魔法少女ZOË   作:サーフ

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今作はまだほのぼのとした内容です。

まぁ、それ故短編なんですがね。


惨敗

 

   私が、クロノを抱えながらシールド内部に潜入すると、デルフィがこちらを指差す。

 

 それに伴い、全員の視線が私に集まる。

 

「あれは……」

 

「クロノ!」

 

 フェイトが声を上げる。

 

 私は、緩やかにデルフィの横へと移動する。

 

「少年を拘束しました。執務官と名乗っていたので、彼女達の上官であると思われます」

 

「了解」

 

 デルフィはウアスロッドを展開するとクロノの喉元に突き付ける。

 

「ジャミング解除。彼は、時空管理局執務官クロノ・ハラオウンで間違いありませんか?」

 

「クロノを離して!」

 

 フェイトがバルディッシュを上段に構える。

 

「構いませんが、全員武装を解除してください」

 

「で……でも……」

 

「わかった。要求を飲みます」

 

 その時、女性の声が響くと同時に私達の上空に、声の主と思われるホログラム映像が現れる。

 

「私は時空管理局所属戦艦アースラの艦長。リンディ・ハラオウンです」

 

「ハラオウン。彼は貴女のご子息という事ですか」

 

「えぇ、ですが、息子可愛さに貴女達の要求を飲んだ訳では有りません。その場に居る全員の安全の為です」

 

 ホログラムの女性は表情を変えずに語る。

 

 それに伴い、全員が武装を解除する

 

「武装解除を確認」

 

 私はクロノをウィスプで固定し、空中に拘束する。

 

「これより撤退に移ります。追撃するようでしたら──」

 

「分かっているわ。でも一つ教えて頂戴」

 

「なんでしょう?」

 

「貴方達の目的は何?」

 

「申し訳ありませんが、今後の行動に支障が出る可能性がある為、お答えする事は出来ません」

 

「答えを聞かせてくれたら、結界を解除するわ。追撃も追尾もしないと約束するわ。それに結界を解除しない限り、貴女達は出られない筈よ」

 

「申し訳ありませんが、時空管理局に対してはお答えできません」

 

「それはなぜ?」

 

「既に、時空管理局の関係者と思われる人物により、襲撃を受けました」

 

「襲撃? 先に襲ってきたのはそっちでしょ?」

 

「いえ、それよりも以前に仮面の人物によって襲撃を受けました」

 

「仮面の……人物?」

 

 私が答えると、リンディの表情が曇る。

 

「お心当たりはおありですか?」

 

「そんな人物は、私の知る限り居ないわ」

 

「でしたら、貴女方以外の別の部隊に所属する人物による襲撃の可能性があります」

 

「待って、どうしてその仮面の人物が時空管理局の人間だと?」

 

「詳細はお伝え出来ませんが、闇の書が発動する以前より、所有者に対して監視行動が行われていました」

 

「監視って……闇の書はランダムに転生を繰り返しているのよ……発動するより前に探知するなんて……」

 

「それが可能なのは、時空管理局だけだと思われますが」

 

「確かに……でも……」

 

「申し訳ありませんが、これ以上はお話できません」

 

 デルフィがバーストモードに移行する。

 

「あの2人から高エネルギー反応確認!」

 

「何をするつもり!」

 

 ホログラム映像のリンディが焦りだす。

 

「全員へ警告。これよりシールドの破壊へ移行します」

 

「破壊って……この結界は並大抵の攻撃じゃ破壊できないわよ! 無駄なことは──」

 

「バーストモードショット、戌笛発射」

 

 デルフィがバーストショットをシールドに向け放つ。

 

 2発の戌笛がシールドに直撃すると、ガラスが割れるような音を立て、シールドが完全に破壊される。

 

 破壊の余波が、周辺の魔導士にダメージを与える。

 

「撤退してください」

 

「あ、あぁ」

 

 3人は複数回にわたって転移し、撤退する。

 

