~鬼滅の刃~転生鬼断譚   作:天龍寺

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第7話 「生炎」

 

~上階~

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな、さい、ご……めんな…………さ…………。」

 

2体目の鬼も斬った。

 

最後の表情は、鬼に有るまじき、後悔の念を抱きながら号泣している、うら若き女性であった。

 

この鬼も、もしかしたら、鬼に狂わされた被害者だったのやも……。

 

死体の化け物も、メイドの鬼を斬った時、ただの仏に戻れた様だ……。

 

せめて、この亡骸だけでも仏の元に還れますよう……。

 

南無阿弥陀仏……。

 

残るは、この館の主鬼。

 

部屋の奥に、先程まで無かった新たな階段が現れた。

 

主鬼が己で対処しようと思っているのか……。

 

見くびられたものだ……。

 

「宇髄殿、助太刀助かった、礼をいう。」

 

「なあに、たまたま拙者が近くに居たものでござるからな!いい運動になり申した!しかし、やはり肩が凝り申すな……。鬼に勝てても、歳には勝てぬでごさるな!はっはっは!」

 

何を言うか、先程の動きは現役と変わらなかった。

 

「はっはっは!それだけ元気ならばまだまだ現役でしょう…………。残すは後一体、リュウのこともある……。急がねばならんが……。」

 

メイドの鬼を倒したとはいえ、鬼の毒霧を吸い込んだのだ、無事かどうわからん。

 

駆けつけたい気持ちもあるが……。

 

やはり、入って来た扉は鍵が掛かっていた。

 

「やはり一方通行か……。」

 

「なるほど、この屋敷はカラクリ屋敷でござったか……。ですが煉獄殿、旅龍殿のことならば、手練の援軍を送り申した。恐らく大丈夫でござろう。拙者達は急ぎ、この館の主を斬りましょうぞ!」

 

おお!良かった!援軍は宇隨殿だけではなかったか!

 

「承知!宇隨殿、急ぎましょう!」

 

それでも猶予は残されていないだろう。

 

そういって、新たな階段を登り始めた。

 

 

~下階、錆兎~

 

俺は急ぎリュウに駆け寄った。

 

だが。

 

「グルル!グアアアア!」

 

「リュウ!?どうした!正気にもどれ!」

 

リュウはひどく暴れていた。

 

いや、被害者達には傷一つ負わせることなく、的確に鬼の首を落としていた。

 

だが様子がおかしい。

 

言葉は獣のような唸り声をあげていて、目は爬虫類のように鋭くなっている。

 

そして、何故か隊服から漏れる様に背中が光っているのだ。

 

まさか鬼に!?

 

いや、リュウから鬼の気配はしない!

 

むしろ、どこか神聖な気配すらある……。

 

俺が鱗滝先生の元で、あの山で感じていた大自然の神々の様に。

 

どういうことだ?

 

俺はリュウと鬼の間に無理やり割って入り、鬼の首を跳ねる。

 

だが他の鬼が湧き出す。

 

まるで霞を切っているようだ。

 

「リュウ!しっかりしろ!俺だ!」

 

「こっちもふえた!なんで?なんで?なん」

 

斬!

 

鬼は出現した端からリュウに斬られている。

 

俺が手を下すまでもなく。

 

とんでもない技量だ。

 

部屋の隅に出現したとしても、瞬間移動したかのように鬼に迫り、首を斬っている。

 

援軍の知らせからだいぶ時間も立つ。

 

今まで、ずっとこれを続けていたのか!?

 

「なんで!?なんで!?なんで!?なん…………で…………。」

 

鬼の出現が止まった!?

 

これだけここに居た鬼を斬っていたのだ、ここには先程の鬼の本体は居ないはず……。

 

もしや上階に本体が……。

 

それを炎柱様や援軍で一緒に来た隠が倒したのか?

 

すかさずリュウの肩を掴み揺らす。

 

リュウの刀は俺には振られない。

 

「リュウ!!鬼は消えた!俺だ!錆兎だ!しっかりしろ!」

 

「グルァ?サ、サビ、ト?さびと、錆兎じゃねーか!?元気してた……か?あれ?力が……。」

 

ガラン!

