袁家を支える御遣い   作:久遠寺バター

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楽進、于禁、李典の三人娘から真名を預かり捕虜救出作戦を決行する。
この作戦は成功するのか?それとも…



私たちと戦ってください!

そして作戦決行の夜。

俺たちは予定より早く動いた。

そのワケは袁紹軍の行動を予測してのものだ。

袁紹軍には欠けているものが多い、

兵に対しての将の数、策や計略に対しての対応、突撃に近い戦法。。。

素人の俺から見てもこれだけ上げられるんだ、袁紹は正史通りに曹操に潰されるだろう。

 

「真桜、沙和と撹乱部隊は配置についてくれ。凪と救出部隊は俺とともに捕虜の救出に向かう。」

 

「了解や」

「了解なのー」

「了解です。」

 

「隊長、捕虜は何処にいるんでしょうか?」

 

「まぁ、普通なら複数の場所に小分けにされているだろうけど。

多分一箇所にまとまってるはずだ予測だけど。」

 

一箇所にまとまってるのは間違い無いはずだ。しかし、寝室に連れて行かれたりしている数が多かったら対処しきれない。

それ以上に裏切り密告する者がいないか心配だ。

監禁や捕虜の生活が長いとその生活に慣れある程度の信頼関係を結んでいる場合がなきにしもあらずだ。

 

「隊長。あの天幕から声が聞こえます。」

 

「ああ、間違い無い。真っ最中のようだ。」

 

どうでもいい話だが漫画やAVで見るぶんにはいいが、実際に現場を見ると殺意がわいてくる。

 

天幕の影を見てザッと10人は軽くいる。

今飛び出せば騒ぎになってしまう。

少し待機だが、この光景を凪に長く見せるべきではない。さてどうするか。。。

 

「凪、この天幕の周りの灯りがついていない天幕の中を確認してきてくれ何か発見しても絶対に単独行動はするな。」

 

「はっ!」

 

流石に数万の兵士がいるのにこの人数しか捕虜がいないのはおかしい。

襲われた街は数知れず、男は殺し女子供は連れて行かれている。

数千はいても不思議じゃない。

 

三十分後、凪が偵察から帰ってきた。

 

「隊長、ただいま戻りました。」

 

「お疲れ様。んで、どうだった?」

 

「はい、ここら一体数十個の天幕は捕虜が収容されていました。」

 

だろうな。

しかし個々に数千人か…これはマズイな救出するには人数が足りないし逃亡誘導するにしても人数が足りない。

 

「あと、気になる点がいくつかありました。捕虜の天幕の見張りをしてるのは捕虜の女性のようでした。」

 

「やはりそうか。黄巾党が乱を起こして結構経つからな。その期間にうまく取りいって信頼を得た奴がいてもおかしくわない」

 

ボーーーーー!

ボーーーーー!

 

角笛だろうか。

あたりに笛の音が響き渡る。

 

「敵襲だーーーー門に敵が押し寄せてるぞーーー!!!」

 

「なんだと!?」

 

「畜生いいところどったのによぉーーー」

 

奴らは行為を中断し迎撃に向かった。

 

「しめた、凪部隊を率いて各天幕に向かって捕虜を救出だなるべく目立たないようにやれ!」

 

「はっ!」

 

「お前達はここを死守してくれこの道を封じられたら俺たちに活路はない!」

 

「わかりやした。」

 

数少ない男手だった若者に

役割を与えることにした。

 

「君、名は何ていうの?」

 

「私は王経と言います。北郷様、私にこの大役を任せて良いのでしょうか?」

 

「ああ、2部隊が撤退が完了したら君の考えで合図を送ってくれ。君を信じている」

 

俺は手勢を連れて一番奥の捕虜がいるであろう天幕へ向かった。

天幕の入り口には二人の女。

しかし、妙なのは片方しか剣を持っていないということだ。

刃物の所持を許されていると言うことは、相当信頼されているのだろう。

ならまずこいつを制圧すればもう一人はなんとかなる。

 

俺は松明に石を当て注意を促す。

 

「ん?なにかしら?」

 

ダッ!!

