はやてが許可を下した翌日から蒐集が開始される。
数日前の襲撃者の件もあり、スケジュールを調節し、必ず最低でも誰か1人がはやての警護に当たる様にした。
その為、蒐集スピードは落ちるが、全て予定通りに事は運んでいた。
そんなある日、私は転移魔法が使えるシャマルと共に管理外世界を訪れていた。
周囲が砂漠に覆われた世界に、目標の生命体が存在する様だ。
ちなみに、本日のはやての護衛任務はシグナムとデルフィだ。
「居たわ。エイダちゃん、お願い」
「了解」
周辺をスキャンすると、砂の中を高速で移動する生命反応を確認する。
次の瞬間、砂を巻き起こしながら、巨大なムカデの様な生命体が襲い掛かる。
私は、バーニアを起動し、攻撃を回避する。
攻撃を回避されたムカデは、再び砂の中へと潜り込む。
砂の中には複数の反応があり、群れで行動している様だ。
「結構厄介そうね。サポートする?」
「いいえ、危険ですので上空で待機してください」
「わかったわ」
シャマルが上空へ退避した事を確認した後、私はホーミングミサイルを展開する。
「ホーミングミサイル展開」
砂の中の生命体を全てロックする。
「発射」
総数16発のホーミングミサイルが一斉に上昇した後、地面に向かい急降下する。
ホーミングミサイルが地面に吸い込まれてから数秒後、地中で連鎖爆発が起こり、粉塵が巻き起こる。
「キャ!」
爆音に驚き、シャマルが悲鳴を上げると同時に、上空からバラバラに爆散したムカデの残骸が落下する。
「殲滅終了です。蒐集を開始してください」
「え、ええ……わかったわ」
闇の書を構え、シャマルが収集を開始する。
「容赦ないわね……というか……不殺の……まぁ……人じゃないし……」
「何か仰いましたか?」
「いいえ、なんでもないわ。結構埋まったわ。いい感じね」
「了解。作戦終了時間です。帰還しましょう」
「そうね。向こうの時間じゃもう夜でしょうし、あまり遅いとはやてちゃんが心配しちゃうわ」
私達は帰還準備を整え始める。
その時。
「え? ちょっと待って」
シャマルが念話による通信を開始した。
「えぇ、わかったわ。すぐに向かうわ」
深刻そうな表情をしたシャマルがこちらに顔を向ける。
「大変よ! ヴィータちゃんが魔導士の子供に襲い掛かったってザフィーラから連絡があったわ!」
「戦況は?」
「鳴海市で戦闘状態になったらしいわ。自宅で待機していたシグナムが援護に向かったって。デルフィちゃんははやてちゃんの護衛に付いているみたい。でも相手も相当の手練れらしいわ」
「了解。急行しましょう。鳴海市に到着後、デルフィに出撃要請を出します。シャマルは自宅ではやての護衛に付いてください」
「わかったわ」
シャマルが転移魔法を展開させる。
「行くわよ」
「了解」
私達は、敵部隊からの探知を避けるべく自宅から5㎞ほど離れた地点に転移する。
「急いで戻りましょう」
「了解。私はこのまま作戦エリアへ急行します。状況次第では蒐集を行います。闇の書をお貸しいただけますか?」
「わかったわ」
私は、闇の書を受け取るとバーニアで飛び上がり、戦闘エリアへと急行した。
数秒後。戦闘エリアに到着した私は全体にジャミング電波を発生し、外部からの監視を阻害する。
戦況はヴィータとザフィーラが金髪と獣耳の女性と対峙していた。
その時、背後から接近する反応がある。
反応からしてシグナムだと判断できる。
「お前、来ていたのか?」
「今到着したところです」
「そうか、では行くぞ。私が先行する」
「お待ちください。私が突入し敵部隊を無力化します。シグナムは2人の撤退の援護を」
「私も戦いたいのだが……仕方ないか」
シグナムは少し残念そうな表情をする。
私はそんなシグナムに闇の書を手渡す。
「状況次第では蒐集を行います」
「わかった」
シグナムは闇の書を受け取り、保管する。
戦況は、ヴィータが敵部隊により手足を拘束され、空中に固定されていた。
「くそっ!」
「はぁあああ!!」
それと同時に、金髪の少女がヴィータに金色のエネルギーブレードで切りかかる。
「くっ!」
ヴィータは眼を瞑り、訪れる衝撃に備える。
「ゼロシフトレディ」
私はゼロシフトを使用し、ヴィータの前に移動すると、迫り来るエネルギーブレードを左手で受け止める。
威力自体は大した事が無く、受け止めるのは容易だ。
「え?」
突然の事に金髪の少女は目を見開き驚愕している。
「あれ……」
ヴィータも恐る恐る目を開け状況を確認する。
「ご無事ですか?」
