そして、長らくのお待たせ致しまして申し訳ありません。
どんどん投稿できるように頑張ります。
虎牢関陥落から2日。
洛陽を前に一刀達は一旦天幕にて軍議を始めた。
龐統こと雛里の考えや諸侯の動き、あらゆる情報を整理するために。
「さて、いよいよ最後の戦いだ。この戦いの前に一旦情報を再確認しよう。」
「はい、洛陽を前にしても董卓軍に動きがない事や霞さんの話から董卓さんは洛陽を捨てるつもりなんだと思います。」
雛里がそう言うと和命が反論する。
「逃げる?兵力で勝るこの状況でですか?」
「はい、霞さんの話によると董卓さんに戦意は無く寧ろ国民に被害が出る戦いを拒んでいる様ですので この状況で籠城戦をする確率は低いと思います。」
「だが、断定して行動したら足元を掬われますぞ」
「それもそうだ。だから何重にも献策と想定をする必要があるんだ。」
「仰る通りかと。先ずは劉備さんと馬謖さんとの軍議の際にこちらに先鋒を任せてもらえる様に話し合う必要があります。」
「雛里の言う通りだな。この戦いの後の為に劉備と馬謖、とは同盟関係を築いておきたいから後腐れの無い様に話をまとめる必要がある」
俺がそう話し終えると雛里が合図を出してきた。
「一刀様、そろそろ…」
「それでは本題に移ろう。斥候によると董卓は城壁に兵を潜ませているとの情報が入っている。」
俺は話しながらある木簡を前へ突き出した。
そこには【これから話す事は嘘だ。話を合わせてくれ】と書いてある。
そう、この戦いは諸侯の権力争いだけでなく各勢力の情報収集というもう一つの側面がある。
常に監視されている事を念頭におき行動する。
偽の情報を流す事によりこちらの意図を隠し尚且つ相手に誤った認識を与える事が出来る。
恐らく袁紹、孫堅、曹操、はこちらに少なからず探りを入れているはずだ。
「ーーーーーーと言うわけだから各員宜しく頼む。」
「「はっ!!(応っ!!)」」
それぞれ天幕から出たら木簡を持って各天幕へ向かった。
木簡にはそれぞれに指示と作戦の詳細を書いてある。読み終わったら一刀の天幕に持ってくる様になっている。
「さて、霞、君の役目だけど…」
「月の説得と退路の確保やろ?」
「話が早くて助かるよ。約束通り董卓は必ず助けるよ」
「おう、無事に一刀の国に帰れたら御礼するから楽しみにしとき」
作戦は定まり目的も確認した。
あとは布石を打つだけだ。俺は袁紹の元へ足を進めた。
「北郷さん。洛陽の先鋒を名乗り出たそうですわね?」
「ああ、先鋒は譲ってもらったよ。その方がいいだろ?」
そう、俺は既に雛里と内密に事を進めていたのだ。
袁紹の対応は問題無いが軍師の方がどう出るか、それが問題だ。
「良いのでは無いでしょうか?北郷殿なら役目を全うしてくれるでしょう」
此奴何言ってんだ
俺たちの考えがわからないとでも言うのか
いや、此奴はそんな優しい玉じゃない。
何か考えがあるのだろう。
「ありがたき幸せ、必ずや袁紹の名を天下に轟かせましょう!」
「オーホッホッホ!頼みましたよ北郷さん!」
……沮授の考えが読めないが。
警戒しつつこちらの目的を達成しよう。
天幕に戻ると雛里と和命が待っていた。
「おまたせ、こっちは何とか許可が下りたよ。」
「おー、さすがは一刀殿!なかなかのお手並みで」
「流石です!一刀様。」
俺は再度確認をした。
俺と雛里は先鋒へ
和命は本陣で情報収集及び伝達
何としても隠すものを隠し演じるものを演じなければならない。
入場後 袁紹の旗を掲げ
董卓を捜索包囲
霞、による説得
袁紹軍が董卓を討ち取ったと噂を流す。
町娘に扮して撤退。
「それじゃ出陣かな。二人とも頼むよ!」