 

「喋るな。喋ったら殺す。」

 

訓練されていない見張りを制圧するのはたやすい。

俺は連れてきた手勢を誘導し2人を捕縛した。

 

「いきなり全員で入ってしまっては混乱するだろうから外で隠れていてくれ。」

 

俺は天幕の中へ入った。

入った途端に悪臭と悲惨な光景に目を疑った。

服と言う服は着ておらずほとんどした気が裸の状態で女性が横たわっている。

 

「貴方だれ?あいつらの仲間?」

 

「みんな騒がないでくれ、俺は北郷一刀。この近くの城主をしている。みんなを救出しに来たんだ。今仲間が門に敵を引きつけてくれているから今のうちに早く。」

 

「え?本当なの?」

 

「夢じゃないの?嘘じゃないの?」

 

みんなが口々に疑問をぶつけてくる。

それもそうだろう来る日も来る日も絶望的環境に身を置いていれば疑心暗鬼にもなるだろう。

 

「私はいかない!今逃げて捕まったら今度は殺される!!死ぬのは嫌!!」

 

過去に何度か逃げた子がいたのだろう。

その粛清を見せられ恐怖心を植えつけ逃げられないようにする。

捕虜と言うより奴隷に近いな。

 

「大丈夫だ。俺たちの城は数百の兵で数万の黄巾党の攻撃を防いだ難攻不落の城だ絶対に守るから信じてもらえないか?」

 

「それって昨日言っていた。落ちない城の話じゃな?」

 

「そうよ!ああ、神様。。。」

 

殆ど攻めた城は落としている黄巾党の攻撃を防いだ事実は恐怖心を書き換えることができたようだ。

 

「ここからは静かについて来てくれ敵を見かけても大きな声を出さないで俺に教えて。」

 

女子供を連れての移動は中々の時間がかかるもので正直生きた心地がしない。

そんな中、空高く真紅の矢が暗黒の空を切り裂いた。

奇襲の合図だ。

 

「何だよサボってるのによー。ああ?何にやってんだてめえ等!」

 

ザンッ!!

 

「カハ…」

 

天幕の後ろにいた小柄な男の首を斬りつけ薙ぎ倒す。

 

「後は一直線だ。みんな急いで。」

 

俺達はなんとか脱出ポイントで合流できた。

 

「王経!今の脱出部隊は何部隊だ?」

 

「北郷様の部隊を入れて五部隊です。」

 

「五部隊!?三部隊ぐらいでギリギリだと思ったんだけど。」

 

五部隊!?俺は耳を疑ったどう振り分けても三部隊が限界な兵数なのにどうやって五部隊も撤退できたのだろうか。

 

「はい、兵数的には三部隊が妥当だと思います。しかし、時が少なくまた、捕虜も疑心暗鬼になっているのでより騒ぎを小さくし説得の時間を減らす事を考えたら。捕虜を数人つけて救出に向かわせました。」

 

「なるほど、兵数を減らし捕虜が捕虜を説得していった方が効率も疑いも少ないか……しかし、捕虜の中に反逆する者や敵の攻撃があった場合はどうするつもりだった?」

 

「それを無くすための奇襲部隊です。それに今回の場合、強制的に連行されて来た婦女子がほとんどだった事、見張りも立てる頭がない賊たちだった事、さに時間が少なく兵数も少ないこのような現状をみて判断しました。しかし、博打に近かったのは認めます。申し訳ありません」

 

すごい、そこまでこの現状を把握しかつ時を逃がさない決断力。

彼はもしかしたら逸材かもしれない。

 

「いや、謝る必要はない結果として多くの捕虜を効率的に移動できている。ありがとう助かったよ。」

 

「隊長!!」

 

「凪、どうかした?」

 

「捕虜を数人の黄巾兵が天幕から出し一箇所に集めています。」

 

もともと一枚岩ではない黄巾党だから捕虜を攫い離脱するつもりなのだろう。

いやむしろ好都合かな?

 

「凪、氣弾は何発撃てる?」

 

「昼間使い続けたのでせいぜい三発が限界です。」

 

「んじゃ凪は兵を奴らを囲むように配置しといてくれ、王経はこちらの作戦の進行状況をみて奇襲部隊に撤退の合図を送ってくれ」

 

「「はっ!!」」

 

……………………

 

…………

 

……

 

「集まったな。これだけか?」

 

「他の奴らは逃げたみたいです。」

 

「まぁ、この騒ぎなら逃げるだろうな。ここはもう持たないから女だけでも頂いて行くかなニヒヒヒ」

 

「こんな大勢な女を俺たちの物にできるなんてなぁ」

 

「1人で7人の女を相手にできるのかニヤニヤ」

 

敵は武器を持たない捕虜相手に油断している。

その隙につけこめみ全員斬殺してやる。

 

ダッ!!ザンッ!!!