 

リュウが刀を落とす。

 

よくもこの長い間、こんな超重量刀を振り回していた事だ。

 

「おっと!やっと正気にもどったか!?大丈夫か?」

 

リュウは、正気に戻った瞬間脱力したみたいだ。

 

とつさに捕まえたが、その場に座り込んでしまった。

 

リュウの目も背中の光も、元に戻った。

 

どういうことだったんだ?

 

「はぁ、はぁ、あれ?いつの間に鬼が消えたんだ?てか、さっきまでの記憶が曖昧なんだが……。」

 

ふむ、やはり意識はあまり無いまま鬼を斬っていたのか……。

 

無茶しやがる。

 

 

「鬼はさっき消えた。恐らく、上階で分身の本体を斬ったのかもしれん。取り敢えずは安全な様だ……。それよりこれを飲め、血鬼術用の解毒薬だ。」

 

「ああそうか……。俺はマスクを取られて……。そういえば霧と触手が消えたな。すまんありがとう、ごっくん。」

 

最近新たに蝶屋敷と隊家医院(零華が新設した隊士家族用医院)協力の元作られた、即効性の対血鬼術用の薬だ。

 

効果があるはずだ。

 

「お前、ここに入ってからずっと無限に鬼を潰していたのだろう?いまは休め。」

 

「そうだな、つかれ…………。すまん、そうもいってられん。やつが……来る。」

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

「な!?」

 

バチン!

 

地揺れと共に屋敷の光が消えた!?

 

なにがおこった!?

 

グワン!

 

!?光どころか場所がかわった!?

 

 

~上階~

 

何処までも続く階段。

 

その終点に二人はたどり着いた。

 

「ふぅ、かなり長かったな。いつの間にやら霧も消えた。一旦はこの覆面は外そう。」

 

「そう、でござるな……。ふぅ。やはり体力の衰えは感じるでござる……。ここが最後でござるかな?」

 

今まで通った扉の二倍はある大扉がそこにはあった。

 

「ここが最後である事を祈るばかりだ。早くこの任務を終えるとしよう。では、開けるぞ。」

 

その扉をくぐる。

 

中はまるで王族かと言うような豪華な装飾を施された室内。

 

その奥の玉座に主はいた。

 

「ちっ、使えねぇやつらだ。昔のよしみで住まわせてやったものを……。よく来やがったな、俺の屋敷へ、楽しんでいただけたかな?」

 

まるで西洋貴族のような服装。

 

茶髪で、ホウキあたまの青年と言った風貌の男が出迎えた。

 

だがこいつ

 

鬼である。

 

しかもその瞳には

 

下弦の参と……。

 

名を邪館(じゃかん)

という。

 

「お前がこの館の血鬼術の主だな。」

 

「あぁそうさ、名は邪館と言う。以後お見知り置きを……。いい館だろ?本当は綺麗な寝室や風呂もあるんだが……。オメーらがきちまったからなぁ、全部階段にしちまった。」

 

この鬼の血鬼術は、この屋敷を自由に作り替えることが出来る。

 

だが、増やす事は出来ない為、他の部屋を全て階段に作り替えたそうだ。

 

「御託はいい、首を差し出せ。さすれば、多少は良い来世に行けるかも知れんな。」

 

「いぃぜ?切ってみな?どうなるか知らんがな?はっは!」

 

「舐めた口を……。炎の呼吸、壱の型、不知火!」

 

爆発的な踏み込みで近づき、首を狙う。

 

斬!

