袁家を支える御遣い   作:久遠寺バター

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今回は短めになってしまいました……
もっと更新速度を速めて行けるように尽力いたします。


北郷流は一撃必殺の剣技

一騎討ち…

その単語を聞いてか聞かずか

周りの敵が舞台を準備するかのように俺と張遼の周りを空ける。

舞台は整った。最早、逃げ場はない。

 

「まさか神風、北郷一刀と戦えるなんてなー。ウチはついとるわー。」

 

噂が広がっている所為で変な尾ひれがついているみたいだ。

何だ神風って…

意気揚々で薙刀を構える張遼。

その瞳は真っ直ぐ俺を捉えていた。

 

「張遼!一騎討ちを受けてくれてありがとう。だが、次の一手の為に君を捕縛させてもらう!」

 

「ええで!ウチに勝てたらの話やけどな!!!」

 

ダッ!!

 

張遼は掛け声と共に駆け出した。

向こうより少し遅い速度でこちらも走り出す。

 

ガキン!!

 

すれ違う瞬間、一刀と張遼の間に光が走った。

そして、すぐさま張遼の連撃が繰り出される。薙刀と思えない速さの斬撃、そして素早い足捌き。

刀を抜かずに攻撃を捌くのが手一杯で、なかなか隙を見つけられない。

やはり、音に聴く遼来々、紺碧の張旗の通り名は伊達ではない。

 

 

「うら!うら!どないした!手も足もでぇへんのか?」

 

「本当、流石だよ張文遠。」

 

恐らく向こうも本気を出してはおらず、相手の力量を測る小手調べってところだろう。

全力の張遼を打ち倒さなければ捕縛は困難。

しかし、そんな力俺にあるのか不安なところだ。

 

ガンッ!ガンッ!ガンッ!キンッ!!

 

わざと得物と得物をぶつけて距離を取る。

さて、やってみるかな。

 

「小手調べは済んだだろ?本気を出さないと後悔する事になる。」

 

「最高に面白くなってきたのに本気出さないわけないやろ!!」

 

張遼は笑みを浮かべ得物を構える。

武官に多い性格だな、戦うのが楽しいというか戦闘狂に近い。

俺の居た世界ではまず、生きてはいけない人種だろうな…

 

「全力で来い!!貴殿の全力俺が受け止めてみせよう!」

 

張遼の攻撃を捌き、全力を防ぎきったのちにこちらの一撃を打ち込む。

このやり方が一番戦意を削げるはずだ。

 

剣術の流派。北郷流は「刀は人を斬る為の道具である」という事を初めに学ぶ、ある意味時代錯誤な流派である。

が、それ故に刀を手足のように扱えるようになれたと言えるだろう。

抜刀術を扱う人間はその速さを知っている。

それを目で追える人間が敵の斬撃を目で追うことはそう難しい事ではない。

 

「行くでー!!はぁああああっ!!!!」

 

ザンッ!ザンッ!ガンッ!ガンッ!

 

早い、避けたと思ったらすぐに次の斬撃がくる。目で終える事が出来ても実際に身体を動かすのは難しい。

持っている得物でなんとか捌けるぐらいだ。

 

ザンッ!ブンッ!ザンッ!

 

ん?なんか攻撃が大振りになったような気がする。俺の攻撃を誘っているのか、それとも……

 

「少し隙を作りすぎじゃないか?」

 

「あのままやったらウチが勝ってしまうやろ?あんたの本気を見てからにしょうと思っただけや。」

 

やはり誘っていたか。

なら、お言葉に甘えるとしますか。

 

「なら…その言葉に甘えよう。」

 

俺は刀を構え静かに目を閉じる。

一撃で決めなければ勝機は無い。

ならば、確実に仕留められる好機を待たなければなら無い。

 

「なんや、えらい変わった構えやなー。得物も抜かずにどう戦うんや?」

 

「………」

 

「無視かいな。ほんじゃ、期待はずれじゃ無いことを願っとるで!!」

 

張遼が駆け出した。

まだだ、まだ、足りない。

張遼は薙刀のやや前の方を持っている。本来の攻撃範囲より狭くはあるがその分速く攻撃を繰り出してくる。その間と時を見誤ってはならない…集中しろ…北郷一刀。

 

「その首ーー!貰うたで!!!!」

 

ザッーー!!ブンッ!!

 

 

【挿絵表示】

 

 

砂地を踏みしめる音と風を斬る薙刀の音が聞こえる。

この間合い、今だ!!

 

シュッ!!ドスッ!!