 

「うっ!!」

 

「キャアアアアアア!!」

 

捕虜の黄色い声が響き渡る。同時に敵が逃げ出す。

 

「凪!!退路を断て!!」

 

「はぁあーー。はっ!!」

 

ドゴーーン

 

目の前に火の玉が飛んできて腰を抜かしたり命乞いをはじめた。

 

「許してくだせぇ、ほんの出来心だったんです!!」

 

「あいつらに従うか殺されるかと考えたら従うしかなくて」

 

「黙れ!!!」

 

あたりが鎮まりかえった。

 

「貴様らの身勝手な考えで、多くの人が死に多くの人から笑顔を。。。幸せを奪った。その行いの対価を払え!」

 

「で、ですからあっしらを配下に加えーーーー」

 

ザンッ!!

 

「お前らは一度獣以下に落ちた…そこに定着し人の幸せを奪った貴様らに明日を生きる資格はない。」

 

「お許しをお許しーーーー」

 

ザンッ!!!ザンッ!!!

 

一斉に処刑が行われる。

全ての捕虜を一気に救出できた。

そして凪と俺は残った。

 

「凪、陣の中心の天幕に氣弾を打ち込んでくれ。」

 

「わかりました。はぁーーーーはっ!!」

 

ドカーーーンッ!!!

 

天幕の周りが一瞬で火の海になる。

一気に敵に騒ぎが広がり兵が浮き足立っているようだ。

いきなり自分の陣の中で爆発が起きたらどんなに鍛えていても動揺はするだろう。

その騒ぎを鎮静化し形勢を立て直せるのが良将なのだろうが黄巾党にそんな良将はいないだろう。

 

「後は袁紹軍に任せよう。」

 

「了解しました。それでは城の方へ戻りましょう。」

 

俺たちは静かな山の中を歩いて城の方へ向かっていた。

その中で以下にも怪しげな舞台を見つけた。

数は8名

派手な服の女の子が4人と黄巾兵が4人で行動しているのだ。

最初は捕虜かと思って見たが真ん中の四人は連れていかれているというよりかは命令と言うか彼らを指示しているように見える。

 

「凪、あいつらを見てどう思う?」

 

「少人数精鋭の部隊にしては少ないですし女を連行しているようには見えませんが。」

 

「周りの兵の行動を見ると多分、黄巾党の相当高い位置にいるやつだろう。」

 

「では捕まえますか?」

 

「ああ、でも森の出口が見えた瞬間に行動に移す。真ん中の四人は捕縛他は無力化する。」

 

そして、その時がきた。

森の出口にさしかかった。

道がない道を切り開いて進んでいるため歩くのが遅い。

さて、チャチャっとやってしまいますか。

 

ザンッ!ズバッ!

 

「なんだ!てめぇ!!」

 

ボカッ!ドカッ!ドスッ!!

 

「はっ!やっ!!はっ!!」

 

「張角様お逃げをーーがは!。」

 

すぐに制圧できた。

俺が一人を切り倒し注意を向けさせ

、各個撃破した。

 

「さて、審判の時間だ。大罪人張角さん。」

 

「大罪人!?ちぃたちが!?」

 

「まぁ、やることやってるからねー」

 

「くぅ、逃げれると思っていたのに」

 

「えー、おねぇちゃん達どうなるの?」

 

さて、美少女たちをどうするかな…

まぁとりあえず城に連れていってから考えるかな。

 

「では、一緒に来てもらおう。抵抗したら彼女の鉄拳か俺の刀で峰打ちするからな。」

 

「そんなので殴られたら死んじゃうわよ!」

 

「えーん、おねぇちゃん痛いのやーだー」

 

「。。。」

 

「従えば命を保証してくれるのかしら?」

 

「それは約束しよう。ただし、城に入るまでだ。それからは俺の一存では決められない。」

 

「まぁ、当然よね。。。」

 

メガネをかけた女の子はフゥと溜息をつき何やら考えている。

 

「それと、ここからは張角、張梁、張宝っていう名を口にしない方がいい。」

 

「ちぃ達の名前を隠せってこと!?」

 

