食卓には、豪華な家庭料理が並んでいた。
「ささ、遠慮せずに食べて!」
「では」
「いただきます」
私達は食卓に着き、出された食事を頂く。
「どう?」
「塩分濃度や糖度その他味覚に関するデータで高い数値を評価しています」
「ん? つまりは?」
「美味しいという事です」
「よかった! ささ、どんどん食べて!」
「ありがとうございます」
こうして、私達はこの世界に来て最初の食事を堪能した。
食後、はやてと共に食器を片付けた後、リビングに移動する。
「さて、もうこんな時間やな」
時刻は既に23時を回っていた。
「そろそろ、就寝なさった方が良いかと思われます」
「せやな……ねぇ。お願いがあるんやけど」
「何でしょう?」
ソファーに座ったはやてが、俯き小さな声で呟く。
「できれば……その、一緒に寝てくれへんかな?」
「一緒にですか?」
「うん……」
はやての心拍数が上昇する。
軽度の緊張状態であることが確認される。
「構いません」
その瞬間、はやてが笑顔を見せ、メンタルコンデションレベルも上昇する。
「じゃ、じゃあ! 準備せな!」
「了解」
私達は、はやての指示に従い、2階にあるはやての自室へと移動した。
その後、はやてをベッドに横たえる。
「うーん……3人で寝るには……ちょっと狭いかな……」
「そうですね。物理的には可能ですが、恐らく快適ではない筈です」
「せやな……」
ベッドの上ではやては溜息を吐く。
「ではこうしましょう」
その時、デルフィが口を開いた。
「本日は私が一緒に寝ます。明日はエイダが。それを繰り返しましょう」
「え? 良いの!?」
「私は構いません」
「えへ……じゃあ、それで!」
「了解」
子供らしい笑顔を浮かべたはやての横に、無表情のデルフィが横になる。
「ご希望であれば、眠りに付くまで何か物語でも読みましょうか?」
「え?」
「ライブラリーに複数の書籍データが記憶されています」
「えっと……いや、このままで……このままで……」
数秒の内にはやてが眠りに付く。
恐らく、1日の間に様々な出来事が起きた為、疲労していたものと思われる。
「では、私は下の階へ移動します」
「了解」
デルフィにはやてを任せ私は退室後、自室へと移動した。
翌日、6時ごろ目を覚ますと、デルフィから通信が入る。
『現状、はやてに抱き着かれている為、起床する事が出来ません。朝食の準備などをお願いします』
『了解』
通信を切り、私は台所で簡単な朝食を準備する。
7時半になると、はやての部屋から目覚まし時計のアラームが鳴る。
それから数分後、デルフィに抱きかかえられながら眠そうに眼を擦るはやての姿があった。
「おはようございます」
「ん、おはよう」
「簡単ですが、朝食をご用意いたしました」
「ありがとう。先に顔だけ洗ってくる」
「了解」
数分後デルフィがはやてと共に食卓に着くと、朝食を開始した。
朝食が終了後、はやてが口を開く。
「今日の2人の予定は?」
「特にはありません」
「そっか、私は病院やな」
「そうですか。我々も同行いたしますか?」
「ええの?」
「はい」
「あ、でも石田せんせにはなんて言おう……親戚って事にしておけば……」
「お任せします」
「まぁ、じゃあ親戚って事で」
「了解」
「じゃあ、後で病院。その後デパートで色々と買い物やな」
「了解」
朝食を片付けた後、私達は外出の準備を始めた。
「さて、出発や」
「了解」
デルフィがはやてが乗った車椅子を押しながら、道なりに進んで行く。
病院に付いた後、受付を済ませる。
数十分後、はやての名が呼ばれる。
「ほな、行ってくるわ」
「了解」
私達は待合室ではやてが戻ってくるのを待つ。
診察開始から数十分後、女性医師に車椅子を押されながら、はやてが待合室にやって来た。
「あら? この方々は?」
「えっと……私の親戚で……」
「親戚? あぁ、誕生日をお祝いに来てくれたのね」
「ま、まぁ……そんな所です」
「そう、よかったわね!」
女性医師ははやてに微笑み、軽く頭を撫でる。
「じゃあ、明日は目いっぱい楽しんでね!。それじゃあまた今度ね」
女性医師が軽く手を振ると、はやても手を振り返す。
「お待たせやね!」
「御構い無く」
私は、車椅子を押しながら、病院を後にした。
病院からデパートへと移動した。
商業施設という事もあり、現時刻は15時を回った頃だが、数多くの人で賑わっていた。
