しかし、袁紹の命令でまたもや少数の劉備率いる義勇軍が最前線に投入されることになった。
この危機を脱することはできるのか…
そんな時彼に手を差し伸べたのはーーー!
どうぞご覧くださいませ。
「オーホッホッホッホッ!!」
嫌な高笑いから軍議という名目の功績自慢がはじまる。
私の軍の援助でーだの
攻城戦を有利にーだの
汜水関を落とすことができーーだの
本当、ここまで自分の功績にしたがる奴もそういないだろう。
自分の指示で窮地に追いやった軍に援軍を送るなんて、自作自演もいいところだ。
本人は気づいてないのかもしれないがな…
「お次は虎牢関ですわね。今回も先の戦の通りの劉備さんに先陣をお願い致しますわ!」
「今回は私達も先陣を任されましょう。」
何と、馬騰が声を上げた。
話した時は兵を無駄死にさせたくはないと言っていたのに何でだろう。
「わかりましたわ、今回も華麗に勝利ですわ!オーホッホッホッホッ!!!」
馬鹿の無計画に付き合わされる身にもなって欲しいものだ。
軍議のあと劉備軍、馬騰軍、北郷軍合わせての作戦会議を開いた。
顔合わせが初めての人間が多数いるので自己紹介をさせる事にした。少し時間がかかるがお互いを認識する必要がある。
自己紹介を終えると周りの目が俺の部下に集まる。
あの死地を乗り越えた北郷の配下に興味があるのかもしれない。
「えーと。それじゃ今回の要点を説明すると、堅牢な虎牢関の攻城戦。それと飛将呂布。大きく分けてこの二点だ。」
「呂布って強いのか?」
ちんちくりん…じゃなかった張飛が声を上げる。
こんなちっちゃい子が張飛だと聞いた時のショックは俺の世界の人間なら当然だろう。
「強いというか最早そういう次元の話ではないかもしれない。呂布はーーー」
俺は張三姉妹から聞いた呂布の話をみんなに聞かせた。
この事実をみんな疑っている。
だが、強いと言って弱いならまだ良い…弱いと言って強いなら被害が大きくなってしまうから敵の強さを高く見積っておいて損はない。
「呂布が門から出てきた場合、複数で呂布に当たろうと思う」
「それは卑怯ではないか!!」
「あたしもそれは納得がいかないな。」
声を上げたのは関羽と馬超だった。
二人とも真面目で真っ直ぐな武人なのだろう。
本当に素晴らしい人材だ。だがその真っ直ぐさと真面目さは、相手に読まれやすく早死にする事になるというこも考えなければならい。
「確かにこの作戦は卑怯なのかもしれない。だが、君たちは何者だ?一軍の将ではないのか?君たちの武人としての魂は尊く評価に値するがそれを出すべき時を間違えると要らぬ犠牲をうみ仲間を失う結果になる事を知るべきだ。」
「……わかったよ」
「…しかし。」
「納得しなくてもいいよ、この戦いが終わってからその武人の魂を出したら良い。ただ、この戦いにおいては俺の軍や馬騰の軍まで被害が出かね無い。勝手な行動は許さない」
俺がそう言うと二人とも黙って席についた。納得はして無いが理解はしてくれたようだ。
「それじゃ今回は先陣は俺が指揮し、後陣を馬騰と劉備にそれぞれ指揮してもらう。」
「総大将自ら先陣で指揮するとは大きく出ましたね。しかし、その代償が大きく付かないか心配ですが…」
馬騰が我が子を心配するように俺の心配をしてくる。
そこまで親しくなったとは思わ無いが、おそらくこれが母性なのかもしれ無い。
「大丈夫さ、引き際を間違えたりはし無いから。心配なのはどうやって呂布の攻撃を一旦防ぐかだな…」
「そんなことできるのー?」
劉備が少し怯えたような声を出した。
まぁ無理もない、黄巾党三万を一人ですので殲滅した話をしたら、仲間が死ぬ最悪の事態も考えてしまうのも無理もない。
だが、ここを抜かなければ俺たちに乱世を切り開くなど不可能だ。
「問題はまず、どうやって呂布を釣るかだな…」
「呂布を釣る…か…。いや、その必要は無いだろう。恐らく呂布は野戦で来るはずだ。」
「そんな事がありえるのか!?」
「確かにそう言うと手もありますが可能性は限りなく低いと思います。堅牢な虎牢関を捨てあえて勝率を下げるのはあまりいい手とは言えません」
「確かに関羽や諸葛亮の言っている事も正しいが呂布の武力は格が違う。そう言う人間は得てして常識では考えられ無い考え方をしているものだ。」
「それに籠城したところで疲労と兵糧との戦いになり、援軍は望め無いから、不利になる。ならば敵を蹴散らし悠々と撤退する方が良いと考えているんだろうな。…」
「北郷殿にはそれがわかると?」
趙雲が聞いてくる。
もちろん俺も確信も何も無いが、もし俺に最強の力があり援軍がこ無いと考えていくと納得できる考えだ。
「わかるとまでは言えないが予想はできるかな。」
「蒲公英には、脳筋の考え方なんてわかんないよー」
「蒼も体育会系はキラーい」
馬岱と馬鉄がやる気無さそうに声を上げる。