「了解した。」
「はいっ!」
準備をし俺たちは偵察と言う名目で先鋒を進み洛陽入場を果たした。
「それじゃ凪、お願い!」
「隊長の旗では無いのが不服ではありますが、了解しました。」
凪と別れ俺たちは董卓がいるであろう城の方へと進んでいく。
董卓の特徴は霞から聞いていたので大方検討はついている。
「霞、董卓は何処にいるかわかる?」
「わからんけど、退路は知っとるで。」
「よし、んじゃまず退路を塞いでから城の方へ向かおう。」
俺たちはまず霞の言う退路へと足を運んだ。
正直なところもう撤退していても可笑しくは無いが
俺はまだ彼女が城内にいるような気がしていた。
「一刀!おったで!あれや!」
霞が前方の一団を指差した。
少女二人を囲むように兵隊が護っている。
一目で身分が高い人物だとわかる。
霞がすぐさま説得に入ろうと駆け寄った。
「月に詠!無事で良かったで!」
「霞!?北郷軍に捕縛されたはずじゃ。」
「そうなんよ、うちも負けてやる気はなかったんやけどなー。んで今は一刀に協力してんねん。」
「裏切ったの霞!?」
「いやいや、ちゃうで!だからこうして助けにーーー」
「裏切り者の言葉なんで信じられるわけないでしょ!!月逃げよ早く!!」
「………」
霞の説得は失敗したみたいだ。
話すらさせて貰えてないから交渉すら出来ていないか。
仕方ない俺が悪役を演じるしか無いみたいだな。
まじかー嫌だなー嫌われるの。
「ちょっといいかな?董卓。」
「は、はい」
「俺は北郷一刀。北郷軍の総大将だ。君はこの後どうするつもりだ?」
「な!あんたが北郷一刀!?」
軍師が喚くが無視をして董卓と対話をする。
他人から見たら尋問に見えなくも無いけど。
「私は、責任を取らなくちゃいけないから」
「君の行動は責任を取ると口にして責任を放棄してる行為だ。それに質問の答えになってない」
「あんたに言う必要は無い。月、こんな奴放っておいて早く逃げよ」
「では質問を変えよう、軍師。逃げるてどうなる?最早連合はお前らを倒す大義名分を得て何処までも軍をさし向けるだろう。戦火を広げるつもりか?」
「月は何もしてない!」
「ああ、何もしていない。殺戮は軍に任せ指揮は軍師にやらせる。確かに何もしていない。しかし、責任を負うのは総大将なんだよ。」
「……はい。全ては…私がわるいんです。」
「全ては自分責任。そんな言葉を吐く時点で君は勘違いをしてる。責任を感じているのならーーー」
あー泣きそうだよ……
もー無理、無理無理!
普通に対話に持ち込もう。
「まぁアレだ。そう言う事だから出来れば俺と一緒に戦って欲しいんだけどどうかな?」
「…ふぇ?」
「…は?」
後ろに目をやると霞以外が呆れ顔で溜息をついている。
「はぁー。隊長はこう言うの苦手やからなー」
「隊長の悪い癖なの」
「話が飛んだけど。とにかく、董卓ちゃんの意見を聞きたいんだけど?」
「何よ、さっきは脅してきたくせに。」
「軍師ちゃん。少し黙って」
董卓の意見を聞く大事な話なので軍師には退場してもらう。
「私は誰も傷つかない笑顔で暮らせる様にしたかっただけです。でも、私はもう死ぬしか道は無いと思います。」
「んーそっか…じゃ俺が董卓ちゃんを殺しても問題はないね?」
少し考えると言うより俺の目を真っ直ぐ見て彼女は答えた。
「それでこの世界が平和になるのなら」
「ま、まって!!月!!」
「安心しなって軍師ちゃんも一緒に殺してあげるから。」
俺は刀を抜き真っ直ぐ振り下ろす。
「ちょっ!一刀!話が違うやないか!!」
薙刀を構えようとした霞に真桜が耳打ちをする。
「姐さん姐さん。大丈夫やって、隊長を信じたりーな」
ザン!!
