魔法少女ZOË   作:サーフ

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前回は幕間の様なものなので今回は早めに…


切札

 

  作戦開始日。

 

 私達は、レジスタンスの艦隊と合流する。

 

 はやてが回線を開く。

 

 モニターにクロノが映し出される。

 

「こちらの準備はできている。そちらは?」

 

「こっちは問題ないで。それとエリオとキャロの事……助かったで」

 

「仲間が安全な場所に匿ってはあるから大丈夫なはずだ」

 

「あの2人には今回の作戦は荷が重すぎるからなぁ……」

 

 はやてが答えるとクロノは頷く。

 

「さて……この作戦の要は君達だ。全て押し付けるようで悪いが……」

 

「相手は……なのはちゃんや……私達が……止めるのが道理や」

 

「そうだね……やるよ! はやて」

 

 はやてとフェイトはお互いに頷く。

 

「敵艦隊を補足」

 

「メインモニターに映像を出します」

 

 メインモニターには衛星軌道上に布陣する敵艦隊と、月から魔力供給を受けている聖王のゆりかごの姿が映し出される。

 

「この数はざっと数百隻と言ったところか」

 

「戦艦の数で言えばこちらが有利ね……」

 

「だが向こうはガジェット等を有しているだろう」

 

「そうなると……」

 

「よくて同等……最悪不利ね」

 

 モニターを見たハーマイオニーとトムは状況を分析する。

 

「しかし作戦は変わらない……当初の作戦通りに行で!」

 

「了解!」

 

「艦隊前進!」

 

 クロノが指示を出すとレジスタンスの艦隊が前進し、前線部隊と戦闘が開始される。

 

「戦端が開かれた……フェーズ2へ移行!」

 

 クロノが指示を出すと艦隊が2手に分かれ2つの月へ向かう軌道を取る。

 

「こちらはこれより艦隊戦へ移行する。君達は……」

 

「私達は私達の仕事をする……そうやろ?」

 

「そうだ」

 

 モニター越しにクロノは敬礼すると、はやてもそれに返礼すると通信が切れる。

 

「さて、私達も行で!」

 

 はやてが指示を出すとリユニオンとアースラが聖王のゆりかごへの最短コースを取る。

 

 その時、レーダーに反応がある。

 

「さて、手荒い歓迎だな」

 

 百隻前後の艦艇と数百を超えるガジェットがこちらの前面に現れる。

 

「敵を補足しました。作戦を開始します」

 

「2隻相手に手荒い歓迎やな! 了解や! アルカンシェル発射準備や!」

 

「了解。アルカンシェル発射準備」

 

 アインスははやての指示を承服しアースラはアルカンシェル発射状態へ移行する。

 

「さて、こちらもやるわよ。トム」

 

「あぁ、いつでも行ける」

 

「ふぅ……」

 

 ハーマイオニーは呼吸を整える。

 

「ベクターキャノン、発射準備!」

 

「了解。ベクターキャノン発射シーケンス開始」

 

 トムが復唱するとリユニオンはベクターキャノン発射シーケンスを開始する。

 

「エネルギーライン全段直結」

 

「空間アンカー、船体固定」

 

 メタトロンの空間圧縮特性を利用したアンカーでリユニオンの船体が固定される。

 

「チャンバー内、薬室圧力上昇」

 

「エネルギー充填率120%、セーフティ解除」

 

「いつでも撃てるぞ!」

 

「分かったわ!」

 

 ハーマイオニーとはやては振り上げた手を降ろす。

 

「「発射!」」

 

 リユニオンのベクターキャノンとアースラのアルカンシェルが同時に発射される。

 

 同時に発射された暴力の塊は着弾と同時に大規模な爆発を起こし、敵艦隊の中央部に穴をあける。

 

「道が出来た! 行くぞ!」

 

「了解」

 

 事前にオービタルフレームに搭乗していた私達はリユニオンとアースラの後部に手を掛ける。

 

「予測進路測定完了」

 

「「ゼロシフト・レディ」」

 

 私達は同時にゼロシフトを起動する。

 

 その瞬間、亜光速に加速されたリユニオンとアースラが宙域を一気に進み敵前衛艦隊を突破する。

 

「うぉ!」

 

「くっ!」

 

  到着時の衝撃で艦艇が若干だが揺れる。

 