それにつられてかうちの軍の沙和と真桜も声を上げ始めた。
「沙和も、怖いのいやなのー」
「せやなーうちらが束になっても呂布に勝てる気がせーへんわー」
「二人とも、今は軍議中だぞ!!」
「二人とも!戦前に弱音を吐いちゃダメだよー!!」
沙和と真桜を叱る凪。
馬岱と馬鉄を叱る馬休。
なんか何処の軍も似てるんだな。
俺の世界で言う女子高生と同じぐらいの年の若い子達が青春を捨てて戦に身を置いているんだ。現実は非情である。
「まぁ、一騎討ちで勝てる可能性は低いが…戦は一人でやるものではない。こちらには知も武も申し分ない将が揃っている」
俺は将を一人一人確認するように見回す。
関羽、張飛、趙雲、諸葛亮、馬超、馬岱、馬休、馬鉄、凪、沙和、真桜。
将の質なら負けてはいないはずだ、後は問題をどう排除していくかだ…
呂布一人に全員で当たればどうにかなりそうな気はするがやはり不安要素は少なくない。
ならば軽率な手は打たないようにするしか無い。
しかし、援軍も同盟国もいないこの状況で董卓は何を考えているのだろう…
読め無いな…
「それでは軍議はここまでにして、夕食にしよう。」
「ご飯なのだーーー!!」
俺がそう言うと嬉しそうに声を上げる張飛。見た目通りの反応だとこの時は笑っていられた…
「勝手に食卓にしちゃったけど二人とも構わない?」
「うん、私は全然大丈夫だよ!」
「私たちも問題ありません。」
劉備と馬騰の承諾が取れたところで俺は席を立ち食材を取りに向かう。
「うちの隊長の料理、ごっつぅ美味いから期待しときや〜!」
「ん?北郷様が作るのですか?」
真桜の発言に馬休が質問する。
確かに主君が料理をするなんて珍しいのかもしれない。
「違うの〜。隊長の考えた遠征用の料理を作って貰ってるのー。」
「ああ、隊長の料理に唐辛子を加えれば文句の付けようがない。」
「へーー武官で君主で料理もできるんだー。お姉様も料理教えてもらえば?」
「私は良いんだよ!」
「私は少し習いたい気持ちはあるけど…」
「あはは、鶸ちゃん顔真っ赤〜」
北郷の将たちと馬騰の将たちとの会話が弾んで行く。
歳が近いせいもあり話しやすいのかもしれない。
劉備達は内輪で盛り上がっているようだ。
しばらくして、料理を持った一刀と霞こと張遼が入ってきた。
あたりは一斉にどよめいた。
「なんで張遼がここに!!」
「隊長、捕虜ではなかったのですか!?」
関羽と凪が真っ先に声を上げた。
俺はとりあえず事の内容を話し事態の収拾を図った。しかし、張遼の一言で違う混乱を招いてしまう。
「天幕であんなに口説かれちゃ仲間になるしかないやろ、一刀はうちに惚れてるみたいやし。」
「なんやて!?ほんまかいな隊長!!!」
「隊長!!」
「隊長、本当なの!?」
「…え??」
あれおかしいな、いつもなら
隊長はスケベやなーとか、やれやれとか、流すはずなのに何故か視線が殺気立ってる。怖…
「あははっ!!これからよろしくなー!!」
その後、なんとか誤解を解きつつ夕食にした。
劉備達や馬騰達の口にあったみたいで良かった。
ただ、張飛と馬超を呼ぶ時は注意しよう、兵糧が尽きてしまう…
食事を終えて天幕で天和達と合流しまた、いざこざが起きた後。俺は少し天幕を出た。
一刀がいない天幕では張遼を中心に一刀の世界で言うガールズトークなるものが行われていた。
もちろん男子禁制で男性はいない。
「なぁ、あんたら一刀のこと好きやろ?」
この張遼の一言で全員がビクッと肩を動かし顔を赤くした。
「私は…そんなこと…ごにょごにょ」
「私は、姉さん達程では…」
「ま、まぁ!一刀はチィの事好きで仕方ないみたいだし、チィも一刀事気に入ってるし…」
凪、人和、地和、は恥ずかしがって本音を語れないようだ。
「なんや、素直じゃない娘らやなー!」
「沙和はね、隊長の事大好き!!」
「うちも隊長の事好きやで!」
「あーん、私の方が先に目をつけたのにーー」
「ふふふ、確かに一刀殿は女を惚れさせる魅力をもっていますね。」
対象的にズバッと好きだと言葉にする沙和、真桜、天和、和命。
それを聴くと霞は笑いだした。
「あっはっはぁ!みんな一刀が好きなんやなぁー。うちも一刀の事、気に入っとるで。せやけど…一刀はスケベやからみんな気をつけへんとパクッと食べられてまうで?」
「「っ!?/// ///」」
一気にみんな赤くなる。
おそらくそう言う、想像をしたのだろう。霞は満足そうにはははと笑いながら酒を飲んでいた。
この日から一刀の配下の者たちは、いつか一刀との閨を共にすると言う事を妄想ようになったのは言うまでもない…
一方…噂の中心の一刀の方はと言うと意外な人物と会っていた。
「貴方が北郷一刀殿でいいかしら?」
「はい、俺が北郷一刀ですが…どなたですか?」
「私は孫堅と言う。」
そ、孫堅だって!?まさかとは思ったかけどこんな形で会えるなんて!