「月ぇぇぇえええええっ!!!」
…………
……
「………これで董卓と軍師は死んだよ。」
「ーーーーなんやそれ」
俺は刀を董卓と賈詡の間に突き刺さした。
脅かす為のちょっとした芝居だけどね。
「これで総大将と軍師は死んだから後は俺の好きな様にする。君たちは俺の軍に加わる事。はい決定!」
「そ、そんなの僕が許すわけないでしょ!」
「あー別にいいんだわ軍師の意思なんて、董卓は俺に殺されてもいいと言った。それは俺に全てを委ねた事になるから董卓は俺の軍に入れる以上。」
「そんな屁理屈ーーー」
「あーもうるさいぞツン軍師お前はどうしてたって董卓についてくるんだからガタガタ言うなよ。」
俺がそう言うと真っ赤にして俺を睨む賈詡。
おー怖、まぁめんどくさいけど、こうでもしないと話が進まないしね。
まぁいっか、これで霞も仲間になったし雛里だけでなく賈詡と言う軍師も加わり更に知の人材が集まった。
そろそろ時期かもな…
「一刀〜脅かさんといてーな!ほんまに焦ったわ〜」
「敵を欺くにはまず味方からってね。まぁ、でも嘘は言ってないよ。責任は生きて取らなくちゃいけないんだ。どんな重いものでもね。」
俺がそう言うと董卓が近寄ってきて予想外の言葉を言い放った。
「私の真名は…月です。」
「え?」
「ちょっ!月!?」
周りのみんなが驚きを隠せずにいる様だそれもそのはず先程まで俺にボコボコに責め立てられていた董卓が真名を預けるなど誰が予想出来たであろうか。
「理由を聞かせてもらえる?」
「私は、貴方に全てを預けようと思ったからです。」
「月!それとこれとは別の話だよ!」
「いえ、それが一番良い方法かと。」
今まで黙っていた雛里が声をあげた。
「董卓さんと賈詡さんの名前は多くの人に知られていますが人相までは誰にも知られておりません。寧ろ董卓は男だと言う人もいます。その名を捨て真名で呼ぶ様にすれば正体を隠せると思います。」
「そうゆーてもなー隊長はただでさえ難しい立ち位置やしなー」
「真桜ちゃんは董卓ちゃんを見捨てろって言いたいの!?」
「いやいや、そうはゆーてない。ただ、隊長の弱点になるっちゅーてんのや!」
「そうですね。反董卓から反北郷に変わる可能性もあり得ると思います。でもーーー」
「俺がそう望んでいるから雛里は策を考えてくれたんだよな?」
雛里の頭を撫でながら俺はそう言った。
雛里は顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。
「へぅ〜」
「まぁ、そうなったらなったらで曹操に士官でもするかなーあはは」
「はぁー心配してるうちがアホみたいやなー」
「でも、隊長ならなんとかしちゃうと思うの!」
「一刀やからなー」
少し雰囲気が和んだ所で次の行動に移る。
町娘に扮して撤退。
月と賈詡に町娘の服に着替えてもらい撤退を始める。
「んじゃ、月にツン子。この服に着替えてくれ。」
「こーの変態何であんたの前で着替えなきゃいけないのよ!」
「いやーその発想は無かったわ流石だわ。むっつりツン子」
「ツン子、ツン子言うな!僕の真名は詠!すごーーく不本意だけど一応預けておくわ!」
「あいよ、詠。んじゃ俺は外の様子を見てくる。沙和、真桜頼んだ。」
二人に任せ俺は外へと向かった。
外に出ると和命が放った伝令がこちらに駆け寄ってきた。
話を聞くと痺れを切らした袁紹が自分も見に行くと進軍を開始。
負けじと袁術も進軍を開始し
城門で袁紹軍と袁術軍が乱闘になったらしい。
はぁー本当に面汚しだな。
そして更にマズイ事に兵達が略奪などをはじめていた。
「下衆な事を…月と詠を逃すのは3人に任せ袁紹を止めなくちゃな。」
「隊長!お待たせしました。」
