魔法少女ZOË   作:サーフ

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もう夏も終わりですね


療養

 

   私達は周囲のガジェットの殲滅をするべくFマインやハルバード等と言った広範囲攻撃を多用してはいるが、ガジェットの数は依然として衰えることはなく、隙を突くように負傷者へ攻撃を仕掛けようとしてくる。

 

 その様な攻撃ははやてがシールドを展開しスバル達が迎撃しているが、殲滅にはまだ時間がかかる。

 

「くそ……キリがない……」

 

「このままやと……」

 

 確かに、これ以上時間が掛かればフェイトの治療が間に合わなくなる可能性もある。

 

 その時、空の一部が歪む。

 

「な……なんや!」

 

「空間湾曲を確認。時空の歪みが発生した模様です」

 

「なんやて!」

 

 さらに時空の歪みから大型の物体が転送されている反応を確認する。

 

「物体の転送を確認。まもなく現れます」

 

「敵の増援か?」

 

「わかりません」

 

 次の瞬間、空間が割れ1隻の探査船が放出される。

 

「なんやあれ……」

 

 船籍を証明する。あの船名は──

 

『エイダ! デルフィ! そこに居るのね!』

 

 リユニオンからハーマイオニーの拡声された声が響く。

 

「知り合いなんか?」

 

「はい。我々の味方です」

 

 複数のガジェットがリユニオンに攻撃を仕掛ける。

 

 しかし、攻撃はリユニオンのシールドによって防がれる。

 

『これは敵という事でいいのよね?』

 

「はい。問題ありません」

 

『わかったわ。EMPパルスを発生させるわ。電子機器などはシールドで守って』

 

「了解」

 

 私達は全員を一か所に集める。

 

「何が始まるんや?」

 

「これよりEMPパルスにより周辺のガジェットを一時的にマヒさせます」

 

「マヒやて?」

 

「はい」

 

 私達は全体を守るようにシールドを展開する。

 

『行くわよ! リブート実行』

 

 次の瞬間リユニオンから強力なEMPパルスが発生する。

 

 EMPパルスに当たったガジェットが機能停止を起こり、地面に落下する。

 

『今よ! 乗って!』

 

 リユニオンが着陸する。

 

「了解」

 

「急ぎましょう」

 

「なんや……よう分からんけど、とにかく行くで!」

 

 私達は負傷者をリユニオンに乗船する。

 

『全員乗った?』

 

「はい」

 

『じゃあ行くわよ!』

 

 全員の乗船を確認後、リユニオンは高度を上げ大気圏を抜ける。

 

「すごい船やな……大気圏突破能力があるんか……」

 

「それだけじゃない。最低限の居住能力はある。それに医療施設もね」

 

 背後から現れたトムに対しはやて達は警戒し攻撃態勢を取る。

 

「まぁ、そう警戒する必要はないさ」

 

「失礼いたしました……」

 

 はやてがそう言うと全員が武装を解除する。

 

「そうそう。立ち話もなんだデッキへ案内しよう。紅茶と少し冷めているがスコーンを用意しよう。君達2人は負傷者を医療施設へ運んでくれるかい」

 

「了解です」

 

「頼むよ。さぁ行こうか」

 

「はい」

 

 私達は負傷者を医療施設へ搬送すると、医療ポットへ移し治療を開始した。

 

 

  デッキに到着した私達をハーマイオニーが歓迎する。

 

「お帰りなさい2人とも」

 

「ただいま戻りました」

 

「そして、初めまして。私の事はハーマイオニーと」

 

 ハーマイオニーが手を差し出すとはやても手を差し出す

 

「八神はやてです」

 

 2人は握手をする。

 

「2人から話は聞いているわ。でも話に出ていた時よりも成長しているようね」

 

「時空の歪みによる時差だろう」

 

「そうね。こっちの紹介がまだだったわね。彼はトムよ」

 

「よろしく」

 

 トムは一礼するとテーブルにティーセットを置く。

 

