船内に入ると、すでに待機していたシャマルが用意したストレッチャーに乗せられ医務室へと運ばれる。
「だい……じょうぶや……それより……指示……を……ぐはっ!」
咳き込み、吐血し周囲に赤い球が浮かぶ。
「早く医務室へ! 急いで!」
はやてを乗せたストレッチャーは急ぎ医務室へと移動する。
「無理をしてはダメよ」
「せやけど……」
医務室でハーマイオニーは回復魔法を行いながらはやてに答える。
「後の指示は私がするわ。今は……休んで」
はやては頷くとそのまま意識を手放した。
「はやては……主は大丈夫なのか! リインも!」
アインスはハーマイオニーに詰め寄る。
「ベクターキャノンを生身で撃ったのよ……大丈夫なわけ……デバイスも無事では……」
「そ……そんな……」
その場に集まった全員が暗い表情を浮かべる。
「折角彼女が作ってくれたチャンスよ……無駄にするわけにはいかないわ……とにかく全員ブリーフィングルームへ」
全員がブリーフィングルームへと移動する。
「現在、この船は最大船速で聖王のゆりかごに向かっているわ。恐らくもう少しで突入するわ。でも残念なことに月基地は依然健在よ……恐らくだけど私達の突入以降はシールドも回復するはずよ」
「つまり……」
「内部で戦う事ができる戦力は私達だけという事よ」
「やれるだけの事をやるだけだ!」
「そうね。到着後、アンチAMFフィールドを展開するわ。ヴォルケンリッターと私達で湾内を制圧を行うわ。残りは外で警護に当たっているた2人と合流して、そのまま内部へ侵入。制御装置の破壊を」
「わかった。ヴォルケンリッターの指示は私が取ろう。シャマルは主の手当てを」
「えぇ」
シグナムは立ち上がる。
それに倣うように、ヴィータとザフィーラも後に続く。
「お願いね」
「あぁ。主を守るのが我等守護騎士の役目だ……今こそ役目を果たす時だ」
そう言うとヴォルケンリッターはその場を後にした。
「ティアナとスバルは私と一緒に突入するよ」
「「了解!」」
フェイトが言うと2人が立ちあがる。
「それでは行ってきます」
「ちょっと待って」
ハーマイオニーはスバルとティアナの2人を呼び止める。
「2人のデバイスの改良が終わったから一応渡しておくわ」
ハーマイオニーは2枚のカード型デバイスを取り出す。
「使い方は今までとほとんど変わらないけど若干の変更点もあるわ。でも説明している時間はないわ。使いながら覚えて」
「そんな無茶苦茶な……」
「無茶なことをやるのよ」
「はは……了解です。それでは私達はこれで」
2人は一礼しその場を後にした。
「貴女にはこれを」
ハーマイオニーはフェイトの前に小さな小箱を置く。
「これは?」
「メタトロンを封入したデバイス用のカートリッジよ。一時的にではあるけど、デバイスが強化されるわ……でも」
「危険……という事は分かっています」
「そう……使っても1回につき1発までにして、それ以上は危険だからデバイスにセーフティを掛けてあるわ」
「ありがとう……」
フェイトは小箱を受け取るとポケットへしまうと駆け足でその場を後にした。
聖王の聖王のゆりかごに接近すると同時にリユニオン艦内に警報が流れる。
「これより湾内に突っ込むぞ! 全員衝撃に備えてくれ」
トムの声が響くと同時にリユニオンは突入を止めようとしたガジェットを轢き潰しながら湾内に強行突入する。
「ぐぅ! 突入成功だ! 各員配置についてくれ!」
「了解!」
突入したリユニオンの艦砲から援護射撃が行われ、周囲に現れたガジェットを撃破していく。
それと同時に飛び出したヴォルケンリッターにより、戦闘が継続していく。
「行け!」
「わかったわ!」
ヴォルケンリッターの援護を受け、フェイト達が走り出す。
私達はオービタルフレームを収納すると物資搬入口を防衛していたガジェットを奇襲する。
ブレードとウアスロッドによって破壊されたガジェットが爆発を起こす。
「こちらです」
「えぇ!」
私の案内に従いフェイト達が合流し、内部への侵入を果たす。
内部は警報が鳴り響いており、ガジェットが行く手を阻む。
「じゃまをするなぁ!」
スバルが先行しガジェット群に近接攻撃を行い、道を切り開いていく。
「くっ! ガジェットが多すぎる!」
「でも……人が全然いない……むしろ……ガジェットだらけ……」
「生命反応の数は少数です」
「恐らくほとんどが無人化された施設なのでしょう」
「なら手加減はしない!」
私達はさらに歩みを進め、聖王のゆりかご深部へと移動する。
15分ほど過ぎただろうか、目の前に巨大な扉が現れる。
「この先に巨大な空間を検知。内部にはガジェットの反応が多数あります」
「コントロールルームはこの先のはず……迂回ルートを進んでいる暇はない……このまま突っ切るよ!」
「「了解!」」
フェイトの判断にスバル達は声をそろえる。
巨大な空間に出ると大量のガジェットが待ち構えていた。
「ようこそお越しくださいました」
大量のガジェットの前で1人の女性が一礼する。
「私はウーノ。ドクタースカリエッティの助手を務めております」
「私達は時空管理局よ。道を開けて」
