~狭霧山~
【狭霧山】
そこは日本でも珍しい、息がしづら い程、標高の高い、断層山地の山。
そんな狭霧山にも数多くの鍛錬場所がある。
まずは中腹の、リュウと錆兎が試合を行った、中腹広場。
そこから少し離れた所に流れる、流れが早く深い清流、狭霧川。
狭霧川の上流にあり、時折漁師も訪れる滝、狭霧の滝。
山頂の狭霧山の山神を祀った、狭霧神社。
神社の裏手から、麓の鱗滝邸に繋がる、原作炭治郎が罠をくぐり抜けながら駆け下りた、修行山道。
その脇道に件の岩があった。
後に炭治郎が斬る事になる、一番大きいしめ縄が張られた岩の周りにも、似たような岩が点在し、鱗滝左近次に入弟した者達は、最終選別前に、その岩々を切るのがお約束となっている。
その、一つの岩の前で、大太刀型の木刀を持った背の高い少年と、身長に合わせた、少し短い木刀を持ったまだ幼い少女が相対し、少し離れた所で倒木に腰をかけている、少年がそれを見守っている。
「基本、呼吸ってもんは、肺に空気を出し入れするって事なんやけど、この空気の中にも、体を動かすために必要な酸素って言う空気が含まれとって、その酸素をいかに効率よく、沢山身体に入れるかで、俺らの呼吸の力は左右される。」
「じゃあ、沢山吸い込めば吸い込むほど力が出るって事?」
「おう、それも方法の一つや。一度に吸える量は肺の大きさとか、筋肉量で変わってくる。やから、空気の薄い山で理屈を抜きにしながらでも、自然と肺を鍛える事が出来る環境にある。」
「…死ぬほど鍛えるって事はわかってたけど、肺って鍛えれるんだ…。」
「そやな、鱗滝さんの修行は説明が少ないかもしれんが、かなり考えられた修行法を採用しとるみたいや。やけど、岩を斬れるほど、もう一段上に上がるなら、沢山の酸素をずっと同じ量で取り込まなあかん。」
「もっと酸素を取り込む……でもどうやって?」
「要するに、息が上がろうが、苦しかろうが、必ず空気を肺に入っている事が重要ってことで……。体が動かんくなるまで組手や!!」
「!?」
まいど!
天龍寺 旅龍こと、リュウです!
今日は炭治郎修行の聖地、狭霧山に来ております!
まぁ、さっき錆兎と試合したんも、狭霧山の中腹広場やったんやけど。
その後、鱗滝さんに、俺と爺さんの天の呼吸に、どんな違いがあるかとか、アドバイスを貰ったりしたぜ
結論から言うと、全盛期の爺さんには少し届いていないらしい。
まぁそらそうやろなぁ。
爺さんに勝った時やって、だいぶハンデあったし、それが五体満足で殺す気でこられたらと思うと…。
ガクブル。
やけど、技の完成度的にはほぼ近いらしい。
あとは、実践経験値を積めば、じきに追い越せると言われました。
俺は追い越せる気がしないがなー。
その後、真菰ちゃんに呼吸についてレクチャーしてくれとお願いされたから、狭霧山を案内してもらいながら、場所をあの岩がある場所に移して来たわけや。
狭霧山、あんま広くないのに、標高は高ぇから、修行には持ってこいやな。
聖地巡礼出来た、嬉しかったぜ。
さて、呼吸は各派色々修行法があるらしいけど、一番基本的な事は変わらん。
それに、岩を斬るためには、呼吸を完全に機能させながら、一番無駄のない、最小限の力で刀を振らんと斬れん。
やから、それをするためには、原作炭治郎がやったように、クタクタになるまで体を動かしながら呼吸を持続させ、一番脱力した状態にする。
という事で組手や!!
真菰ちゃんとの組手で、俺は呼吸の技は使わず、クリーンヒットさせないように、じわじわ削る動きをする。
何気に手加減しながらの組手は俺も初めてやから、俺も勉強になるぜ!
ちなみに仮想敵として、俺は手鬼のスピードで組手しとります。
ズババババ!
大太刀でランダムな遠距離突きを放つ!