「追跡して!」

 

「ダメです! 強力なジャミングが!」

 

「なんですって……」

 

 リンディの表情が曇る。

 

「ご子息はお返しします」

 

「我々もこれで」

 

 私達は広域にジャミングを展開し、高速で上空へと飛び立つ。

 

 

 

  撤退した後、複数個所を経由し帰路に着こうとした時シャマルから通信が入る。

 

『ごめんなさい。ちょっといいかしら?』

 

『ご用件は?』

 

『ちょっと厄介なことになったの』

 

『敵襲ですか?』

 

『ううん。そうじゃなくて。帰りにお買い物を頼めないかしら?』

 

『買い物ですか?』

 

『そう。はやてちゃんのお友達が来ているの。それで、お鍋の材料が少し足りなくなるかもしれないの』

 

『了解』

 

『ごめんなさい。この時間だとコンビニとかしか開いてないと思うけど』

 

『ご心配なく』

 

『ありがとう』

 

 私達は近くのコンビニで必要な物資を補給した後、帰還する。

 

 リビングに入ると、はやての隣にロングヘアの少女が座っていた。

 

「おかえり。遅かったね」

 

「少し買い物を」

 

「あっ。初めまして私、月村すずかと言います。お二人も遠縁のご親戚ですか?」

 

「その様な物です」

 

 私達も自己紹介を行うと、全員が食卓に着く。

 

「それじゃあ、夕ご飯にしよか」

 

「そうですね。あっ、お土産でケーキを買って来たんです。翠屋っていう美味しいお店があるんです」

 

「そうなのですか」

 

 私は、ケーキを受け取り、冷蔵庫へとしまう。

 

「デザートとしてお出しします」

 

「ありがとう」

 

 こうして、団欒とした夕食が進んで行く。

 

 まるで、先程の戦闘など無かったかのように。

 

 食後、すずかは使用人が迎えに来たという事で帰宅することになった。

 

「今日はありがとうね。とっても楽しかった」

 

「それは良かった。私も楽しかった。今度は一緒に翠屋に行ってみよう。実はそこ、友達のお店なの」

 

「ええね。行こうか」

 

「うん」

 

 はやては軽く手を振ると、すずかも手を振り、帰宅した。

 

「ふぅ。やっぱりお客さんをもてなすのはちょっと疲れるなぁ」

 

「お疲れ様です」

 

「せやね。少し疲れたわぁ。お風呂入ってくるで」

 

「あっ、私も入る」

 

「フフッ、じゃあ一緒に入ろか」

 

「なら、私もご一緒しますね」

 

 ヴィータとシャマルは、はやてと共に浴室へと向かった。

 

「少し良いか?」

 

 シグナムが私達を手招きする。

 

「なんでしょうか?」

 

「今回は助かった。礼を言おうと思ってな」

 

 シグナムがこちらに一礼する。

 

「お気にせずに」

 

「お前達が居なければ。どうなっていた事か……というかあの、なのはとか言う魔導士の攻撃を良く防げたな」

 

「威力的にはハルバードと呼ばれる兵器の30%程度でしたので防御は可能でした」

 

「よく分からんが……まぁ……」

 

 シグナムは何かを口に出そうとして、それを抑える。

 

「どうかされましたか?」

 

「いや、なんでもないさ。お前達が敵でなくてよかったと実感しただけさ」

 

「了解」

 

 浴室からは、3人の笑い声がかすかに漏れていた。

 

 

  翠屋の近くに構えた司令部で、なのは達は先程の戦闘を思い起こし、会議を行っていた。

 

 なのはとフェイトの二人は、前回の大敗を払拭するべく、新しい力を付けたデバイスの説明を受けていたが、その話は耳を抜けて行った。

 

 なぜなら、その強化したデバイスの力を持ってしても、自分達を打ち負かした2人に手も足も出なかったのだ。

 

「話……聞いてる?」

 