……まてよ?
今、俺は俺の陣営を散歩している。
俺の陣営に孫堅がいる事は偶然出くわすなどあり得ないことだ。
なら孫堅は俺か配下の誰かに会いに来たという事になる。
考えても仕方ない、話してみよう。
「うちの将に何か用でもあるんですか?」
「ふふふ、貴殿に会いに来たのです北郷殿。」
俺に会いに来ただ?
一体何のために…
「会いに来るって事は何か用件があるんですよね?」
「その通り、聞きたい事が有ったのです。何故貴殿は袁紹に従っているのですか?」
会う人会う人にこのくだりを話している気がする。
本当に袁紹って人望のかけらもないんだな……
面倒くさいが孫堅に全てを話すと笑いながらいった。
「ならば袁紹との契約が切れたら私の率いる孫呉に来ませんか?」
「ありがとう、でもその時にならないと答えは出せない。」
俺がそう言うと孫堅は見透かしたように言った。
「なるほど、私以外の見る目のある者からも勧誘されているのだな?そして袁紹の期限が切れた時に主を見定めると言う事ね…」
「そこまで読まれてれるならわかってくれるだろ?今は現状維持で手一杯なのさ。」
「現状維持という考えは無能の諸行…しかし、貴殿は現状維持と言いつつ、着実に人望を集め、良い将を配下に迎えている。貴殿が袁紹を飲み込むのも時間の問題かもしれないわね。」
何やら相当な過大評価をされているようだ。
確かに厳密に言うと現状維持は不可能な業だ。それを維持するために行動したり捨てたりしなければならないからだ。だがそれでも今は立場上現状維持という表現しなければならない。
出る杭は打たれるからな…
「みんな過大評価し過ぎだよ。そこまで凄い人間ではないし、俺の所為で沢山の人が犠牲になった。」
「だが、その犠牲から目を背けず貴方は王に成ったんでしょ?それは、誰にでもできる事ではないわ。貴方にその器と技量があってこそこ結果よ。」
そう言って孫堅は手を出してきた。
「虎牢関の戦いでの援護くらいはしてあげるわ、貴方の手腕を発揮して見せてね。この戦いに勝てたら次の段階の話をしましょ」
俺は誘われるがまま握手をした。
女性とは思えないほどの腕力で気を抜いたらぶん投げられるぐらい力だ。
握手を終えると孫堅は孫呉の陣営の方へ歩いていった。
ビックリしたが曹操の他に孫堅と言う仕官先を手に入れる事が出来た。
まぁ、しばらく袁紹に仕えるんだけどね。
「どうでしたか?お目当ての小僧は?」
「小僧というのは失礼だぞ、祭。北郷一刀…天の御遣いやら神風などと噂されている謎の男。しかし、会って話してわかった北郷一刀は龍になるかもしれないわ。」
「ほぅ…龍ですか?」
「黄龍になるかもね、あそこまで私が惹きつけられたのは弦《げん》以来だわ。」
「弦様…もう10年になりますか…」
「そうね。そろそろ新しい夫が欲しかったのよ」
「炎蓮様!冗談もほどほどに!」
「何よー。祭は私にこのまま女を殺して生きろっていうの?」
「いえ、そうは言ってはおりませんが…せめて家督を譲ってからーー」
「いやよ!戦って高ぶった身体を閨で鎮めても渇くのよー重要なのは男なのよーーーお・と・こ!!」
孫堅は自分の胸を持ち上げ見せつける。
黄蓋は溜息をつきながらなんとか落ち着かせようとするが効果はない。
一度決めたらやり抜く…それが孫文台その人であるのだから。
「わかりました。それじゃ、合意の上でなら私はとやかくいいませんが、くれぐれも力づくはおやめください。」
「わかってるって!…あ!そうだ。」
「ん?何か思い出されたのですか?」
「虎牢関攻略戦に加わるから準備宜しくね!」
「なんじゃと!!そういう事はまず軍議にてーー!」
「準備、宜しくね!」
「はぁ、わかりました。今から準備にとりかかります。」
「流石、祭!話がわかるわね!」
「…ありがとうございます。では、粋怜と香来にも伝えておきます。」
「うむ、宜しく頼むわ。」
この出会いを機に孫堅は虎牢関の戦いに参戦すると同時に北郷一刀の争奪戦に加わったのだった。
そして彼女との出会いによってさらなる混乱が起こるのだが、それはもう少し後の話である…
そして決戦の夜が明けた…
今回も読んでいただきありがとうございます。
楽しみにしている人がいてくれることはとても感謝だなぁとしみじみ感じます。
次はついに呂奉先との激闘、動き出した三国最強の武。。。崩壊する一刀の前線。一刀は皆を護り生き残れるのか!?
乞うご期待…