「それは当然ですね、城の中でその名を呼べば嬲り殺されてもおかしくありませんからね。」

 

今まで黙っていた謎の四人目の女の子が口を開く。

 

「人相書きや噂で広がっている私たちの姿は現実からかけ離れているから名前を口にしなければ誰もわからないということでしょう。しかし、私たちを捕虜として扱うのが不思議でなりませんが……」

 

「俺は片方の意見主張だけで暴走する人間になりたく無いだけだ」

 

「……」

 

俺たちは門をくぐった。

そこには沢山の兵や民が俺たちを迎え入れ、まるで英雄かのような歓迎をうける。

真桜と沙和に捕虜は城の浴場を使わせて謁見の間へ通すように言っておいた。

 

「隊長!おかえりーなのー!!」

 

「凪もお疲れさん!」

 

「ああ、ただいま二人とも!」

 

「沙和、真桜、ただいま。」

 

真桜が俺たちの後ろを見て言った。

 

「隊長。後ろの四人は誰やの?」

 

「ああ、黄巾党の総大将の張角、張宝、張梁、そして恐らく黄巾党の軍師だろう。」

 

「ええ!?黄巾党の総大将って、本当なのー!?」

 

真桜と沙和は驚きの声を上げる。

 

「んで、どないすんねんこんなところ連れてきはって?」

 

「ん〜、ひとまず何でこの黄巾の乱を起こしたのか聞こうか。」

 

「チイ達はただ歌っていただけなのよ!!」

 

「チイ姉さんの言う通りよ、私達は私達の歌で大陸を取る夢があるの。」

 

「そーだそーだ!お姉ちゃん達はそもそも戦いに加担してないぞー」

 

三人は猛反発。

しかし、その横で黙っていた軍師が喋り始めた。

 

「私達は歌を歌いそれて食べ物を貰っていました。ある時に知らない愛聴者から変な本を貰ったのです。」

 

「変な本?」

 

「太平妖術の書と書かれていました。」

 

「太平妖術の書かいな。えらく怪しい名前やな。」

 

「それからです。私達が歌えば歌うほど愛聴者が増え、一人から組、組から一団、一団から軍になっていき現在に至るのです。」

 

「要約するとそこに書かれていたことを実行して人気が上がったが、暴徒化してしまったってことか。」

 

「チイ達は悪くないもん!!歌で大陸を取ろうとしただけだもん!」

 

「そーだそーだ!」

 

「……」

 

桃色と青色の髪の女の子が反発姿勢を崩さない中、紫の髪の女の子は沈黙していた。

 

「お前らの身勝手な思いでいくつの村が、幾人の人間が死んだと思っているんだ!!」

 

「「!!!!」」

 

「今、この城には物のように扱われていた女性達が療養している。何日間も風呂にも入れず、着るものも食べるものもロクに与えられない。そんな悲惨な状況にいた彼女達を知ってか知らずか好きな所へ行き好きな歌を歌い好きな物を食べてきた貴様らに言い訳をする資格はない!!」

 

俺は剣を抜き四人の方に向ける。

 

「……いや。死にたくない!!」

 

「助けて!何でもするから!!」

 

「チイ達を殺すっていうの!!」

 

「………」

 

「まずはお前からだ!!!」

 

ザンッ!!

 

「。。。まさか隊長。」

 

沙和が真っ青な顔をして俺を見る。

真桜は目線をそらしていたが、凪はただ冷静だった。

 

「……え?死んでない?」

 

「……………ピクピク」

 

「…………」

 

「な……なんで殺さないの?」

 

「いやー、ダメだな。やめやめ!」

 

俺の発言にみんなが驚いた。

 

「隊長!何故斬首しないのです!!」

 

「はぁ?隊長、何言うてんのや!」

 

「隊長?本気でいってるの?」

 

「やっぱ無抵抗な可愛い女の子を斬り捨てるなんてできねぇや。」

 

俺がそう言うと三人は呆れたようにまた、安堵したように反応する。

 

「はぁー先ほどまで幾人の黄巾兵を斬り捨てていた隊長とは思えませんね。」

 

「隊長は女たらしやなー」

 

「よかったのー。」

 

三人がそれぞれ違う感情を抱いている中。

一刀は四人に話しかける。

 

「殺される側の気持ち…少しはわかったか?」

 

「コクコクコク」

 

「………」

 

「……はぃ。」

 