「明日が、誕生日なのですか?」
「まぁ、せやな」
「おめでとうございます」
「ふふ、ありがとう! 誰かに祝われるのって嬉しいもんやな!」
はやては小さく笑みを溢す。
この場合、誕生日プレゼントを用意するのが好ましいだろう。
『これより、誕生日プレゼントを購入してきます』
「了解。私は引き続きはやてと行動を共にします」
「ん? どうかしたん?」
「いえ、なんでもありません」
「さて、買い物や!、買い物!」
「了解」
はやてとデルフィが買い物をしている間に、私は近くのATMをハッキングし、現金を数十万ほど引き出す。
その後、玩具売り場へと移動する。
玩具売り場には様々な商品が並んでいた。
「何かお探しですか~?」
私の背後から店員と思われる女性が声を掛けてくる。
「誕生日プレゼントを探しています」
「どなたへのですか?」
「10才程の少女です」
「うーん……無難に行けば、こちらですかね?」
店員はクマのぬいぐるみを差し出して来た。
「ではこちらで」
「ありがとうございます~!」
店員と共にレジへ向かい、料金を支払う。
購入後、プレゼント用にクマのぬいぐるみをラッピングして貰い、箱に入れる。
目的の物を購入後、私は既に買い物を終えた2人と合流する。
「ん? なんやそれ?」
「1日早いですが誕生日プレゼントです」
「え? 私に!?」
「はい」
「ありがとう!!」
はやては満面の笑みを浮かべ、メンタルコンデションレベルを上昇させる。
「では、戻りましょう」
「うん!」
デルフィが車椅子を押しながら私達は、デパートを後にした。
デパートを後にする頃には既に日が傾き、夕焼けが広がっていた。
しばらく歩みを進めると、異様な反応を検知する。
私はデルフィに通信を繋ぐ。
『何者かによって尾行されている様です。反応は2つ』
『恐らく監視装置の設置者である可能性があります』
『危険を回避する必要があると判断します。私が接触を試みます。デルフィは護送を』
『了解』
公園の前で私は足を止める。
「ん? どうしたん?」
「少し用事を。先に戻って居てください」
「え!?」
デルフィは車椅子を押し始める。
「ちょ、ちょっと!?」
「さぁ、戻りましょう」
デルフィ達を追う様に1人が木々に隠れ移動を開始する。
私は、デルフィ達に接近を試みた反応の進路を塞ぐ様に、ビームガンを放つ。
「くっ!?」
ビームガンの牽制により追跡者の行動が怯む。
「不用意な行動はおやめください。次は当てます」
私は、もう一人にもビームガンを向ける。
「ちぃ!!?」
2人は合流し私の前に姿を現した。
両者とも、仮面で素顔を隠しているが、体格的には男性だと判断できる。
しかし、生体反応は女性に近い。
「監視装置の設置者ですか?」
「貴様、何者だ?」
「監視対象は恐らくですが、はやてですか?」
「貴様には関係ない」
仮面の人物がエネルギー球を発生させる。
詳細は不明だが、魔法に近いエネルギーを持っている攻撃手段だと判断できる。
「はぁ!!」
仮面の人物が手を振ると、エネルギー球が迫り来る。
「回避行動」
後方へ飛び退く。
しかし、私の動きに合わせる様に、エネルギー球も進行方向を変化させる。
どうやら、追尾機能があるようだ。
「シールド展開」
私はシールドを展開し、迫り来るエネルギー球を全て防ぐ。
威力としては、低出力な為、十分に防御可能だ。
「やったか!?」
攻撃を放った人物は、エネルギー球が私に直撃したと思い込んでいる様だ。
「ゼロシフトレディ」
私は、発生した土煙を置き去りに、仮面の人物の側へと移動する。
「え!?」
私は瞬時に腕をブレードに変化させ、仮面の人物の首元に突き付ける。
「武装解除し投降してください」
「お前は……一体何者……」
「はぁあぁあああぁあ!!」
もう一人の人物が拳を振り上げ高速で突進してくる。
人力では不可能な速度な為、魔力的なエネルギーを検知する。
「くらえ!!」
右腕を振り下ろし、私に殴り掛かる。
私は、左手で仮面の人物の右手を受け止める。
「ぐぉぉお!!?」
速度と魔力が乗っていた拳を強制的に受け止めた為、仮面の人物の右腕が複雑骨折したようで、腕が折れ曲がり血が流れだしている。
私の損傷は無い。
しかし、仮面の人物は勢いそのまま、もう一人の人物を強制的に抱き寄せ、私と距離を取る。
「くっ!!」
