~明治40年~
やあ、天龍寺旅龍こと、リュウだよ!
待望の剣術を習いはじめて早三年。
一年目はものごっつ重たい鉄の棒を持ったまま、命の危険がある
SASUKE。
だんだんコースが豪華(地獄)になりながらも、何とかこなした。
なんやねん、オイル塗りたくったそり立つ壁に落石加えるとか、目隠しクリフハンガーで途中電流流れるとか、ロープクライミング中に横から丸太が飛んでくるとか。
生きててよかった。
二年目は爺さん、師匠の剣術の型(名前は壱の型とか番号ばかりで正式名称をおしえてくれない)を、重さが倍になった鉄の棒で反復練習。
もちろんSASUKE~地獄編~も続けてる。
そんで、最近になってやっと実戦的な試合を繰り返しとります。
相手は師匠、まあ、師匠しかおらんし、そらそうやな。
師匠は片目、片腕(手首から肘までの中間から無い)、片足(太ももから下がない)が無いって言うハンデがあっても、まさに鬼神。
うそでしょ!?
義手とか義足はまだこんな時代やから、機械的なアシストもないし、左足の義足も、遠心力で動かすんやけども、平気な顔で蹴ってくる。
通りでやたら頑丈なごつい義足しとったのね。
ともかく。
あんた強すぎるやろ!
あんたもう70やろ!?
こんなことある!?
洗練された体幹と技、歯が潰された鉄の大太刀を、まるでハエ叩きを振ってるみたいビュンビュン振り回す様は恐怖でしかねぇ。
へへっ、オラ、ワクワクすっぞ。(白目)
まぁ、最近俺も出来るようになってきたんやけどな。
そんでもまだ師匠に一度も勝てた事がないけどな。
そんな師匠でも、普段は歳のためか猟にもあまり出とらんし(俺が取ってくる)、腰を下ろす時間が増えてきた。
それでも鍛練に付き合ってくれて凄いありがたい、でも無理すんな。
師匠は俺のただ一人の家族やから。
昔のことはしゃべってくれんし、今でさえ名前すら教えてくれんけど。
体の傷をみたら、過去に壮絶なことしてきたことはわかるから。
ゆっくりしてほしい、でも運動はしてね、体に悪いぞー!
そんな今日この頃、今も爺さん相手に試合でっせー今日こそ勝っつ!
~数日後~
勝った。
全力を出して、何十回もの打ち合いのあと、俺が少し態勢を崩した一瞬をついた師匠の渾身の一撃。
それを放つ瞬間を感じとり、紙一重でかわしながらの一振り。
それが師匠の脇腹をとらえた。
寸止めしたが剣圧でぶっ飛ぶ師匠。
あわてて駆け寄ったら、俺の目にうつった師匠は、超満面の笑みでした。
その日の夕飯は久々の師匠が狩ってきた獲物を使った爺さん特製味噌寄せ鍋。
これがまたうまいんだ~。
どこから持ってきたか、いまの時代じゃ入手困難な食材なんかもはいっとるし。
疲れた体にしみるぜぇ。
食べ終わったあと、師匠から話があった。
「リュウ、お前は良く頑張ってくれた。ワシはもうこの技達を伝えることなく、この山で朽ちるものだと思っていた。あの時までは……。お前を拾うあの時まで……。リュウはワシの期待通り、いや、それ以上に答えてくれた。ワシからお前に伝えることはもうない、いや無いこともないが、それはまた今度でよいだろう。ともかく、これで剣の修行は終わりだ。これからは、その技を自身で磨き、出来れば次の世代へ伝えてくれ。そしてこの大太刀をお前にやる。これはワシが生きた証明。ワシはもう使うことはないだろうからな。それでもお前には必ず必要になるはずだ。頼んだぞ。」
「師匠、いや爺さん、ありがとう。必ず、次の世代に受け継ぎます。いまの爺さんみたいに……。なんか、今生の別れみたいになってるんですけど?どう思います?爺さん。」
「くくくっ!たしかになぁ、まあ今宵は祝いだ!麓から良い酒を貰ってきた!一杯のもう!リュウものめ!」
「爺さん!俺のまだ未成年すよ!?まぁいいか、たしかここに梅酒をつけてたはず。俺はこれでいただきやすね!」
「はっは!梅酒か、まぁいい、じゃあ乾杯だ!」
「「乾杯!!」」
翌日。
爺さんの様態が急変した。
昨日の二日酔いかと思ったが、脂汗と熱が酷い。