「ええ、感じたことのない感覚だったわ。」

刀を鞘に収め話しを続ける。

 

「俺は斬り捨てる事は出来ないが、朝廷や官軍、また街に放り出せば誰かが殺してくれるだろう。」

 

「そうね。私たちが生きる為の条件は?」

 

軍師は気丈に冷静を装い俺との交渉に乗ってきた。

 

「話がわかるな、条件は簡単だ。俺と共に戦ってくれないか?」

 

「……私たちに戦場で死ねってことかしら?」

 

状況が状況だけに最悪の筋書きを考え質問をしてきた。

 

「随分と無意味な質問をするんだな。戦場に出すぐらいなら朝廷に差し出すわ!」

 

「では、条件はなんなの?」

 

やはり疑念があるようだ。

 

「君たちのしてきたことは許せない事だ。しかし、君たちの歌には力があるそれも何万人の人を虜にするね。だから、俺の仲間としてその力を使って欲しい。」

 

「その間、何処に居たって命を狙われるのは変わりないじゃない。」

 

「的確な指摘だ。しかし、表向きは君たちを討ち取ったことにしこの世界が平和になるまでは張角、張宝、張梁、それとーーー」

 

「馬元義だ。」

 

「ーーの名を捨ててもらうけど。それ以外は普通に生活してもらって構わない。」

 

「名前を捨てる。。。」

 

ポツリと桃色の髪の子が呟く。

 

「…わかった。それで構わない。」

 

「ありがとう。不便のないようにするよ。」

 

刀をしまうと緊張が解けたのか。桃色の髪の子が地べたにアヒル座りをしてーーー

 

「助かったーー」

 

ジョジョボボボボボボーーーー…

 

彼女の内腿の間から黄金水が漏れだしてきた。

 

「姉さん!?」

 

「天ちゃん!!」

 

その惨事のあと彼女達からひとまず名前を聞いた。

桃色の髪の子が張角、青色の子が張宝、紫の子が張梁、らしい。一旦お風呂に入ってもらい凪、沙和、真桜の三人を交えて真名を預かるか偽名を考えるかの会議をすることになった。1人は漏らして1人は気絶してる状況じゃ話にならないからな。

 

「んじゃどうするか、偽名にするか真名を預かるか。」

 

「私は、真名を預けたいと考えています。」

 

以外なことに馬元義が最初に提言した。

 

「何でそう思うの。和命ちゃん?」

 

「それは私たちのこれからを考えて事。真名で呼ぶあうことはそれだけで意味がある事んだよ。」

 

「確かに俺たちと真名で会話してたら周りから見たら幹部か側近に見えるからな。でも、それでいいのか?真名って相当大切な名前なんだろ?」

 

「いちいち人の考えを読んでくるのは癇に障りますが、その通りです。でも本隊を撃退し奇襲と挟撃で私たちを捕縛したその技量は尊敬に値する。貴方が無能ならまだしも有能な人間に呼ばれるなら意味があると言うものですよ。」

 

何でそんなに偉そうなのかはさて置き、俺たちの事を認めた上でってことなのかな?

 

「三人はどうなのかな?」

 

「お姉ちゃんもね、いいよ。真名預ける。和命ちゃんの話もあるけど、命を助けてもらったし、正直、あの集団の中から逃げたかったし。」

 

ん?張角は逃げたかったと言ったのか?

張角たちには何不自由は無かったはずだが。何故だ?

 

「それはどうしてだ?君たちに不自由はなかったと思うが?」

 

「私達は何もされなかったけど、私達に見えないところで女性を攫って酷い事をしていたのを見ちゃったの。それからね…怖くなったの…」

 

「チイも冗談で命名亭の肉まんが沢山食べたいって言ったら…あいつら命名亭のある街を襲って奪ってくるんだもん…最初は楽しかったけどだんだん人数が増えてきてチイ達じゃ手がつけられなくなっていた。」

 

「私も姉さん達といっしょ。攫われた彼女たちが居るのは知っていたけど、それを取り上げたら私たちに矛先が向くと思って…自分可愛さに彼女達を犠牲にしてたの。」

 

三人は本当はやめたかったらしい。

たった三人であれだけの大軍を主管するのは難しいだろう。

 

「わかった。なら、自己紹介をしよう。俺は北郷一刀、一応一刀って言うのが真名なのかな。よろしく。」

 

