(´・ω・`)やあ。久方ぶりですね。更新遅れは、まぁセンター試験近いからね、しょうがないね。あと疲れからか、不幸にもお絵描き(9割)
(´・ω・)つドゾー
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出来は……センセンシャル。
「それで? 結局のところ今日は何の用で来たのかな?」
眠っているネムに配慮してか、先程とは打って変わって静かに、普通に会話を始めたマド。正直平常運転のマドは少し苦手なので助かる。
ここで欲を言えば、普段からこの調子でいてくれるともっと助かるのだが……流石に無理な相談か。
「ネムのしていることに今後協力してもらいたくて来た。主に物品の開発や入手において」
今日マドを訪ねたのは、ネムの動画配信に使う機材や物の開発、仕入れを今後手伝ってもらうためだ。
こいつは基本的に対価を払えば依頼にきちんと応えるという信頼があるし、私の知りうる限りのレギオンの中で唯一人間の生活圏から穏便に物の仕入れが可能だ。頼るには最適なやつなのだ。
まあただ対価に何を要求してくるのかはこいつの気分次第だからわからんし、騒がしいのが欠点だが。
「ほおほぉ……それはいったいどういった経緯でのことなの? 詳しく聞かせて?」
「最近ネムが動画配信というものを始めた。その手伝いだ」
「は?」
珍しくも一瞬マドが固まった――
「ちょい待ちヌエ君。それまずいんじゃないの、いやまずいでしょ。動画配信ってそれ、だってそれは人間側に君たちの情報を全て晒すに等しい行為だよ、まずいじゃん。人間に襲撃されるぞ! いや本当になんでそんなこと始めちゃったのよおみゃーさんは……」
――と思ったら急にいつものように早口に喋り始めた。
まあマドの言い分は最もだ。よくわかる。実際つい先日に、不注意でアウトローの襲撃でネムが殺されてしまうという失態を私は犯した。だがしかし、同じ過ちは犯さない。ネムの安全は確実に私が守ろう。
「私たちは死なないし、ヒーロー連中は様子見の状態にある。それに私もネムの護衛は改めてしっかりとするし、いざとなったら遠くに逃げる」
「ああ~……もう、ああそうだね君達基本的に距離の概念がない不死身コンビだったね。なら心配は無用だったかな~でも心配だな~やっぱり、でもなぁ……」
そうしてブツブツと独りで喋り続けた末、結局マドはまあいいかと口にすれば身体の力を抜いてソファに身体を預け、先程の静かな雰囲気に戻った。
爆発的というか何というか……急にテンションが上がったと思えば一気に平常に戻る。マドのこういうところが私は少し苦手だ。まあかといって嫌いかと聞かれればそうではないのだが。
「まあそんじゃ閑話休題ってことで依頼内容について本格的に話そっか!」
「常識の範囲内であれば対価として何でもしよう」
「ん? 今何でもするって言ったよね? よねよね?」
■□■□■□
「――ネムちんオッハー!」
「ヌァッファッ⁉」
目覚まし時計代わりにマドさんの騒音攻撃で起こされた。酷い起こし方だ。おかげで寝起き早々に奇声を発してしまった。あと耳が痛い……! 鼓膜破れてないよな?
「起こしてもらった身とはいえもう少しましな起こし方はできなかったんですか……」
「いやぁ最初は身体揺すったり何だり普通に起こそうとしてたんだけどね、ネムちゃん全然起きないんだもの仕方ないでしょ。あ、ちなみにコール四回目でネムちゃん起きたんだよ、凄い爆睡状態だったねこれは」
「わ、わかりましたわかりましたすいませんでした起こしてもらってありがとうございます」
マドさんが物理的にぐいぐい迫って来て困る。顔が近すぎるし柔らかいものが当たってる当たってる! ヌッ!
まあ、それにしてもだ。はえ^~……俺そんなに爆睡してたのか(呆れ)そりゃ爆音目覚ましも仕方ないね。でもやっぱり爆音目覚ましはマジ勘弁。寝起きは爽やかにいきたいし、最悪な起床は不機嫌になっちゃうからね。
というか俺今までヌエさんに膝枕されてたのか。膝枕が最の高でまだ寝たりないんだけれども、もうあと一時間そこで寝ちゃダメっすか? ゲへへ(思春期)
あっ、このスケベ思考は大人としてあかんやつ。お前それはお前駄目だろお前ッ! ヌエさん! ヌエさん! ヌエさん! っていい歳した大人が子供みたいに甘えて恥ずかしくないのか! お前の心を戒メロン。
「ネム、粗方私の方は話が付いた。あとはネムの番だ」
「え、あっうん」
邪心に囚われていたら急に話を振られて困惑。何かここ最近はっちゃけすぎなんじゃないかな俺? いや元からだわ。これが駄目な大人の図か……
もう開き直って子供でいいんじゃないかな? 個性出して行こうとかありのままの自分で行こうとかよく謳われてるしな! でもこんなんだから前世は人に避けられてたんだよなぁ……でも今更変わろうと思っても早々に根っこは変えられんし…………もうどうにでもなればいいんじゃないかな?
なるようになるさってことでこの話は終わり! 閉廷! ……以上! 皆解散!