 

「カハッ!!」

 

ドサッ…

 

攻撃を地面スレスレまで屈んで避け

その低い位置から胴への峰打。

アラバの1.2本はいっただろう…

 

「痛たた…もろに喰らってもうたわー」

 

「その怪我では全力は出せないだろ?」

 

「うちも舐められたもんやなー。こっちは真剣でやってるのに北郷は峰打やからなー」

 

こちらとしては捕虜にする為に峰打にしたがそれはこちらの都合…

武人としては峰打は屈辱に感じるのかもしれない。

 

「ごめん…でも、君に怪我させては今後の計画に支障が出てしまうから峰打にするしかなかったんだ。」

 

我ながら言い訳が多い人間だと思う。

情けないが今は言い訳と言い回しで計画を着実に遂行していくしかない。

 

「ええで、負けは負けや。真剣だったらうちは死んでたってことぐらいはわかるわ…」

 

「ごめん…でも、ありがとう。」

 

張遼は静かに縄についた。

この戦う理由が無くなった張遼軍は武器を捨て投降してきた。

張遼の捕虜と兵の投降によりこちらの戦闘は終わりを迎えた。負傷兵を下がらせ引き続き、凪、真桜、沙和に劉備軍の混戦には参加するなと注意をして劉備たちの救援に向かわせた。

 

俺は張遼を連れて天幕へと入り彼女縄を解いた。

 

「なんや?殺さへんのか?」

 

「生き恥を晒すぐらいなら殺してほしいって事か?」

 

ある小説で武人らしく死のうと考えていた張遼を曹操が説得した話を思い出した。

張遼は根っからの武人で求道者だったと書かれていたんだっけな…

 

「そうや…。部下にも月にも会わせる顔がないわー」

 

「恥じて死ぬより、生きて彼女を救う道を選びたくは無いか?」

 

俺がそう言うと張遼は、俺をまじまじと見て、こう言った。

 

「そんな事できるんかいな?」

 

「今のところは五分五分だな。問題が多すぎてね…でも五分は可能性があるって事だ。」

 

張遼以外にあの呂布と虎牢関を突破し、董卓を説得し董卓を偽造しなければならない。

口で言う計画は簡単だが、その実行にはあらゆる思惑と要因、第三者の介入が不確定要素としてある。

それゆえ、董卓軍の敵将を全てこちらで捕縛し董卓に関する情報を漏らさずにそのまま吸収する必要があるのだ。

 

「計画を聞いてからでも遅うないやろ?」

 

「もちろんだ。君の役割は極めて重要だからね。」

 

俺は張遼に計画の全容を説明した。

全てを明かしてはいないが俺たちの行動の目的をわかりやすく話したつもりだ。

聴き終えると張遼はあぐらをかいて座りしばらく黙り、考えがまとまったのか答えをくれた。

 

「その話乗ったる。うちは、あんたにかけてみたくなったわ。」

 

「ありがとう、必ず成功させよう。」

 

握手を交わして気づいたがかなり際どい格好をしているんだな。

意識したら急に恥ずかしくなってきた。

 

「んーなんや?一刀はスケベやなー。」

 

「い、いや、そんなことないぞ。」

 

「今さら取り繕っても遅いで?一刀なら悪い気はせーへんからええで。」

 

え?それってどういう事?

悪い気はしない→嫌いではない→好き!?

そ、そんなわけないよな?

会ったばっかだし何もしてないし。

 

「なんや悩んどるみたいやけど、要はうちは一刀が気に入ったって言う事や!」

 

我ながら勘違いの仕方がキモかったと思う。なんだよ好きって、自意識過剰すぎるだろ俺…

 

「ありがとう。これこらよろしく、張遼。」

 

「ちゃうで、うちの真名は霞やで。」

 

今までの経験上、真名を預ける女に再確認するのは覚悟を疑うみたいに感じられるので、素直に預かることにした。

 

「ありがとう、霞。」

 

「なんや一刀に呼ばれると照れるわー。。。」

 

張遼は一刀の配下に入る事を承諾した。華雄は捕縛できず、部下と逃走してしまったようだ…

追跡は後ほどやるとして、今は次なる脅威、呂布に対しての策を講じなければならない。

 

 

戦いが終わって劉備達と今後の動きについて話していると袁紹のところから伝令が来た。

この後すぐに、また軍議召集がかかったらしい。

おそらく汜水関での戦いの功績を褒めて欲しいんだろう…

こんなのを総大将にするのは今後は2度と無いだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様までした。
そして申し訳ありません!!
何ともうすっぺらい戦闘になってしまいました。
呂布の時はもう少し伸ばして描けるように致します!

終わりに華雄ファンの皆様、申し訳ありませんでした。
ここで華雄を捉えてしまうと在り来たり過ぎるので後半の楽しみとして逃がしました。
今後とも文法も書方もなっていない小説ですがよろしくお願いいたします!
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