急いで麓の町まで、爺さんを担いでこの辺では腕があると有名な医療院に駆け込んだが、爺さんは……。
癌だと診断された。
しかも末期。
触診だけでも分かるほどあちこち転移しているようだった。
俺は泣いた、盛大に泣いた。
これから二人で静かに暮らそう。
そう思ってた矢先だった。
爺さんは、そんな俺の頭を撫でながら。
「はっは!そう泣くなリュウ。ワシはもう十分生きた。諦めていた技の継承もできた。人生最後にお前に出会ってよかったと思っとる。幸せもんだ。だから、もう少しの間、頼む。」
「はい!」
爺さんは入院を拒み、山で余生を過ごすことにした。
でも不幸は縦続けに起こるもんみたいでさぁ。
爺さんが倒れて数日後。
狩った獲物を麓の村まで売りに出た帰りだった。
この頃の近状を聞いたり、買い出ししたりしていたら、いつもより時間がかかり。
気がつけば暮れ時になってしまった。
俺は爺さんが待つ家に急いだ。
やけど道中、異変に気づいた。
周りの音がしない。
そして、
爺さんの気配がおかしい。
別の気配が混ざっている気がする。
俺の心がざわついた。
荷物を放り出し全力で走った。
家に着くと扉は破られていて、血の匂いがする。
俺は家に飛び込んだ。
「爺さん!!」
そこには血まみれで、小太刀を握り閉め、倒れた老人がいた。
「爺さん!?」
爺さんに駆け寄り身体に触る。
まだ爺さんに温もりがある!
いきてる!
だが、その体には異変があった。
傷がみるみるうちに、勝手に塞がっていく。
そして、おもむろに目が開き、俺に飛び付いてきた。
「爺さん!爺さん!俺だ!わからんのか!リュウだ!あんたの家族だ!」
呼び掛けるも爺さんは正気を失ったままだ。
でもすげぇ力だ、弱ってたんじゃないのかよ!?
「爺さん!思い出してくれ!俺だよ!あの山の桜の下で、熊から俺を助けてくれたのはあんただろ!!それから赤子の俺を四苦八苦しながら育ててくれたのはあんただろ!!山で生きるすべも!剣術も!教えるのへたくそ過ぎて意味わからんかったけど、一生懸命教えてくれたのはあんただろ!!いい加減目ぇ覚ませ!クソジジー!!!」
!!爺さんの力が抜けた!
「リュウ…………糞、じじい、はひどく、ないか?」
「!?爺さん!!正気に……。」
「ぐ!あああああ!!!」
「爺さん?!!」
「ぐ、リュウ、すまん、不覚を、とった。ワシは、お前を食おう、と、している。は、は、これが、鬼になると、言うことか…………ぐぁ!!」
「爺さん!?鬼?鬼ってまさか!」
「リュウ、おれは、この、誘惑から、逃れそうに、ない。すまんが、あの太刀を、持て。」
「太刀!?爺さんがくれた大太刀か!?、ある、ここにあるぞ!」
「そう、か、リュウ、お前に、たのみが、ある。」
「頼み!?それどころじゃ。」
「たの、む、あまり、持た、ない、ぐっ!奥の、棚の、底、に、俺の……、遺書……ぐっ!……があ、る。」
「遺書!?そんなもんはいらん!絶対にたすけ……。」
「き、け。」
「!?」
「そこ、におれ、のことが、すべ、て、かいてあ、るぐっ!それ、の、しじ、に……。」
「…………。」
「それ、と、さいご、におれ、の、くびを、その、太刀でぐぁぁぁ!!」
「!?嘘だろ!!俺にそれをしろってか!!俺のただ一人の家族に!!」
「ぐぐぐ、たのむ、じき、おれ、は、オニに、なる。ぐっ!ひと、くいの、オニに、だ。おれは、オニに、わな、なりたく、ない、だから……。」
じいちゃんは欲望をねじ伏せて正座した。
「じいちゃん!!じいちゃん!じいちゃん!!!」
俺はじいちゃんの隣に立ち、震える手で大太刀を振り上げた。
「すま、ん、それで、いい、おまえ、におし、えた、こきゅう、ほう、てん、の、こきゅう、で、ぜろ、のかた、かい、じょう、ぶつ、どう、をそれ、でお、れ、の、くび、をぐぁあああああ!!!!!っさあ!!」
「零の型!?善だろうが、悪だろうが仏のもとに送るっていう型か!くそーーー!!!じいちゃん!!いやお父さん!!あなたに拾ってもらって!よかった!!本当によかった!!!、だがさらばだ!!」
全集中!天の呼吸!零ノ型!!皆成仏道!!!
