我が名は、竜狩りの鎧   作:マリア様良いよね

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私が必ず、貴公を助けよう






殲滅戦

 

 

 

「さっそくですまないが、消えてもらうぞ。」

 

大盾を背に負い、大斧を両手に持ち替える。

右肩に担ぐ様に構え、体をやや捻ると、

 

「フンッ!」

 

叩き付ける様に振り下ろした。

竜狩りの鎧を中心に、爆発音にも似た破砕音を響かせながら扇状に衝撃が瞬く間に広がっていく。

 

「………うそ……でしょ」

 

その破壊力たるや、数十m先まで地面が抉れ吹き飛ばされる程。

無数に群がっていた竜牙兵は、1体の例外なく砕け散り、或いは跡形もなく消し飛んだ。

 

だが。

 

「む。」

 

そんな目立つ音がすれば当然、周辺に散らばっていたであろう竜牙兵が集まってくるのは自明の理。

ビルとビルの間から、或いは路地裏、瓦礫を押し退けながらと。次から次へ湧いてくる。

 

「ひぇ……どうしろって言うのよ……っ!」

 

あっという間に、オルガマリーが逃げていた時とは比べ物にならない数の竜牙兵が集まってしまった。大型トラックが4台は通れるであろう道路をびっしりと埋め尽くして尚溢れる量だ。

 

 

 

「鬱陶しいぞ。」

 

 

 

そんなものは関係ないと言わんが如く、再び大斧を叩き付ける。

しかし、流石に量が勝るか、全体の約3分の2が未だ健在。攻撃後の硬直を狙おうと、畳み掛けるように殺到する。

 

「なら、もう一度振るうまでの事。」

 

上半身を深く捻り、遠心力も加えた二撃目。明らかに威力を増したそれに抗う術もなく。残ったのは僅か17体。

竜牙兵に感情はない。故に怯えも知らぬし、恐怖を味わうことも無い。しかしこの惨状を目にすれば、果たしてそれが幸福なのか不幸なのか、考えたくもない。

 

「まだ向かって来るか。その心意気は賞賛に値するが、蛮勇は身を滅ぼすと知れ。」

 

背負っていた大盾を再び装備し、大斧と共に構え直す。

 

「来い。」

 

左右から挟撃を仕掛けるように突貫してきた4体の竜牙兵を皮切りに、最後の攻防が始まる。尤も。竜牙兵には、最初から勝ち目など一片たりとて有りはしなかったのだが。

目前に迫る4体を前に、彼はあろう事か()()()()()()()()()()

 

「……………っ!? ちょ、ちょっと!自分から武装を放り投げるなんて、何を考えているのッ!?」

 

目の前で起こった圧倒的破壊の前にしばし意識が飛びかけていたオルガマリーだったが、彼の突然の奇行に思わず声を上げる。再び慌て始めそうになった直後。

彼は無手で、己に斬り掛からんとした1体の竜牙兵の頭部を勢いよく鷲掴み、そのまま左へぶん回す(フルスイング)。骨同士がぶつかって鳴るには派手過ぎる衝突音を立てながら、4体の竜牙兵が粉々に砕けた。

 

———残り13

 

そう呟くと同時に、彼は疾走する。すれ違いざまに大盾の盾殴り(シールドバッシュ)で、或いは無手で竜牙兵の足を掬い無力化していく。触れた際にトドメを刺せば良いものを、何故か彼はあえてそれをせず、残った全ての竜牙兵を地に伏せる。

 

最後の1体まで瞬きの間に無力化したタイミングで、()()()()()()()()()()()()()()

 

別に。殲滅するだけなら、ここまで手間をかける必要も無く、ただ全力で大斧を振り下ろすだけでよかった。

 

それを今しなかったのは、偏に。

 

 

「初戦は、派手に彩るものと聞く。」

 

 

竜狩りの鎧()が、

 

 

「直接手で殴る事でわかったが、貴様等の材質は竜の牙だな?」

 

 

久方ぶりの闘争でどうしようもなく、

 

 

「ならば、嘸かし()()()()()()()()()()()()。」

 

 

昂っていた(テンションが上がっていた)からに限る。

 

 

竜狩りの鎧は再び大斧を両手に構え、天に掲げる

 

其れは、雲を引き裂き、大地を割る霹靂(かみとき)が如く一撃

 

 

 

———<戦技>・『落雷』

 

 

 

けたたましい轟音と共に、振り下ろされた竜狩りの大斧から、刹那の間に放たれた大雷が地に転がる木偶共(竜牙兵)を灰も残さず灼いていく。本来であれば、地に叩きつけたとて精々が自分の周囲数メートル程の攻撃範囲でしかないが。

この大斧は『竜狩りの大斧』。即ち竜を滅するが為に振るわれる武器だ。それが纏う雷は、竜の悉くを灼き尽くす滅龍の閃光。地を這う大雷は消えず、竜牙兵から竜牙兵へと噛み付き喰らい、全てを灼き尽くして漸く消えた。

 

こうして。圧倒的且つ、一方的な殲滅戦によって、竜牙兵は全滅した。

 

 

「よし。こんなものか。」

 

「あ……あぁ………」

 

「む?」

 

だが。少し、考えてみて欲しい。つい数瞬前まで生命の危機に瀕していると、突然目の前に現れた全身鎧のナニカ(4m超えの巨人)が出鱈目な力でその脅威を消し飛ばした挙句、その元凶(大斧)を担いだまま見下ろしてきたらどうなるか。

 

「………キュー」

 

「なっ!貴公!?」

 

様々な感情の波が頭の中を駆け巡り、混乱と恐慌の果てに脳内処理能力が限界を迎えて、気絶してもおかしくはないだろう。

 

 

はっきりいって、怖い

 

 

「………パタリ」

 

「貴公ォオーーッ!?」

 

 

 

 

———————————————————————

 

 

 

 

 

「スゥ…………スゥ…………」

 

「ふぅ。まさか、寝てしまうとは思わなんだ。余程追い詰められていたのであろうな。」

 

この竜狩りの鎧、意志も感情もあるが、致命的なまでに人と関わることが無かった為、加減を知らなかった。

それ故に、半分は自分のせいで追い詰められて倒れたとは露ほども考えていなかった。

 

「……うぅ……ん…………」

 

「フッ。よく寝ている。私の躯体では、寝心地は最悪であろうに。」

 

現在、彼女オルガマリー・アニムスフィアは、人生史上初のいわゆるお姫様抱っこを体験していた。もし目が覚めていれば、本人にとってこれほどまでに(ある意味)不服極まる初体験はたまったものではないだろう。

 

「………れ………ふぅ…………」

 

「もう暫く、夢を見ていたまえ。」

 

せめて、悪夢でないことを祈ろう。

 

 

「先輩!やはり、あれは———」

「あぁ!急ごう、———」

 

 

 

「む?」

 

 

ゆっくりと燃え盛る街を歩いていると、前方から何やら人影がこちらに向かって来ているのが分かった。

 

 

「聞き間違えでなければ、会話をしていたな。生存者か?」

 

なにやら、向こうは焦っているようだが。それを見ても特に彼は気にすること無く、悠然と歩み寄っていく。

 

「良い事だ。実に良い。この世界に、まだ抗う者が居るというのはな。」

 

この出会いが、彼等にとってどのようなものになるのか。

 

今はまだ、誰にも解らない。

 

 







鎧「竜は死すべし!竜は死すべし!……たかが骨?牙?でも、竜だろ?もちろん殺るよね??当たり前だよなァ???」

オルガマリーちゃん「……ガクリ」


藤丸くん&我らが後輩「「しょ、所長ーーーッ!?」」



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