだよ」

 

「私が……新しい管理局の」

 

「その通りだ。そうすれば出資者は増え、戦力の増強にも繋がるだろう」

 

「でも、私が加わった所で成功する確率は?」

 

「君が入れば軍民問わず志願者が現れるだろう。広告などに出てるように君はそれだけ支持率が高い。それにこちらにはガジェットとメタトロン技術がある」

 

「メタトロン技術? あの2人と同じ?」

 

「そうだ。私はメタトロンを研究し、デバイスに組み込む技術を開発した。その結果は絶大だ。かつてのデバイスの出力を大きく超える素晴らしいものだ」

 

「そのメタトロンはどこから手に入れるの? ロストロギアみたいなものでは?」

 

「既にメタトロンの発生次元は特定済みだ。いつでも進行できる」

 

「つまり……あの2人が居た世界を……」

 

「そうだ。我々新たな管理局の管理下に置く事ができる」

 

「それだけの……力があれば……でもリミッターがあるはずそれに関しては?」

 

「リミッター程度解除できないとでも?」

 

 スカリエッティは不敵に笑う。

 

「それだけの技術。ガジェットによる物量。軍部による制圧力。エースオブエースによる統制。これらが合わされば成功率は90%以上です」

 

 ウーノの回答を聞きなのはは息を飲む。

 

「でも、あの2人はどうするの? それに六課は──」

 

「その問題を解決するためにも君の協力が必要なのだよ」

 

「私の協力?」

 

「そうだ」

 

 スカリエッティは作戦を語るとなのはが目を見開く。

 

「そ……それは……」

 

「そうだ。確かに君の負担は大きいがこの作戦ならばほぼ確実にクーデターは成功する」

 

 スカリエッティは右手を差し出す。

 

「後はどうするか。それを決めるのは君だ」

 

「私は……」

 

『マスター。これは管理局に対する反逆行為です。直ちに──』

 

 レイジングハートが警告を発する。

 

「レイジングハート……」

 

 なのははゆっくりとレイジングハートを握りしめる。

 

「AIを凍結」

 

『マス……た……』

 

 なのはがそう言うとレイジングハートは虚しい声を上げながらその光を停止する。

 

「良い選択だ。君のデバイスを優先的にメタトロン技術で強化しよう」

 

 なのはが震える手を伸ばした。

 

 

 ホテル・アグスタ襲撃事件からさらに数か月後。

 

 はやては部隊長室でアインスから1枚の資料を受け取っていた。

 

「なになに。機動六課施設内の点検及び補修工事? 誰が依頼したんや?」

 

「なんでも、管理局全体で同時に行うとか」

 

「へぇ、えらい大掛かりやな。施設整備してくれるのはありがたいな。でも明日とは偉い急やな」

 

「そうですね。当日は業者の人間が入るらしいですね」

 

「そりゃ、えらい大掛かりやな」

 

「えぇ、その間は少し業務に支障が出るかもしれませんね」

 

「まぁ。それに関してはしゃあないやろ」

 

 はやてが資料にサインをした後部隊長室の扉がノックされる。

 

「どうぞ」

 

 部隊長室の扉が開かれなのはが入室する。

 

「なのはちゃんか。どないしたん?」

 

「見てほしいものがあるの」

 

「なんや?」

 

 はやてはなのはが差し出した資料を手にすると顔色を変えた。

 

「こ、これは!」

 

 なのはが手渡した資料には、ホテル・アグスタ襲撃事件の首謀者と思われる人物の写真と、詳細が書かれていた。

 

「首謀者はジェイル・スカリエッティ。過去にも犯罪歴があって広域指名手配されているよ」

 

「こいつが今回の首謀者か……」

 

「そして、ここが現在の潜伏場所だと思われる場所」

 

 なのはが差し出したもう1枚の資料にはスカリエッティの潜伏場所と思われる廃墟の写真と位置情報が記載されていた。

 

「こんなところに隠れとったんか……それにしてもお手柄や! なのはちゃん!」

 

「うん……」

 

「ところで、どうやって突き止めたんや? 情報の出どころは?」

 

「前回、私が破壊したガジェットを回収した解析班からの情報。ガジェットの基本的構造がスカリエッティのものと一致していたからだって」

 

「そうか、でも居場所は?」

 

「それも、ガジェットを解析して分かったんだって。なんでも遠隔操作ユニットからデータを解析したらしいよ」

 

「そっか、でもなんで今更? 今までガジェットの残骸なんていくらでも……」

 

「回収されたガジェットの殆どは消し炭か大破し解析不能なのばかりだったらしいよ」

 

「あぁー……」

 

