~鬼滅の刃~転生鬼断譚   作:天龍寺

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第3話「行雲流水」

 

~狭霧山~

 

【狭霧山】

 

そこは日本でも珍しい、息がしづら い程、標高の高い、断層山地の山。

 

そんな狭霧山にも数多くの鍛錬場所がある。

 

まずは中腹の、リュウと錆兎が試合を行った、中腹広場。

 

そこから少し離れた所に流れる、流れが早く深い清流、狭霧川。

 

狭霧川の上流にあり、時折漁師も訪れる滝、狭霧の滝。

 

山頂の狭霧山の山神を祀った、狭霧神社。

 

神社の裏手から、麓の鱗滝邸に繋がる、原作炭治郎が罠をくぐり抜けながら駆け下りた、修行山道。

 

その脇道に件の岩があった。

 

後に炭治郎が斬る事になる、一番大きいしめ縄が張られた岩の周りにも、似たような岩が点在し、鱗滝左近次に入弟した者達は、最終選別前に、その岩々を切るのがお約束となっている。

 

その、一つの岩の前で、大太刀型の木刀を持った背の高い少年と、身長に合わせた、少し短い木刀を持ったまだ幼い少女が相対し、少し離れた所で倒木に腰をかけている、少年がそれを見守っている。

 

「基本、呼吸ってもんは、肺に空気を出し入れするって事なんやけど、この空気の中にも、体を動かすために必要な酸素って言う空気が含まれとって、その酸素をいかに効率よく、沢山身体に入れるかで、俺らの呼吸の力は左右される。」

 

「じゃあ、沢山吸い込めば吸い込むほど力が出るって事?」

 

「おう、それも方法の一つや。一度に吸える量は肺の大きさとか、筋肉量で変わってくる。やから、空気の薄い山で理屈を抜きにしながらでも、自然と肺を鍛える事が出来る環境にある。」

 

「…死ぬほど鍛えるって事はわかってたけど、肺って鍛えれるんだ…。」

 

「そやな、鱗滝さんの修行は説明が少ないかもしれんが、かなり考えられた修行法を採用しとるみたいや。やけど、岩を斬れるほど、もう一段上に上がるなら、沢山の酸素をずっと同じ量で取り込まなあかん。」

 

「もっと酸素を取り込む……でもどうやって?」

 

「要するに、息が上がろうが、苦しかろうが、必ず空気を肺に入っている事が重要ってことで……。体が動かんくなるまで組手や!!」

 

「!?」

 

まいど!

 

天龍寺 旅龍こと、リュウです!

 

今日は炭治郎修行の聖地、狭霧山に来ております!

 

まぁ、さっき錆兎と試合したんも、狭霧山の中腹広場やったんやけど。

 

その後、鱗滝さんに、俺と爺さんの天の呼吸に、どんな違いがあるかとか、アドバイスを貰ったりしたぜ

 

結論から言うと、全盛期の爺さんには少し届いていないらしい。

 

まぁそらそうやろなぁ。

 

爺さんに勝った時やって、だいぶハンデあったし、それが五体満足で殺す気でこられたらと思うと…。

 

ガクブル。

 

やけど、技の完成度的にはほぼ近いらしい。

 

あとは、実践経験値を積めば、じきに追い越せると言われました。

 

俺は追い越せる気がしないがなー。

 

その後、真菰ちゃんに呼吸についてレクチャーしてくれとお願いされたから、狭霧山を案内してもらいながら、場所をあの岩がある場所に移して来たわけや。

 

狭霧山、あんま広くないのに、標高は高ぇから、修行には持ってこいやな。

 

聖地巡礼出来た、嬉しかったぜ。

 

さて、呼吸は各派色々修行法があるらしいけど、一番基本的な事は変わらん。

 

それに、岩を斬るためには、呼吸を完全に機能させながら、一番無駄のない、最小限の力で刀を振らんと斬れん。

 

やから、それをするためには、原作炭治郎がやったように、クタクタになるまで体を動かしながら呼吸を持続させ、一番脱力した状態にする。

 

という事で組手や!!

 

真菰ちゃんとの組手で、俺は呼吸の技は使わず、クリーンヒットさせないように、じわじわ削る動きをする。

 

何気に手加減しながらの組手は俺も初めてやから、俺も勉強になるぜ!

 

ちなみに仮想敵として、俺は手鬼のスピードで組手しとります。

 

ズババババ!