「あ……すいません……」

 

「まぁ……無理も無いわね……」

 

「私の……全力全開が……また……届かなかった……」

 

「普通に考えたら、防げる方がおかしいのよ。気にしないで」

 

 リンディが微笑み、なのはを慰める。

 

「それにしても……あの二人が厄介だな」

 

 目を覚ましたクロノがリビングに現れる。

 

「クロノ。もう起きても大丈夫なの?」

 

 フェイトがクロノに声をかける。

 

「デバイスによって意識を失わさせられただけさ。これがそのデバイスだ」

 

 クロノは、テーブルの上に、使用済みとなったゲイザーを置く。

 

「こんな小さなものだが、デバイスと体が動かなくなった……それもバリアジャケットの上から」

 

「後で、本部で解析してみるわ」

 

「まぁ……使い捨てのデバイスだろうが……」

 

 クロノは溜息を吐く。

 

「とりあえず、手に入れた情報を整理しましょう」

 

「そうですね」

 

「まず、闇の書の騎士達だ。全員が自分の意志で行動しているように思える」

 

「本来ならば、主が命令を出し、それに従うと言うのだけど……」

 

「そこが分からない所ね……一体どういう事なのかしら?」

 

「例の2人が関係しているんじゃないかと思います」

 

 エイミィが画面に映像を映し出す。

 

 そこには2人がクロノを拘束し騎士達を守る様に立ちはだかっている姿が映し出される。

 

「この2人が闇の書の所有者。もしくは、所有者の関係者と考えるのが妥当だろう」

 

「えぇ、彼女達は次元漂流者でもあるけど、恐らく闇の書を手にして、蒐集の為にこの地に訪れたと考えるべきね」

 

「武装としては、今分かっている範囲だが、1人はブレードと銃の複合型。もう一人は杖型だ。どちらも、質量兵器だと思われる」

 

「質量兵器の使用……これで罪状が一つ増えたね」

 

 なのはが小さく呟く。

 

「そして、結界を破壊した、超威力のエネルギー兵器を所持している。推測だがアレだけの威力だ、連続での使用は不可能だと思う」

 

「虎の子の攻撃って訳ね……だけどこれは……厄介な相手ね……」

 

 リンディは溜息を吐く。

 

「早急に逮捕しなくてはならない相手だ。推測だが、もっと多くの武器を携行している可能性もある」

 

「逮捕……出来るのかな……」

 

 なのはが呟き、全員が息を呑む。

 

「アレだけ危険な人達……逮捕だけで良いのかな?」

 

「なのは?」

 

「もし、封印が出来るなら……した方が良い。そうじゃないと……」

 

 なのはの呟きをクロノが遮る。

 

「とにかく、この2人を放置しておくわけにはいかない」

 

「でも……一体何が目的なんだろう……これだけの力があるなら、闇の書の力に頼らなくても……」

 

「闇の書は完成したところで、総てを破壊するだけ……それこそ主を含めてね……」

 

 リンディが悲し気な表情を浮かべる。

 

「どうして……そんな物を……」

 

「分からないわ……それに彼女達が言っていた仮面の人物って……」

 

「時空管理局の人物だと言っていましたが……嘘を言っている可能性もあるのでは?」

 

「それは……」

 

 リンディが暗い顔をする。

 

「兎に角、この2人には要注意だ。なんとしても闇の書は封印しなくてはならない」

 

「封印……一体どうやるつもり?」

 

「候補として上がるのは極めて強力な氷結魔法で主ごと活動停止させる」

 

「でも、そんな事をしたら持ち主は……」

 

「どの道……主に生きる道はない……」

 

 クロノの説明を聞き、フェイトの顔が曇る。

 

「まぁ、今回はここまでだな。詳しい事は新しい情報が入ってからにしよう」

 

 会議が行き詰まったのを感じた、クロノが諦めた様に会議を終了させた。

 




おや? 
なのはの様子が…
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