ある青年と祖父との夢

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初めて書きました


ベーター1

今からちょうど40年前。

地球は、侵略者の脅威に晒されていた。

 

人々の笑顔が失われそうになった時、遥か遠く、光の国から彼らはやって来た。

 

平和を脅かす巨大な存在と対峙する光の戦士達のことを、人は『ウルトラマン』と呼んだ。

 

これは、そんなウルトラマンに憧れた俺が、夢を叶える日の物語だ。

 

 

 

小さい頃から爺ちゃんの家に預けられていた俺は、爺ちゃんのことが大好きだった。

 

昨年、病気でこの世を去ってしまったが、爺ちゃんは俺が小さい頃から『ウルトラマンに助けられたことがある』とか、『昔は怪獣が暴れて大変だった』とか、よく言っていたのを覚えている。

 

『なあ、本当かよ爺ちゃん?昔、ウルトラマンに助けられたって』

 

なんて言っては、何度もその話を聞き返したものだ。

俺は、爺ちゃんからウルトラマンの話を聞く時間が、とても好きだった。

 

若い頃の爺ちゃんは科学特捜隊の整備士で、部屋には多くの勲章や、当時の整備道具などが置かれている。

 

小さい頃にはよく、整備士時代の話をよく話をしてくれたっけ。

そんな事を思い返しながら、俺は爺ちゃんの遺品を整理していた。

 

ある日、爺ちゃんの机の中に、一冊のノートがあるのを見つけた。

科学特捜隊のエンブレムが表紙に描かれた、そのノートのページをめくると、書かれていたのは戦闘機の設計図だった。

 

機体の名前は“ベーター1”。人間がウルトラマンと一緒に戦えるよう、様々な装備や工夫がなされた特殊戦闘機だった。

 

ノートには他にも、人間とウルトラマンが共に協力して戦うための装備の設計図が、幾つも書かれている。

このノートはきっと、爺ちゃんの夢だったんだろう。

 

そして、ノートの最後のページには、爺ちゃんの字でこう書かれていた。

 

【ウルトラマンに救われた命を、今度はウルトラマンと共に並ぶ為に】

 

それを読んで、俺は誓った。

その夢を、俺が代わりに叶えるんだと。

 

 

 

……最近では、地球にも再び怪獣が現れるようになった。

 

そして、現れたのは怪獣だけじゃない。新しいウルトラマンも、地球にやって来ていた。

 

その名はウルトラマンメビウス。

 

最初は、戦いが下手なウルトラマンだなぁと思っていたが、どんどん成長して、最近はその活躍が楽しみになっていた。

 

その頃には、俺は祖父と同じように防衛隊の整備士になっていた。

配属先はCREW GUYS日本支部。そこで俺は攻撃戦闘機、ガンフェニックスの整備を担当している。

 

「おはようございます!○○さん!」

 

聞き慣れたとても明るい声に、後ろを振り返る。

 

彼は新生クルーの一人、ミライ隊員だ。

俺と同じぐらいの年齢で、顔を合わせれば挨拶してくれる、真面目で丁寧な青年。

彼とは整備場でよく顔を合わせ、共に語らう仲だ。

 

「どうしたんだ、ペンキなんか持って……?」

 

と、俺が言うと……

 

「『俺たちの翼』を塗りにきました」

 

ミライ隊員は、楽しそうな顔で笑った。

 

またかぁ、と内心思ったが、俺は隊員達の"翼"を整備をするという仕事を誇りに思っている。

 

『隊員達が無事に帰って来られるようにするのが、整備士の仕事で一番大事な事だ』

 

これは、爺ちゃんがよく言っていた言葉だ。

 

まったくその通りだと思う。

戦いは勝って終わりじゃない。無事に帰ってくることが、一番大事なんだ。

 

この仕事に就いて、その言葉の意味を実感出来た気がする。

 

「何か、良いことでもありましたか?」

 

自然と笑みを浮かべていた俺に、ミライ隊員がそう聞いてきた。

 

「なんでもないよ、昔爺ちゃんに言われったことを思い出しただけだから」

 

と、笑って返した。

 

「なぁ、ミライ隊員。俺は、メビウスの役に立てているかなぁ?」

 

「役に立っていますよ」

 

ミライ隊員はそう熱く言ってくれた。

 

「俺はさ、亡くなった爺ちゃんの夢を叶えてやりたくて、整備士になったんだ……。だから、俺はもっと腕を上げて、いつかウルトラマン達と共に戦える"翼"を作りたいんだ」

「その夢、いつかきっと叶えてください!応援してます!」

「ありがとう、ミライ隊員。きっと、叶えてみせるよ」

 

そう言って俺は、ガンフェニックスの整備へと戻って行く。

 

そして、窓から射し込む朝日に誓った。この夢を絶対に諦めないと。

 

 

 

やがて、エンペラ星人との戦いを終えて、ウルトラマンメビウスは光の国に帰っていった。

 

メビウスの正体はミライ隊員だった。

俺はその事実に驚き、そして気が付いたのだ。

 

俺の夢は、最初から叶っていたことを。

 

数年後、サコミズ総司令から連絡が入ってきた。

 

内容は、光の国にいるメビウスに贈り物を届けたい、というもので、リュウ隊長を始め、当時の隊員達や、ミライ隊員と仲の良かったジングウジ姉弟なんかも全員集まって来るらしい。

 

俺はその要請に快く応じた。

 

俺には、遠く離れた故郷へと帰って行った友に、伝えたい言葉があった。

 

だからこそ俺は、俺から彼への贈り物として、最高の“翼”を作ると……そう胸に誓った。

 

それから2年かけて作った"翼"は、彼方の友に贈り物を授けに、無限の宇宙へと飛んだ。

 

“翼”の名前は『ベーター1』。

俺と、それから爺ちゃんの夢は、42年の月日を超えて今、地球を飛び立ったんだ。

 

なぁ爺ちゃん、見えてるか?

 

やっと、お礼が言えたよ……。爺ちゃんを救ってくれた、ウルトラマンに。

 

 

 




お久しぶりです
アトです。
前回書いたベータ1を親友の錬糖術師ヒロさんの手直しをしてもらいました。
読みやすくなってると思います
錬糖術師ヒロさんの応援をお願いいたします


大怪獣バトルの小説も着々と進んでますのでよろしくお願いします。

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