「凪か、場内に沙和達がいるからみんなで先に天幕へ撤退しててくれ。あと、兵士に指示して袁紹軍の北郷が董卓を討ち取ったと噂を流してくれ。俺は袁紹の暴走を止めてくる。」
「了解しました。」
俺は手勢を率いて略奪をしている兵士達のところへ向かった。
段取りとしては、証拠として1人捕まえて袁紹の前に突き出し暴挙をやめさせる。
その後、乱闘を止めるが得策だろう。
俺は略奪をしていた兵士1人を捕縛し袁紹の前まで連れて来た。
「袁紹!話がある!」
「あーら北郷さん。今、取り込み中ですから後にしていただけます?」
「袁紹の兵士が略奪をはじめている。辞めさせないと袁紹の名声に大きな傷となるぞ?」
「北郷殿その件は私が対応致します。」
袁紹の隣にいた沮授が手を挙げた。
袁紹軍の軍師なら顔も効くし鎮静化出来るだろう。
とりあえず沮授と現場に向かう。
現場に着くと沮授は一言「短慮無能共め…」とぼやく様に言うと少し息を吸い込み大声で言い放った。
「誇り高き袁紹軍が略奪を働くなど万死に値する。貴様らは即刻打ち首だ!!」
ええ!?マジかよ。殺すの?
略奪をしていた数十人が袁紹軍の兵士に連行されて行った。
「本気で殺しちゃうの?」
「ええ、斬首です。と言っても実行していた数人だけですが。」
「残りの者には見せしめとして恐怖を植え付けるか…怖いなあんた。」
「そうですか?何処でもやっている事です。人を支配出来るのは恐怖と慈愛ですから」
「ま、通りだな。それであれはどうするんだ?」
俺は向こうの乱闘を指差した。
この軍師があれをどう処理するか興味があったからだ。
「ああ、あれですか…気がすむまで放置ですかね。」
「えー、対処しないの?」
「ええ、誰も死人が出るわけではないですからね。それにああやって鬱憤を晴らしてるんですよお互いに」
「なるほどな、袁家にも色々あるんだなー」
「北郷殿が我等の家臣となったらお教えしますよ。」
沮授はクスリと笑い俺に視線を向ける。
袁紹の軍師って実は優秀だったのではないかと田豊と沮授を見てそう感じる。
「んー、まだ保留で頼むわー。」
「かしこまりました。北郷殿。」
沮授はそう言うと袁紹の元へと向かっていった。
俺も乱闘を避け天幕へと戻った。
天幕へ着くと劉備軍の面々が中にいて大所帯になっていた。
「どう言う事だ?」
「ええ?えーと…そう!戦いが終わったから御祝いをしに来ました!」
「鈴々は御飯もらいにー」
「勝手に天幕に入ってしまいすみません。戦いが終わったら雛里ちゃんと会えなくなるかも知れなかったので。お、お話をしに来ただけだったのですが…」
諸葛亮はそう言って流しながら劉備と張飛を見た。
「なるほどな。諸葛亮が行ってくると報告したら劉備は興味本位、張飛は飯に、関羽と趙雲はお守りでついて来たって事か…」
「大方は合ってますが星さ…趙雲さんも興味本位で来ただけです。」
趙雲に目をやると雛里を弄って遊んでいる。
雛里が真っ赤になっていて可愛らしい。
「……なるほど、まぁ同盟国なら問題ない…わけでもないが事情を知ってるからいいかな」
そうここに孫堅やら馬騰やらが居たら些かマズイ事になるが劉備達なら大丈夫だろう。
「んじゃ、月と詠の歓迎会は領地に戻ってからやるとして前祝いで飯でも作るかな」
「いよ!待ってました隊長!」
「隊長の料理」
「やった!御祝いなの!」
「チイたちも頑張ったんだから!」
「わーい仲間がまた増えたねー」
「姉さんたち落ち着いて」
「天ちゃんはいつも楽しそうだね。」
「一刀の飯か!ええな!」
周りがギャーギャー声を上げる中。緊張か、思い詰めてか静かにしてる月と詠。
「二人ともまだ信用も出来ないと思うし慣れないと思うけど。うちはこんな感じだから気にせずくつろいでよ。」