「私の真名は、和命(ホーメイ)。」

 

「…お姉ちゃんの真名は天和っていうの。」

 

「チイは地和。。。」

 

「私の真名は人和です。」

 

先ほどの事もありあまりにも重苦しさと息苦しい雰囲気にやられそうだ。

 

「あーと、凪たちは預けたくない?」

 

「あ、いいえ!そんなことはありません。ですが、先ほどまで敵だったものをすぐさま仲間だと受け入れるには気持ちの整理がつきません。」

 

「そうか、ならーー」

 

「が!私は隊長の配下。よって私の真名を預ける。名は楽進、真名は凪だ。よろしく。」

 

「沙和は于禁。真名は沙和っていうのー。よろしくなのー。」

 

「うちの名は李典、真名は真桜や!なんやかんやあったけど、あんたらを殺さずに済んでよかったわー」

 

「んじゃ自己紹介も済んだし袁紹に挨拶に行かないとな。」

 

俺がそう言うと皆んなが焦りだした。

 

「や、やっぱり!私たちを袁紹に引き渡すの!?」

 

「チイ達を騙したのね!?」

 

「だーーもう!んなわけないだろ!!袁紹に助けた捕虜を仲間に入れたっていうんだよ!そうすれば堂々と歩けるだろ?てか、信用しなさ過ぎだろ!」

 

俺たちは袁紹の陣営に行くつもりだったがその前に向こうから使者が三人来た。

顔良、文醜そして、袁紹軍軍師の一人田豊。

 

「北郷さん、黄巾党の本隊を壊滅に成功しました。」

 

「こっちも人質救出できたよ。これで黄巾の乱は、収束に向かうはずだ。」

 

「ま、アタイにかかれば1万や2万の黄巾の奴らなんて屁でもないさ!」

 

「猪々子。寝言は寝て言ってください。戦は個でやるものではないのですから。」

 

田豊が文醜を戒める。

報告なら一人でいいのに何故三人も連れてきたのか?

 

「報告はおわり?なら、俺たちは袁紹に挨拶に行ってからーー」

 

「ちょっと待って下さい!」

 

顔良がらしくもなく大きな声を出す。

 

「北郷さん!私たちのー袁紹軍の配下に入って下さい!」

 

「断る。」

 

俺はあえて即答する。

既に俺の頭の中には、いろいろな英雄を見ておきたいという願望があったからだ。

 

「理由をきかせてもらえないかしら?」

 

俺の即答に田豊が理由を求めてきた。

 

「理由は3つある。一つめは重税。二つめは袁紹の器。そして三つめは…この街だ。」

 

「この街とは。城主が逃げこの街を守り政をする人間がいなくなると言う事でしょうか?」

 

「まぁ、そう言うことだ。」

 

俺がそう言うと田豊はニヤリと笑い

俺の発言に反論した。

 

「では、税を下げましょう。麗羽様の器に関しては、わかってはおりますが名家であり、各々の実力が発揮できる所だと思います。最後の街の事なら我が軍から人材を派遣しましょう。これでいかがですか?」

 

「……まぁ、二つは解った。」

 

「二つ?一つご納得頂けなかったのですか?」

 

「ああ、俺は君主の器が俺の仕える意義になるからだ。すなわち袁紹に仕える事に意義を見いだせずにいる。」

 

「なら、他の諸侯に仕えるということですか?」

 

「まぁそれも考えてはいるが…」

 

俺の言葉を聞きしばらく考えて田豊は答えた。

 

「では期間を決めませんか。」

 

「期間?」

 

「その通りです。今この街は疲弊しています…復興が必要な程に。なら、私たちの軍に所属してもらっている間は支援も人材も惜しまず派遣します。戦となれば手を貸してもらう形にはなります。ですが、この期間でわが主の器を測ってください」

 

そうきたか。期間なら安全に見えるが袁紹軍の人材に囲まれ、更にはこちらの手元を監視できる。

袁紹軍には潤沢な資金と兵力があるということだろう。

 

「それで手を打とう。ただし何をするにもまず俺を通してからにしてもらうよ。」

 

「わかりました。北郷殿の意思のままに。」

 

「ありがとうございます。北郷さん!!」

 

「アタイとあんたが手を組めば最強だぜ!」

 

「よろしく。」




9/1に恋姫 蒼天の覇王の発売に合わせて田豊の口調を変えました!
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