「さて、お茶でも飲みながら話をしましょう」

 

「そうですね」

 

 はやてがテーブルに着席すると、スバル達も着席する。

 

 はやてが事の経緯を話すとハーマイオニーがため息を吐く。

 

「なるほど……クーデターね……どこの世界も考えることは一緒ね」

 

「それだけ人は戦いを求めているのさ」

 

「はぁ……それにしても多数の次元を支配……ね……」

 

「まぁ、時空管理局って名前の時点で怪しさはすごかったさ」

 

 トムの言葉にはやての表情が曇り、スバル達が俯く。

 

「気を悪くしたなら謝るわ。彼に悪気はないのよ」

 

「気にしないでください……」

 

 そうは答えたはやてだがメンタルコンディションはかなり低い。

 

「ところで貴女達この後はどうするの?」

 

 ハーマイオニーの問いにはやてが答える。

 

「今はまだ負傷者の件がありますので……それに私達の本部にはまだ生存者がいます」

 

「そう。ならその生存者と合流することが先決ね」

 

 ハーマイオニーはティーポットから紅茶を注ぐとはやてに差し出す。

 

「しかし、まさか私達の船を襲ったのがクーデターを起こした人達とはね……」

 

「あぁ、メタトロンも奪われたし……どうする?」

 

「そうねぇ……」

 

「あの!」

 

 はやてが口を開く。

 

「メタトロンと言うのは一体どういったものなんですか?」

 

「簡単に説明すると物すごい力を秘めた鉱石よ」

 

「ものすごい力?」

 

「そうさ。だがそれ故ブラックボックスも多く存在する」

 

「それにメタトロンは人間の精神にも影響を及ぼすの」

 

「その為メタトロンを使って起きた事故や事件はかなり多い」

 

「そんな……」

 

 はやての表情が曇る。

 

「とにかく私達は奪われたメタトロンを回収する必要があるわ。それに貴女達も無関係という事ではなさそうね」

 

「それは……」

 

「まぁ、とにかくこの件が片付くまではお互い協力しましょう。その方が何かと都合が良いわ」

 

「良いんですか?」

 

「もちろんよ」

 

「ありがとうございます」

 

 はやてが頭を下げるのに倣いスバル達も頭を下げる。

 

「良いのよ。それより今日は疲れたでしょ。詳しい話は明日にして休んだ方が良いわ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「いいのよ。2人は部屋を案内してあげて」

 

「了解」

 

「こちらです」

 

 はやて達は私達の案内に従い、宛がわれた部屋へと移動した。

 

 

 

  翌日。

 

 私達はデッキへ集まる。

 

「さて……まずは状況を整理しましょうか」

 

「そうだな」

 

 トムは全員分の紅茶を用意する。

 

「まずはクーデターの状況だが……」

 

 トムは端末を操作すると映像が映し出される。

 

 その映像には複数の施設が既に制圧かに置かれている光景が映し出されていた。

 

「これは……」

 

「時空管理局地上本部……」

 

「それだけやない……聖王教会もや……」

 

 映像になのはが映り演説を開始する。

 

『我々新生時空管理局は既にすべての旧体制の半数を掌握しました』

 

「なんてことや……なのはちゃん……」

 

「たった1日でここまでとは大したものだな」

 

「相当下準備に尽力したのね。もしくはもともと不安定な体制だったか?」

 

『旧体制の管理局員の人達にお伝えすることがあります』

 

「何を言い出すつもりや?」

 

『新生時空管理局に来てください』

 

「なるほど。勧誘ね」

 

「無駄な戦闘は避け、大量の兵士をスカウトする。良い戦法だな」

 

 トムは映像を見ながら頷く。

 

「反抗する人もいるんじゃないですか?」

 

 スバルが疑問の声を上げる。

 

「あぁ。むしろそういう人の方が多いだろう。だが……」

 

『もし、反抗したり立ち向かうというなら』

 