「お気遣いありがとうございます。北郷様」
「もっとくだけて一刀でいいよ。そっちの方が嬉しいな。」
「では一刀様で 。」
「うん、わかったよ。月」
俺は調理をしに天幕を離れた。
一刀が居なくなると空気は一変し月と詠に話題が集中した。
「ねぇねぇ、月ちゃん!何で隊長に真名を預けたの?」
「それうちも気になってたんや!実際のところどうなんや?」
「ちょっと!僕たちは強制的に真名を預けた事を忘れたの?」
「いやいや、偽名を作るって手もあったはずやろ。詠?」
「うううう〜」
「一刀様との出逢いを天命だと感じたからです。」
「ほう、天命ですか。」
「ねぇ人和、天命って何?」
「チィ姉さん…天命は天からの使命とか宿命っていう意味。」
「ふぅーん、天命って事は天からこの人についていけーって言われたって事?」
黄巾党ズの話の後
月はゆっくり確信を持って話始めた。
「私は、もう諦めていました。全て私の所為だと…私は死ななければいけないと生きる事さえも諦めていたんです。」
「そんな私に対して一刀様の言葉は私にとって辛く厳しいものでした。ですが同時に自分を正しく見つめることが出来たんです。」
「自分を正しく見つめる…か…」
「そんなに酷い言ったの?北郷さん!?」
「酷いってもんじゃ無いわよ!彼奴最低最悪の男だわ!」
「でもそれで月さんは自分を省みる事が出来たという事ですか?」
関羽、劉備、諸葛亮は真剣に話をする。剣を交えた相手、同盟相手、そして親友の仕える相手。
3人とも一刀の一挙手一投足を確認するかの様に聞き入る。
「はい。私は…私で無い何かに縛られていたんだと思います。王としての立場、責任。私はそれで自分を縛り嫌いになってました。心の中では昔の様に詠ちゃん達と楽しく暮らしていたいと思いながら。」
「……月」
「…そうだったんだね。」
詠と劉備が重ねる様に相槌をうつ。
彼女達も少なからずそう言う思いを持っているのかも知れない。
「一刀様が刀を振り下ろした時本当に、死ぬつもりでした。でも死んで楽になっても責任を取る事にならないと言い一刀様は私の鎖を奪い一人の人間として向かい入れてくれました。」
月の話を聞き皆が一刀の小芝居の意味を理解し感動に近い感情を抱いていた。
「一刀様はこれからも私の様な人間を多く救う天の御遣いとして生きていくんだと思います。そんな一刀様の近くで少しでも助けになりたいと思ったから真名を預けたのです。」
「一刀は月を助けたちゅーわけじゃなく月を救ったんやなー。ホンマ凄いで一刀は。」
「流石、隊長だ!」
「少し気障なところもあるけどそれが隊長なの!」
「何をしても人を救っているんやなー。大したもんやでホンマ。」
「私も一刀だーい好き!」
「確かに、一刀さんはそう言う人よね」
「流石ちぃの見込んだ男ね」
その頃調理場では、とある人物が一刀の調理を邪魔していた。
「こーら!一刀!早く肴を作ってよー!!」
「はいはい、雪蓮の分も作ってるからちょっと待ってて。」
「よろしい!でも、早くしないと次の樽に手を出しちゃうかも〜」
どうしてこうなった…
時間は3刻ぐらい前に遡る。
俺は天幕を後にして調理場へ向かい
調理を始めた。
1刻弱経った頃後ろから声をかけられた。
「貴方が北郷一刀?」
「違います…人違いでは?」
何と無く直感で面倒臭い感じがしたから、とぼけてその場を終わらせようと試みた。
「ふーん、嘘つくんだ?」
「いやいや、初対面だよね?」
「軍議で見てたから3度目かな?」
「…すみません。嘘つきました。」
バレました。
嘘はつくもんじゃ無いなー。
「ねぇ一刀って呼んで良い?」
「いいけど、君は?」
赤いチャイナ服の様な服と桃色の髪。
孫堅に関係する人間かな?