「作戦目標、聖王のゆりかごを正面に捉えました」

 

 突如として現れた私達に対し聖王のゆりかごから大量のガジェットが発進する。

 

 しかし、周囲に艦艇の姿は確認できない。

 

「恐らく護衛の艦隊は全部前衛艦隊に回しとったんやろうな」

 

「今がチャンスね!」

 

「作戦の最終確認や! これより聖王のゆりかごに侵入、その後ガジェットの制御装置の破壊および……今回のクーデターの首謀者であるジェイル・スカリエッティと……高町なのはの逮捕や…… 各員準備するんや!」

 

 はやての指示に従い、全員が戦闘態勢を取る。

 

「主! 我々は船外へ出て戦艦の護衛を行います」

 

「了解や。護衛部隊の指示は一任するで」

 

「了解!」

 

 シグナムは敬礼し、ヴォルケンリッターは船外戦闘用のバリアジャケットに身を包み戦闘態勢を整える。

 

「目標周辺に高エネルギー反応!」

 

「やはりか……」

 

 聖王のゆりかごは4重の防御シールドを展開する。

 

 そのシールドによりアースラからの攻撃が防がれる。

 

「シールドの展開を確認」

 

「やっぱりね」

 

「楽はさせてくれんようやね……」

 

「おそらく別動隊は未だに月基地を制圧できていないようです」

 

 はやては苦悶の表情を浮かべ、小さくため息を吐いた。

 

「よし! 作戦変更や!」

 

「了解……ベクターキャノン発射シーケンス開始! 2人もリユニオンに着艦後ベクターキャノンを!」

 

「「了解」」

 

 私達はリユニオンの着艦すると、ベクターキャノンモードへ移行する。

 

「「エネルギーライン、全段直結」」

 

 砲身にエネルギーラインを直結させる。

 

 それにより、ジェフティの全身と砲身自体にも青白いエネルギーラインが走り出す。

 

 アヌビスは赤黒いエネルギーラインが走る。

 

 エネルギーラインの直結により、砲身の前面に6個のアンプが浮遊する。

 

「「ランディングギア、アイゼン、ロック」」

 

 衝撃に備え、脚部を固定する為に、赤い色のアイゼンをリユニオンの甲板に打ち込む。

 

「「チャンバー内、正常加圧中」」

 

 エネルギーがチャンバー内に集約される。

 

 それに伴い、アンプにもエネルギーが供給され始め、緩やかに回転を開始する。

 

 エネルギー供給ラインが上昇を開始する。

 

「「ライフリング回転開始」」

 

 エネルギーの供給が終了後、アンプが高速で回転し、ライフリングを形成する。

 

 回転速度も上昇し、安定期に入る。

 

「「撃てます」」

 

 それと同時にリユニオンも発射体制を整える。

 

 それに同調しアースラもアルカンシェルの発射体制を取る。

 

「「「「発射」」」」

 

 3発のベクターキャノンと1発のアルカンシェルが聖王のゆりかごに向かって発射される。

 

 着弾した暴力の塊は大規模な爆発を起こし、周囲に閃光が飛び散る。

 

「発射終了」

 

「結果は……」

 

 閃光が収縮する。

 

 そこには、依然として聖王のゆりかごが存在していた。

 

「目標、依然健在」

 

「やはり……アルカンシェルではベクターキャノンの代用はできなかったか……」

 

「味方艦隊より入電! 艦隊の損傷多数。月基地の破壊および占拠は不可能、撤退を開始した模様です」

 

「こうなるのは予定通りや……最終手段やな……作戦を変更するで! アースラ最大船速でゆりかごへ突撃を敢行する!」

 

 はやてがそう言うとアースラが聖王のゆりかごへ移動を開始する。

 

 その時、聖王のゆりかごから通信が入る。

 

「別動隊も迎撃されて、虎の子の攻撃も無力化されて、特攻でもする気かい?」

 

「スカリ……エッティ!」

 

「確かに、戦艦の衝突レベルの物理的な衝撃ならばこの防御シールドは打ち破れるかもしれないな……しかし」

 

 アースラの前面にガジェットが立ちはだかる

 

「そう易々とやらせるわけにはいかないな」

 

 ガジェットが攻撃を開始し、アースラのシールドを削っていく。

 

「こちらもそう易々とやられる気はないんや!」

 

