バーサーカーは誰にも負けない………
世界で……いちばん……強いんだから……
私の……バーサーカー、は…………
…………————。バー、サ……カ……………
「███████!!!」
咆哮と共に。速度を落とすことなく駆け抜ける勢いに加え、振りかざした斧剣を全力で叩きつけるように振るう
例え一級の英霊であろうと、攻撃に掠るかその余波だけで確実に吹き飛ばされるほどの一撃と言えよう。
だというのに。
「——————っ!!」
「██!?」
激しい衝突音が2つ鳴り響く。1つは接触した際に発生したもので、続け様に発生したもう1つは
「…………。」
押し出すように体の前へ出した大盾を構え直す。
何が起こったのか?答えは単純。
バーサーカーの振り下ろしに合わせるように大盾を構えて『戦技』を放っただけ。
戦技・シールドバッシュ
渾身の力を込めて盾で殴る。防御に徹する状況を、攻めに転ずる為の仕切り直しに本来は使う技。
しかし、優れた盾使いは防具をも武器とする。攻撃を受け流すのでは無く殴られた衝撃を反射し、バーサーカーの全身を打ち付ける様に大盾で殴り飛ばした。
ブレーキの壊れたスポーツカーが、最高速度で対戦車砲を食らいに行った様なものだ。
「……██!███████!!!!」
「……………。」
廃墟ビルに瓦礫ごと埋もれたバーサーカーは、並外れた膂力でもって瓦礫を吹き飛ばすと即座に立ち上がり、怒りの咆哮を上げながらまた向かっていく。
「………………。」
鎧騎士は大盾を背に負い、大斧を構えて迎え撃つ。大斧と斧剣が激しくぶつかり、衝撃の余波で足元にクレーターが発生した。
「████———!!!」
バチリと火花が飛び散ることも気にせずギチギチと拮抗する
「—————!」
同時に武器を構え直し、鎧騎士は上段から振り下ろすように、狂戦士は斧剣をかち上げる様に振り上げる。
「!? █████!!!!!」
同等の力で放たれた一撃は反発し合い、拮抗することなく互いに離れるも、流れるように連撃を打ち合い始める。一合、二合、三合、回数が増える度に徐々に剣速が加速する。
十を超えた辺りで音速の域に達した切り結びは、最早常人からは視認出来ない暴虐の嵐となった。
「っ███!!███████!!!!!!」
百を超える頃には、バーサーカーは理性の無い思考の中でも完全に理解した。
目の前の鎧騎士は、己より格が上だと。
一撃の重さの違いが顕著に表れだしたのだ。最初こそ互角に見えた力の差は、その実竜狩りの鎧からすれば小手調べに過ぎなかった。故に同等の力で反発したが、徐々に押され始めている。
このままでは何れ綻びが生まれ、数秒先には敗北するだろう未来を本能で悟ったバーサーカー。
様々な想いが狂気に浸された思考の中で巡り始めるも、体は勝つ為に行動を始めていた。
実力が上の相手に、どうすれば勝てるのか?
その答えは、神話で一度出している。
返す刃で振るわれた大斧を防ぐと、後方に飛んで距離を取り斧剣を構え直す。
「……███…………」
左手を前に翳して狙いを定め、
「███████!!!」
一足で加速し距離を詰め斧剣を振るう。
何度も見た光景。数百にも及んだ切り結びによって太刀筋を完全に把握した竜狩りの鎧は余裕をもって大盾で防いだ直後、
「————!?」
「!? 竜狩り!!」
前方に構えていた大盾を持った左手ごと上体は後方に大きく仰け反り、初めて無防備な姿を晒した。
一撃に見えた
ヘラクレスの神話に於いて。彼が対峙してきた試練に登場する怪物達は、そのどれもが「何度殺しても蘇る」不死性を持っていた。これを捩じ伏せるべく彼は、
本来、バーサーカーの霊基でしかも
「████████!!!」
宝具・
本来は弓で使用する事が最適解且つ最大破壊力を生み出す、ヘラクレスの生み出したある種の流派にも近い御業。
長い戦いを繰り広げてきた過程であらゆる武具を使いこなし、数多くの試練を乗り越えた、状況・対象に応じて様々なカタチに変化する「技」であり、使用する武器の最大手を発揮する万能攻撃宝具。
くどいが、今のバーサーカーは
何故、至れたのか。それを語るのは無粋と言えようが、敢えて言うとするならば。
どれだけ狂おうが、どれだけ栄光から堕ち果てようが、彼はどうしようもなく英雄だから。
己を呼んだ、敬愛する大切で儚き今代の主を目の前で喪った瞬間から、彼は深い後悔と無念、止めどなく溢れ続ける不甲斐ない己への怒りに寄って自責の念に囚われたまま戦い続けていた。その自分が負けることを悟った瞬間、彼の狂気に包まれた思考を埋め尽くしたのは一つの覚悟だった。主を喪い、無様にも生き長らえてしまった彼が決めた覚悟。
”巫山戯るな。己に、敗北は決して赦されない”
そう、亡き主に不敗を誓い、勝利を捧げ戦い続けるという不退転の意志。
ただ、それだけ。
たった一つの、主を慕うが故の想いが。閉ざされ、定められた限界を超えるに至った。
苦難を前に決して諦めぬその在り方は、どうしようもなく英雄そのものだろう?
「███████—————!!!!!」
バーサーカーが行ったのは言ってしまえば単純な事だが、それ故に事実は無慈悲だ。
ようやく出来た千載一遇の隙を逃す手はない。
「竜狩りっ!!!」
「………!!」
オルガマリーの声に我に返った竜狩りの鎧が、無理矢理態勢を立て直すように大斧を振るうが、もう遅い。
渾身の力を滾らせ、
ただただ斧剣を振るう、振るう、振るう。
防御は、出来ない
「████████!!!」
怒涛の
トドメを差すように斧剣を高らかに掲げ、全身全霊で振り落とす。
バチッ
バーサーカー「███████!!!!!(負ける訳には、いかんのだ!!!!!)」
? 「バーサーカー……もう、いいんだよ?」