「私の事は雪蓮と呼んで」
「一応聞くけど名はなんて言うの?」
「秘密!」
「普通、逆じゃ無いの?」
「私が認めたんだからいいの!」
「会話したの初めてだよね?」
「私、勘がいいの!だから、貴方に真名を預ける!」
「んじゃ、雪蓮さん。」
「しぇーれーん!!」
「しぇ、雪蓮。」
「なーに、一刀!」
「用が終わったならお引き取り願いたいのですが…」
「やーよ、だって面白いしこれ美味しいんだもん。あと敬語禁止」
雪蓮は台に置いてあった酒のつまみを食い始めた。
「おい、それは皆んなに持って行くやつだから勝手に食うな!」
「一個や二個じゃわからないわよ」
「既に倍以上食べてるだろ。」
「だってお酒に合うんだもん!」
「わかった!雪蓮の分も作るから少し待ってくれ。」
雪蓮が食べている皿を取り上げ
天幕へ運ばせる。
「うん、待ってる!」
「待ってる間も飲む気か?」
「もっちろん!お酒は人生の友だもーん!」
そして今に至る。
「マジで洒落にならない量だから。孫堅に請求するからな」
「送っても意味無いと思うわよ。」
「伝令!伝令ーー!!」
「ちょっと待った!!」
俺が伝令を呼ぶと雪蓮が大きな声で口を抑える。
「意味無いんだろ?」
「ぶー、一刀の意地悪。」
「雪蓮は孫家の誰かだろ?見た目と風格でわかるよ」
「食えないわねー本当」
「自主的に帰るか強制送還。雪蓮はどっちがお好み?」
「むー、わかったわよ帰る!」
雪蓮は回れ右をして歩き出した。
「雪蓮!」
「何よ!」
俺は一本の酒とツマミの入った木箱を投げた。
「また今度!」
「ええ、またね一刀!」
はぁー、何だか嵐の様だったな。
まぁいいや遅くなってしまったけど皆んなに料理を持って行こう…
長かった1日が終わり緊張感が切れたのか寝てしまう将達もいた。
俺はある事を確認する為、内密に諸葛亮を天幕まで呼んだ。
「北郷さん。話とは何でしょか?」
「一応聞いておきたいんだけど、天子様って今、劉備の陣営にいるんでしょ?」
「な、何を根拠にそんな事をおっしゃるのですか?」
「反董卓連合が勝利した時点で天子様を発見すれば一気に名声と風評を手に入れられてる。しかし、全軍誰しも天子様の事を触れようとして来ない。いや、あえて触れていないんだろうね。」
「曹、袁、馬、孫、劉、公…連合に参加した諸侯ならこの実は逃しはしないはずだよ。ただ、劉備を除いてね。」
「しかし、それは証拠には」
「戦場では神がかった策を弄する諸葛亮も言葉の駆け引きは苦手のようだね。まあ、こっからは独り言だから…」
「…」
「天子様を出来る限り中央から離して差し上げて欲しいんだ。なりふり構わず天子様を護ろうとして月は結局全てを失ってしまった。正しい人が犠牲になる事なんてあっていいわけがないんだ…」
「もし、私達が天子様を帝へ戻し天下へ名乗りを上げたらどうしますか?」
「その時は理想を抱いたまま消えて貰うよ。俺にどんな汚名が浴びせられようと…」
「何故そこまで天子様を御守りするのですか?」
「月が護ろうとしたものだからだよ」
「!?」
「先程まで敵だった者の思いを背負っていると言うのですか?」
「それだけじゃないさ。でも、それが俺の天命だからね。誰も傷つけないとか夢を語るより、行動で示して行く。それが天の御遣いとしての責務だと考えてるんだ。」
「正しい世界を作る為の行動ですか。」
「だから、最低限の戦いしかしたくないんだよね……長々と独り言を話してごめんね。話せて良かったよ。」