「え、エイダ……どうして!」
「随分と手こずっていた様だな」
シグナムがヴィータの帽子を片手に現れる。
「ほら、落とし物だ」
「よ、余計な事しやがって! これから反撃するところだったんだ!」
「そうか、しかしここは一時退くぞ」
「でも!」
シグナムがヴィータの背後に移動し、手足の拘束を破壊する。
「この場は私にお任せください」
「そういう事だ」
「うぅ……わかったよ」
ヴィータとザフィーラはシグナムと共に、上空へと退避を行う。
「待て!」
金髪の少女はシグナム達を追いかけようとするが、デバイスは私が左手で保持している為、移動できずにいる。
「クッ!」
一度デバイスを解除し、私の拘束から逃れた後、金髪の少女が再びデバイスを展開させる。
「私は時空管理局の嘱託魔導士、フェイト・テスタロッサ。貴女は何者です? 一体何が望み?」
「申し訳ありませんが、作戦内容を流出させるわけにはいきません」
フェイトは視線を逸らすことなく、こちらを見据える。
「答えるつもりは無いという事ですか」
「その通りです」
「ならば! 貴女を逮捕します!」
フェイトは再び、エネルギーブレードを展開する。
「バルディッシュ!」
バルディッシュのコア部分が光を放つとエネルギーブレードの出力が上昇する。
「はぁああ!!!!!!」
高速で接近したフェイトがバルディッシュを振り下ろす。
「防衛行動」
私は腕をブレードに変化させ、バルディッシュを受け止める。
「腕を……変化させた?」
ブレードを横に振り抜き、フェイトを引き飛ばす。
「くっ!」
私は追撃する為に、バーニアを噴かし急接近する。
「はぁ!」
フェイトはこちらを迎撃する為に、高速でバックステップし距離を取る。
それと同時に、バルディッシュを横に薙ぎ、切り返しを行う。
「捕えた!!」
バルディッシュは着実に私の胴体部を捕える。
「ゼロシフトレディ」
バルディッシュが命中する已の所で、ゼロシフトを使用し、その場から姿を消す。
「き、消えた……」
フェイトは目の前から私か消えた事に驚きを隠せずにいる。
「こちらです」
背後から声を掛けると、フェイトは驚愕する。
「なっ!」
私はブレードを上から振り降ろす。
「くっ! くわぁ!」
フェイトはバルディッシュで受け止めるが、ブレードはバルディッシュのフレームを切り裂き、フェイトはビルへと叩きつけられる。
粉塵が巻き起こるビルから生命反応が確認できるので、死亡はしていない様だ。
粉塵が晴れると、そこには破損したバルディッシュをリカバリーして装備しているフェイトが立っていた。
「まだ……まだ戦える!!」
フェイトが飛び出すと、高速で近接攻撃を仕掛けて来る。
「てりゃあああ!!」
それと同時に、背後から獣耳の女性が打撃による攻撃を行う。
「シールド展開」
シールドを展開し、2人の攻撃を防ぐ。
「くそ!」
「アルフ!」
「なんて硬い結界なんだ……ヒビすら入らない!」
私は二人を見据える。
その時、別方向からエネルギーの収束を検知する。
恐らく、砲撃による
私は砲撃地点へと移動を開始する。
「行かせない!!」
2人は私を挟むように陣取る。
私は2人をロックし、最低出力に設定したレーザーランスを発射する。
「レーザーランス発射」
発射されたレーザーランスは複雑な軌道を描き2人に迫る。
「くっ!」
フェイトは回避行動を行い、アルフはシールドを展開する。
レーザーランスはフェイトを追尾し、アルフのシールドに直撃し完全に破壊する。
「くはっ!」
撃墜されたアルフは獣状態になり、屋上に落下した。
「アルフ!」
フェイトは声を荒らげながら、必死にレーザーランスを回避し、ビルを盾に使う。
その時、私の手足を何者かが拘束する。
「ユーノ!」
ユーノと呼ばれた少年はビルに立っている。
恐らく、この拘束は彼の仕業だろう。
その時、砲撃地点のエネルギーが増大し、ピンク色の光があふれる。
「スターライトブレイカー!!」
砲撃地点に居た少女が手にしたデバイスから砲撃を行う。
放たれた砲撃は拘束された私に直撃コースだ。
「シールド展開」
私はシールドを展開する。
その直後、ピンク色のエネルギー砲撃が直撃する。
砲撃の余波が周囲に広がり、粉塵が巻き起こる。
「エイダ!!」
「なんつーバカ魔力だ!」
「あんなものをまともに受けては……」
後方に退避したシグナム達が先程の砲撃威力に驚愕している。
威力レベルで言えば、ハルバードの15%程度の威力だと推定される。
