魔法少女ZOË   作:サーフ

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職場でコロナが出たり
上司が無茶やらかしたりで時間が取れなかったので初投稿です


サイボーグ

   爆炎の中ハーマイオニーは呟き2人は茫然としている。

 

「まだまだよ! 雑魚は私が相手するわ! 貴女達はあの巨大なやつを!」

 

「「はい!」」

 

 スバルは全身にシールドを展開しつつ巨大ガジェットに突撃する。

 

「おぉらぁ!」

 

 拳を振り上げたスバルは勢いよく拳を振り下ろした。

 

 拳と装甲が激突し火花を散らす。

 

 しかし、ガジェットの出力に押されスバルが弾き飛ばされる。

 

「ぐぅ!」

 

 スバルは空中で1回転し衝撃を受け流しながら着地する。

 

 着地したスバルは出血した両腕を力なく垂らす。

 

 そんなスバルに巨大ガジェットはゆっくりと接近する。

 

「スバル!」

 

 ティアナがスバルに駆け寄りながら巨大ガジェットに炸裂弾を乱射する。

 

 複数の炸裂弾が巨大ガジェットのメインカメラに命中し一時的ではあるがその視界を奪う。

 

「スバル! 早く逃げて!」

 

「ごめん! 助かる!」

 

 スバルは足を引き摺りながら、その場から撤退を開始する。

 

 しかし依然として巨大ガジェットは歩みを止めず迫りくる。

 

「しつこい!」

 

 ティアナは巨大ガジェットに銃口を向けると炸裂弾を連射する。

 

 炸裂弾を連射するにつれ銃身に負荷が掛かりヒビが生じる。

 

 しかしティアナは連射を止めずなおも射撃を続ける。

 

「うおりゃぁあ!」

 

 しかし、その時は突然訪れる。

 

「え?」

 

 耐えきれなくなった銃身が暴発しティアナが後方へと吹き飛ばされる。

 

「ティア!」

 

 吹き飛ばされたティアナの元へとスバルが足を引き摺りながら近寄る。

 

「ティア! 大丈夫!」

 

「え、えぇ……バリアジャケットのおかげで……なんとかね……でも……」

 

 ティアナの手にはグリップと引き金部分だけとなった無残な姿の銃が握られていた。

 

「2人とも! 無事?」

 

 ハーマイオニーも後退し2人と合流する。

 

「なんとか……ですが……」

 

「万事休す……ね」

 

 満身創痍の3人は互いに背中を預け周囲を警戒する。

 

 そんな3人に向かって巨大ガジェットからミサイルが発射された。

 

「くっ!」

 

 3人に迫りくるミサイルが着弾する寸前に遮られるように空中分解する。

 

 バラバラになったミサイルの断片は3人を避けるように落ちる。

 

「え?」

 

「なにが……」

 

 スバルとティアナが唖然としていると3人の背後から足音が迫る。

 

「ふぅ……何とか間に合ったな」

 

「もう。遅いわよ」

 

「すまない。なんせこの義体を実戦で使うのは初めてなんでね」

 

 

 振り向いたスバルとティアナは目を疑った。

 

 そこには、全身が人工筋肉と装甲板で覆われ、片手には日本刀を模した高周波ブレードを手にしたサイボーグが立っていた。

 

 サイボーグがフェイスシートを解除し素顔を現す。

 

「なんで……」

 

「貴方は!」

 

「無事かい?」

 

「間一髪ね。そっちもちゃんと稼働しているようね。トム」

 

 トムは片手にした高周波ブレードを軽く振りながら手の感触を確かめる。

 

「あぁ。問題はない」

 

「そう」

 

「あの……一体……」

 

「何がどうして……?」

 

 2人は唖然としてトムとハーマイオニーを交互に見据える。

 

「説明がまだだったわね」

 

「あぁ。僕はサイボーグでね。さっきの義体が破壊されたから念の為に車のトランクに入れておいた戦闘用の義体に移動したんだ」

 

「そ、そうだったんですね……」

 

「あぁ。まぁそう言う事だから」

 

 トムはその場で飛び上がると周囲に接近していたガジェットを全て切り伏せる。

 

「さっさと片付けよう」

 

 トムは高周波ブレードを構えると高速で巨大ガジェット目掛け走り出す。

 

 巨大ガジェットは接近するトムを迎撃する為に搭載された機銃を放つ。

 

 機銃から放たれた弾丸はトムに向かって降り注ぐ。

 

 しかし、トムは迫りくる銃弾を高周波ブレードを振るい切り伏せながら、速度を落とさず接近する。

 

 しかし、巨大ガジェットも抵抗するようにミサイルによる弾幕を発生させる。

 