 

大太刀でランダムな遠距離突きを放つ!

 

「避けるにしても、一番危険な攻撃だけ凌がんと持たんぞ!!」

 

「!?はい!」

 

「ほう…、リュウのあの動き、俺達が選別で戦った鬼に寄せているな…。なるほど、確かに、良い仮想敵だ。」

 

おう、やっぱ錆兎には分かるか。

 

まるで槍の如く遠い間合いでも、大太刀なら当たる。

 

真菰ちゃんはこれを凌いで、真菰ちゃんの間合いに俺を入れんといかん。

 

そう、これが手鬼の手をモチーフにした連続突きなのは、錆兎なら分かるやろ。

 

何気にあの手鬼、チュートリアルボスにしては結構優秀やからな。

 

手数がある遠距離での避け方。

 

近距離でのパワーの凌ぎ方。

 

普通の刃が通らないガードの貫通させ方。

 

強い鬼ほど、似たような対処が必要やな。

 

あん時、錆兎は遠距離、近距離の対処は出来たが、ガードを貫通させる方法がなかった。

 

俺にもあの手数はしのげたやろうが、錆兎程ではなかった。

 

やけど手鬼の首を落とす力はあったから、上手くいったわけや。

 

あの鬼は手鬼先生として俺が語り継ぐか。

 

ええ声しとったしな!

 

ってことで!

 

ズガン!

 

不意に近づいてきた真菰に強力な横薙ぎを当てる。

 

「きゃっ!!」

 

「近距離では自分も相手も一番威力のある攻撃ができる!しかも、今のように、強力な攻撃は、ただガードするだけやと、吹っ飛ばされたり、武器が破損したり、そのせいで隙ができて危険になる!やけど鬼の威力のある攻撃は直線的になっとることが多いから、ちゃんといなす事が重要や!」

 

「!?なるほど、まともに防御すれば、痛い目に合うのか…。もう一度!!」

 

さて、仕切り直し!

 

 

~数十分後~

 

「ハァ、ハァ、ハァ。」

 

「そろそろ息が乱れて来たな、今でこそ、呼吸に集中するんや!」

 

「ハァ、ハァ………。ふぅー…。スゥー、はぁっ!」

 

バキン!

 

「お?」

 

「!?」

 

ヨシ!仕切り直からここまでよく頑張った!

 

真菰ちゃんの一撃が俺の木刀を砕いたぜ!

 

やっぱこの子飲み込み早いわ。

 

原作炭治郎に教えてただけあるな~。

 

「真菰ちゃん!よくやった!今の感覚や!今の脱力感、今の呼吸、それが一番必要最低限の力であり、最強の攻撃や!」

 

「くっ、ハァハァ…な、なるほど…。必要最低限って…ハァハァ、ここまで他の力を抜かないと…ハァハァ、いけないのですね…。」

 

めちゃくちゃ疲れてそうやけど、これって鍛錬なんよね…。

 

俺の木刀が砕けたって事は、岩を斬るのも、このまま感覚を覚えていけば、いつかはいけるはず。

 

「そう、全ての武術に共通する事でもあるんけど、何処かが力むと、伝えたい力がそこで切れる。やから、こうして無理やり脱力させることで、その感覚を覚えるって荒業や。」

 

「あ、荒業って事…ハァハァ…は、もっと楽にする方法が、あるって…事ですか?」

 

「おう!あるぞ!くっそ時間かかるけどな!」

 

実際、多くの武術は段階を踏んで、型鍛錬を繰り返しながら少しずつ余計な力みを取っていく。

 

そうやって覚えるのは、構造を理解できている師匠と、長い時間が必要やから、1年や2年では足らん。

 

鬼殺隊は、即戦力が必要やから、多少荒くても、早く体で覚える鍛錬を採用してるみたいや。

 

「そっか……ふぅー。これが一番近道なんですね…。わかりました…。」

 

「大丈夫!あの感覚がわかったのなら、じきにこの岩も斬れるようになるぞ!お疲れさん!」

 

「そうですね、忘れないよう、鍛錬をつづけま…。」

 

パタ。

 

「あれ?脚に力が…。」

 

ありゃー。

 

流石にやりすぎたか?しゃーないな…。

 

「すまんかったな。ほれ、おぶされ。」

 

「えっ、あっはい。あ、ありがとうございます。」

 

おお、さすがは女の子、軽い軽い。

 

やけど、もうちょい食わんと筋肉つかんぞ~。

 

「リュウ、お前の指導、なかなか良かった。何気に理屈もしっかり理解しているようだしな。俺も、選別前に知っていれば……。いや、これからでも間に合うか…。」

 

「なんか知らんけど、まぁ、参考になったら良かったぜ。お前なら、氷の呼吸をものにできらぁ。」

 

俺は真菰ちゃんを背負いながら、錆兎がなんか神妙にしとるのを横目に、罠罠アスレ山道を下っていくのであった!