その為、シールドによる防御は容易だ。
ブレードを横に薙ぎ、粉塵を振り払う。
「なんで……」
「無傷だと……」
私はその場で、拘束を破壊する。
そのまま、砲撃地点の少女へとゼロシフトで移動する。
「ヒッ!」
突然目の前に現れた事により、少女は小さな悲鳴を上げる。
私は、少女のデバイスに左手を伸ばす
その時、少女の手にしたデバイスにより、衝撃波状のシールドが展開される。
しかし、低出力な為、何の障害も無くデバイスを確保する。
「デバイスにダメージを確認。これ以上の使用は破壊の恐れがあります」
「え? え?」
少女は混乱している様で何度となく瞬きをしている。
「なのはから離れろ!!」
その時、背後からフェイトがバルディッシュを上段に構え急接近する。
バルディッシュは私の首筋に迫る。
「ウアスロッド投擲」
次の瞬間、私に接近するフェイトの真上からウアスロッドが投擲される。
投擲されたウアスロッドは私の首筋に迫り来るバルディッシュのメインフレームを貫く。
「え……」
デバイスを破壊されたフェイトは先程の速度を保持したまま、私の横を通り過ぎる。
このままでは恐らく、屋上の床に突撃するだろう。
「ウィスプ起動」
フェイトが床に衝突する寸前で、ウィスプにより確保する。
ウィスプに捕獲されたフェイトは気を失っている様だ。
「フェ……フェイトちゃん!」
私はフェイトを床に横たえる。
「ご安心を、気を失っているだけです」
「た、助けてくれたの?」
「命を奪うつもりはありません」
「しかし、リンカーコアの回収をさせていただきます」
私は左手でデバイスを拘束しつつ、右手をブレードに変化させ、なのはに突き付ける。
「おとなしく協力していただけると幸いです」
その時、私の背後に、ウアスロッドと大破したバルディッシュを回収したデルフィが着地する。
「バルディッシュ!」
「メインフレームは大破していますが、コアの損傷は中度、修復は十分に可能です」
デルフィがフェイトの側に大破したバルディッシュを置く。
「遅れて申し訳ありません」
「いえ、私一人で十分でした」
「その様ですね」
その時、若干だが少女のデバイスからシールドが展開される。
「先程も申し上げた様に、これ以上の戦闘は、デバイスの破損に繋がります」
「プロテクションが……」
デバイスから幾度となくシールドが展開されるが、低出力な為、意味を成さない。
「仕方ありません。デリートを開始します」
私は、手にしたデバイスのデリートを行う。
次第に、デバイスのコア部分の光が消えて行く。
「レイジングハート!」
「AIデリート率75%。これ以上抵抗を続ける様でしたら、AIを完全に消去します」
「やめて!」
少女は武装解除しその場に膝をつく。
「感謝します」
「どうして…どうしてこんなことをするんですか!」
「残念ながらお答えすることはできません」
「え?」
「失礼ですが、しばらく気を失っていただきます」
私は右手のブレードをなのはの首筋に押し当てる。
「ひっ!」
なのはは悲鳴を上げ、恐怖感に満ちた表情を浮かべる。
私はそのまま、ブレードに電流を流し、なのはを気絶させる。
その後、私はゼロシフトで物陰に潜んでいた少年の側へと移動する。
「え?」
「失礼します」
少年の首筋に軽く振れ、気絶させる。
「うぅ……」
呻き声を上げ、少年の無力化に成功する。
「敵部隊の無力化を確認。蒐集を開始してください」
私が連絡すると、シグナム達が下りて来る。
ザフィーラの腕にはアルフが抱きかかえられていた。
「それでは、蒐集を行う」
シグナムが闇の書を構えると、4人から蒐集を行う。
「すごい、かなり埋まったな……コイツは大きいぞ」
「コイツら凄い魔力を持っていたんだな……そんな奴等を1人で相手するなんて……」
ヴィータがこちらに視線を向ける。
「敵じゃなくて良かったと思うべきだな」
シグナムは苦笑する。
「敵部隊の無力化は終了しましたが、こちらの少女、フェイトは時空管理局の嘱託魔導士と名乗っていました。その時空管理局によってこちらの戦闘が監視されている恐れがあります」
「念のためジャミングを行っていますが、用心してください」
「そうだな、一度バラバラに分かれ、戻るとしようか」
「了解」
私達は、気絶した彼等を残し撤退を開始した。
現在StrikerS編を作成中ですが、かなりオリジナル要素が多くなりそうです。
具体的には、ヴィヴィオと一部のナンバーズは出番なさそう…
まぁいいか。