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

鬼の首が墜ちる。

 

と同時に地震がおきる。

 

「はははは!きりやがった!残念だったなぁ!これは分身だ!俺の体はこの屋敷自体!だがこの首はスイッチだ!全ての血鬼術を俺本体に納めるな!!」

 

光が消える。

 

光が戻った頃には。

 

 

『床が無かった。』

 

 

 

~下階~

 

光が戻ると、先ほどまで洋館の一室だった空間が、ただ広い、白い空間になっていた。

 

だが人の配置は変わっていない。

 

リュウの隣に錆兎が。

 

その少し後ろにカナエと被害者達が寝かされている。

(カナエが眠らせた。)

 

そして、上空に。

 

「うお?!おおおお!!!!?」

 

「おおおお!?おおおおーでござるー!!!?」

 

「!?やべぇ!?おじさん達が降ってきた!」

 

「はぁ?はーーぁあ!!?」

 

「え!な、何事ですか!?」

 

ものすごい勢いで落ちてくる二人。

 

このままでは、さすがの現柱と元柱の忍びでも、落下死してしまう高さだ!

 

「錆兎!ヤバい!技!いいな!」

 

「ちょっ!?わかった!」

 

「私も手伝う!」

 

「「助かる!」」

 

三人は最低限の意思疎通を行い、おじさん二人の落下ポイントへ行き、刀を峰にして構える。

 

やる事はひとつ。

 

おじさん二人の落下ダメージを減らす為だ。

 

「花の呼吸!弐の型!御影梅!」

 

「水の呼吸!陸の型!ねじれ渦!」

 

「天の呼吸!伍の型!天孫昇逝!」

 

説明しよう!

 

伍の型、天孫昇逝(てんそんしょうせい)とは!

 

刀の遠心力と、体のねじれを駆使し、地面すれすれを通して、空へとカチアゲる!

 

切り上げ技である!

 

今回は切り上げの最におこる風圧を利用しているのである!

 

そして上空のおじさん二人は!

 

「炎の呼吸!弐の型!登り炎天!」

 

「静の呼吸!弐の型!静寂天荒!」

 

説明しよう!弐の型、静寂天荒(せいじゃくてんこう)とは!

 

飛び上がった最に、まるで芝を刈るかのごとく、下方向へ多数の斬撃を加える技である!

 

着地の瞬間、全員が技を放ち、衝撃を和らげる。

 

ドサァ!×2

 

「間に合ったか!?」

 

「炎柱様!隠殿!」

 

「あわわ!大丈夫ですか?!」

 

落下した二人に三人は駆け寄る。

 

「あたたたた……、うむ、どうやら骨は折れて無いようだ……、宇隨殿は?」

 

「いたた……、流石にあの高さから落ちた事はないでござるなぁ、まあ、大丈夫のようでござる。」

 

さすがは現柱と元柱の忍び。

 

何とか重症を負わず着地出来たようだ。

 

「だ、大丈夫ならいいです。それより、放出していた血鬼術を体内に戻したメイン……主の鬼が近いです!恐らく下弦、その上位でしょう!」

(嘘でしょ?6階建てのマンションの屋上ぐらいの距離から落ちたのにほぼ無傷?化けもんかこの人ら……。)

 

リュウはそう思いながらも、警戒を解かず、気配のする方向に向く。

 

そして。

 

空間の奥から巨大な人形が近づいてくる。

 

体長は7mほど、ムキムキで腰に布きれをまいている。

 

そして手には棘付き金棒が握られていて、頭には長々と角が生えている。

 

その姿は、まさに、原始的な【大鬼】だった。

 

「はっはっは!さっきはよくも首を斬ってくれたなぁ!これからは俺がおもてなしだぁ!!しね!!」

 

かなり遠くで大鬼が縦に金棒を振り、地面に当たる。

 

当たった瞬間、衝撃波が真っ直ぐこちらへ向かってくる。

 

この馬車屋敷、最後の戦いが始まる。

 

 

今日の明治こそこそばなし!

 

リュウが守った被害達は、リュウ達が来なければメイド鬼に殺されていたんだ!

 

原作(独自設定)では、どちらにせよ、殺されちゃうんだけど、今回は援軍がきたから、ちゃんと助かったんだ!

 

よかったね!

 

 

次回第8話

 

烈炎の咆哮

 

そして下弦の鬼との戦いの幕が降りる。

 

 

 




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