 なのはがデバイスを振り上げると同時に大量のガジェットが宙を舞う。

 

『さぁ……私達と共に新しい管理局を作りましょう』

 

 なのはがそう言うと映像が途切れる。

 

「なのはちゃん……」

 

「最後のアレは脅しね」

 

「あぁ。実際あれだけの物量では厳しいだろう」

 

「どうして……どうしてこんなことに……」

 

 はやては頭を抱える。

 

「このままじゃ制圧されるのは時間の問題ね」

 

「そうだな……とは言えどうする? 今のうちに大本を制圧するか?」

 

 トムはこちらに視線を向ける。

 

「確かにそれも一つの方法ね……でもそれじゃあ多くの被害が出るわ」

 

「それに……地上本部を制圧したところで他の部隊が暴走して被害が出ないとも言い切れない……それに……」

 

「それにまだ生き残りの救助が済んでない」

 

「そうです……今は負傷者の回復を……」

 

「そうね。今は少し状況を見た方が良いわね」

 

「えぇ……そのフェイトちゃん、あの……負傷者の状況は?」

 

 ハーマイオニーは手元の端末を操作しカルテを表示する。

 

「まだ1日しか経っていないから詳しく言えないわ。でも右目は完全に損傷しているわ」

 

「それは……」

 

「えぇ……右目の再生は難しいわ」

 

「そんな……」

 

「脳の損傷は軽微だわ。目を貫通していたのが幸いしたわね……もし目を覚ますなら3週間くらいはかかるわね」

 

「そうですか……エリオとキャロは?」

 

「まだ眠っているわ。でも幸いなことに傷はそこまで深くないわ」

 

「そうですか……」

 

 はやての表情に若干だが安堵が戻る。

 

「えぇ。確かに状況は悲惨だけど悲観するべきではないわ」

 

「そうさ。まぁ少し今は体制を整える必要があるな」

 

 トムはそう言うとホログラムを終了させる。

 

 はやては数度頷き、全体を見回しもう一度頷いた。

 

「それに、貴女達の魔法技術についても興味があるの。後で話してちょうだい」

 

「はい。私も色々と話をしたいと思ってました」

 

 ハーマイオニーとはやては互いに笑みを浮かべた。

 

 

  数週間後。

 

 フェイト達負傷者の治療は順調に進み、既にエリオとキャロの2人は目を覚ました。

 

 しかし、PTSDによりしばらくは休養を余儀なくされる。

 

 

 

 そして数日後、ベッドの上で顔の右側を包帯で覆ったフェイトが目を覚ます。

 

「あれ……ここは……」

 

「あぁ……良かった! 目を覚ましたんやね!」

 

「はやて……っ! そうだ! エリオとキャロは! なのはが!」

 

「大丈夫! 大丈夫や!」

 

 はやては混乱しているフェイトを抱きしめ落ち着かせる。

 

「大丈夫……もう大丈夫や」

 

「はぁ……はぁ……うん……ありがとう……それで2人は?」

 

「その二人なら先に目を覚ましたで」

 

「良かった……」

 

「そうね。でも精神的にかなり深い傷を負ったみたいよ」

 

 ハーマイオニーが入室しフェイトは身構える。

 

「大丈夫や。あの人は味方や」

 

「えぇ。ハーマイオニーと呼んで」

 

「ありがとうございます」

 

 フェイトはハーマイオニーが差し出した手を取る。

 

「さて……まずは貴女の状況を説明するわ」

 

「はい」

 

 ベッドの横に椅子を用意しハーマイオニーが腰を掛ける。

 

「貴女の右目なんだけど……」

 

「はい……」

 

「弾丸が貫通していたわ。それが幸いして一目を取り留めたのよ。でも右目は……」

 

「もう……戻らない……と……」

 

 フェイトは包帯の上から右目の位置に手をやる。

 

「残念だけど……」

 

「フェイトちゃん……」

 