 はやてが叫ぶとアースラの主砲や副砲が発射されガジェットを撃破していく。

 

 しかし、ガジェットの猛攻は止まらず、アースラの所々から爆炎と煙が上がる。

 

「まだや! 機関最大! 最大船速!」

 

「了解。機関最大、最大船速」

 

 

 アインスが復唱しアースラは更に速度を上げ、聖王のゆりかごとの距離を詰める。

 

「ここまで抵抗するとは見事だ、だが……」

 

 次の瞬間、周囲からピンク色のバインドが現れ、アースラを固定する。

 

「これは……なのはちゃん!」

 

 聖王のゆりかごの前に宇宙空間に対応したバリアジャケットを身に纏ったなのはが現れ、手に持ったレイジングハートを構える。

 

「さようなら、はやてちゃん」

 

 レイジングハートから高出力の魔力が発射される。

 

 メタトロンを含んだ魔力の濁流はアースラを飲み込む。

 

 飲み込まれたアースラはその存在をこの世から消してしまった。

 

「くっ!」

 

 なのははその場で小さく咳き込むと、口の端に血が流れる。

 

「残存勢力の掃討を……」

 

「流石は、なのはちゃんや」

 

 スカリエッティの声が周囲に響くがそれをかき消すようにはやての声が響く。

 

「なに!」

 

「アースラは遠隔操作してただけや……どうや? 私の芝居もなかなかやろ?」

 

「はやてちゃん! 私を馬鹿にしてるの!」

 

「そんなつもりはないで。でもまぁ……おかげで時間が稼げたで……行でリイン! アインス!」

 

「はいなのです!」

 

「はい……」

 

 ユニゾンし船外活動用のバリアジャケットに身を包んだはやてと船外服を身にまとったアインスがリユニオンの艦橋に立つ。

 

「さぁ……行で……なのはちゃん……あの2人に影響を受けたのはなぁ……なのはちゃんだけやない……あの2人に憧れて……少しでも近付く為に……考えに考え抜いた私の……コツコツと私の魔力を蒐集し続けた……今までの集大成……全力全開や!」

 

 はやては夜天の魔導書を片手に息を整え。瞳を閉じながら顔を上げる。

 

「ベクターキャノンモード!! 機動(スタンバイ)!!」

 

 次の瞬間、はやての足元と周囲に蒼白い魔法陣が現れる。

 

「リンカーコア最大出力! 魔力全開放!」

 

 手にした夜天の魔導書が勢いよく開かれる。

 

「バインド展開!」

 

 はやては自身の体を固定するようにバインドを展開する。

 

「全(ページ)! 開放!」

 

 夜天の魔導書に蒐集されていたすべての頁が展開され周囲を舞い散るように展開する。

 

「全魔力…集約…完…了!!」

 

 はやての前面に6個の魔法陣が展開され緩やかに回転を開始する。

 

「発射……準備……完了!」

 

 はやては目を見開く。

 

「「「「発射!」」」」

 

 次の瞬間、はやての前面に展開された魔法陣からベクターキャノンと同等の魔法が解放される。

 

 はやての発射に合わせ、既に発射シーケンスを終えていた私達とリユニオンからもベクターキャノンが発射される。

 

「なんだ……と! まずい! エースオブエースは!」

 

「シールド圏内に居ます!」

 

「これならば……」

 

 スカリエッティの声が響くと同時に聖王のゆりかごに4発のベクターキャノンがまるで絡み合うように着弾する。

 

「くぅううぅうう!!」

 

 大希望に放出されるベクターキャノンの反動に体を揺らしながら、歯を食いしばってはやては耐え続ける。

 

 着弾した直後、大規模な爆発が起こる。

 

「測定終了。シールドの消失を確認。ダメージを確認しましたが、目標は依然健在です」

 

 4発のベクターキャノンの直撃を受けた聖王のゆりかごはダメージを受け、至る所から爆炎を上げている。

 

「そ……そう……か……」

 

 私の報告を聞いたはやてはその場で力なく無重力に浮かび上がる。

 

 それと同時にユニゾンが解除されリインも宙に浮く。

 

「主! リイン!」

 

 アインスがはやてを支え、リインを手で受け止める。

 

「とにかく、船内へ!」

 

 アインスに抱えられはやては船内に入る。

 




はやてちゃんは守護られる存在ではもうありません…

立派に戦える大人になったのです!!

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