2人は着地すると、足元とが光を放つ。
その瞬間、2人の体がその場から転移した。
一種の姿現しだろうか。
それに近い魔力の反応だった。
「襲撃者の逃走を確認。帰還します」
私は、その場を後にはやての家へと移動した。
数分後には家の扉を開ける。
「あ、お帰り。どないしたん?」
「いえ、大した事では有りません」
『襲撃者の迎撃終了。目標はやはり、はやてです』
『了解。警戒を厳にします』
私達は、家の周囲にステルス処理が成されたドローン型のセントリーガンなど簡易的な防衛装置を展開する。
「エイダも戻った事やし、夕食でも作るで!」
「了解」
私達がソファーに座ると、はやては夕食の支度を始めた。
『詳細な情報の提供を希望します』
『敵の戦力は不明ですが、襲撃者の戦闘能力は低い為迎撃は容易でした』
『敵対象は?』
『転送魔法と思われる方法で逃走されました』
『了解。敵の攻撃手段は』
『エネルギー弾や打撃などです。しかし、その全てに魔法的なエネルギーを検知しました』
『了解』
数十分後、はやてが夕食を完成させる。
夕食を終え。後片付けなどを終わらせる。
現時刻は23時50分を回る。
「そろそろ日付が変わります」
「せやな。そろそろ寝る時間やな」
「それがよろしいかと」
私ははやてを抱き上げ、2階の自室へと移動させる。
「じゃあ、今日はエイダやね」
「はい」
「おやすみなさい」
デルフィはそう言うと、別室へと移動した。
「では、私達も寝ましょう」
「せやね」
はやてはベッドに横になり、私も寄り添う様に横になる。
23時59分。
微弱ながら、エネルギーの流出を検知する。
場所は、机の上に置かれている本からだ。
日付が変わり。6月4日。
本から急激なエネルギーの開放を検知する。
それに伴い、部屋中に衝撃が走り、けたたましい音が鳴り響く。
「な、なんや?」
飛び起きたはやてが、周囲を見回す。
「高エネルギー反応確認。危険です」
私はベッドから降り、はやての前に立つと、はやても私の背後に隠れる様にしがみ付く。
それと同時に、シールドを展開させる。
本の一部からエネルギー光が放たれると、床に魔法陣の様な物を形成する。
次の瞬間
一際激しいエネルギーの開放が起こる。
それと同時に、はやてと本の間に不安定なリンクを確認する。
そして、突如として魔法陣を中心に、4つの影が現れた。
一人はピンク色のポニーテイルの凛々しい女性。
一人は金髪のショートカットの柔らかな表情の女性。
一人は三つ編みの朱い髪で幼さが残る少女。
そしてもう一人は筋肉質の男性だが、その頭部には似つかわしくない犬耳が付いていた。
それぞれが黒い服を身に纏い、目を伏せて居る。
「闇の書の起動を確認しました」
ピンク髪でポニーテールの女性が呟く。
「闇の書?」
はやては小さく呟く。
「我ら、闇の書の主を守る守護騎士でございます」
「我ら、闇の書の蒐集を行う者」
「夜天の主の下に集いし雲」
「ヴォルケンリッター、何なりと命令を」
「一体何なんや……!?」
はやてが呟くと、ピンク髪でポニーテールの女性が顔を上げる。
「ところで、貴様は何者だ」
女性は敵意を持った視線を私に向けながら、腰に携えた剣に手を掛ける。
「答えろ!」
女性は剣を抜き、私に突きつけようとする。
しかし、剣は私が展開したシールドによって弾かれる。
「なにっ!?」
女性は困惑の表情を見せる。
私は瞬時に腕をブレードに変化させ、女性の首筋へと突きつける。
「こちらに敵意はありません」
「しかし、そちらに敵意があるのならば、我々は防衛行動に移行します」
4人の背後でウアスロッドを構えたデルフィが口を開く。
「なっ!? いつの間に! 後ろを!?」
「誰も気が付かなかったのかよ!?」
4人は狼狽しつつ、警戒している。
「え……えっと……??」
はやてが私の背後から顔を出す。
「何か御用ですか? 我が主」
剣を手にしたまま、女性が主と呼んだはやてに一礼する。
「主って……私?」
「そうです」
「えぇ……」
はやては混乱している様で、状況を飲み込めずにいる。
「と、とにかく! 喧嘩はあかんよ!」
「わ、わかりました」
女性が武器を納めたので、私も武装を解除する。
「その腕はどうなってるんや?」
「お気にせずに」
「そんな事言われても……まぁええか……それじゃあ、皆取り敢えず自己紹介して貰ってもええかな?」
