……バーサーカーは、強いね
〜数分前〜
『マシュ、藤丸君!無事かい!?』
「ロマン!こっちは大丈夫だよ。それよりも、どうしたの?そんなに慌てて。」
『…っ!もうそんなところまで反応が………!?近過ぎる!!……詳しく話してる余裕はない、今すぐそこから逃げるんだ!藤丸君!』
「えっ!?な、なんかヤバイってのは分かったけど、一体どこに?何かとんでもないことでも起きたの?」
『とんでもないことが起きてるんだ!!』
カルデアへ通信を何とか繋げることが出来た2人だが、モニター越しのDr.ロマンが酷く焦燥している様子に揃って疑問符を浮かべ首を傾げていた。
「ドクター、少し落ち着いて下さい。まずは順を追って説明して頂けませんか?いったい何があったので『まずい、まずい、まずい!?もう後方数mまで来てる!?』……ドクター?」
マシュが一度冷静になる様に諭すが、完全に平常心を失っているらしく会話を途中で遮ってまた恐慌しだした。
『
「ば、化け物!?しかもすぐ後ろに……って、後ろには彼しか居ないけど?」
「はい。敵性生命体と思わしきものは後方はおろか、周囲に見受けれられません。強いて言うなら……」
『何をしてるんだ2人とも!?もう時間がないんだっ!急いで逃げてくれぇ!!』
危険がもう目と鼻の先に迫っていると叫ぶロマンの言葉はしかし、悲しいかな。当の本人達には決して届かない。
そして
「先程から騒がしいが、事は済んだのか?」
『わあああああああああ!!?』
レーダーで観測する側からすれば、藤丸とマシュの座標の間に重なる位置に件の彼が来た。
有体に言って絶望しかないだろう。
「あ、竜狩りさん。」
『え』
「「え?」」
「………む?」
いよいよもって収拾が付かないと思われた喧騒は、渦中の
「ちょっと、さっきから煩いわね!ただの通信で何を騒いでいるの!?」
『えぇえええええええ!?しょ、所長!?』
「はぁ!?なんでロマニが通信に出ているのよ!?」
訂正。喧騒はまだ続く。
『………なるほど、つまり君達はそこに居る正体不明の鎧……さんに、助けてもらったってことで良いのかな?』
「ロマン、彼にも普通に聞こえてるからね?」
『ちゃんとさん付けに直したじゃないか!?』
「ドクターうるさいです。あと、マスターの言葉に補足を付け加えさせていただきますと、彼は我々カルデアにとっての恩人でもあるのです。疑う気持ちは分からなくもないですが、そう見え見えな態度では呆れます。」
『え、やだマシュがすごく辛辣。こっちはずっと2人が心配でしょうがなかったのに……僕泣いちゃうよ?』
「素直に気持ち悪いわよ、ロマニ。泣いてもいいけど、嗚咽はこちらに聞かせないで頂戴。」
『いや辛辣ぅ!?ていうか所長!なんで生きてるんですか!?』
「その言い方はないでしょう!!」
「「
『ぐはぁっ!?………みんな、あたりがヒドくない?』
「安心するといい。皆、貴公の事が嫌いな訳では無いさ。でなければこれほど愉快な心地にはならんだろう。」
『……………騙されないぞ。僕だけは絶対に!フォローしてる様で愉快とか言ってるし!ところでマシュ、この鎧野郎が恩人って言ってたけど、具体的に何をしてくれたんだい?』
「敵性
『本当にありがとうございます、竜狩りの鎧様。』
「手のひら返し早くない?」
「———、——————。」
「—————!?」
「—————。」
———嗚呼、真に心地よい。私の故郷では、終ぞ見る事は能わなかった人々の営みだ。
笑い、悲しみ、怒り、喜び、そしてまた笑う。それが当たり前の事のように流れ行く光景は、見ていて本当に心地が良い。
この当たり前を齎す為に、私は戦ってきたのだ。
これまでは。
これからは、この当たり前を守る為に刃を振るおう
この笑顔を陰らせないように、盾を突き立てよう