 

すたたたた!ヒョイ!ヒョイ!

 

「ヒャッハー!!真菰ちゃん背負いながら、丸太罠避けながら!走るのは気持ちいーぜー!」

 

「おいリュウ待て!真菰が怯えているだろ!」

 

「ぎゃー!?はやいはやい!?あぶなあ!?」

 

「お前、あれだけ動いたのに元気だな……。流石歴代最強の弟子……。」

 

罠アスレ、楽しかったです。

 

 

~鱗滝邸~

 

それから数時間。

 

ヘトヘトでヘニョヘニョになった真菰ちゃんを部屋に寝かせて、翌日に響かんようにマッサージとアイシングを行なう。

 

マッサージも爺さん直伝!

 

不思議やけど、これで筋肉痛は起こるけど、何故か直ぐに動けるようになる!

 

天の呼吸指南書に書いとったらしい。

 

俗に言う活法というやつですなぁ~。

 

実際真菰ちゃんもマッサージ後直ぐに動けてたぜ!

 

いやらしい事はせんよ?

 

鱗滝さんにはアイシングの説明会をしといた。

 

今後試してみるそうや。

 

そんなこんなで昼飯として、おにぎりと漬物、味噌汁を四人で食べました。

 

さぁそろそろか…。

 

「錆兎、真菰ちゃん、鱗滝さん、そろそろ、おいとまします。」

 

「リュウ、任務があるのか?」

 

「あぁ、正式なもんや無いんやけど、届けなあかんもんがあってな…。」

 

そう、鱗滝さんに渡した爺さんの遺言状、他の人にもあるわけで。

 

次の人のとこに行こうと思っとる次第です。

 

そう言って荷物をまとめ、玄関を出る。

 

なんかさみしーな。

 

「リュウさん、もう行くの?もう少し、見ていて欲しかったんだけど。」

 

「真菰、リュウも忙し身だ、控えなさい。だがリュウ、真菰の鍛錬助かった。」

 

「そうか……、俺も呼吸の完成まで見届けて欲しかったが……、だが任務でまた組む事もあるだろう、その時にな。」

 

なんや錆兎寂しんか?大丈夫!今生の別れにはならんさ…。

 

「そうやな、次会った時、追い越されてへんように頑張るわ。真菰ちゃんすまんなぁ、やけど次会う時は同じ隊士として会おう!期待しとるぞ!鱗滝さん、お世話になりました。爺さんの話、嬉しかったです。また何かあった時はご一報ください。」

 

短い間やったけど、収穫は色々あった。

 

爺さんの話は特にな…。

 

次会う時は真菰ちゃんは隊士として。

 

錆兎は完成した氷の呼吸使いとして。

 

そして、鱗滝さんとは…。

 

炭治郎の師匠として…。

 

「リュウ、餞別だ。過去、無上殿の為に彫った龍の面だ、引退する前に渡したかったが、渡しそびれていた。邪魔でなければ、お前が使ってくれ。」

 

「!?え?ええんですか!ありがとうございます!うぉ!すんげぇ!かっけっー!爺さんの墓前で自慢しときますよ!」

 

まだまだやる事、やらなあかん事は山ほどある。

 

「カァー!カァー!リュウの目的地までの動線に鬼の情報あり!速やかに迎え!!」

 

おおいまじか…。

 

「忙しくなったようだな。ご武運を祈る。」

 

「ありがとうございました。それではまた。」

 

さぁ!任務や!

 

次はどんな人と会うかなぁ!

 

 

明治こそこそ話!

 

真菰ちゃんは数日後、見事岩を斬る事に成功したよ!

 

錆兎も氷の呼吸が完成して新たな任務に向かったんだ!

 

2人とも、原作より強くなったね!

 

やったね!

 

 

次回4話

 

暴風怒濤

 

荒れ狂う暴風、荒れ狂う環境。

そんな中で出会った、新たな出会いは、穏やかな訳もなく…。

 

 




お読みいただきありがとうございました。

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