「ダメじゃないのっ、いきなり5階層まで潜っただなんて! 1人じゃないからって油断しちゃだめ。いつも言ってるでしょ。『冒険者は冒険しちゃダメだ』って!」
絶賛エイナさんの説教ナウ。
あれから落ち着いて考えてみるとお兄ちゃんと一緒になって逃げなくても私が戦って倒せば良かったんだよね。
あの時はつい逃げちゃったけど……やっぱり世界最強にはまだまだ程遠い、かぁ。
「はい……すいません……」
「とにかく無事でよかった。これからは気をつけるんだよ?」
「はい!」
「それで、さっきから何も反応がないけどルートちゃんは聞いているのかな?」
「……」
もっともっと戦って強くならないとっ!
「る、ルート!」
「わっ、な、なに?」
「なに? じゃなくて、人の話はちゃんと聞こうねルートちゃん?」
「ヒィッ」
エ、エイナさん笑ってるけど、目は全然わらってない! 怖いぃっ。
「ご、ごめんなさい……」
「はあ、さっきも言ったけど、ちゃんと気をつけるんだよ?」
「はい……」
「あ、あの〜、それで、アイズさんの情報、何ですが……」
「なに? もしかしてベル君、助けてくれたヴァレンシュタイン氏のこと好きになっちゃった?」
「はい!」
やっぱりお兄ちゃん惚れてたかー。
「でも、私もあまり詳しいことは知らないわよ? アイズ・ヴァレンシュタイン。ロキ・ファミリア所属、現在のレベルは5。剣の腕はオラリオでも一、二を争うとされ、神々から授かった称号は剣の姫、剣姫」
「そのくらいは僕でも知ってます。そうじゃなくて、趣味とか、好きな食べ物とか、あと、その……」
「特定の相手がいるのか、とか?」
「そ、そうです!」
「うーん、今までそういう話は聞いたことないな」
「ほ、本当ですか? やったー!」
「あれ、でもさ、お兄ちゃん」
「ん、なに?」
「所属ファミリアが違うと付き合ったりとか、結婚したりとかできないんじゃないの?」
「あ」
「じゃ、神様のところに帰ろっか」
「うぅ」
「元気だしなよ」
「……ベル君」
「はい?」
「女の人って強い人に惹かれるからさ、これから頑張って強くなればいいよ」
「っはい! ありがとうございますエイナさん! 大好きー!」
「えぇ?!」
「あぁ、いっちゃった……」
今日だけでも3回お兄ちゃんに置いてかれてる。私って影薄いのかな?
「あの、エイナさん」
「なに?」
「ありがとうございます。いろいろと。私も、エイナさんのこと大好きですよ」
そう言って私はエイナさんに向かって微笑んだ。すると、エイナさんの頬がほんのりと赤く染まった。
「っ、も、もう! お姉さんをからかわないの!」
「ふふ、からかってんなないですよ。……それじゃ、また」
「うん。………………不覚にも12歳の少女にときめくなんて。でも、あれは仕方ないわよね。だって全然12歳に見えないんだもの。中身は子供だけど、たまに見せる大人の顔が………………」
「おーい、エイナー。大丈夫ー?」
「ブツブツ」
「こりゃダメだ」