小休止の様なものだとお考え下さい。
深夜2時、私達は帰還する。
「お帰りなさい。どうだった?」
玄関を開け、シャマルが出迎える。
「なんとかな。けっこう収穫は大きかった」
シグナムはシャマルに闇の書を手渡す。
「良かったわ」
「主はやては?」
「もう寝てるわ。皆の事心配していたわ」
「そうか。心配をかけてしまったな」
私達はリビングへと移動する。
「さて……ヴィータ。なぜ襲い掛かった?」
「それは……」
ヴィータは顔を伏せる。
「別に怒っている訳では無い。ただ説明して欲しい」
シグナムが宥める様に問いかける。
「だって……早くしないと……」
「それは分かっている。皆その気持ちは一緒だ」
「現在のペースならば作戦遂行は問題ないはずです」
「エイダもそう言っている。焦る事は無かった」
「う……うん」
ヴィータは小さく頷く。
「しかし、今回の戦闘により、今後の作戦遂行に支障をきたす恐れがあります」
「何だって……?」
ヴィータが顔を上げる。
「今回の戦闘により、我々は時空管理局という組織と敵対関係になってしまいました」
「今後、何らかの妨害工作などが予想されます」
「しかし時空管理局か……この世界は管理外世界だと思ったが……」
「恐らく、委託戦闘員がこの世界に居たものと思われます」
「なるほど……少し厄介だな」
「そうね……」
「スケジュールの再調整を行います」
私達はスケジュールの調整について打ち合わせ、今後の予定を立てる。
次元空間航行艦船アースラのブリッジで、クロノは頭を抱えていた。
先程の戦闘により、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、ユーノ、アルフが負傷し、リンカーコアを蒐集されてしまった。
リンカーコアの回復自体は問題なく行われるようだが、2人のデバイスである、レイジングハートが中破しAIの80%が削除されており、バルディッシュも大破状態で回収された。
現在は修復作業に取り掛かっている。
「情報が少なすぎる……」
「途中まではスキャンできていたんだけど、急に強力なジャミングが行われたの。ジャミング自体は魔力的なものとは違って電子的なものだったわ」
クロノの隣で一人の女性がコンソールを操作する。
彼女は、通信主任兼執務官補佐のエイミィ・リミエッタ。
エイミィはコンソールを操作しながら頭を抱える。
「最初に展開された結界はミッド式じゃ無かったわ。多分ベルカ式? だと思うわ」
「何にしても情報が少なすぎる。フェイト達の戦闘データはどうだ?」
「3人との戦闘データはバルディッシュに記憶されていたわ。全員魔力生命体みたい」
「報告では後2人居るはずだ」
「それが、その2人に関してはレイジングハートもバルディッシュも記憶してなかったの。いや、どちらかと言えば探知してなかったっといった方が良いかしら?」
「どう言う事だ?」
「これは推測なんだけど、その2人が後半に発生した強力な電子的なジャミングを行ったんだと思う。そしてその当人達もデバイスでは検知できない様なジャミング状態にあったの」
「そんな……近距離でデバイスが探知できないなんて……!?」
「でも、現にレイジングハートのAIがその2人の内の片方に削除されそうだったのよ」
「信じられないな……!」
「えぇ、あのクラスのAIを削除するなんて、管理局でも……もちろん地球の技術でなんか不可能よ」
「そうなると、次元漂流者という可能性もあるわね」
艦長であるリンディがブリッジに現れる。
「さっき目を覚ました2人から話を聞いて来たわ」
「2人の状況はどうでした?」
「フェイトちゃんは大丈夫だけど、なのはちゃんは目を覚ました直後は怯えていたわ。PTSDの可能性もあるわ……」
「なんてことだ……2人から話は聞けましたか?」
「なんでも、最初に現れた女性は魔法的な方法でもなく空を飛んでいたらしいわ。それに片手でバルディッシュを受け止めたって。素手でね」
「そんな……冗談でしょう?」
エイミィが引き攣った笑みを浮かべる。
「本当らしいわ。そして、腕をブレードに変化させたらしいの」
「腕を変化……デバイスではないようですね?」
「そうね、質量兵器だったらしいから、デバイスとは違うわね」
「腕を変化させる生命体なんて……知らない……」
「だから、次元漂流者なのかもしれないわ……」
「しかし……何が目的なんだ……?」
クロノが小さく呟く。
「一つだけ、この状況に心当たりがあるわ……」
リンディが口を開く。
「それは一体?」
「闇の書と呼ばれるロストロギアよ……昔起こった事件と状況が少し似てるわ……」
「闇の書……しかし、そんなロストロギアをなんで次元漂流者が……」
「何か理由があると考えるべきね……」
3人は解決策がでず、ただ思考を巡らせていた。
次元空間航行艦船アースラデバイスルーム。
そこには、なのはとフェイトの2人が容器に入れられた2つのデバイスを見守っていた。
「レイジングハート……」
「AIが消去されかけた上、損傷があるって……修復にはかなり時間がかかるらしいよ……」
「リンディさんから聞いたよ……バルディッシュは?」
「メインフレームのほかに、コアにも物理的に損傷があるから同じくらい時間かかるって……」
2人は項垂れる。
「それにしても……あの人達何者なんだろう……」
「バルディッシュが片手で受け止められた……」
「私はスターライトブレイカーを無傷で防がれちゃった……それに……」
なのはは先日の光景を思い出し恐怖心からスカートの裾を握りしめる。
フェイトはなのはの状況に気が付かずに溜息を吐く。
「でも、私の事助けてくれたんだよね?」
「そうみたいだね……」
「命までは取らないって、やさしいのかな?」
「よく分からない……私は……とっても怖い人だと思ったよ……一体何が目的なんだろう……」
「今度会ったら聞いてみよう。何か事情があるんだよ」
「事情……か……」
2人は、自分達とは比べ物にならない、圧倒的な力量の差を見せつけられた。
フェイトは力量差を埋めるべく決意を胸に抱いた。
対するなのはは恐怖心を押し込もうと深呼吸を繰り返した。
前回の戦闘でなのははPTSDを発症しました。
え?
不穏な空気がする?
ほのぼのとした内容ですから…