 トムは迫りくるミサイルをまるで階段を駆け上がるように足場として上りあがり、巨大ガジェットのメインカメラと同じ高さまで飛び上がると間合いに捉える。

 

 それと同時に上段に構えた高周波ブレードを重力に従いながら振り下ろす。

 

 着地したトムは、巨大ガジェットに背を向け、高周波ブレードを納刀する。

 

 それと同時に、巨大ガジェットは真っ二つに分かれ、爆発を起こす。

 

「す……すごい……」

 

「まぁ、こんな感じかな」

 

 トムはゆっくりと3人に近寄る。

 

「少し派手にやりすぎよ」

 

「まぁ、これだけの出力だ。仕方ない」

 

「調整が必要ね」

 

「そうだな。さて、帰るとするか」

 

 周囲にはガジェットの機影はなく、残骸が転がっているだけだった。

 

「車は無事か?」

 

「えぇ。なんとかね」

 

 ハーマイオニーが指差す先にはトランク部分が破壊され、傷や凹みだらけで横転した車があった。

 

「全く……」

 

 トムは車に接近すると片手で横転した車を元の向きに直す。

 

「よし。運転頼むよ」

 

「は、はい!」

 

 ティアナは急いで車に駆け寄る。

 

 しかし、乗り込む直前に車にピンク色の魔力弾が直撃し爆炎を上げる。

 

「きゃぁ!」

 

 爆炎に煽られティアナが悲鳴を上げる。

 

「さて……お客さんだ」

 

 トムが高周波ブレードを向けた先にはレイジングハートを構えたなのはが立っていた。

 

「な……なのはさん……」

 

「何やら騒がしいと思ったら……こんなところで何をしているのかな?」

 

 なのはは武装を解除しないで接近する。

 

 対するトムは高周波ブレードを構えながら答える。

 

「騒がしくてすまないね。これから帰るところだったんだがね」

 

「そうですか。でも大したおもてなしもできなかったみたいですが」

 

「十分さ……それより君のそれ。メタトロンを積んでいるようだね」

 

 トムはレイジングハートを高周波ブレードで指し示す。

 

「だとして、何か関係あるのかな?」

 

「見たところ……そのデバイスはAIによる補助なしでメタトロンを使っているよね」

 

「え……」

 

「レイジングハートのAIが……」

 

 スバルとティアナが唖然とする。

 

 対するなのはは静かに答える。

 

「答える必要はないよね」

 

「いや、有るね……メタトロンは──」

 

「メタトロンをAIの補助なしで使うのは危険よ! 最悪の場合精神がメタトロンに侵されるわ」

 

 トムの説明に割り込んだハーマイオニーをなのはが見据える。

 

「今ならまだ間に合うわ! だから──」

 

「煩い!」

 

 なのはが声を荒らげる。

 

「貴女達さえ……あんた達さえいなければ! あの2機が来なければ! 私は!」

 

 なのはは激高しながらレイジングハートはカートリッジをロードする。

 

 排出された薬莢には赤いエネルギーラインが走っておりそのうちの1発がハーマイオニーの足元に転がる。

 

 拾い上げたハーマイオニーはそれを睨みつける。

 

「メタトロンを封入した外部供給型デバイス……こんな物を使っていたら!」

 

「これは……不味いな……」

 

 レイジングハートは赤色のエネルギーラインを発生さえ、それはなのはの体にも侵食していく。

 

「不味いわ! トム!」

 

「あぁ!」

 

 トムは走り出すとレイジングハート目掛け高周波ブレードを振り下ろす。

 

「なにっ! うぉ!」

 

 しかし、高周波ブレードはなのはが展開したプロテクションによってトムが吹き飛ばされる。

 

「消えてしまえ!」

 

 なのははエネルギーを開放すると、強大な魔力の塊を3人に向け発射する。

 

「くっ!」

 

 トムは高周波ブレードを正面に構えると3人の前に立ちはだかる。

 

「トム!」

 

 なのはが発射した魔力の塊と高周波ブレードが互いに干渉し合い爆発を起こす。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 なのはは肩で息をしながら、力なくレイジングハートを杖にし、体重を預ける。

 

 爆心地には黒煙が立ち込めている。

 

 しばらくすると黒煙が晴れる。

 

 その時、なのはが一瞬眉を顰める。

 

 そこには、左腕を失いながら右手でひびの入った高周波ブレードを構えるトムと3人の姿があった。

 

「くっ……」

 

 トムは高周波ブレードを地面に突き刺しながら片膝を着く。

 

「トム! 大丈夫?」

 

「あ……あぁ……なんとか……」

 

 ノイズ交じりの音声でトムは答える。

 

「これで……とどめを……」

 