少し強引に話を切り俺と諸葛亮はみんなの所へ戻った。
宴会が終わり時間は丑の刻を回っていた。
一刀は1人天幕でこれからの事を思考し、先の行動を模索していた。
そんな一刀の天幕を尋ねてきた者がいた。
「あ、あの!」
「だ、だれですか?」
「一刀様。月です。」
天幕に来たのは月だった。
「ああ、入って!」
「失礼します。」
「こんな時間にどうしたの、眠れない?」
こんな時間って言うのは変かもしれないけど時間は、丑の刻を回っている。
普通、月ぐらいの子は寝ている筈だ
「いえ、一刀様とお話をしたいと思いまして。」
「そっか、俺も月に色々聞かなくちゃいけなかったから丁度良かった。」
一刀がそう言うと月はお辞儀をして天幕へ入り目の前に座った。
「そんな仰々しくしないでよ。」
「すみません、癖のようなものなので」
「諸葛亮と話してた時、天幕の前にいたでしょ?」
「はぃ、一刀様と諸葛亮さんが出て行くのが見えたので…その…」
「天子様の件はあまり知られない方が良かったし劉備より舵を握っている諸葛亮に釘を刺しておきたかったからさ…ごめんね、心配しちゃったかな?」
「い、いえ。その一刀様にそこまで考えて頂いてお心遣い感謝致します。」
「固い!固過ぎるよ、虎牢関の守りぐらい固いよー月。」
「申し訳御座いません。一刀様を前にすると緊張感してしまって…」
あれ?笑う所なのに真返し…
んー何とか肩の力を抜いて欲しいんだけどなー。
「そっか少しずつ慣れていってね。月に聞きたい事があって天子様の他の将達はどこへ行ったの?」
「それはーーー」
月は自分が多くの血を流し天子様の周りを浄化させようとした事。
何進達の行方などを説明した。
ゆっくり何かを確認するかの様に話す姿は罪を懺悔している様にも見えた。
「なるほどね。何進達は他の群に逃亡した可能性が高いね。差し迫った問題にはならないか…」
何進達が声を上げ反何進連合か反劉備連合に発展する可能性もあるが…しかし、月の話だと身の保身を第一としているのならそんな愚行は犯さないだろう。寧ろ…
一刀が1人で考えていると月が一刀に質問を投げかけてきた。
「一刀様は何時もこの時間まで政務をなさっているのですか?」
「んーまぁ政務と言うか一人会議かな。」
俺がそう言うと月は淡々と話し始めた。
「一人で何事も背負ってしまうのですか?」
「んー、皆んなにも結構頼ってると思うよ。でも一人で考えなきゃいけない事もあるんだ。天の御遣いなんて言う業、誰にも背負わせたくないから」
「一刀様。私は一刀様の道を共に歩き付けたいです。一刀様に助けられた時に私の天命が決まったんだと思います。」
「そっか、ありがとう。大変だったよね、もし辛い事とかあったらすぐに言ってね、おやすみ」
「はい、一刀様。おやすみなさい。」
月はそう言って部屋を出た。
んー確かに無理し過ぎかな?
そろそろ寝よ…
元の世界とは違い日々死と隣り合わせの戦場にいる所為か全然疲れが出ない。
もしかしたら緊張してるのかな。
しかし、帰ったら色々と大変だろうな…
そう考えながら、一刀は意識を手放した。
読んで頂きまして誠にありがとうございます。
若干表現が拙い所為で空気になってしまっているキャラもありますが何とかしていきます。
次回は富国強兵を図る一刀の所に思いもよらない伝令が!?乞うご期待!!
p.s
恋姫 蒼天の覇王面白い!
しかし、絵に若干抵抗があるキャラが(笑)
次は呉ですがとても楽しみです。
出来れば死なないようなルートがあって欲しいものです。