斬!!!!
「お父さんーーん!!!!」
爺さんの首が転がる。
「すまなかった、リュウ、ワシを鬼にしたのは鬼舞辻無惨、史上最低な原初の鬼、ワシら鬼殺隊の宿敵、リュウ、やつを許すな。そしてなんとしてでも奴を斬れ!!」
「とうさん!!とうさ、とうさん……。」
父さんは消えていった。
骨も残らずに。
それでも、人のままで逝った。
俺を残して。
俺はその後、すぐに爺さんの遺書を棚から引っ張り出した。
遺書にはいろいろなことが書いてあった。
爺さんの名前は、無上 喜十郎 鬼断。
幼少は孤児院で、名を喜十郎(きじゅうろう)として暮らし。
ある時、育ての親、義兄弟全てが鬼に食われ。
鬼殺隊員にただ一人だけ助けられた。
それから鬼を殺すことだけを考えて、生き抜き、鍛え、ついには鬼殺隊最高峰の柱にまでなった。
そして、鬼千人切りをなして、その功績により、名前を、ただの喜十郎から
姓をこれ以上無いもの
無上(むじょう)
名を鬼を切る者
鬼断(きたつ)
と当時の鬼殺隊当主が命名し、歴代最強の柱として君臨した。
だが、ある街で。
十二鬼月、上弦の鬼2名、下弦の3名ならびに上鬼30、下鬼50の鬼軍団と戦闘。
鬼断含めた六人の柱と一般隊員10名のみで対峙。
そして一般隊士9名、柱三名が戦死。
その時に鬼断本人も左目、左腕、左足を失う瀕死の重症を負いながらも、上弦2名は後一歩のところで首を斬れる所まで行ったが、夜明けが近いこともあり逃走された。
だが鬼軍団ほぼすべての鬼を滅し、人質にとられていた一般住民全てを守り通した様は
まさに英雄であった。
余談だが。
当時生き残った柱の残り二人は
元水柱
鱗滝左近次
元鳴柱
桑島慈悟郎
平隊員の中で、一人だけ生き残った隊員は、入隊直後の
炎柱、煉獄杏寿郎の父である
楝獄槇寿郎
であった。
その後、怪我から隊を辞め、今住んでいた山へやってきて、今に至る。
もしかしたら、あれだけ勘が鋭かった義父はこの山になにか感じ取ったのかもしれない。
あと、教えてくれたのは、技の名前の正式名、流派名。
そして、鬼殺隊の宿敵、鬼舞辻無惨のことも。
最後にこう書いてあった。
「【リュウ、すまない、これは俺の我が儘だ。だが、俺たちの悲願、鬼舞辻無惨を殺してくれ。】か……。」
「疲れず、力が出る呼吸。藤の花のお守り。人が鬼に。そして鬼舞辻無惨。じいちゃんが死ぬ間際、やっと思い出した。ここは昔、いや未来になるのか?ジャンプで連載されてたコミック『鬼滅の刃』、その物語が始まる約六年前……。俺はここに来てたのか……。クソッ、もっと早く知ってれば……。いや、知っててもどないしようもないな。何せ原作前、情報は無いに等しい。でも鍛えててよかった。ホントにありがとう、じいちゃん。まぁ、まずは爺さんの墓作りと身元の整理、それとあれだ。この手紙に書いてある、鬼殺隊最終選別試験、まずそこからだ。」
今日の明治こそこそばなし!!
無惨「めちゃ糞強い鬼殺隊のジーさんが弱ってたみたいだから、興味本位で上弦並にめっちゃ血を流し込んで鬼にしてみたんだけど、根性で鬼化防いだ挙げ句、鬼になりきる前に死んだ!?どういうことだってばよ!?」
次回真章
~鬼滅の刃~転生鬼断譚
第一章
鬼滅の系譜
第1話
奇跡の最終選別試験
明かされた世界、リュウはどう選択し、どのような未来へ行き着くのか。
お読みいただき、さらにはお気に入り登録、ありがとうございます
こんな素人の駄文をお気に入りにしてくださるなんて
涙がちょちょぎれるほど嬉しいです。
今回、ようやく序章が終わりました。
ここまで、鬼滅を匂わせる程度でしたが、これから原作キャラ、その救済に移ることになります。
ですので私の力不足により原作キャラの崩壊があるかもしれません。
さらに主人公による突拍子もない言動や汚いな物言いが増えてきます。
それらが苦手な方はご注意下さい。
何とぞ、これからもよろしくお願いします。
令和8年7月26日より再編集