「避けるにしても、一番危険な攻撃だけ凌がんと持たんぞ!!」
「!?はい!」
「ほう…、リュウのあの動き、俺達が選別で戦った鬼に寄せているな…。なるほど、確かに、良い仮想敵だ。」
おう、やっぱ錆兎には分かるか。
まるで槍の如く遠い間合いでも、大太刀なら当たる。
真菰ちゃんはこれを凌いで、真菰ちゃんの間合いに俺を入れんといかん。
そう、これが手鬼の手をモチーフにした連続突きなのは、錆兎なら分かるやろ。
何気にあの手鬼、チュートリアルボスにしては結構優秀やからな。
手数がある遠距離での避け方。
近距離でのパワーの凌ぎ方。
普通の刃が通らないガードの貫通させ方。
強い鬼ほど、似たような対処が必要やな。
あん時、錆兎は遠距離、近距離の対処は出来たが、ガードを貫通させる方法がなかった。
俺にもあの手数はしのげたやろうが、錆兎程ではなかった。
やけど手鬼の首を落とす力はあったから、上手くいったわけや。
あの鬼は手鬼先生として俺が語り継ぐか。
ええ声しとったしな!
ってことで!
ズガン!
不意に近づいてきた真菰に強力な横薙ぎを当てる。
「きゃっ!!」
「近距離では自分も相手も一番威力のある攻撃ができる!しかも、今のように、強力な攻撃は、ただガードするだけやと、吹っ飛ばされたり、武器が破損したり、そのせいで隙ができて危険になる!やけど鬼の威力のある攻撃は直線的になっとることが多いから、ちゃんといなす事が重要や!」
「!?なるほど、まともに防御すれば、痛い目に合うのか…。もう一度!!」
さて、仕切り直し!
~数十分後~
「ハァ、ハァ、ハァ。」
「そろそろ息が乱れて来たな、今でこそ、呼吸に集中するんや!」
「ハァ、ハァ………。ふぅー…。スゥー、はぁっ!」
バキン!
「お?」
「!?」
ヨシ!仕切り直からここまでよく頑張った!
真菰ちゃんの一撃が俺の木刀を砕いたぜ!
やっぱこの子飲み込み早いわ。
原作炭治郎に教えてただけあるな~。
「真菰ちゃん!よくやった!今の感覚や!今の脱力感、今の呼吸、それが一番必要最低限の力であり、最強の攻撃や!」
「くっ、ハァハァ…な、なるほど…。必要最低限って…ハァハァ、ここまで他の力を抜かないと…ハァハァ、いけないのですね…。」
めちゃくちゃ疲れてそうやけど、これって鍛錬なんよね…。
俺の木刀が砕けたって事は、岩を斬るのも、このまま感覚を覚えていけば、いつかはいけるはず。
「そう、全ての武術に共通する事でもあるんけど、何処かが力むと、伝えたい力がそこで切れる。やから、こうして無理やり脱力させることで、その感覚を覚えるって荒業や。」
「あ、荒業って事…ハァハァ…は、もっと楽にする方法が、あるって…事ですか?」
「おう!あるぞ!くっそ時間かかるけどな!」
実際、多くの武術は段階を踏んで、型鍛錬を繰り返しながら少しずつ余計な力みを取っていく。
そうやって覚えるのは、構造を理解できている師匠と、長い時間が必要やから、1年や2年では足らん。
鬼殺隊は、即戦力が必要やから、多少荒くても、早く体で覚える鍛錬を採用してるみたいや。
「そっか……ふぅー。これが一番近道なんですね…。わかりました…。」
「大丈夫!あの感覚がわかったのなら、じきにこの岩も斬れるようになるぞ!お疲れさん!」
「そうですね、忘れないよう、鍛錬をつづけま…。」
パタ。
「あれ?脚に力が…。」
ありゃー。
流石にやりすぎたか?しゃーないな…。
「すまんかったな。ほれ、おぶされ。」
「えっ、あっはい。あ、ありがとうございます。」
おお、さすがは女の子、軽い軽い。
やけど、もうちょい食わんと筋肉つかんぞ~。
「リュウ、お前の指導、なかなか良かった。何気に理屈もしっかり理解しているようだしな。俺も、選別前に知っていれば……。いや、これからでも間に合うか…。」
「なんか知らんけど、まぁ、参考になったら良かったぜ。お前なら、氷の呼吸をものにできらぁ。」
俺は真菰ちゃんを背負いながら、錆兎がなんか神妙にしとるのを横目に、罠罠アスレ山道を下っていくのであった!