 なのはが再びレイジングハートを構える。

 

「やめて! これ以上は貴女だって危険よ!」

 

「煩い!」

 

 なのはの正面に魔法陣が形成される。

 

「やめてください!」

 

「なのはさん!」

 

 スバルとティアナがなのはの前に立ちはだかる。

 

 しかし、なのはは依然として武装を解こうとはしない。

 

「邪魔を!」

 

 なのはは片手を振ると2発の魔力弾が発射されスバルとティアナに直撃する。

 

「するなぁ!」

 

「くっ!」

 

「あっ!」

 

 直撃した2人は勢いよく吹き飛ばされる。

 

「これで!」

 

 なのはが再びレイジングハートを構える。

 

 その時、外から車の排気音が響く。

 

「なんだ?」

 

「何?」

 

 車の排気音はさらに激しさを増す。

 

 次の瞬間、入口のシャッターを突き破り1台のスポーツカーが飛び込んでくる。

 

 スポーツカーはけたたましいブレーキ音を響かせながら、3人の盾になるように停車する。

 

 停車したスポーツカーから1人の女性が下車する。

 

「フェイト……ちゃん……」

 

「なのは……」

 

 そこには黒いジャケットに身を包み、右目に眼帯をしたフェイトがバルディッシュを構える。

 

「へぇ……フェイトちゃん……生きていたんだ! うれしいなぁ! あぁああ! 実に嬉しいよ!」

 

「なのは!」

 

 フェイトはバルディッシュを上段に構えると高速でなのはに接近する。

 

「いい加減! 目を覚ませ!」

 

 フェイトはバルディッシュを勢いよく振り下ろす。

 

 しかし、なのはは左手を上げるとバルディッシュの刀身を掴む。

 

「なっ!」

 

「目を覚ますぅ? おかしい事を言うよね! その程度じゃ……私には勝てないよ……フェイトちゃん!」

 

 刀身を掴んだままなのははフェイスの腹部を蹴り上げる。

 

「くっ!」

 

 瞬時にバルディッシュの持ち手部分をスライドさせ蹴りの直撃を防ぐが、勢いは凄まじく、フェイトの体が吹き飛ばされる。

 

 吹き飛ばされたフェイトは空中で受け身を取り、着地する。

 

「さぁ! 早く立って! まだまだこんなものじゃないでしょ!」

 

「なのは……その力は……」

 

「分かる? フェイトちゃん……この湧き上がるような力が! これこそ世界を導く力だよ!」

 

「なのは……」

 

「もう一度言うよ! 一緒になろうよ! フェイトちゃん!! あーはっははは!!」

 

 狂ったように高笑いを繰り返すなのはをフェイトは憐みの目を持って見据える。

 

 その時

 

「ごはぁ!」

 

 勢いよく咳き込んだなのはの口から鮮血が吐き出される。

 吐き出された血によって純白のバリアジャケットが真紅に染まる。

 

「なのは!」

 

「こ……これは……」

 

「身体がメタトロンに侵食され始めたのね……このままだと危険だわ! すぐに使用を──」

 

 次の瞬間、爆破と共に大量のガジェットが現れる。

 

「身体を酷使しすぎたようだね」

 

 周囲にスカリエッティの声が響く。

 

「スカリエッティ……」

 

「このままじゃ危険だ。すぐに戻りたまえ」

 

「黙れ! 私はまだ! 戦える!」

 

「これは命令だ。すぐに戻れ」

 

「くっ!」

 

 なのはは周囲を一瞥した後、踵を返す。

 

「なのは!」

 

「「なのはさん!」」

 

 フェイト達の呼びかけに一瞬だけ動きを止めたなのはだが、振り返ることなく奥へと消えていった。

 

「なのは! くっ……またガジェットが……」

 

 フェイトはバルディッシュを構え周囲を見回す。

 

「ここは撤退します! 全員私が乗ってきた車へ」

 

「はい!」

 

 フェイトが叫ぶとスバルとティアナがトムを抱え車へと乗りこむ。

 

「貴女も!」

 

「えぇ!」

 

 ハーマイオニーも車に乗り込むとフェイトは勢いよく車を発進させる。

 

 それに合わせるようにガジェットが一斉に攻撃を開始する。

 

「くっ!」

 

 フェイトはハンドルを切り攻撃を回避すると速度を一気に上げ離脱を開始した。

 

「こいつは……お土産だ」

 

 トムがそう言うと現場に残された移動前のトムの義体が爆発を起こす。

 

「これで……時間は稼げるだろう……」

 

「急いで!」

 

「はい!」

 

 満身創痍の5人は何とかリユニオンへと帰還を果たす。

 




エイダたちが活躍していない…
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