「あの2人ですから……」

 

 はやてとアインスは溜息をついた。

 

「さて、こうなると作戦遂行日を考えないとな……」

 

「私としては明日にでも作戦を実行するのがいいと思う」

 

「明日……か」

 

 はやてが資料に目を落とす。

 

「明日は施設の整備で業者が入るんやが……しゃあないな。施設整備は延期してもらうか」

 

「そうですね、では連絡を──」

 

「その必要はないよ」

 

「え?」

 

「どういう事や?」

 

 アインスとはやてがなのはに視線を向ける。

 

「今回は六課全員ではなく私とはやてちゃんとフェイトちゃん。それとフォアードで出撃すればいい」

 

「しかし、相手は今回の事件の首謀者や。こっちもシグナム達も連れて──」

 

「それならあの2人を連れて行けばいい」

 

 なのはが詰まらなそうに呟く。

 

「なのはちゃん……」

 

 はやては考えを巡らす。

 

「分かった。そのメンバーで出撃しよう。施設整備の業者に関しては任せるで」

 

「お任せください」

 

 アインスが頷く。

 

「じゃあ、私はこれで」

 

 なのはが踵を返す。

 

「おつかれ、あ、そうだ」

 

「なに?」

 

「レイジングハートはどないしたん?」

 

 なのはが自分の胸元に手をやる。

 

「今はメンテナンス中。今日中には戻ってくるよ」

 

「そうなんか」

 

「うん。じゃあ」

 

 なのははそう言うと部隊長室を後にした。

 

 

 

 同日1500

 

 私達ははやての指示によって会議室に集められた。

 

「さて、全員集まっとるな?」

 

 はやてが全員に視線を送る。

 

「今回、この一連のガジェット襲撃事件における首謀者と思われる人物とその潜伏先の情報が入った」

 

 その報告を聞きメンバーがざわめき立つ。

 

「作戦遂行は急やが明日を予定している。メンバーは私とフェイトちゃん、なのはちゃん。それとフォアード。それと、エイダとデルフィ頼めるか?」

 

「「問題ありません」」

 

 私達は同時に回答する。

 

「主。私達は?」

 

「そうだそうだ!」

 

 シグナムとヴィータが声を上げる。

 

「今回は敵の少数で出撃し短時間での作戦遂行が必要や。それに2人が協力してくれる事やし、過剰な戦力になりかねんしな」

 

「まぁ、それはそうですが」

 

「それと、明日は施設整備の為外部の人間がやってきます。私達はそちらの対応をすればよろしいかと」

 

 アインスが資料を片手に説明し、2人はしぶしぶ納得する。

 

「さて、作戦内容としては、施設近くまではヘリで移動した後徒歩で施設へ侵入。その後内部で標的を確保や」

 

「敵の戦力は?」

 

 フェイトが手を上げ質問する。

 

「はっきり言って不明や。各員状況に応じて対応しつつ、危険になったら撤退」

 

 

「さて、そういう事や。明日の0900に出撃や。今日はゆっくり休んで明日に備えるんや」

 

「了解」

 

 各員が敬礼しその場を後にした。

 

「作戦は予定通り……」

 

 自室に戻ったなのはが通信を繋げる。

 

『そうか。彼女達は?』

 

「同行するよ」

 

『素晴らしい!』

 

 通信相手が歓喜の声を上げる。

 

『ところで、デバイスの調子はどうだ?』

 

 なのはは首に掛けられたデバイスを握りしめる。

 

「問題はないよ」

 

『感想はそれだけか?』

 

「見た目は依然と変わらないんだね」

 

『変えたら怪しまれるだろ? それに君も愛着があるんじゃないか?』

 

「レイジングハート……」

 

『AIは凍結したままさ。煩くてかなわないだろ』

 

「そう……」

 

『さて、明日の確認だ』

 

「分かってる。六課のメンバーを施設に誘導……その後……」

 

『その後、八神はやて及び六課メンバーを排除する。例の2人も確保する。彼女達は作戦の支障になりかねないからな』

 

「分かってるよ」

 

『その施設には大量のガジェットを配備してある。施設自体は既に用済みだ。好きなように暴れてくれ』

 

「……」

 

『折角ガジェットにメタトロンを組み込んだんだ。存分に暴れて』

 

「……了解……」

 

 なのはが通信を切る。

 

「はぁ……」

 

 ため息を吐いたなのはがベッドに腰を掛ける。

 

「レイジングハート……」

 

 もはや答える事のないかつての相棒を握りしめたなのはは姿の変わらぬ相棒から未知の力を感じつつ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 




短くて申し訳ない…

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