「では、私から」
ピンク髪でポニーテールの女性が一礼する。
「ヴォルケンリッターの一人。烈火の将。剣の騎士シグナム」
シグナムはその場で改めて一礼をする。
三つ編みの朱い髪の少女が口を開く。
「紅の鉄騎。鉄槌の騎士ヴィータ」
ヴィータは詰まらなそうに呟くと私を睨み付ける。
「次は私が」
人は金髪のショートカットの女性が柔らかな口調で話し始める。
「風の癒し手。湖の騎士シャマルです」
シャマルは軽く頭を下げ、微笑みを見せる。
「蒼き狼。盾の守護獣ザフィーラ」
ザフィーラは言い終えると腕を組む。
「うん、名前は覚えたで。ところで守護騎士ってなんなん?」
「簡単に説明しますと、闇の書の所有者である主。つまり貴女をお守りし、闇の書の完成を目指すのが我らの目標です」
「完成? この本の事?」
はやては手元の本を持ち上げる。
「はい。リンカーコアの蒐集を行う事で、本のページを埋めていきます。闇の書が完成すれば、真の主となり、絶対的な力が手に入るでしょう」
「絶対的な力言われても……」
はやては混乱している様で首を傾げる。
「とにかく、私が皆の主って事でええの?」
「はい」
シグナムの一例に合わせ、全員が頭を下げる。
「我等の事は話した。次はお前達だ。その腕からして人間ではあるまい」
シグナムがこちらを睨み付ける。
「了解。説明を開始します。私達はオービタルフレームと呼ばれる兵器に搭載された独立型戦闘支援ユニットです。現在はサイボーグ技術の応用により人の形を取っています」
「えっと……つまり?」
「人間ではなく、機械だという事です」
「その割には……」
はやてが私の腕を握る。
「人みたいに柔らかやね!?」
「SSAの特徴です」
「そうなんか?」
「はい。そして我々は任務で、宇宙空間で発生した時空震を調査していました」
「は!? 宇宙空間だと?」
ヴィータが首を傾げる。
「調査の途中、大規模な時空震が発生し、時空断層が発生しました。その時空断層に飲み込まれました」
「その結果、私達は別の次元へと移動してしまったと考えています」
「なるほど……つまり、次元漂流者ね」
驚いた様子も無くシャマルが口を開く。
「というか、時空断層に飲み込まれてよく無事だったな!」
ヴィータが呆れた様に呟く。
「現状では、帰還の目途は立っていません」
「時空を移動するなんて、そう簡単に出来る者ではないからな」
シグナムが呟き数回頷く。
「状況は分かった。うーん……つまり、私が皆の主になってお世話するし! 2人は迷子って事やね?」
「いえ、我らは、主を──」
「決して迷子などでは有りません」
「同時に喋られてもよう分からんわ!?」
はやては嬉しそうに微笑む。
「まぁ、主として最初にやる事を決めなきゃあかんね!」
「はい」
はやては少し考えた後口を開く。
「とにかく、皆の服を用意せなあかんね! あと食事も!」
「いえ、我らにそのような物は──」
「気にせんでもええよ! 嫌っていうなら命令や! あー……でもお金が……」
「その点は問題ありません」
私は、先程下ろした現金を取り出す。
「必要ならば追加でご用意します」
「お金持ちやね! でも、私も遠縁の人が援助してくれてるからそれなりに蓄えは有るんよ!」
「了解」
はやては軽く欠伸をする。
「現在1時を回りました。そろそろ、就寝することをおススメします」
「あーせやな……まぁ……詳しい事は明日にでも決めるで」
はやてはそのままベッドに横になる。
その後、規則的な寝息を立て始める。
「えっと……主?」
シグナムが問いかけるが、はやての反応は無い。
「就寝中です」
「その様だな……我等はどうすれば……」
「空き部屋が他にもあります。本日はそこで休息を。明日詳しい打ち合わせを行いましょう」
「ご案内します」
デルフィがはやての部屋の扉を開ける。
「わかった」
4人はデルフィに案内され、退室する。
私は、はやての隣に横たわり、休息を取った。
続編であるStrikerSも書きたいなとは考えているのですが、StrikerSは無料配信を流し見くらいしかしてないので、内容があやふやなんですよね…
かと言ってアニメを見直している時間も無く…
いっその事大筋だけなぞってかなりオリジナル展開で行こうかなとも考えています。
その場合、ナンバーズやヴィヴィオが空気に…
さて、どうしたものか…