――と、それはさておき、閑話休題。
急にヌエさんから俺の番って話を振られたのだけれども、そう言われても俺寝てたし話聞いてないしで何についてお話してたのか全くわからないのですがそれは……あ、そこはちゃんと一から十まで説明してくれる。何か手間かけさせて本当に申し訳ない。ありがとうございます。
「取り敢えずだけどねネムちゃんや。ヌエ君と話したこととしてはねネムちゃんがよければだけれども、今後何かネムちゃんが欲しい物があるときは私が作るか仕入れるかしてあげるってことなのよ」
やったぜ。淫夢君大勝利。UNICORN。
「んでね、今後半永続的に私が協力してあげるってことで勿論対価は頂くんだけれどもね? その内容としてはね、定期的に私のお手伝いを色々としてもらうってことなの。あっ、そんなに大変なことじゃないからそこは安心してオッケー! ちなみに場合によっては人間の生活圏に一緒におでかけすることもできるからね。どうよ悪くはないでしょ?」
二回目のやったぜ! 淫夢君大大大勝利! UNICORN!
人間の生活圏――都市におでかけできるってこれって……勲章ですよ。
「是非ともお願いします! 自分にできることなら何でもします!」
「あいわかったってことで契約完了! 今後ともよろしくねお二人さん! いやぁ最近は刺激不足で退屈だったからね、こちらも楽しみだよ。今後とも是非とも私に積極的に絡んできてくれていいよ! 私は暇や退屈を何よりも嫌うんでね。お喋りするだけでも凄く――――」
取り敢えず話に一段落ついたところ、マドさんが何やら半分自分の世界に入り始めたので軽く半分話を聞き流しておく。全部聞いてたら疲れるからね、仕方ないね。
それにしてもだ。まさか今後バイトをするだけで物が仕入れられるようになるなんて、夢にも思ってなかった。人間社会じゃ当たり前な構図かもしれないが、少なくとも自分みたいなレギオンにとっては大きな一歩だ。廃品やゴミ山を漁って辛うじて使える物を多大な時間と労力をかけて探すのと、バイトという対価を払ってほぼ確実に欲しいものを綺麗な状態で手に入れるのとでは大きく異なる。
もう頭中お祭り状態や。これがダイナモ感覚か!(違う)
「あっそうだ。ネムちゃんとのお近づきの印に今日は一つ無償で何か物の仕入れや開発の案件を聞いてあげちゃう! 今日は気分がいいからね大奮発しちゃうってことで、さあささご注文は?」
「えっえ、マジすか?」
「マジマジ」
唐突ではあるがマドさんから初回特典サービスをしてもらうことになった。話題をいきなり投げかけられてちょっと驚いたぞ。でも凄く素敵なことなんでOKです。今日は願ったり叶ったりで最高な一日だな!
ということで、じゃあ早速何を注文するべきか……
新品の高性能PCやカメラ、マイク、ゲームのハードウェアやソフト等々と、正直欲しいものが多すぎて決まらないんだよなぁ。動画配信用機器周辺を揃えるのが無難か、それとも今後動画内容のことを考えて実況のレパートリーを増やすべくゲームを揃えるか……正直ゲームしたさもあるしなぁ。フリーのじゃなくて企業から出てる大規模なやつ。主に3DアクションとかVRとか。俺はゲームが大好きなんだ。
――よし、そうと決まれば。
「えーっと、じゃあ新品のPCが欲しいです」
ここは無難に下地を整えることにした。
今俺の使っているPCは拾い物のガラクタPCだ。性能的にも寿命的にも頼りないし、画面が若干割れていて使いづらい。今後長々と配信していくのに先にPCがお釈迦になったら元も子もない。そんなのはナンセンス。先ずは土台建築から始めるのだ。当たり前だよなぁ?
「おっ、そんなんでいいの? そうだねぇ、私の手持ちの物はみんな改造済みで使ってるしネムちゃんの欲しいのは人間のネットワークが繋がってるやつだろうし。作るにも資材が足りないから、仕入れかなぁ~、うん。ってことでネムちゃんネムちゃん、依頼品は近々仕入れてくるから、そうだね来週あたりにまた来てくれるかな?」
「はい、わかりました」
「ヌエ君もそれでいい?」
「ん」
あぁ^~、おニューのPCが手に入るってわかった途端身体がうずうずしてきた。たまらねぇぜ。
よっしゃ何かテンション上がってきた。これは帰ったらゲリラライブだな! 視聴者が集まってくれるかはわからないが、やる気で満ちあふれてきているんだからやるぞ。
「そんじゃ私はこれから早速仕入れの準備始めるから、今日はお開きってことで、そんじゃまた来週!」
「世話になった」
「え? あ、はい。今日はありがとうございました。また来週……に」
何か喜びに浸っていたら今日はもう即解散の流れになっていた。そしてマドさんがもうどこかに行ってしまった。マドさんが唐突の極すぎて頭が一瞬追いつかなかった件。行動速すぎない? というか、ゑ? 本当にもう今日終わりなん?
「ネム、今日はもう帰ろう。予想外に時間を取られた。もう深夜帯だ」
「え、もうそんな時間?」
なんか予想外に時間が経過していた。俺の意識だとまだ夕方くらいなんだけれども。俺が寝てたせいか、マドさんの研究所ツアーのせいか……これもうわかんねぇな?
「時間も時間だ、ここから直接転移する」
「了解」
取り敢えずまあ、ヌエさんが帰るって言ってるんだし、帰りましょ。
転移するためにヌエさんの手をしっかりにぎにぎする。暖かい。
「――では転移する」