「———んとにあなたは……ほら、貴方も何か言ってやりなさいな、ドラゴンスレイヤー?」
「……………」
「……………ちょっと。竜狩り?」
「………! あぁ、すまない。少し、考えごとをな。」
思考の海に沈んでいると、訝しげに首を傾げたオルガマリーに話しかけられていることに気付けなかった。
「ふーん?………話は変わるけど、いつになったら私を降ろしてくれるのかしら?まさか、本当にずっとこのままで居るなんて信じたくもないのですけど。」
「ん。それもそうだ。ようやく処置の方も終わったからな、ゆっくり降ろそう。恥をかかせてすまなかった。では、少し目を瞑ってもらえるかな。」
そろそろ、彼女もずっと担ぎ続けられているこの状況に限界が来ているらしい。
だが、ちょうどいいのもまた事実。
誰にも気付かれないように、彼女を掴む手とは反対の右手に
岩の古龍をも穿った竜狩りの雷。只人であれば、触れただけで一瞬にして灰に還すほどの
「謝罪は結構。助けられた事実も実績もありますし、それで許します。あと、目を瞑る必要なんてあるのかしら?私、別に高所恐怖症でもないのだけれど………まぁ、良いでしょう。」
「あぁ、助かる。」
目を閉じたことを確認し、ゆっくりと右手を近付ける。不器用ながら、余分な力を入れぬよう優しくそっと頭に触れると、無垢な見目をした美貌が苦悶に満ち———
「……ねぇ、なんで頭を撫でているのかしら。誰もそんな事を許可した覚えはありませんけど?必要な処置っていうのも結局何なのか分からないし、どういうことです?」
全身を焼かれ、灰になることは無かった。
………成功だ。あとは、器のみ。
あぁ、そういえば、何をしていたのか全く説明していなかったな。
……落ち着いた頃に、順を追って話すとしよう。
「いや、余りにも可愛らしかった故、ついな。寛大な心でもって許してくれ。」
「な、か、かわっ!?……………しししかたないわね。まぁ?心が広い私は、あなたの蛮行も許してあげましょう。こ、光栄に思いなさい?」
「有難う、恩に………っ!!!」
———爆砕音が遠方より轟く。
「まったく。可愛らしいだなんて、急に何よもう……別に私を褒めるなんて、今更過ぎて別に嬉しくもなんともないのですからね?せいぜい調子に乗らない事!ふふっ……」
今、聞こえてきた音は………瓦礫が落ちた音でも、火薬が炎に巻かれた音でもない。瓦礫の落下音があれ程遠方から聞こえる筈は無く、爆発音にしては閃光が一切見えなかった。
しかし今の、桁外れた踏み込みの音は……!
「マシュ!オルガマリーを、
「きゃっ!?な、なんなの!?急に降ろさないで!」
オルガマリーをマシュに預け、大盾と大斧を構えて備える。
「ちょっ、急にどうしたですか竜狩りさん?」
「……マスター、所長。私の後ろから離れないで下さい。ドクター、私達から見て方角、東約2……いえ、1km付近に何か反応はありますか?」
『な、何だこれは!?秒速150m前後を維持したまま強力な霊基反応が向かってきてる!!』
………見えた。崩壊した建造物を踏み台として加速し、宙を超高速で移動している。踏み台とした建造物を瓦礫の山へと変えながら、隠す気がない突き刺さるような殺意と憎悪を滾らせ向かってくる。
どう見ても、アレと友好的な関係は結べ無さそうだ
大盾を地に叩きつけるように振り下ろして固定する
接敵まであと3秒
『サーヴァントだ!みんな気を付け———』
「████████!!!」
耳があれば塞ぎたくなるほどの咆哮と共に、
オルガマリーちゃん「////////(〃▽〃)」
影バーサーカー「———████!!!(先手必勝!)」
オルガマリーちゃん「ビクッ!Σ(OωO )」
鎧「ヒトがホワホワしてる時になに突っ込んできてんだおいゴラァ!!!」