フェイトがバルディッシュを構えウーノに突き付ける。
「この先でドクターとエースオブエースがお待ちです。どうぞお通りください」
ウーノがそう言うとガジェット部隊が左右に分かれ道ができる。
「ですが……ご用があるのは……」
ウーノが指を鳴らすと次の瞬間スバルとティアナを取り囲むようにガジェットが展開する。
「スバル! ティアナ!」
フェイトが声を荒らげる。
「貴女達にはここで死んでもらいます」
スバルとティアナは周囲を見渡す。
「大丈夫です!」
「ここは私達に任せて皆さんは先へ!」
スバルとティアナは武装を展開する。
「でも……」
「私達じゃ……なのはさんは止められない……」
「私達はきっと力不足です……でも! でもフェイトさん達ならきっと!」
「二人共……わかったわ!」
フェイトは踵を返すと奥へと歩みを進める。
「どうかご武運を」
「お二人も!」
私達もフェイトの後を追いかける。
フェイト達を見送った後、スバルとティアナは互いに背中を合わせ周囲を見渡す。
「さぁて……それにしても……すごい数のガジェットだね」
「そうね。これだけを相手するのは相当疲れそうね」
「一瞬で楽にしてあげるわ」
ウーノが手を振り下ろすと大量のガジェットが一斉に襲い掛かる。
「行よ。スバル」
「了解!」
「「セットアップ!」」
次の瞬間、何発もの銃声が鳴り響くと同時に2人を取り囲んでいたガジェットが破壊される。
「なっ!」
ウーノが驚愕している中、爆炎の中心で両手に銃型のデバイスを構えたティアナと、白銀の装甲を身にまとったスバルが姿を現す。
「モードデュアル」
再びティアナが両手の銃を構えその場で次々とデバイスを撃破していく。
「くっ! 奴を撃破しろ!」
ティアナの背後を強襲するようにガジェットが展開し、同時に砲門を開く。
しかし、砲門から魔力弾が発射されることはなく、ほぼ同時に破壊される。
「なに!」
爆炎の中から、装甲についたバーニアを吹かしながら片膝を着き、接地面から火花を散らしながら地面を滑るように高速移動するスバルが姿を現す。
「行よスバル! 遊撃は任せた!」
「了解! 援護よろしく!」
スバルはバーニアを吹かし滑るように高速でガジェット部隊に接近する。
「迎撃しろ!」
集まったガジェット部隊が一斉にスバル目掛け砲撃を開始する。
砲撃が着弾する瞬間にスバルは飛び上がり、目の前の1機を踏み台の様に踏みつける。
踏みつけられたガジェットはその場で崩壊し、スバルが飛び上がると同時に爆破する。
「踏み台にしたぁ!」
ガジェットの背後を取ったスバルは拳を振り上げ攻撃を開始する。
攻撃を受けたガジェット部隊はその場で旋回し、スバルに照準を向ける。
しかし、そんなガジェット部隊に大量の弾幕が襲い掛かり爆炎を上げる。
「モードアサルト」
そこにはアサルトライフルを手にしたティアナが姿を現した。
「新しいデバイス良い感じだね」
「そうね。状況に応じて形態を変えられるのは良いわね」
そう言うティアナに1機のガジェットが急速接近する。
「モードショットガン」
次の瞬間、ティアナが手にしていたアサルトライフルがブリップの部分を残し収縮すると同時に形態を変化させる。
瞬時に形状を変化させたショットガンを構え、ガジェット目掛け引き金を引く。
至近距離から散弾の直撃を受けたガジェットはその場で爆散する。
「やるじゃん」
その時、巨大な影が2人の前に現れる。
そこには通常のガジェットの3倍ほどの巨大なガジェットが現れる。
「こいつは任せて!」
スバルは巨大ガジェットの前に立つと拳を構える。
「はぁ!」
スバルが拳を繰り出す瞬間にひじの部分の装甲が展開しバーニアが出現する。
バーニアの勢いが乗った1撃がガジェットの中心部を捉える。
その1撃によりガジェットの装甲に大きなヒビが入る。
「まだまだ!」
交互に拳を打ち込み、突きのラッシュを繰り出す。
「オラオラオラオラオラァ!」
最後の1撃を受けたガジェットは吹き飛ばされ、別のガジェット部隊を巻き込みながら爆発を起こす。
「これすごい……体が軽い……」
「調子に乗るなよ!」
その時、ウーノ怒声が響く。
それに呼応するようにさらに大量のガジェットが周囲を取り囲む。
「撃て!」
スバルの周囲を取り囲んだガジェットが一斉にスバル目掛けて攻撃を行う。
「くっ!」
スバルは顔の前で腕を交互に組みガジェットの攻撃を受け止める。
攻撃が止み周囲に煙が立ち込める。
煙の尾を引きながら高速で飛び出したスバルがガジェットに飛びつくとそのまま胴体部を掴み別のガジェット目掛け投げつける。
ガジェット同士がぶつかり合い互いに誘爆を起こす。
「スバル! 無事?」
着地したスバルにティアナが駆け寄る。
「うん、大丈夫。さすがは新型、防弾性はばっちりみたい」
「そう。それは良かった……しかし……この状況……すごい物量……大群ってレベルじゃないわね」
「さて……やりますか! どっちが多く倒せるか勝負しよう!」
「負けた方が帰ったら何か奢るってなら良いわよ」
「待ってました!」
2人はデバイスを構え直すとガジェット部隊と向き合った。