「代わりと言っては何だけど……」

 

 ハーマイオニーは小さな箱を取り出す。

 

「これは?」

 

「眼帯型のカメラデバイスよ。ごめんなさい。本当は義眼が用意できればいいんだけど今はこれしかないの」

 

「いえ……助かります。それで……カメラデバイス?」

 

 フェイトは眼帯型のデバイスを手に取る。

 

「眼帯の表面に有るナノレベルのカメラで撮影した映像を貴女のデバイスを介して見れるようにしてあるわ」

 

「すごい……」

 

「付けてみましょう」

 

 ハーマイオニーはフェイトの顔から包帯を取ると眼帯を着ける。

 

「見た目はこんな感じよ」

 

 ハーマイオニーが鏡を取り出すとフェイトが覗き込む。

 

「どう?」

 

「似合っているよフェイトちゃん」

 

「そう? ありがとう」

 

 その直後、眼帯型のデバイスとバルディッシュがリンクする。

 

「すごい……視える……」

 

「そうなんか?」

 

 はやてがフェイトの眼前で手を振る。

 

「その眼帯は見えるだけじゃないわ。AR技術が施されているのよ」

 

「AR?」

 

「拡張現実よ。簡単に言うと敵のデバイス情報とかが誇張されて表示されるわ」

 

 ハーマイオニーはそう言うと自身の杖を取り出した。

 

「これがどういう風に見える?」

 

「杖に見えますが……」

 

 はやてが答える。

 

「そうね。貴女は?」

 

「私も……普通の杖にしか」

 

「あれ? あっまだARモードにしてなかったのね。ARモードを起動させて」

 

「え? ARモード?」

 

 フェイトがそう言とバルディッシュが光る。

 

「え?」

 

「どないしたん?」

 

「すごい……杖だけが光っているというか……目立つように見える……」

 

「えぇ。これが拡張現実よ、他にも暗視モードや10倍の望遠モードもあるわ」

 

「すごいですね……」

 

「後で検査しましょう。リハビリも始めないといけないからね」

 

「はい」

 

 ハーマイオニーはそう言と病室を後にした。

 

 

  さらに数日後、フェイトは貨物エリアに立っていた。

 

「それじゃあ今から戦闘訓練を行うわね」

 

「はい。お願いします」

 

「じゃあまずは通常モードね」

 

 ハーマイオニーに指示に従い私はフェイトの前に立つ。

 

「それでは攻撃を開始します」

 

 私はストレージデバイスを起動しサーベルを展開する。

 

 それと同時にフェイトに正面から切り掛かる。

 

「っ!」

 

 フェイトはバルディッシュを横に振りサーベルを受け止める。

 

 私は続け様にサーベルを振り上げる。

 

 フェイトもそれに倣うようにバルディッシュを振り攻撃を防ぐ。

 

「見えているみたいね」

 

「はい。立体的に見えています」

 

「それは良かったわ。続いてARモードに行きましょう」

 

「はい」

 

 フェイトの眼帯が光る。

 

「起動したわね。デルフィ」

 

「了解」

 

 フェイトの背後に立ったデルフィがロッド状のデバイスを起動させる。

 

「攻撃を開始します」

 

 デルフィがフェイトの背後にロッドを振り下ろす。

 

 フェイトは振り返ることなくロッドをバルディッシュで防ぐ。

 

「ARモードの調子はどう?」

 

「良い感じです。なんというか……後ろにも目があるような感じがします」

 

「全方位に対応しているわ。それをデバイスを介して最適な行動予測を眼前に投影してくれるはずよ」

 

「すごい技術ですね」

 

「まぁね。さて……それじゃあ……」

 

 その時、はやてが貨物エリアに現れる。

 

「はやて? どうしたの?」

 

「新たな情報や。皆デッキへ集合してくれへんか?」

 

「了解」

 

「わかった。向かうよ」

 

 私達は訓練を中断しはやてと共にデッキへ移動した。

 

 

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