すたたたた!ヒョイ!ヒョイ!
「ヒャッハー!!真菰ちゃん背負いながら、丸太罠避けながら!走るのは気持ちいーぜー!」
「おいリュウ待て!真菰が怯えているだろ!」
「ぎゃー!?はやいはやい!?あぶなあ!?」
「お前、あれだけ動いたのに元気だな……。流石歴代最強の弟子……。」
罠アスレ、楽しかったです。
~鱗滝邸~
それから数時間。
ヘトヘトでヘニョヘニョになった真菰ちゃんを部屋に寝かせて、翌日に響かんようにマッサージとアイシングを行なう。
マッサージも爺さん直伝!
不思議やけど、これで筋肉痛は起こるけど、何故か直ぐに動けるようになる!
天の呼吸指南書に書いとったらしい。
俗に言う活法というやつですなぁ~。
実際真菰ちゃんもマッサージ後直ぐに動けてたぜ!
いやらしい事はせんよ?
鱗滝さんにはアイシングの説明会をしといた。
今後試してみるそうや。
そんなこんなで昼飯として、おにぎりと漬物、味噌汁を四人で食べました。
さぁそろそろか…。
「錆兎、真菰ちゃん、鱗滝さん、そろそろ、おいとまします。」
「リュウ、任務があるのか?」
「あぁ、正式なもんや無いんやけど、届けなあかんもんがあってな…。」
そう、鱗滝さんに渡した爺さんの遺言状、他の人にもあるわけで。
次の人のとこに行こうと思っとる次第です。
そう言って荷物をまとめ、玄関を出る。
なんかさみしーな。
「リュウさん、もう行くの?もう少し、見ていて欲しかったんだけど。」
「真菰、リュウも忙し身だ、控えなさい。だがリュウ、真菰の鍛錬助かった。」
「そうか……、俺も呼吸の完成まで見届けて欲しかったが……、だが任務でまた組む事もあるだろう、その時にな。」
なんや錆兎寂しんか?大丈夫!今生の別れにはならんさ…。
「そうやな、次会った時、追い越されてへんように頑張るわ。真菰ちゃんすまんなぁ、やけど次会う時は同じ隊士として会おう!期待しとるぞ!鱗滝さん、お世話になりました。爺さんの話、嬉しかったです。また何かあった時はご一報ください。」
短い間やったけど、収穫は色々あった。
爺さんの話は特にな…。
次会う時は真菰ちゃんは隊士として。
錆兎は完成した氷の呼吸使いとして。
そして、鱗滝さんとは…。
炭治郎の師匠として…。
「リュウ、餞別だ。過去、無上殿の為に彫った龍の面だ、引退する前に渡したかったが、渡しそびれていた。邪魔でなければ、お前が使ってくれ。」
「!?え?ええんですか!ありがとうございます!うぉ!すんげぇ!かっけっー!爺さんの墓前で自慢しときますよ!」
まだまだやる事、やらなあかん事は山ほどある。
「カァー!カァー!リュウの目的地までの動線に鬼の情報あり!速やかに迎え!!」
おおいまじか…。
「忙しくなったようだな。ご武運を祈る。」
「ありがとうございました。それではまた。」
さぁ!任務や!
次はどんな人と会うかなぁ!
明治こそこそ話!
真菰ちゃんは数日後、見事岩を斬る事に成功したよ!
錆兎も氷の呼吸が完成して新たな任務に向かったんだ!
2人とも、原作より強くなったね!
やったね!
次回4話
暴風怒濤
荒れ狂う暴風、荒れ狂う環境。
そんな中で出会った、新たな出会いは、穏やかな訳もなく…。
お読みいただきありがとうございました。
お手軽感想アンケート
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読みやすかった!
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読みにくかった!
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面白かった!
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あんましやった!
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続けて頑張れ!
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早く原作開始して欲しい!
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もっとオリジナルエピがあっても良い!
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